関東第6代表として全日本大学サッカー選手権大会(通称:インカレ)に臨む慶大。初戦はプレーオフを勝ち抜いた四国学院大との対戦となった。9分にCKから宮地元貴主将(総4・東京ヴェルディユース)のヘディングで先制すると、17分には渡辺夏彦(総3・國學院久我山高)、40分には手塚朋克(環3・静岡学園高)が得点を決め、3-0で前半を折り返す。後半に入っても攻撃の手を緩めず、試合終了間際の86分に矢野峻寛(文4・暁星高)がチーム4点目を奪い快勝。危なげなく順大の待つ2回戦へと駒を進めた。
全日本大学サッカー選手権大会1回戦
2016/12/7(水)11:00KO @ゼットエーオリプリスタジアム
慶應義塾大学4-0四国学院大学
【得点者(アシスト者)】
【慶】9分 宮地元貴(加瀬澤力)、17分 渡辺夏彦、40分 手塚朋克、86分 矢野峻寛
◇慶大出場選手
GK 上田朝都(総1・横浜F・マリノスユース) |
DF 佐藤海徳(政1・桐光学園高) |
DF 宮地元貴(総4・東京ヴェルディユース) |
DF 豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18) |
DF 井上大(総4・國學院久我山高) |
MF 落合祥也(商1・横浜FCユース) |
MF 片岡立綺(総3・桐蔭学園高) |
MF 手塚朋克(環3・静岡学園高)→67分 田中健太(法3・横浜F・マリノスユース) |
MF 加瀬澤力(総4・清水東高) |
FW 渡辺夏彦(総3・國學院久我山高)→58分 小谷春日(環2・藤枝東高) |
FW 山本哲平(政4・國學院久我山高)→58分 矢野峻寛(文4・暁星高) |
関東リーグを6位で終えた慶大は1回戦からインカレに登場。プレーオフを勝ち上がった四国学院大との対戦となった。松木駿之介(総2・青森山田高)が故障で離脱した左サイドハーフには加瀬澤力(総4・清水東高)が先発に抜てきされた。
立ち上がりはミスもあり少し押し込まれる場面も見られたが、すぐに落ち着きを見せるとファーストシュートを得点に結びつける。9分に左CKを獲得すると、加瀬澤のキックはファーサイドの宮地元貴主将(総4・東京ヴェルディユース)の頭にピタリ。得意のセットプレーから幸先良く先制する。追加点を目指す慶大は、17分にカウンターから渡辺夏彦(総3・國學院久我山高)が抜け出すと、2人のディフェンスを物ともせず「イメージ通り」(渡辺)にゴールネットを揺らし、点差を広げる。前半途中には一時気が緩んだところを突かれてシュートまで持ち込まれるが、得点は許さない。気を引き締めて、渡辺を中心に再び押し込んでいくと、40分に左サイドに開いた手塚朋克(環3・静岡学園高)が中で待つ山本哲平(政4・國學院久我山高)へ上げたクロスがそのままゴールに吸い込まれ、3点目を奪う。
後半に入っても慶大のペースは変わらない。立ち上がりから積極的に攻撃の姿勢を見せると、57分には渡辺、58分には手塚に決定機が訪れるものの、決めきることができない。過密日程のトーナメントを意識し、早いタイミングでベンチが動く。58分には山本と渡辺に代えて矢野峻寛(文4・暁星高)と小谷春日(環2・藤枝東高)を投入。さらに67分には手塚に代えて田中健太(法3・横浜F・マリノスユース)をピッチに送り込む。ゴールに飢えたFWを次々に投入するが、なかなかボールが落ち着かずにいると、徐々に四国学院大にペースを握られていく。ここで足をけいれんさせた落合祥也(商1・横浜FCユース)を最前線に配置し、加瀬澤をボランチに据えると、この采配が奏功する。「足をつったことで頭を使うようになり、面白いことにミスがなくなった」と須田監督が語ったように、落合が前線でボールを落ち着かせて攻撃陣をコントロールしていく。すると慶大にさらなる追加点が生まれる。86分に左サイドからのクロスに小谷が合わせる。これはGKに弾かれるが、こぼれ球を矢野が冷静に決めて4点目。その後も慶大が攻め立てるが得点は動かずに試合終了。難なく1回戦突破を決めた。
「チームの雰囲気が非常にいい」と選手、監督ともに口をそろえる。4年生が積極的に引っ張って、3年生以下がそれについていく理想的な環境を過ごせているのが結果に結びついたのだろう。次は鬼門の2回戦。2年連続ここで敗退しているが、相手は今季2戦2勝と相性の良い順大だ。トーナメントというリーグ戦とは異なる環境だが、「一戦必勝」を体現し、次のステージへと駒を進めたい。
