インカレ第1回戦は四国学院大相手に4-0と快勝した慶大。第2回戦は同じ関東大学リーグ4位でインカレ出場を決めた順大と激突した。試合は風上に立つ順大に押し込まれる場面が目立ったが前半終了間際に溝渕雄志(環4・流通経済大学付属柏高)のゴールで先制。しかし後半開始直後にFKから同点とされる。後半は一進一退の攻防が続いたが85分に逆転ゴールを許してしまう。その後反撃も及ばず3年連続となる慶大の「日本一」への挑戦はここで終わってしまった。
全日本大学サッカー選手権大会2回戦
2016/12/10(土)11:00KO @味の素フィールド西が丘
慶應義塾大学1-2順天堂大学
【得点者(アシスト者)】
【慶】45分 溝渕雄志
【順】49分 柳澤亘(名古新太郎)、85分 浮田健誠(柳澤亘)
◇慶大出場選手
GK 上田朝都(総1・横浜F・マリノスユース) |
DF 溝渕雄志(環4・流通経済大学付属柏高) |
DF 宮地元貴(総4・東京ヴェルディユース) |
DF 豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18) |
DF 井上大(総4・國學院久我山高) |
MF 落合祥也(商1・横浜FCユース) →87分 矢野峻寛(文4・暁星高) |
MF 片岡立綺(総3・桐蔭学園高) |
MF 手塚朋克(環3・静岡学園高) |
MF 加瀬澤力(総4・清水東高) |
FW 渡辺夏彦(総3・國學院久我山高) |
FW 山本哲平(政4・國學院久我山高) |
初戦に4-0と快勝した慶大の先発メンバーはほぼ同じ布陣。負傷離脱を余儀なくされた“相棒”望月大知(環4・静岡学園高)の背番号5を背負う溝渕がスタメンに復帰した。
試合前のコイントス。宮地元貴主将(総4・東京ヴェルディユース)は攻撃サイドを決める権利を獲得したが、あえて風下のサイドを選択。前半は相手の攻撃に耐え、無失点で抑えるゲームプランで試合に臨んだ。試合はやはり風上に立つ順大が支配する。中盤での素早いプレスに苦しみ、慶大はなかなかボールを前に進めることが出来ない。15分に左サイドを崩され、クロスを上げられるなど順大は細かいパス回しを中心に攻撃を仕掛ける。34分には順大にミドルレンジから力強いシュートを放たれるが、ここは上田の素晴らしい反応で得点を許さない。ボールを持たれ続ける慶大だったが36分に反撃に出る。
渡辺夏彦(総3・國學院久我山高)が中央でボールを受け華麗にターン。ドリブルを仕掛けたところで倒され、良い位置でFKを得る。加瀬澤力(総4・清水東高)が蹴ったボールに上手くマークを外し、フリーになった豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18)が頭で折り返す。ゴール前で宮地が相手GKに競り勝ったがボールは惜しくもゴール上へと外れた。これを機に慶大がボールを持つ時間が増え、我慢を続けた慶大が先制点を奪う。44分に井上大(総4・國學院久我山高)のオーバーラップからCKを獲得。加瀬澤が蹴ったボールをGKが弾き、溝渕の元に。難しい態勢だったが溝渕の抑えのきいた鋭いシュートがゴール左隅に決まり、慶大が少ないチャンスをものにして理想的な形で前半を折り返す。
リードを守りたい慶大だったが後半開始直後に同点ゴールを許してしまう。ゴール前中央でFKを与えるとこれを頭で合わせられる。ボールはゴールポストに当たり、上田がキャッチしたかのように見えたが判定はゴールイン。これに抗議した井上に警告が与えられた。気持ちを切り替え、勝ち越しゴールを奪いたい慶大はすぐさま反撃に出る。52分に渡辺がドリブル突破から山本哲平(政4・國學院久我山高)へ。山本はオフサイドラインぎりぎりで抜け出すもシュートまでは持ち込めない。
その直後には相手陣内で奪ったボールを加瀬澤がダイレクトでシュートを狙うがこれはゴール上へと外れた。対する順大も前半と同様にパス回しから攻撃を狙う。58分にハイボールを慶大陣内で収められ、最後は関東リーグ新人賞を受賞した旗手怜央がPA内からシュート。ヒヤリとしたがこれはゴール右へ外れた。攻守が目まぐるしく入れ替わる試合は、74分、カウンターから手塚朋克(環3・静岡学園高)が持ち上がり、オーバーラップした溝渕に展開。溝渕からのパスを中央で渡辺がシュートを狙うが枠を捉えることはできなかった。
逆に今度は順大にゴール前までボールを運ばれ、最後はPA内で強烈なシュートを打たれるが上田がまたも素早い反応を見せゴールを許さない。この後のCKを頭で合わせられるなど、なんとか順大の猛攻に耐えていた慶大だったが85分に勝ち越しを許してしまう。左サイドを崩され、最後は中央でフリーで押し込まれ失点。嫌な時間帯で逆転を許してしまった。残り少ない時間で追いつきたい慶大は87分に落合に代え、1回戦でゴールを奪った矢野峻寛(文4・暁星高)を投入する。88分にFKからゴール前に上がった宮地が頭で落とし、混戦状態になったところから溝渕が粘り、渡辺にラストパス。しかし渡辺のシュートは大きく浮いてしまう。その直後にも豊川がゴール前にクロスを上げ、DFに弾かれたボールを溝渕が拾いシュートを狙うがわずかにゴール上へと外れた。前のめりになる慶大はカウンターからGKと一対一の場面を作られるがここはまたしても上田のビッグセーブ。その後試合終了まで同点ゴールを目指した慶大だったが順大も粘りを見せ試合終了のホイッスル。「日本一」への夢は昨季と同じく2回戦で絶たれてしまった。
