第60回早慶ボクシング定期戦まであと4日。10月に行われた早慶合同企画に続いて、部内企画を早慶戦前日まで毎日連載する。記念すべき第1弾は下級生座談会。井上以外の2年生3人は、大学で新たにボクシングを始めた選手たちだ。慶大ボクシング部で過ごす大学生活、初心者ゆえの苦労話、今後に向けての意気込みなどを語ってくれた。(この座談会は11月8日に行われました)
元々へなちょこキャラだったのに、ボクシングを始めた途端、「あいつちょっと怒らせたらヤバいぞ」みたいな感じに(笑)(重増)
———まずは他己紹介からお願いします。
重増→宮内:軽量級の選手が少ないのもあって、2年生の中では一番試合に出ていてリーグ戦でも貢献してくれているので、同期として凄いなと思っています。
宮内→森:同期の2年生なんですけれども、階級が違うはずなのになぜか身長は同じぐらいという(笑)。元々空手をやっていたこともあってパワーがあり体格が良いので、僕が重量級だったら絶対にやりたくない選手です。
森→井上:AO入試で入ってきて、リーグ戦でも1年生にして勝利を収めてくれました。僕たち2年生には大学からボクシングを始めた人しかいないんですけど、(慈元は)中学からずっとやってきていて、経験値的にも頼もしい後輩です。
井上→重増:慶大にはそんなにサウスポーがいないんですけど、重ますさんはその中の数少ないサウスポーの一人で、ナジーム・ハメドみたいな変幻自在のちょっとやりにくいボクシングをする選手です。
————井上選手以外は大学からボクシングを始められたと。ボクシングを始めたきっかけは
重増:僕は大学に入ってからもボクシング部のことなんて1ミリも知らなかったし、興味もなかったんですけど、新歓期間に卒業された先輩に誘われて部室に来てみると、雰囲気が良いなと。大学からでもできるスポーツだと聞いて、それなら大学4年間打ち込んでみてもいいかなと思って入ろうと決めました。
宮内:僕は中高SFCで競走部に入っていたんですけど、高校3年で引退した後も大学の方でずっと練習していて。入学式が終わった後もトラックで練習していたんですけど、ずっと思ってたのが、やっぱりスポーツに打ち込める期間って大学が最後じゃないですか。中高大とずっと同じスポーツをやっているのももちろん良いことなんですけど、せっかくなら新しいスポーツをやってみたいなと。僕は最初の方ずっとジャージで登校していたので、新入生だと思われなくて誰にチラシを渡してもらえなかったんですけど、たまたまボクシング部の先輩がチラシを渡してくださって、それで初めて「せっかくだからボクシング始めてみようかな」と思って心機一転始めてみた、というのが僕のケースです。
森:小さい時から柔道やら空手やらやってきて、大学ではレスリングだったり日本拳法だったりといった格闘技を何かしらやろうと思っていたんですけど、実際にこの部室に来てみて、まず思ったのが練習中に音楽がかかっているのがすごいなと。空手とかって絶対に静かなところでやるんですけど。先輩たちの雰囲気も良いし。音楽がかかっているからってだけではもちろんないんですけど、これなら4年間続けられると思って入部しました。
井上:僕は「はじめの一歩」という漫画を読んで(ボクシングを)やってみたいと思い始めました。
————やっぱり「はじめの一歩」はみんな読まれているものなんですか
宮内&森:大好きです。
————普段プライベートで仲が良い部員はいますか?
宮内:僕ら2年生って、プライベートで会わないんですよ(笑)。
————えっ、そうなんですか!?