(記事 熊谷健二)
試合後コメント
須田芳正監督
(試合展開について、後半停滞した時間帯があった)全体的に見ればゲームをコントロールしたいいゲームだったんじゃないかと思います。3-0になると、世界のどこのチームでも動きが止まっちゃう時間帯はあると思うんですよ。もちろんいけないんですけれども全体的に見ればいいゲームだったんじゃないかと思います。(落合選手が前でプレーしていた)落合は足がつっていたから。逆に面白いことに、足がつって動けなくなると頭使うからミスがなくなるんだよね。前半はあれだけ動いてボールをもらってロストが非常に多かったけれども、足がつってからはロストしなくなったのが非常に面白いなと思いました。いいトレーニングになったんじゃないですか。(インカレに向けたトレーニングは)まずは自分たちがボールを持った時に安定したポゼッションがアタッキングサード、ミドルサードでできるか。そこからどれだけ仕掛けられるか。今までアタッキングサードまでのトレーニングしかできなかったのだが、次の崩しのトレーニングができたので、いい時間帯をすごせました。4年生がいい雰囲気を作ったのと、もう1つはサッカーの質が上がったと思います。(宮地選手への指示は)守備に関してはリーダーで安定した守備をしますが、ボールを持った時に自陣の低い位置で難しいパスを選択しすぎたので、もう少しシンプルにやった方がいいと。前半にそういう部分があったのでハーフタイムに厳しく言っちゃったんですけど、後半はすごくシンプルでその中で狙う分には全然いいので後半に関してはコントロールできていたと思います。(チームの状態は)非常にいい。この1年間あまりよくなかったんですよね。チームが1つになれない。その原因はいろいろあると思うんですけど。ようやくここにきてチームが1つになり始めたと思います。だからトレーニングしていてもストレスを感じないし、僕が感じないということは選手たちも感じずに気持ちよくトレーニングできているのでチーム状況はすごくいいと思います。(要因は)4年生は負ければ終わりだとか、大学生活あと1か月だとかになると、毎年そうなんですけど締まってくるんですよね。大学スポーツというのは4年生が1つになってチームを引っ張っていって、それに3年生以下がついていく。それが大切なことだと思うので。それが充実しているのがその要因だと思います。(課題は)やってきたことの質です。チームが全員でボールに関わりながら、安定したボール回しをすること。そこからの仕掛けの質。やるべきことは変わらないのでその質を上げていきたいと思います。(順大戦に向けて)我々のサッカーをするだけなので、あと2日あるのでしっかりと準備してベストを尽くしたいと思います。
宮地元貴主将(総4・東京ヴェルディユース)
(試合を振り返って)「一戦必勝」という目標を掲げた中で、勝てたことは良かったです。でも内容面のところで課題の残った試合でした。(課題とは)前半中盤の時間帯だったり、後半多くの時間に自分たちでテンポを落としたというかスローダウンしてしまった時間帯があって、勝ちきるうえで前半だったら2点取った後にもう1点取らなければならなかったですし、後半も得点を目指していくべきでしたし、チャンスのところでも決めきれないところがあったので、そういったところですね。(チームの雰囲気は)ずっと関東リーグの最終節のときから良くて、一番いいのは練習でやっていることが恐れずに試合で出せていることだと思っていて、去年まではインカレで結果が出ていなかったときは一発勝負で緊張しちゃって固くなって自分たちが準備してきたことが試合で出せないという状況だったんですけど、今年はそれがなくて、練習も練習試合でも同じようにできていることが雰囲気の良さにつながっていると思います。(先制点で緊張が解けたのでは)そうですね。早い時間帯に僕がというよりチームが取れればと思っていたので、点を取れたことは良かったと思います。(順大戦に向けて)「一戦必勝」という目標は変わらないので、また順天堂を倒すことだけを意識して準備していきたいと思います。
井上大副将(総4・國學院久我山高)
