今年で69回目となった華の早慶戦。リオデジャネイロオリンピックでも日本代表がメダルを期待される競技は、早慶両校の若き選手たちが奮闘。当日は東京で今年初めての猛暑日となったが、早慶戦も気温に負けないほどの熱い一戦となった。
第69回早慶対抗体操競技定期戦
2016/7/3(日) @早稲田大学戸山キャンパス36号第二体育館
慶應義塾大学405.90-418.05早稲田大学
◇慶大出場選手・得点
ゆか | あん馬 | つり輪 | 跳馬 | 平行棒 | 鉄棒 | 合計 | |
石田駿(法4・慶應義塾高) |
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| 13.85 |
| 12.75 |
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村山聡史(薬4・慶應義塾高) |
| 13.35 | 13.15 |
| 13.85 | 12.30 |
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山口陽亮(経4・慶應義塾高) | 13.10 | 13.35 | 13.15 | 14.00 | 12.50 | 11.85 | 77.95 |
橋本和樹(文3・桐朋高) | 13.80 |
| 12.70 |
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古門駿佑(政3・慶應義塾高) | 14.00 | 12.60 |
| 13.90 |
| 13.65 |
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杉野広尭(環2・鯖江高) | 13.55 | 13.85 | 13.75 | 13.75 | 13.75 |
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田中瑞基(政2・慶應義塾高) |
| 12.90 | 14.00 | 14.05 | 13.70 | 12.90 |
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有江航優(政1・慶應義塾高) | 13.45 |
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石塚耕大(総1・埼玉高) | 14.30 |
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| 14.30 | 13.85 |
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岡本純昌(総1・修道) |
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| 12.50 |
| 13.55 | 13.60 |
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佐々木幸哉(法1・慶應義塾高) |
| 12.60 |
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BEST5 | 69.10 | 66.05 | 66.75 | 70.10 | 68.70 | 65.20 | 405.90 |
「今年は勝てるかもしれない」(石田主将・法4)と、選手一同が気合を入れて臨んだ定期戦。今年はトランポリン競技の早慶戦が実施されなかったため、男子団体の体操競技と女子選手によるエキシビションのプログラムで行われた。男子団体は、ゆか、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒の6種目でそれぞれ6人ずつ出場し点数を競い合う。6人中5人の得点の合計がその種目での点数となり、6種目すべて合わせた点数が優勝を争う合計点となる。
最初の種目はゆか。70秒でいかに難易度の高い技且つ美しさを表現できるかを競い合う。古門駿佑(政3・慶應義塾高)が途中着地の際にラインオーバーをしてしまうが、最後はしっかりと決めて14.00と高得点をマークする。初めての早慶戦であったが「床が得意」の石塚耕大(総1・埼玉高)も技をしっかり決めに行き、14点台をたたき出した。慶大のゆかの点数は69.10。
2種目めはあん馬。腕の力で体を支え、あん馬の上で難しい技が繰り広げられる。田中瑞基(政2・慶應義塾高)と佐々木幸哉(法1・慶應義塾高)が演技途中で落下してしまい、なかなか点数が思うように伸びない。全日本選手権にも出場した杉野がチーム最高得点をマーク、種目別でも3位入賞を果たした。慶大のあん馬の点数は66.05。本種目において14点台をマークした選手はいなかった。
3種目めはつり輪。腕の力を一番使う種目であり、空中でどれだけ自分の体を美しく止められるかが競われる。唯一の14点台をたたき出したのが田中だった。先ほどのあん馬での演技終了時とは違う顔つきで、つり輪の演技に臨んだ。すべての技を確実決め、種目別2位入賞を果たすに相応しい演技だった。慶大のつり輪の点数は66.75。
4種目めは跳馬。助走のスピード、勢い、高さ、技の難易度、着地、すべてに集中して一瞬で演技しなければならないこの競技。慶大は踏ん張り14点台をマークした選手が半分。総合得点を見ると早大との差はわずか0.55点だった。ゆかでチーム最高得点を叩き出した石塚が跳馬でも輝きを見せて、跳馬でも14.30と高得点をマーク。石塚は種目別においても第3位入賞を果たした。慶大の跳馬の点数は70.10。この日種目別の合計点において70点台をマークしたのはこの跳馬だけだった。