宮内:部活から離れたら他人なんじゃないかってぐらい、大学ですれ違ったら、いわゆる「よっ友」レベルにあいさつをする程度なんで(笑)。
森:一緒に行動はしないよね。
宮内:部活後たまにご飯に行くかもしれないって感じですね。
————それは本人たちもそういった雰囲気が嫌いじゃないということでしょうか
宮内:踏み入り過ぎないところがむしろ心地いいというか(笑)。
————逆に井上選手は入部したとき2年生の雰囲気を見てどう思いましたか
井上:みんな個性があって良い先輩方だなと思いました(苦笑)。
————正直自分の中で、ボクシング部の部員ってもっと元気なイメージを持ってました(笑)
宮内:部活やってる間に元気を出し過ぎて、その他はバーンアウトしてるみたいな感じなのかな。僕の場合は(笑)。
(ここで対談の様子を側で見ていた田中真帆マネージャーが)
田中:(森と井上を指して)こことか普段元気なのにこういう場になるといきなりシャイになるんですよ。特に森くんは普段は(周りを)めちゃくちゃいじってるのに人前に出るとシャイになるというか。
森:初対面に弱いもので(笑)。
————ところで、部員同士でボクシングの世界戦を見たりはするんですか
森:4年生の先輩で好きな先輩がいて、「あの試合は見ろよ」とか言われるので、それで見たりはします。
宮内:(重増に)お前あんまり見てないでしょ。
重増:あんまり見てない…。
宮内:実は俺も見てない(笑)。たまに監督に「プロのボクシングちゃんと見てるのか」って言われて、「あ~。僕もあの選手好きですよ」って。
————ボクシングはやるものと割り切っているということですか
宮内:テレビでたまたまつけてやっていたら見る程度ですね。実際他のスポーツを追ってる時間の方が忙しくて。
森:慈元は見てそうだけどね。
井上:僕は今より昔のボクシングが好きで、特に辰吉丈一郎と薬師寺保栄の日本人対決は感動した試合ですね。
————じゃあ、別にみんながみんな特定の好きなボクサーがいるわけではないと
宮内:監督に聞かれたらヤバいんで名前は一応何人かは。
一同:(爆笑)。
宮内:メイウェザーとパッキャオの試合は流石に見た。この前のパッキャオの復帰戦も見た。
森:自分たちがやっているのはあくまでアマチュアボクシングなので、リーグ戦の昔の試合を見ることの方が多いかもしれないですね。
————それは自身の研究のためにということですね
森:そうですね。プロとアマチュアでちょっと性質が違うので。
重増:そっちの方が参考になるよね。
宮内:自分たちとの距離感も近いので、「あいつとあいつ試合やってるんだ」みたいな発見がある。
重増:あとはアマだと3分間×3ラウンドなので、プロの試合は長くて。
宮内:すっきりしないよね。
井上:じゃあオリンピックなら全然良いんですよね?
宮内&森:そうそう。オリンピックなら全然見ます。
————2年生3人は大学に入るまでボクシング部に入るなんて思っていなかったとのことですが、逆にボクシングをやっていなかったら大学生活どんなことをしていたと思いますか
重増:サボっちゃうんで。サークルも幽霊になりそうなんで、自分を引き締めるために部活に入りました。
宮内:僕は競走部に入っていて、(多分)打倒村上先輩を目標に燃えていましたね。
森:日本拳法部あたりに入って、留学するか、もしくは世界の山を登ってると思いますね。
————へー。今もオフに登ったりはするんですか
森:いや、中高のとき登っていただけで、今は全然…高尾山ぐらい。
一同:(爆笑)。
————近いですもんね(笑)
森:ハイキングみたいな感じで息抜きに登っています。
井上:僕はボクシングやってなかったら慶大に入ってこれなかったと思いますし、全国大会にも出れてなかったです。(今のような)人との繋がりもできなかったと思うので、ボクシングが無いと今の自分は成り立ってないと思います。
最近、大体3分がわかるようになりました。(井上)
————ボクシング部に入って、普段生活の中で変わったことは
森:僕は個人的にラーメンが好きで、受験の合間に10kg太って、今も食べてるんですけど、ボクシングをやっているおかげで余り太らずに食べられてるっていうのはやってて良かったなと思いますね(笑)。
————よく食べられるのはラーメン二郎ですか?
森:そうですね。二郎大好きです。三田よりはもっと西の二郎に行くんですけど。
宮内:今は週何ぐらいで行ってるの?