(今日の試合を振り返って)チームとしてはやりたいサッカーを、自分たちが練習してきたサッカーを披露することが出来て良かったと思います。個人的には鼻が詰まって終始苦しかったです。(インカレが決まってどのような準備をしてきたか)チームとしても個人としてもボールを簡単に蹴らないで大切にするというのは3週間練習してきました。その中でも自分はフィードとかくさびのパスで攻撃の起点になれると思ったので、そこを練習してきました。(トーナメント形式のインカレだがどのような気持ちで試合に臨んだか)意外とリラックスできているなと思っています。インカレに出場できたことが関東リーグの順位を考えてもラッキーなことなので、そういう意味では気負わずリラックスした状態で初戦に入ることができました。(今日の4-0で快勝という結果について)もちろん嬉しいのですが、細かいところで見てみるとまだまだ改善点はありますし、次の順天堂大と今日の相手のプレッシャーは違うと思うのでまた気を引き締め直して対策したいです。(順大戦はどのように戦うか)今日の戦い方をベースにやろうと思います。後期は相手の名古選手がいなくて、相手のメンバーがフルの状態でやるのは今回が初めてで、また全然違う試合になると思うのでしっかりと気を引き締めて臨みたいと思います。
豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18)
(試合を振り返って)立ち上がりの1点が重要になると思っていたので、そこで自分たちのセットプレーというストロングポイントでしっかり点を取れて立て続けに3点取れたことが今日の勝利につながって、守備としては0に抑えられたのが良かったかなと思います。(負ければ終わりという緊張感があった中で試合の入りは)立ち上がりちょっとミスから押し込まれるのが数分続いたのは良くなかったかなと思ったんですけど、あまりみんなを見ていても下級生や1年生も出ていたんですけどそんなに固さもなく、練習でも良い雰囲気でできていたので良い雰囲気のまま試合に臨めたかなと思います。(3-0で後半を迎えるにあたって、どのような試合運びをしようと話し合ったのか)監督からも「締めろ」と少し厳しめにいろいろと個人プレーのところとかチームとしてのところというのを言われまして。それでチームとしても締めて後半に入ることができて、まあちょっと(落合) 祥也が足をつるなどアクシデント的なそういうのもあったんですけど、そういうのもみんなでカバーしながら追加点を奪えたというのが良かったです。(3-0でハーフタイムを迎えたがどのような試合運びを心掛けたか)相手のストロングポイントとして11番のFWの選手を挙げていたところに何度も縦パスをつけられていたし、ハーフタイムにそれは監督に言われたんですけど。そういうのを挙げて試合に臨んだにもかかわらずそうやって何回か収められるシーンがあったので、次の順大戦もいろんなストロングポイントがあると思うんですけど、そういうストロングポイントに挙げられているところへの対応は良くなかったかなと思うので、次はその反省を生かしたいなと思います(次の対戦相手・順大は今季2戦2勝だがイメージは)まあ勝ってはいるんですけど、相手はやっぱりすごく上手い選手が多いので非常に苦しい中勝てたなという印象で、そのやっぱり上手い相手に対してどれだけ個々で負けないかというのが鍵で、厳しい戦いになるんじゃないかなと思います。(意気込みを)4年間の中でインカレに出て全部2回戦で敗退してしまっているのでここをしっかり歴史も変えられるように、一戦必勝というスローガンを掲げてやっているので。勝って次に進めるように、あと2日ですけど良い準備をして臨みたいと思います。
加瀬澤力(総4・清水東高)
(今日の試合を振り返って)本当に初戦勝ててよかったなという感じです。(インカレに向けてのチームの雰囲気は)しっかり準備できたかなという感覚はすごくあります。チームとしてやることをはっきりさせようとしたことで、チームの統一感が生まれたというのが、この準備期間で得られたことだと思います。それをしっかり試合で出せるかというのがすごく心配な部分ではあったんですけど、結果として出せたのでよかったです。(支配率が高い試合だったが、チームとして狙い通りの攻撃ができていたということか)そうですね。向こうは完全に引いてくるだろうというのは練習の中でも言われていて、引いた相手に対してどういう戦い方をするかというのをすごく準備してきたので、その通りにできてよかったと思います。