早慶バレーボール定期戦まで残り一週間を切った。今年も早慶定期戦直前企画として両校の男子バレーボール部主将対談をお送りする。慶大の主将・上野素希(文4・甲陽学院高)と早大の主将・山口頌平(スポ4・大村工高)のお二人に、早慶戦に対する思いなど様々なお話を伺った。
――両主将はいつからお知り合いになったのですか?
上野 中3からです。
――どのような経緯で知り合われたのですか?
上野 中学の時にドリームマッチっていう大会があったんですけど、それで知り合いました。
――その時は対戦相手だったのですか
上野 いや、チームメイトでした。
――ドリームマッチはどのようなものですか
上野 ドリームマッチというのは選抜で24人を中学校から選んできて、そこで合宿して、練習して、最後二チームに分けて試合して終わる大会というかお祭りみたいなもので、そこで同じチームでした。部屋も同じだったっけ?
山口 いや、そこまでは覚えてない(笑)
――では、まず初めにお互いのプレーヤーとしての印象を教えてください
上野 彼はセッターなので、クイックと時間差の使い方が上手くて、僕はミドルなのでやっていていやだなという印象でした。
山口 中学の時からずっと身長も高くて、サイドやったり、センターをやったりと両方をやる器用な選手だなと思っていました。
――続いて、今季はリーグ戦での直接対決はありませんでしたがお互いのチームの印象をお願いします
上野 早大は松井監督を中心に組織だったり、バレーシステムがしっかりしているなという感じですね。一部の中でもシステムがちゃんとしていて、レシーブも拾うし、団結力があるなとずっと思っていました。
山口 ことしは一部と二部で会場が違ったり、対戦もしていないので、ことしのチームカラーがどんな感じかというのはわからないのですが、毎年、チーム全体で、みんなでかかってこられる感じがいやだなと感じますね。
――自分のチームの魅力はどんなところにありますか
山口 一部の中でもそんなに身長は高くないので、小さくてもそういうブロックとレシーブの関係をしっかりして、粘り強いバレーができているときは強いと思うので、そこを出していければいいなと思います。
上野 うちの魅力は、今年から変えようと思っていて、いままでだったらキャプテンや4年生が中心になって、下はついていくだけっていう感じでした。でも、ことしはあえて4年生が頑張るとかじゃなくて、しっかり1年生から4年生まで全員がチームに関わって、全員で一丸となって戦っているというのが魅力だと思います。
――お二人ともキャプテンですがいままでキャプテンの経験はありますか
山口 小学校と中学校はキャプテンでした。
上野 高校がキャプテンでした。
――どんなキャプテンが理想ですか
上野 高校や去年まではキャプテンというのは率先して指示出して、どんどん厳しいことも言ってという感じだと思っていました。でも実際いま4年生になってみて、きつく言うだけじゃ人は動かなくて、きつく言うんじゃなくてあえて諭してみたりだとかが大事だと思うようになりました。僕、理想のキャプテン像っていうのがあって、北風と太陽なんです。北風じゃなくて太陽みたいに人を動かせるようなキャプテンが理想です。
山口 キャプテンもやりながらセッターもやっているので、コートの中でもセッターっていうポジションはみんなから見られます。キャプテンとしても、セッターとしても試合中に声かけや支持の声で、一番声を出そうと意識しているし、点数決まったら走り回って喜んで、チームの闘志を盛り立てようとしています。1年生も盛り上げようといろいろしてくれてはいるんですけど、やっぱり自分がコートの中心にいようというのは練習の時から意識はしていますね。
――いまキャプテンとして悩んでいることはありますか、その悩みに対してアドバイスをお互いにお願いします
上野 自分は結構優しい人間なので、優しいから後輩は意見を言いやすかったりと良いチーム状況にはなっているんですけど、逆に悪いことに対してきつく言えないです。悪いなと思っていて、本当はその場で注意しないといけないんですけど、待って、気づいてくれるかなという感じです。待つことは悪いことじゃないんですけど、本当にそれでいいのかなというのが悩みです。
山口 正直、僕は逆に練習中とかは気になったことやダメだと思ったことを言わないと気が済まないので、自分はそこで1、2年生が萎縮しちゃうかなというのを悩みで言おうと思っていました。だから、お互いが合わさればいい感じになればいいんじゃないですかね(笑)
――いままでキャプテンをやっていてよかったなと思う瞬間はありましたか
上野 1回セッターが怪我した時に、次の試合でチームがピンチになった時にみんなが団結してくれたんですよ。それが嬉しかったです。チームをまとめるのが僕の仕事なので、チームがまとまってくれたときは嬉しいです。
――もし上野さんがワセダにいたら山口さんはセッターとして上野さんをどう生かしますか
上野 知らないだろ俺のこと(笑)
山口 そうですね、レフトやるのかセンターやるのかで変わりますけど、レシーブが安定してくれればサイドで使いたいなと思います。レシーブがちょっとダメそうだったらセンターで、身長はまあまあ高いので。でも、中学の時はセンターだったよね?違うっけ?
上野 ドリームマッチの時はセンターだった。
山口 合わせたよね?