森:今は週2ぐらいに抑えて。
宮内:ボクシングで殴り合ったりすることで感情的に熱くなるので、普段の生活が大人しくなってきたなという感じはしますね。
————普段我慢していた分を発散してるみたいな。
宮内:そうですね。こっちに全部いって日常生活では(笑)。
森:(宮内は)マスでもすぐ血昇りますね。
宮内:逆に(以前より)もっと勉強するようになりました。
井上:大体3分がわかるようになりました。
一同:(爆笑)。
重増:僕を深く知らない人と話すときに、「ボクシングをやっている」と話すと怖がられるようになりましたね。元々へなちょこキャラだったのに、ボクシングを始めた途端、「あいつちょっと怒らせたらヤバいぞ」みたいな感じになって。若干地位が上がったのかな(笑)。
————なかなか初対面でボクサーをいじれる人はいませんよね
重増:本当に仲良い高校の部活の友達は全然いじってくるんですけど、初対面の人はあんまりいじってこれない(笑)。まあ仲良くなるとまた違うんですけど。
————でも話のネタにはなるんじゃないんですか
重増:話しやすいですね。ボクシング。あっちがついてくるんで。
宮内:初対面の人ってさ、「いつも減量してんの?」って言ってこない?四六時中減量してるみたいな。
森:お前は四六時中減量してるだろ(笑)。
宮内:バイトの面接で「ボクシングしてます」って言ったらそれで20分ぐらいずっと話さないといけないこともあったので(笑)。
————根掘り葉堀り聞かれると
宮内:そうですね。就活で使えるといいな~。
————森選手は二郎みたいなジャンキーな食べ物を食べられているということですけど(笑)、普段食事面で気をつけるようになったことはありますか
重増:減量のときはもちろん気をつけるんですけど、僕は普段減量しないから食っちゃえって感じで結構食べてます。
————減量でも一気にガッと落としていくやり方と、徐々に落としていくのとで2つのやり方があると聞きました
森:人によりますね。僕は2日で6キロぐらいガッと(体重を)落とすタイプで、日頃食べてる分食べ物を抜いて一気に落とします。
————その間食べ物を見ても何ともないんですか
森:ストレスはすごいんですけど、そこは工夫しますね。食べ物を抜いたり、水を抜いたりだとか。
宮内:慈元は結構賢く落としてるよな。
井上:でも高校からずっとやってたんで、落ちにくくなったってのはありますね。
————それは身体が大きくなったというのもあるのでしょうか
井上:ありますね。筋肉がついたって良く言われます。
————また話が飛んでしまうんですけど、今部内で流行ってることってありますか
宮内:僕らって、動画を見るためにYoutubeのアカウントがあるんですよ。ボクシング部の。誰が見てるかがわからないようになってるんで、みんなどんどん変な履歴をつけていくんですよ。それが流行りを作ってるという漢字はしますね。一時期はひたすら同じアニメが履歴欄に並んで、例えばハ○ター×ハ○ターが一時期めちゃくちゃ流行ったり。 そういう流行りならあるけど、他にはあった?
重増:全体としてはね…。
宮内:スニーカー集めは流行ってるよね。大学生ってみんなそんな感じなのかな。
森:みんなそんなもんじゃない?
————折敷出選手や杉山選手、古山選手がやっているそうですね
宮内:3年生は仲が良くて横の繋がりが強いんで、そこで流行ると僕らも影響を受ける。
森:あそこが影響力強いよね。
————大体部のブームは3年生が作ってると。やっぱり各代ごとに色があるんですね。ちなみに今の4年生の印象は
重増&森:個性的。
森:現在は4人しかいないので。
重増:全員タイプが違う。
宮内:和樹さんはカリスマ性があるし、岩田さんはみんな大学入りなのでトレーナーとしてみんなお世話になっていたので、ひたすらスパルタっていうイメージがありますね。
森:ひたすらしごかれました。木村さんはものすごく大人しいです。
宮内:志門さんは対照的にすごくおしゃべりですね(笑)。それでいて4年生はよくまとまってるなと。
————3年生は
森:3年生はザ・大学生って感じですね。全体としては。流行にも敏感だし、少なくとも僕たちよりかはイケてる。