(メンバーチェンジの関係で途中左サイドから右サイドに移ったが、どちらがよりやりやすいか)まあ左の方がやりやすいですけど、でももうこのラストの時期で、ポジションにこだわりというのはなくて、自分はどのポジションでもやれるし、はっきりとプレーできればいいかなと思っています。ポジションごとの役割というのを常に考えながらやっています。(次の試合に向けて)負けたら引退だし勝つしかないので、そのためにじゃあ何ができるかというのを、2日間しっかり準備して、 またチーム一丸で勝ちにいきたいと思います。
手塚朋克(環3・静岡学園高)
(今日の試合を振り返って)自分の役割としては、仕掛けることを意識してやりました。ゴールにつながった場面もありましたけど、しっかり決めるところは決めるというのが課題なのでそこは突き詰めていかないとと思います。(相手の裏のスペースが空いていて、持ち味が出ていた印象だが)スカウティングでは、あまり裏が空いているイメージはなかったんですけど、試合やっていて、スペースがあったし相手の左サイドバックもスピードがある感じではなかったのでそこはしっかりと突いていかないとチームとしてもリズムが出ない。上手くやれたんじゃないかなと思います。(チャンスに多く絡んで1ゴール。この結果については)あと2点、決められる場面がありました。しかも結構フリーな場面だったので、そこをもっとやっていかないと上のレベルでは通用しないのかなと思います。(順大戦に向けて)順天堂には特別な思いがあります。(高校の)同期も後輩もいっぱいいて、絶対負けられない。ここ二年間は2回戦で負けているので、気を引き締めて自分の特徴を生かしてやっていきたいと思います。
渡辺夏彦(総3・國學院久我山高)
(今日の試合を振り返って)チームとしてやろうとしていることにトライできたいいゲームだったと思います。(リーグ最終節から1か月近く、インカレに向けて取り組んできたことは)今日やろうとしたことが本当に今までトライしてきた内容です。相手陣地に入ったときにいかに相手を崩すのかというところはかなり突き詰めてやっていましたし、パターンやバリエーションを増やしたりコンビネーションだったり、そこが上手く発揮できたことが今日の4得点につながったと思います。そういうことを1か月間やってきました。(ゴールシーンは見事だったが、狙い通りか)そうですね。その時のイメージで上手くできました。カウンターを得点に繋げるというのがなかなかできていなかったんですけど、あのシーン、パス出した方がいいと思ったらパスを出しますし、あの時はドリブルの方がいいなと思ったのでドリブルで、イメージ通りにGKのタイミングを外して打てたところもよかったと思います。(支配率が高く、渡辺選手の良さも発揮しやすい試合だったのでは)でも、ポジション取りに関してはミスはあまりなかったんですけど、テクニカルなミスだったり、前を向けないシーンだったりが多かったので、もっともっとそこは良くしていかなきゃと思っています。(次の試合に向けて)一戦必勝なので、中2日ですが、いい準備をして全力で良いゲームをする、次のことよりもとにかく順天戦を全員で戦うということを意識してやります。
矢野峻寛(文4・暁星高)
(最後のインカレだが、どういう意気込みで臨んでいるか)自分自身、関東リーグの後期からインカレも出られなくて、4年生としてなんとしても結果を残したいという思いがあります。(今日の試合を振り返って)「一戦必勝」という目標を掲げて、目の前の相手に勝つことだけをチームの共通認識としてやっているので、前半から上手く試合を運べたかなと思います。(3-0の状況での出場だったが、意識したことは)自分自身、点を取りたいという思いがありました。次の試合以降も流れを変えることや得点が必要な時に控えのFWとしてアピールしなければいけないところがあったので、得点を目指してやっていました。(実際に得点した。ゴールを振り返って)こぼれ球に早く反応できて、GKも出てきていたので落ち着いてゴールに流し込むことができたので良かったと思います。(順大戦に向けて)「一戦必勝」という目標を掲げていて、去年以上の成績を残せるようにチーム一丸となって、目標を意識してやっていきたいと思います。