選手権第三戦目が行われたのは、茨城県龍ケ崎市にある流経大第二グラウンド。昨年度入れ替え戦でカテゴリー2から昇格してきた流経大との一戦となった。ここまでジュニア選手権で負けが続く慶大は、連敗を避けたいところ。前半序盤は自陣でのプレーを強いられるも、先制トライを挙げたのは慶大。そこから、試合のテンポを握り、粘り強いディフェンスで相手を圧倒。流経大を無得点に抑え、計4トライの快勝で第三戦を終えた。
関東大学ジュニア選手権 vs 流経大
2016/10/01(土)13:00K.O.@流経大第二グラウンド
得点 | ||||
慶大 |
| 流経大 | ||
前半 | 後半 |
| 前半 | 後半 |
3 | 1 | T | 0 | 0 |
2 | 1 | G | 0 | 0 |
0 | 0 | PG | 0 | 0 |
0 | 0 | DG | 0 | 0 |
19 | 7 | 小計 | 0 | 0 |
26 | 合計 | 0 |
得点者(慶大のみ)
T=中本2、豊田、吉迫
G=青井3
ポジション | 先発メンバー | 交代選手 |
1.PR | 渡邊悠貴(経2・慶應) | →後半17分 中島雅大(環2・桐蔭学園) |
2.HO | 中本慶太郎(経2・慶應) | →後半31分 中川丈豊(経2・慶應) |
3.PR | 吉田雄大(総3・秋田) | →後半31分坂田拓海(経2・慶應志木) |
4.LO | 植竹創(商2・湘南) |
|
5.LO | 永末千加良(法3・慶應) |
|
6.FL | 廣川翔也(環4・東福岡) |
|
7.FL | 川合秀和(総1・國學院久我山) | →後半33分 西村雄大(環4・桐蔭学園) |
8.No.8 | 山中侃(商2・慶應) | →後半17分中村京介(文3・明和) |
9.SH | 江嵜真悟(商2・小倉) | →後半36分 桜井修(経4・慶應) |
10.SO | 青井郁也(商3・慶應) | →後半36分 斉藤大介(商4・慶應) |
11.WTB | 権正拓也(政3・慶應) | |
12.CTB | 豊田康平(総2・國學院久我山) |
|
13.CTB | 木口俊亮(経4・仙台第三) | →後半31分 瀬川慶太(環3・otago boy’s) |
14.WTB | 吉迫雅俊(商4・慶應志木) |
|
15.FB | 楠本遼(経4・慶應) |
|
前半序盤はディフェンスの時間が続く。流経大はボールを繋げてトライに結びつけようとするが、慶大のディフェンスに圧倒されインゴールを割ることができない。一方で慶大もターンオーバーから、ハンドリングエラーが目立ちなかなかアタックのテンポを作ることができない。両者ともミスが多い中、ようやく試合が動いたのは前半26分。ダイレクトタッチから相手陣でマイボールラインアウトを確保すると、SH江嵜からSO青井とつなぎ、そのボールを受けたCTB木口が相手ディフェンスを突破する。リズムが崩れた流経大に対し攻め入った慶大は、FL川合の縦へのランでゲイン、最後はHO中本がトライ。青井のコンバージョンも成功し先制点を手にした。さらに前半32分には相手ペナルティを誘い、青井が22メートルライン付近へ蹴り出す。チャンスを得た慶大は、マイボールラインアウトからモールを組み、FW陣でそのまま勢いよく押し込んだ。コンバージョンはポールにあたり決まらなかったものの、12-0と相手を引き離す。前半40分には再び相手ゴール手前でマイボールラインアウト。一瞬モールが組まれるも解消されると、SH江嵜からCTB豊田にボールは渡りそのままトライを決めた。青井のコンバージョンも決まり、相手を無得点に抑え19-0で前半を折り返した。
後半は開始から慶大が有利に試合を進めていく。しかしCTB豊田、CTB木口のゲインを中心に得点のチャンスは幾度か得たが、トライに結びつけることができない。後半10分には再び相手が反撃に出る。自陣ゴール前まで攻め入った流経大を前に慶大が痛恨のペナルティ。ラインアウトを与えてしまう。だがここは粘りのディフェンスが功を喫した。慶大の力強いタックルから相手のノックオンを誘い、得点を許さない。後半16分には再びチャンスが訪れる。相手ボールラインアウトが乱れると慶大はターンオーバーを奪う。SH江嵜からWTB吉迫にボールが渡りスペースを見つけた吉迫は独走。相手ディフェンスを余裕でかわしゴール真ん中へトライを決めた。その後は一進一退の攻防が続くが、8人すべてのリザーブの選手が投入されたロスタイムにも再びチャンスを得る。インゴール手前でマイボールスクラムを組むとボールを持ち出し展開。最後まで得点を狙っていった慶大だが相手も意地のディフェンスを見せ惜しくもトライには繋がらず。攻撃はここで終了。26-0でノーサイドとなった。