重増:あー、それはある(笑)。
宮内:合コンをやるなら、あの人たちを送り出した方がボクシング部の印象が良くなるだろうなというのは。
————ちなみに1年生は仲が良いですか
井上:まあまあです。
————2年生は練習とプライベートを分けてると言っていますが、1年生は
井上:一緒にごはんを食べに行ったりはしますね。
————日吉だったらどこに行きますか
井上:うどん屋です。
宮内:徳すけね(笑)。そろそろ覚えようぜ(笑)。
井上:あとはとんみたとかですかね。
宮内:お前SFCだからな。
井上:あんまりお昼は食わないかな。
宮内:俺らは銀家ばかり行ってるよな。
森:ああ。
(陸上からボクシングに転向して臨んだデビュー戦に敗れて)「こんなに負けて悔しいんだ」と、そういう思いはありました。人のせいにもできないですし。自分一人でやったことなので。(宮内)
————そろそろ競技の話に移りたいと思います。シーズン残すところあとは早慶戦のみとなりましたが、今季の最初に立てた目標と比較してどのくらいやれましたか
重増:リーグ戦が終わって、秋は関学戦と早慶戦が大きなイベントになるので、その争いに食い込めるようにという目標は立てていたんですけど、夏にケガがかさんじゃってあんまりうまくはいってないですね。ケガしちゃ駄目だなというのはすごく思います。
宮内:僕は今季始まるにあたって、(初めて)自分がライトフライ級に出ることになると知りました。格上の選手とやることがわかったので、自分がどういう選手になりたいというよりも、とにかく1勝は絶対しないとと。チームに迷惑はかけられないという方に(気持ち)が向いていました。なので最初にどういうイメージを立ててどのくらい近づいたかというよりは、やっと目標を達成できたという感じに近いですね。
————専大戦では見事初勝利を収めました
宮内:あんな勝ち方じゃ仕方ないと思うので、早慶戦ではやれるかどうかはわからないんですけど、岩田将吉選手に勝ちたいですね。あの人を倒してこそ意味のある勝利だと思うので、今からイメージを立てとかないといけないです。
森:ライトウェルターがこの部内で人が多いので、僕個人的には1年前立てたのは、今は辞めちゃったんですけど同期に高校でも(ボクシングを)やっていた似たようなファイトスタイルの選手がいたので、彼に早慶戦の前には勝てるようにするという第一の目標にしていました。(実際のところは)わからないですけど、もし(残って)いたら多分勝ってたかなと思います。
————自分の中では強くなっている手ごたえがあると
森:ここ半年ぐらいでしっかりと伸びたなと自分では思います。
井上:(田中)和樹さんは1年生からレギュラーでずっと勝ち続けている選手なんですけど、自分はリーグ戦に出ても1勝1敗で、KOで勝てる相手でも判定までいって本当に情けない試合してたんで、全然まだまだ納得できてないような状態です。
————成長した実感はありますか
井上:実感はまだないんですけど、この間の試合で親が来ていて、「スピードも速くなってるし、動きも良くなっている」と言われて、ある程度強くなったのかなとは思いました。
————親御さんが試合に見に来られたりすることはあるんですか。
森:いやもう、卒業までないと思います。僕が福島出身で遠くに住んでいるというのもあると思うんですけど、ボクシングをやるのは賛成はしてないので。来ないと思います。
宮内:僕も両親に「ボクシング始める」と言った途端、口を聞かなくなっちゃったんで(笑)。「やめろやめろ。」と毎日言われて、試合が終わってどこかしらケガをして帰ってくると、ひたすら1時間ぐらい説教を食らいます。最後くらい来てくれればとは思いますけどね…。
————だいたい親御さんってスポーツをやっている息子を応援するものですけど、そういう意味でボクシングは珍しいスポーツかもしれませんね。
森:息子が殴られるのは見たくないって(なるんでしょうね)。
宮内:逆によく慈元の親は毎回来るなって思うよね。
井上:毎回来ます(笑)。
————広島から?
井上:はい。
宮内:リーグ戦も全部来てたの?
