開幕からここまで2連敗と、厳しい戦いが続く慶大ボクシング部。折り返しとなる第3戦の相手は昨年の2部の優勝校、中央大学。最大の強敵を相手に、これまで以上に厳しい戦いとなることが予想された。試合はまずライトフライ級に出場した宮内龍之介(政2)が、敗れはしたものの最終ラウンドまで善戦すると、バンタム級の井上慈元(総1)、ライト級の田中湧(環4)が気迫のこもったファイトで大接戦を演じた。結果だけ見れば0-7と完敗だったものの、格上相手に大いに見せ場を作った。
第69回関東大学ボクシングリーグ戦第3戦vs中大
2016年6月11日@後楽園ホール
結果
⚫︎ | 慶大 | 0-7 | 中大 | ⚪︎ |
階級 | 勝敗 | 慶大選手名 |
| 相手選手名 |
LF | ⚫︎ | 宮内龍之介(政2・慶應湘南藤沢) | TKO 3R1:04 | 及川雅人 |
F | ⚫︎ | 飯島諄(環3・芝) | TKO 3R0:42 | 新井勝 |
B | ⚫︎ | 井上慈元(総1・広陵) | 0-3(27-30,28-29,28-29) | 藤井重騎 |
L | ⚫︎ | 田中湧(環4・慶應NY) | 0-3(28-29,28-29,27-30) | 三代大訓 |
LW | ⚫︎ | 森瑞季(経2・福島成蹊) | KO 3R2:44 | 冨田真広 |
W | ⚫︎ | 小笠原夢生(政3・慶應義塾) | TKO 1R1:58 | 岡澤セオン |
M | ⚫︎ | 林麟太郎(経2・慶應義塾) | TKO 2R2:59 | 河口周吾 |
第1試合 ライトフライ級 宮内龍之介(政2・慶應湘南藤沢)まず先陣を切ったのは宮内。後楽園デビューとなった日体大戦は壮絶な1RKO負けを喫していた。だが、今日の宮内は前回のそれとはまるで別人だった。1R。出鼻をくじかれ早々に崩れてしまった前回の轍は踏むまいと、相手の素早いフットワークにもリードで合わせながら距離を取り、落ち着いた入りを見せる。その後も攻め気を上手く外す持ち味のアウトボクシングが随所に冴え渡ったが、3R、序盤に右を痛打されたところでタオルが投げ入れられ、無念のTKO負けに終わった。
第2試合 フライ級 飯島諄(環3・芝)序盤から間合いを詰めて果敢に打ち込んでくる相手に対し、劣勢に立たされながらもジャブで間合いをとりつつパンチを紙一重でかわす飯島。しかし、2Rスリップ気味ではあたがダウンをもらうと、その後は苦しい展開に。3R、コーナーに追い込まれて連打を浴びたところで、TKO負けとなった。
第3試合 バンタム級 井上慈元(総1・広陵) 全国高校選抜にも出場した期待のルーキー、井上が満を持して大学でのデビューを果たした1R。開始早々、重いボディを連続して打ち込み会場を沸かす。相手選手も負けじとすぐさま鋭いパンチを返すが、それを上手く後ろにかわし、高い動体視力も見せつける。2R以降は徐々に身長で上回る相手のジャブを貰い始めるが、右フックを中心に効果打を返していく。最後までクリーンヒットは貰わなかったものの、決め手を欠き後半の手数の差で惜しくも判定負けとなった。今回はデビュー戦ということもあり、地元から両親や親戚も見に来ていたという。大学での初勝利はお預けとなったが、内容の詰まったナイスファイトは今後の活躍を予感させた。
第4試合 ライト級 田中湧(環4・慶應NY)相手は全日本ランキング7位の猛者。長いリーチとディフェンス技術を持った難敵だったが、「それを上回る気持ちとフィジカル、勢いで戦ってやろうという気持ちで臨んだ」との言葉通りに闘志あふれるファイトを見せた。1R。中間距離を取って様子を見る相手に対し、積極的に懐に入り、豪快に腕を振っていく。鋭いコンビネーションを何度も繰り出し、簡単に相手のペースに持ち込ませない。2R。序盤に強烈な左フックを連続で打ち込み、一気に形勢をこちら側に持っていくかに見えたが、相手もランカーの意地を鋭いパンチを浴びせる。3R。相手が積極的な攻勢を仕掛けたのに対し、序盤から飛ばしていった影響もあり、スタミナ切れで防戦一方に。善戦は見せたものの0-3で判定負けとなった。
第5試合 ライトウエルター級 森瑞季(経2・福島成蹊)1R。間合いを取ってリングを広く使おうとする相手のスタイルには乗らず、どっしりと構えて落ち着いて対処する。2Rは積極的な打ち合いになり、相手のスピードの乗った左に苦しめながらも、気持ちで打ち返していく。3Rは更に壮絶な接近戦になったが最後は重い左を顔面にモロにもらってダウン。そのまま森は立ち上がることができずKO負け。衝撃的な幕切れに終わった。