慶大らしいラグビーで勝利をつかんだ。自陣でのディフェンスの時間帯が多い中、「個々で止めることが出来れば決して怖いアタックではなかった」(SO青井)とそれぞれが確実に相手を封じ込めた。序盤こそ我慢の時間が続いたが、冷静に判断し前半終盤には慶大のアタックが機能。ディフェンスから流れを作った。またセットプレーでも有利に進めることができたのは慶大。前試合では苦戦したスクラム、ラインアウトともにマイボールの確保だけでなく、相手ボールからのターンオーバーも見られ、修正の成果が表れた。「僕たちがいつもやっていることをやり切り、結果が出た」(PR吉田)。安定したラインアウトを今後も強みにしていきたい。次節は帝京戦。慶大の前に強大なFW陣が立ちはだかることは必須。今試合での活躍をばねに二連勝を狙ってほしい。
【ケイスポ的MOM】最前線で仕事をこなす HO中本
今試合で得点のキーとなったセットプレー。4トライ中3トライでセットプレーからチャンスを作り得点へと結びつけた。スクラム、ラインアウトを支える一人のHO中本はここまでJr.選手権すべてに出場し、その実力を伸ばしている。今試合では東海大戦での苦戦を強いられたセットプレーを見直し修正。ラインアウトから攻撃をつくり先制トライを決めるとチームに勢いをもたらした。トライを挙げたのは春以来だという中本。「ゴール前で相手を抜くようなプレーが強み」と、持ち味を生かし勝利に貢献した。
(記事・室塚あす香)
選手コメント
PR吉田(総3)
(流経大を0点に抑えての試合になりましたね)そうですね。ジュニア選手権では連敗してしまっていたので、いい形で勝てて良かったです。(今シーズン、LOからPRに転向されていますが、スクラムはいかがでしたか)先週、東海大に押されてしまい修正したいと思っていました。今日は、練習通りに僕たちらしいスクラムが組めてよかったです。ターンオーバーもできました。(ラインアウトについては)相手を分析して動いたというよりは、僕たちがいつもやっていることをやり切り、結果が出ました。いい収穫になりました。(序盤はいい流れを作れませんでしたが)そうですね。ハンドリングのエラーが多く流れに乗れませんでしたが、後半はBKを中心に修正でき、勢いづきました。(次の試合への意気込みをお願いします)次の帝京も勝って、いい形でジュニア選手権を戦っていきたいです。
HO中本(経2)
(今日の試合を振り返って)ここのところ負けが続いていたので、しっかり相手に勝ちきることができたのでよかったです。(セットプレーの場面が多くありました)スクラムはかなり修正することができて、相手を圧倒することができました。ラインアウトでも相手のプレーをかなり読むことができたのでプレッシャーをかけられたのかなと思います。(トライシーンを振り返って)春以来ほとんどトライができていなかったので、久しぶりにオフェンスでしっかりとアピールすることができました。 (対抗戦でもリザーブに入っているが今後成長していくに向けて課題は)セットプレーが今日は良かったのですが、今まで課題として今やってきています。対抗戦ではまだ結局筑波戦にも出れていませんし次からはもっと出場時間が多くなるようにJr.戦なり対抗戦なりに出たときにアピールしていきたいです。
FL川合(総1)
(今日の試合を振り返って)僕は今回初めてジュニア選手権に出させてもらったので、HCの期待に応えたいと思っていました。慶大のフォーカスは「ブレイクダウン」なので、接点でジャッカルを何度かできました。試合の流れを変えるプレーができたかと思います。(トライに繋がるプレーも見られました)僕の強みは小さいながらも今まで鍛えてきた体幹や足腰で前に進むことなので、それを生かして勝ちに繋がるプレーができました。(タックルも冴えていたように見えましたが)実際、まだまだ慶大の低いタックル、相手を押し返すタックルができていません。これは僕の課題ですね。
SO青井(商3)
(今日の試合を振り返って)前半からFWが頑張ってくれました。BKはミスが多かったのですが、FWの頑張りによってラインアウトモールでトライが取れたりして、本当にFWのおかげで勝てた試合だと思います。(SOとしてどのようにBK陣をリードしたか)天候が悪くハンドリングエラーが多くなってしまったので、無理に外へ回さず、縦に攻めるプレーを増やすなど安全なプレーを選択しました。攻め続ければゲインが出来ることが分かったので、そこを意識するように声を掛けました。(キックを多用していたが、キックの調子は)相手にクリーンキャッチをされたり、精度としてはまだまだ低いのでこれから上げていきたいです。(ディフェンスでは相手を無得点に抑えた)個々で止めることが出来れば決して怖いアタックではなかったので、今日は個々で勝てたことが良かったと思います。(今後に向けて)まだ対抗戦のレギュラーを取れていないので、そこを目指してやっていきたいと思います。