森:出たのは全部来たんだよね。
宮内:良い親だな〜。
重増:僕の親は来たがりなので、「来たい」って言うんですけど、僕はもうちょっと強くなって、確実に勝てる試合に来てほしいなと(笑)。
一同:(爆笑)。
————良いとこ見せたいと(笑)
重増:負けたり、心配させるのも嫌なので、もうちょっと待ってくれとは言ってますね。
————ボクシングほど、負けとか勝ちがはっきりしてるスポーツもなかなか無いですもんね
森:負けたらすごく悔しいですね。
宮内:僕なんか陸上をやってて、陸上ってベストのタイムが出るかどうかってのも一つの基準ですし、1位から8位で決勝に行けることでも喜べるので勝ちという部分では曖昧なんですよね。なので、こっちに転向して僕はデビュー戦負けたんですけど、「こんなに負けて悔しいんだ」と、そういう思いはありました。人のせいにもできないですし。自分一人でやったことなので。
重増:でも、だからこそ勝ったら嬉しいっていうか。僕はバスケでチーム競技だったので、勝ってもみんなの勝利だったんですけど、ボクシングの場合は自分が頑張って(はじめて)自分の勝利みたいな。
————宮内選手と森選手、井上選手が今季リーグ戦初出場を果たしたわけですが、初めての聖地後楽園の舞台はいかがでしたか
宮内:いやあ、幕ノ内一歩(漫画『はじめの一歩』の主人公の名前)ここ立ってたんだあみたいな(笑)。後ろの控え室に行けるんですよ。そこにはじめの一歩に描かれていたシーンがあって、「あ、一歩ここの自販機殴ったんだ」みたいな(笑)。
森:ぶっ壊すとこね(笑)。
宮内:ていう感動が一番大きかったかな。
森:後楽園って狭いよね。
宮内:狭いよね。意外と。
————緊張はどうでしたか
宮内:最初緊張で吐きそうになってて、デビュー戦のとき、しかもライトアップ結構されてて、観客席や応援席が普段の市民大会やここだったら見えるんですけど、全然見えないんですごく不安になります。
森:周りが暗くて相手とレフェリーしか見えないので、すごく緊張します。でも、外から見られているという視線は感じるという。
井上:デビュー戦はあんまり緊張しなくて、楽しみの方が大きかったです。プロの試合でもやっている会場なので、嬉しさもあってすごく楽しかったですね。
森:終わった後めっちゃ笑ってたよね。
井上:楽しかったです。
宮内:アマでずっとやってるとさ、(やっぱり)聖地ってイメージ強いの?
井上:結構強いですね。
————夏前の代替わりで重増選手が副務、森選手が会計に就かれたとお聞きしましたが、もう仕事には慣れましたか
森:そうですね。僕もともとお金にすごくルーズなので、小銭も部屋に散らばったままで、レシートももらったことがぐらいなんですけど。
一同:(爆笑)。
森:何がそうさせたのか会計になってしまって、お金の管理をさせられてるんですけど、大金を持ち歩くこともありますし、カードも無くせないので、そういう意味では几帳面になれたというか、無い部分を補える努力をしてるかなとは思います。
重増:僕も副務になるとかそういう予想は全然していなかったので驚いたんですけど、1年の全然何にもなかった時期に比べると、上から結構仕事を任されたりとか、OBの方とちょっとメールでお話ししたりとか、ちょっと自分でも気を遣わなければならないこともあったんですけど、最近はちょっとずつ慣れてきて、やりがいを感じています。
————夏は山中湖で合宿を行ったそうですが、印象に残った練習は
森:山中湖1周っていうのをやるんですけど。宮内くんとかは競走部上がりで、走るのが速いんで何とも思ってないんでしょうけど、僕とか脚が遅いので、辛いの一言でしたね。
————何時間ぐらい走り続けるんですか
森:宮内だと1時間…
宮内:ちょうど切ったくらい。
森:僕だと1時間半ぐらいかかるので。
————そういえば誰か迷子になったみたいな記事をブログで見た気が…
宮内:(井上を指して)こいつです(笑)。
森:1.5周ぐらいしてましたよ。1周するだけなのに(笑)。
井上:よくわかんないです(笑)。
宮内:周回コースで迷子になる意味わかんねえよ(笑)。この道通ったんじゃね?って思うでしょ(笑)。
森:だから途中で捜索にみんな出かけるっていう。
宮内:流石にそんな間違い方しないだろってみんな思ってたんで。どういう間違い方したんだろ。あいつどこいったんだろって。