第6試合 ウエルター級 小笠原夢生(政3・慶應義塾)1R。自在にコースを打ち分ける相手に右ストレートで応戦するも圧倒され、2度目のダウンをもらったところであえなくタオルが入りTKO負け。全日本5位の実力をまざまざと見せつけられる結果に終わった。
第7試合 ミドル級 林麟太郎(経2・慶應義塾)今回がデビュー戦の林。大きな体格をいかし左ストレートを中心に攻撃を組み立てていくが、スピードと技術で上回る相手にクリーンヒットさせることはできない。逆に相手のボディでじわりじわりとダメージが蓄積されていく。2Rに2度のダウンを取られたところでタオルが投入されてTKO負け。奇しくも前のウエルター級の試合を再現するかのような終わり方だった。
今回は新たに3人の選手が後楽園デビューを果たした。いずれも初陣を飾ることはできなかったが、格上の相手に気後れすることなく気迫のこもった試合を見せてくれた。2戦連続で0-7に終わったものの、全体として格上の相手に対しても各選手の持ち味が随所に出ており、相手関係を考慮すれば前回より良い内容だったと言える。TKOが多かったのも、敗色濃厚な際は早めにタオルを投げるようにしていたとのことで、見た目にはまだまだ余力を残していた選手も多かった。次の対戦校は明大。実力的には決して後れをとるような相手ではないが、2部残留を確保するためには決して取りこぼしてはならない正念場になる。今まではチャレンジャーだったが、これからは待ち受ける側。より勝利に貪欲に。慶大ボクシング部の反撃がこれから始まる。
(記事:江島健生)
以下、選手コメント
田中湧(環4・慶應NY)
(0-3で判定負けという結果だったが接戦を演じた。試合を振り返って)相手が全日本7位で5位の選手にも勝っていて凄く格上の相手だったんですけど、気持ちを強く持てば意外と通用するんだなということがわかったので、明大、専修大と残っていますが気持ちで戦っていきたいなと思います。(どのように試合を進めていこうと考えていたのか)相手は結構技術的に上手い選手だったので、それを上回る気持ちとフィジカル、勢いで戦ってやろうと気持ちで臨みました。(相手のスタイルの印象と、それを踏まえた対策はどういったことをやってきたのか)対策は特にしていなくて、本当に勢いだけでやってやろうと思っていたんですけど、後半で疲れたときに日本ランカーの地力が出て、それで苦戦して負けてしまいました。(確かに、2Rまでは採点もほぼ互角だった)意外と勢いだけでも通用するということがわかったので、明大・専修大とつなげていきたいと思います。(左フックを多用していたが、そういう意図はあったのか)いや、もう勢いですね。気持ちで通用するってことが証明できたんじゃないかと思います。(全体で0-7という結果についてはどう捉えているか)予想はしていたんですけど、次やる相手は中大よりも弱い相手なので、そこはしっかりとっていければいいかなと思います。(改めて次に向けての意気込みを)まだ自分は出るかわからないんですけど、チーム一丸となって気持ちは絶対負けないように頑張ります。
井上慈元(総1・広陵)
(慶大ボクシング部としては初の試合だったが)本当に声援がすごかったんで、それが力になって楽しめました。高校時代は応援が無かったので、そのあたりが全然違いました。大学に入って初めてあんなに応援してもらえて、嬉しかったです。(試合のプランは)積極的に左を出していって、自分のペースでやりたかったです。1Rは結構できてたんですけど、2Rからは下がる一方であんまり見栄えが良くなかったので、そこでポイントを取られてしまったのかなと思います。(相手の印象は)打ち終わりを狙ってくる、というのが一番あって、それを警戒して練習でも打ち終わりにサイドに回るというのを意識していたんですけど、なかなか自分のプランに持っていけませんでした。(次に向けての課題は)やっぱりスタミナですね。高校は2分3Rだったのに比べて大学は3分3Rと長いので、スタミナが一番重要なポイントになってくると感じました。なのでしっかりと走り込んで、次からはしっかりと3分3Rを戦えるようにフィジカルを作っていきたいです。(慶大ボクシング部での目標は)これからは全勝できるように頑張ります。