上野 うん。
山口 中学のドリームマッチの時に合わせた時はセンターで合わせやすいなと思っていたので、センターですかね。 ――では、もし山口さんが慶應のセッターだったらいかがですか
上野 もう全て任せます。(笑)いま、僕、セッターにこっち上げてとか次これ上げてとか言うんですけど、彼だったら勝手に全部やってくれるので、もうお願いしますって任せます。
山口 自分も言われたくないですねスパイカーに。
――オフはどのように過ごされますか?
上野 学校行って、部室が好きなので部室の椅子が結構好きです。授業終わったら、日吉に帰って部室で動画を見ています。
山口 オタクだなあ
上野 たまに後輩とか荷物を取りに来たりして、「またいるんですか?」みたいな感じです。
山口 自分も授業が昼からあるのでとりあえず昼前はいつもよりゆっくり寝て、そこから授業に行って夜は何もなければ普通にごはん食べてゆっくりします。友達と結構飲みに行ったり、後輩を連れて行ったりしてリフレッシュしているかなと思います。
――勝負めしや行きつけのお店はありますか?
上野 トラの息子という日吉のお店がすごくおいしくてヒレカツとハヤシライスがあって、ほぼ毎日行っています。あとその隣に白鳥という店があって昼しかやってないんですけど、昼食べる時にはそこに行ってオムライスを食べます。
――マイブームや趣味は?
上野 自分はオタクなので動画を見ることです。特にゲームの実況をみたりします。
山口 リーグで戦った試合を見返したり、Vリーグの試合を見たりとかです。バレーの試合を見ることが最近は多いです。
上野 自分もYouTubeとかで海外バレーの動画を見てますよ(笑)(笑)
――早慶定期戦とリーグ戦はコートに立っていて、何か違いはありますか?
上野 今2部リーグで戦っているのですが、2部リーグは一つも落とせない戦いですが、1部でやってた頃はリーグ戦はずっと続いていくので負けても次がある、連続の中でやる試合なのですが、早慶戦はその日1日だけですし、色んな人が準備して、みんなが作ってくれる試合なので試合に入った時の気合いが全然違いますね。
山口 リーグ中はバレーしている友達が応援に来る機会はあまりないですが、早慶戦は友達もたくさん応援しに来てくれたり、OBの方とかも来て下さるので歴史、伝統を感じます。あのような雰囲気で戦うのはなかなか味わえることではないので本当にわくわくしています。
――ご自身のチームの中で早慶戦のキーマンになる選手はいますか?
上野 富澤太凱(経1・慶應高)です。彼は人がいっぱい来てくれたりとか盛り上がれば盛り上がるほど、力を発揮するタイプなので一人は彼です。もう一人は黒田彪斗(環3・富山第一高)です。彼は好不調の差が激しいので良い意味でも悪い意味でも彼次第という所があります。いかに黒田が乗れるかというのが早慶戦の勝利に掛かっているかなと思います。
山口 スタメンに出ている人も途中出場の人もみんな中心なんですけど、不調な時は4年生がプレー面でも結果を出し切れていない。4年生の力不足がリーグ最初につまずいた原因でもあるのでというのと今回の早慶戦がラストとなるので4年生みんなでまとめて早慶戦の勝利へみんなを導けるように4年生が一つになれたらと思います。
――相手チームで警戒すべき選手は?
山口 黒田選手です。黒田選手が最多得点を取ったリーグがあったのでその選手を中心に攻めてくるんだろうなと思うので黒田選手を警戒すべきかなと思います。
上野 彼(山口)です。早稲田はすごいエースがいるわけではなくてチーム力で勝っている気がする。そのチームをまとめているのは彼ですし、スパイカーを操るのも彼がやっているのでいかに彼をつぶせるかだと思います。(笑)
――お二人の中で一番印象に残っているバレー早慶定期戦はありますか?
上野 2年前の日吉記念館でやった早慶戦です。人もたくさん来ましたし、フルセットでしかも最後に柳田将洋さん(平成27年卒・現サントリー)が決めるという漫画みたいな試合だったので。ベンチにいてほとんど試合に出ていなかったのに勝った時は涙が出てきた試合でした。自分が出ていないのに涙が出てきた試合は初めてだったのでそれぐらい感動する試合でした。
山口 僕も2年前の日吉でフルセットで負けて歓声を聞きながら、コートを去って本当に悔しい思いをしたのでそういうことがないように頑張りたいです。
――ファンの皆さんへ早慶戦の意気込みをお願いします
上野 慶應は他の大学と比べても一番団結力がある大学だと思っていて早慶戦という舞台になると、どのスポーツでも応援がいっぱい来てくれてそういう環境でやらしてもらうのは幸せだと思うし、応援してもらえるのは力になると思います。ホームでやるので勝ちたいです。皆さんの期待に応えられるよう、応援に来てくれた人を楽しませるような試合をしたいです。
山口 アウェーなので多少は慶應の方が応援は多いだろうなという予想はありますけど、しっかり早稲田を応援してくれる人の応援を力に変えて100%の力を出して勝ちたいと思うので応援よろしくお願いします。
――お忙しい中、ありがとうございました!
(この取材は5月17日に早稲田スポーツ新聞会と合同で行いました)
早慶主将プロフィール
◇上野素希(うえの・もとき)191センチ。兵庫・甲陽学院高校出身。ポジションはセンター。
◇山口頌平(やまぐち・しょうへい)172センチ。長崎・大村工高校出身。ポジションはセッター。