森:その後すぐスパーあったんで。
井上:疲れました(笑)。
————すごく濃い思い出ですね
森:これはずっと4年間言われますね。
————他に夏合宿で印象に残ったことは
森:OBのボディ練ですね。
宮内:ボディ練って言って、試合でボディ叩かれても慣れさせるためにみんなでお互いのボディを叩き合うんですよ。みんなで輪を作って、一人づつ入って左ボディを叩き始めるんですけど、たまにOBが来ると、なんとなくOBが元ライトウエルター級のランカーで、すごく体格が良くてもう明らかにOBの体つきじゃないんですよ。みんなのボディを引っぱたくんで、「あ〜、そろそろ来るな」って感じで怖かったです。ちょっとフェイントかけてきたりもするんで。
重増:全員円になって、一人づつやっていくんですけど、だんだん順番が近づいてくるともう…。
森:1年生で始めたばっかりの子はスパーリングもやってないんで、ボディを打たれるってことがどういうことか全然わかってないんで、初めてやられるやつは悶絶して、下に這いつくばってぶっ倒れてるみたいな。うめきながら。
森:慣れちゃえば…
宮内:慣れねえよ(笑)。どんどん胃がキリキリしてくる。「あ〜、くるくるくる」って。
重増:早く終わってほしいけど、来てほしくないみたいな(笑)。どうしようもないあの絶望感。
宮内:一番に行けばよかったかもしれないって。身体が温まってないうちに叩かせれば(笑)。
————一発パーンで終わりなんですか
森:3発ぐらい。
宮内:レバー、胃、みぞおちと「全部慣れていった方がいいよ〜って」すごく笑いながら打ちわけてくるので。はあ、思い出したくないって感じですね。
————みぞおちとレバーを打たれたときの感覚の違いは
森:みぞおちが息できなくなる感じで、レバーは内臓にずっしり響いて、気持ち悪くなる。息できなくなるっていうか。あっ、こっちも息できなくなっちゃった(笑)。
————とりあえず息はできなくなると(笑)
森:そうですね。
井上:苦しさは同じですよ。
宮内:『水曜日のダ○ンタウン』でボディはじわじわくるってやってたけど、あれはじわじわじゃなくて、ドシンときてそのままずっと残ってる感じなんで、(余計に)たち悪いです。そのまま神経スパッと切ってほしいです。
————それこそ初めてやられたときはどうでしたか
宮内:スパーリングで和樹先輩にここでやられてぐったりしてました。あれは合宿から帰ってきて最初のスパーが和樹さんで「ええ!?国体直前の調整に俺つかうの!?」ってなりました(笑)。
来年(の早慶戦)までには確実に(先輩方を)倒したいなと思います(森)
————話を移します。いよいよ早慶戦まであと1か月を切り、これから部内戦が行われる時期に差し掛かりました。単刀直入に言って、早慶戦にはどのくらいの可能性で出れると自分では考えていますか(この座談会は11月8日に行われました)
宮内:僕の場合ライトフライ級で他に出られる人がいないので、(もう)監督からも「岩田将吉選手から1勝いけよ」と言われています。ほんと9割9分というか100%出るって分かってるので、他に変に迷ったりすることがなく集中できて良いですね。
森:木村さんと古山さん、重増、あと杉山さんもいるらしいので、ちょっと、15%~20%かなと思いますね。
井上:30%ぐらいですかね。今の調子だったら全然だめだと思うので、もっと練習して頑張ります。
重増:5%ぐらいかな…。4年生の木村さんは自分を更に極限まで強化したような(スタイルの)人なので、全然及ばないですし、他にも強い人がいるので。とりあえず僕は近々試合があるので、それに勝って勢いをつけたいと考えています。
————でもさっきの3年生座談会(明日掲載予定)で「下級生怖いんだよなあ」とは言ってましたよ。
森:いやあでも、来年(の早慶戦)までには確実に倒したいなと思っています。
宮内:来年は(今の)下級生から半分以上出したいよね。
森:そうだね。就活してる間にしっかりと。今の3年生はやってた人が多いんで、全体的に強いってのもありますけど。
————この先輩のここを参考にしてるみたいなのってありますか
宮内:折敷出さんはパンチの種類があるんで、マスとかでやられたパンチはそのまま真似することもあります。引き出しが多い分、自分に使える技も何かしらあるはずなので、そこは結構参考にしています。