5種目めは平行棒。鉄棒より柔らかい2本の棒を使って選手は体を支え、技を競い合う。ダイナミックな技が何度も繰り出された。村山聡史(薬4・慶應義塾高)、石塚両選手が得点を13.85としたが、この種目でも慶大は14点台をマークした選手がいなかった。しかしほかの選手も奮闘し、13点代後半をマークしたため、本種目の合計点は68.70。全6種目の中でも3番目に高い合計得点となった。
最後の種目は体操競技の醍醐味でもある鉄棒。村山が演技途中、空中での技からバーを掴もうとするが失敗してしまい、落下してしまい頭を抱え込む。演技は再開されたが着地でも大きく前に踏み出してしまい点数も伸び悩んだ。しかし団体戦ならではの光景が見られた。演技を終え悔しい表情を浮かべる村山に石田主将や、ほかの出場選手は演技を称えチームは一丸となり奮起した。本種目においては古門が13.65を叩き出し種目別第3位入賞も果たした。そして早慶戦のトリを飾ったのは慶大の石田主将だった。「難しい技にも挑戦して失敗も多い」(加藤監督)今までだったが、すべての技を確実に決め、着地もピタリと止めた。演技終了後は石田主将も笑顔がこぼれた。慶大の鉄棒の点数は65.20。
6種目すべての演技が終わり、慶大の合計点は405.90となった。少人数体制で挑んだ早大は難易度の高い技を確実に決め、6種目の合計点は418.05。慶大は13点差をつけられ、今年も準優勝となった。
男子団体戦終了後には、両校の女子選手によるエキシビションが行われ、慶大からは河久保絢(総4・品川女子高)と花岡奈菜(総1・四天王寺高)がゆかで、田中麻奈美(環4・山陽女子高)と植﨑梨乃(総1・修大付鈴峯女子高)が跳馬で華麗な演技を見せ、会場を沸かせた。
「早稲田は1部の中堅」(加藤監督)、慶大は2部。その差を見せつけられた今回の早慶戦であった。それぞれの選手が感じた課題もあれば、収穫もあったはずだ。石塚をはじめとした新戦力の1年生も躍動し、今後の慶大器械体操部は間違いなく強くなっていくはずだ。今年のオリンピックには部員の棟朝銀河(総3・明大明治)もトランポリン日本代表として、出場する。個人競技でもあり時には団体競技でもある器械体操。選手同士互いに切磋琢磨しながら、ぜひ1部昇格を成し遂げて再び早大との熱い一戦を見せてほしい。
(記事 椙本彩愛)
試合後コメント
加藤直之監督
(今年の慶大の出来をどのように捉えていますか)今年は1部復帰を目指して、ちょうどチームを仕上げていたところだったので、1か月後のインカレ本番を前に伝統の早慶戦を行うことができたのですが、やはり早稲田は1部の中堅ということで、胸を借りて今日は勝負に出て戦えたということですね。(特に良かった選手を1人挙げるとするのなら)色々ありますが、やっぱりチームをここまでまとめ上げてくれた石田キャプテン。鉄棒の最後の演技をして、彼は難しい技にも挑戦して失敗も多いのですが、今日はキャプテンらしく最後まとめてくれました。すべてをまとめてくれた石田キャプテンの最後の鉄棒の演技が素晴らしかったと思います。(本年も準優勝となりましたが、今後戦っていく選手たちに向けて)慶應は塾高と練習していることもあり、7年間体操をやる選手が結構いて。実は慶應高校もインターハイの出場を決めていまして、そこで結構いい成績をとってくるであろう(高校)3年生の入部も期待されますので、今日は1年生も大分頑張っていましたけれども、来年以降また入ってくる部員にも気長に対応して数年後には勝てるように頑張りたいと思います。
石田駿主将(法4・慶應義塾高)
(早大と13点差で準優勝となりましたが、終わって今の気持ちは)今もかなり差はあるのですが今年は勝てるかもしれないと臨んで、ベストでやった試合だったので非常に悔しい気持ちもあるのですが、やはりこれが1部校4位との差だなと思っています。今年また大きな目標としてインカレで1部昇格というのはあるので、そうしたところを詰めるためには今日はいい試合になったのかなという風に思っています。(石田主将自身の出来はどう捉えていますか)2種目、跳馬と鉄棒に出させていただいたのですが、ミスできない状況の中でしっかり何とかうまくできたかなという風には思っています。鉄棒に関しては監督にも褒められたので、自分的には満点かなと思っています。(来年の早慶戦も戦う後輩たちに向けて一言)高校3年生にもかなり強い選手がいまして、そうした中で来年もっと今年より強くなってくれると思っているので、1人1人自分の役割というのをわかって理解して、来年また新たにチームを組んで臨んでくれたら、もっといい結果が残ってくると思うのでそこは期待したいなという風に思っています。
石塚耕大(総1・埼玉高)
(初の早慶戦はいかがでしたか)こんなに応援がワイワイ聞こえる環境で試合をすることがなかったので、緊張はしましたが、いつもより良い演技ができたので良かったです。(ゆかと跳馬では高得点が出ましたが)練習でもあそこまで良い点数は出たことがなかったので、自分でもびっくりしていると同時に、すごく自信になりました。(ご自身の得意種目は)今日出た種目が得意種目なのですが、その中でもゆかが一番得意です。(今日の結果をどのように次につなげていきたいですか)次は全日本インカレの選考会があるので、そこでしっかりと今日のような通しが全種目でできるようにしていきたいです。