森:僕も古山さんが同じようにインファイターなので、相手が自分より大きいときの入り方が僕より種類が多いというか、サウスポーへの対策もすごくできているので、そういう意味では参考にしています。あとは足の使い方だったり。
井上:和樹さんの細かいパンチと鋭い右の打ち方とかを真似しています。
重増:僕は木村さんの相手のいなし方だったり、あとはサウスポーの先輩として志門さんを部内では一番参考にしています。
————先ほど早慶戦に出られる可能性は宮内選手以外そんなに高くはないって話をしていたと思うんですが、仮に出場できれば全員初めての早慶戦ということになります。早慶戦についてはどういう印象を持っていますか
宮内:付属校上がりでうまく洗脳されてきた側なんで、入部するときも競走部の時から「早慶戦には勝つ」というイメージを持っていて、出るのが夢ですしその夢舞台で勝つことが目標なので、そこは絶対に譲れないですね。
森:僕は外部出身の人間ですが、僕の中では早慶戦はリーグ戦と同じぐらい重要な位置付けで考えています。「早稲田でやる早慶戦と日吉の記念館でやる早慶戦じゃ全然違うよ」と監督も言いますし、コーチも先輩たちもみんな言うんで。僕たちは今年と4年生の代で日吉でできると聞いていて、そこはやっぱりホームで1回は早慶戦に出ないとだめだなとは思いますね。
井上:自分も外部出身なので、初めての早慶戦出るにしろ出ないにしろ、(これから)全力でやれたらなと思います。
————やっぱり早慶戦といったら他の対抗戦とは違う特別な雰囲気があるとは思うんですけど、外部出身でもそういうものは感じますか
井上:そうですね。
宮内:野球(の早慶戦)見に行ったことある?
井上:野球はないです。
森:俺もないわ。
宮内:お前もないの(笑)
————他の部活の早慶戦を見に行ったことはありますか
森:ラクロスだけかな。
重増:僕はバスケですね。代々木体育館でやってて、すごいなと。また規模が違う部活ではあるんですけど。
————それを見て刺激を受けたりは
重増:やっぱり他部活の試合を見たり、他部活の友達が頑張ってる話を聞くと、自分も頑張んなきゃとは思います。
————最後に早慶戦や来季といった今後に向けての意気込みを聞かせてください
重増:ライトウエルター級は部内競争も激しいので、自分はけがしたり、伸び悩んだりでいまいちその競争に加われていないので、来年のリーグ戦には絶対に出たいなと思っています。
宮内:僕の代はみんな大学から始めた身なので、これからまたAOとかで新入生が入ってきますし、先輩方も経験者で高校の間にちゃんと実績を挙げてきていますので、持ち前の体力や泥臭さで、泥仕合といったらあれですけど、繰り広げて下克上を果たして、勉強もできてボクシングもできるそんな慶大生になりたいと思いますね。
森:次のリーグ戦は就活がかぶっている(現)3年生に就活に集中していただけるように、僕がしっかり出て勝てるように思っています。
井上:来年のリーグ戦は全勝して、試合内容も自分で納得できるよう頑張ります。
————ありがとうございました!
(取材:江島 健生・高橋廉太朗)
明日は3年生座談会を掲載します。下級生曰く部内一イケてる学年で、現在の慶大の主力を担う3年生が登場します。乞うご期待!
重増耕太郎(しげまし・こうたろう)
法学部法律学科2年。千葉・県立千葉高校出身。身長181cm。ライトウエルター級を主戦場とする。昨季は神奈川県新人戦で新人王を獲得。今夏からは副務に就任し、裏方としてもチームを支える立場に。来年のリーグ戦初出場を目指す。
宮内龍ノ介(みやうち・りゅうのすけ)
法学部法律学科2年。神奈川・慶應湘南藤沢高校出身。身長169cm。ライトフライ級を主戦場とする。今季はリーグ戦では4試合に出場し、下級生ながら慶大の主力として活躍。来季以降の飛躍が期待される好選手だ。
森瑞季(もり・みずき)
経済学部2年。福島・福島成蹊高校出身。身長171cm。ライトウエルター級を主戦場とする。今季は中央大戦でリーグ戦デビューを果たし、KO負けを喫したものの、最後までガッツ溢れるファイトで熱戦を見せた。
井上慈元(いのうえ・じげん)
総合政策学部1年。広島・広陵高校出身。身長166cm。バンタム&ライト級を主戦場とする。高校時代は慶大の大型新人。リーグ戦では1年生唯一の出場を果たし、2戦目の明大戦では初勝利を挙げた。