3年連続での出場となった今回のインカレ。これを達成できたのは「黄金世代」とも呼ばれる4年生の力が大きい。4年生は今後、宮地主将や溝渕のようにプロの世界へ羽ばたく選手、一流企業で活躍する選手などそれぞれの道へ進む。「これからが本番の試合」須田監督は4年生にそう伝えた。先輩の雄姿を見た後輩たちには今季成し得なかった「関東リーグ優勝」、「日本一」を部員全員で達成してほしい。
(記事 吉田遼平)
試合後コメント
須田芳正監督
(今日の試合を振り返って)全体的には良いゲームだった。我々がやろうとしていたことができたし。うちらも決定的なチャンスもあった。そこを決められなかったのが敗因と言えば敗因ですけど、まあ相手も強いしよくやった、良いゲームだったと思います。(前半は無失点でいく方針だったのか)そうですね。風下で最後セットプレーで点が取れたのはラッキーだったんですけどね。(セットプレーをきっかけにチャンスが増えたが)そうですね。セットプレーは大事にしていて、練習もかなり時間をかけてやっていたので。色々なパターンを持っていてあとは彼らがその状況の中でやればいいかなと。あれ(前半36分のシーン)もハマったんですけどね。フリーになって。ただ前半はあれぐらい押されるだろうと。風下だし攻撃的なパスを繋いでくるチームだったので押されるだろうと思っていて。ただボールを奪った後はしっかり繋ごうじゃないかと取られても良いからと。変にドーンと蹴ってまたというよりは。随所、随所でいいパスワークで我々がボールを持った時間帯もあったし、全体を通してうちらのペースだったと思います。(4年生について)1年生から出てる選手が多かったので、うちらの場合スポーツ推薦で取ってくることもなくてたまたま高校で実績がある選手が揃った。この4年間ずっと試合に出続けた選手も多かったし全体としては存在感が大きい学年だったので一時代が終わったかなと思います。その中で彼らは1年生の時はリーグ戦でかなり苦しんで、その苦しさをベースに2年生、3年生、4年生としっかりチームを上昇させてきて、その中心にいたのが4年生で、本当に慶應の黄金期まではさすがに言わないけどしっかりと3年連続インカレに出るっていうのは慶應ソッカー部の歴史上ないんですよね。昔の予選が何もないっていうのは別として。だからその中心となった学年で存在感も大きくて「ありがとう」とさっきも言ったんですけど。だからこそ来年が大変だなと。他のチームはもう来年に向けて新チームになってスタートしているんです。だからB、Cチームにはもう始まっているよと言っているんですけど、全体としてはまだまだこれからなので。僕の場合はシーズンが終わると来年の2月くらいまでは完全にオフにしてしまうんですよね。もちろん各自で考えてやりなさいと言うけれども。ちょっと今回はスタートを早くしようかなと思っています。(4年生の今後の活躍について)大学のカテゴリーは人間育成の場として考えているのでプロに行く人もいれば、我々の場合は一流企業に行く人が多いので。そのところで今までやってきたのはある意味人生のウォーミングアップみたいなものなので「これからが本番の試合だよ」とさっきも言ったんですけど、今まで学んだことを社会で発揮してもらって社会で活躍できる人間になってくれれば嬉しいなと思っています。これからが本番ですね本当に。楽しみです。(豊川功治選手について)彼がこの1年間で1番怒ったというか厳しく言った選手です。望月と豊川がコンビでやっていて元貴(宮地)が前でやっていたんだけどその中で開幕戦はボランチで功治(豊川)を出していたんですよね。やっていくうちにやっぱりセンターバックかなと思いまして、元々ビルドアップの部分は良かったし、守備の部分もすごく成長したし。彼にはピッチの監督だよと。キャプテンは元貴だけどゲームキャプテンは彼だよと言ってきて責任感も付いてきて、それがプレーに出てきたり、本当にチームをよくまとめたと思っています。(ボランチを代えるなど工夫がみられるが監督としての苦労はあるか)苦労なんて無いね。楽しくて楽しくて。大学のチームを作るのが。上手くいかないな、じゃあどうしようかとか。それもこっちが上から言うのではなくて学生たちとそういうことを話し合いながら追求していく。みんなで1つになって、半学半教の精神で指導者と学生と部に定められることなくみんなで作り上げていこうということなんで楽しくてしょうがないかな。もちろん負けてガックリくることもあれば上手くいかなくて考えることもあったけど。今まではダブルボランチですごく守備を重視していたので、そこに立綺(片岡)を思い切ってああいうゲームをコントロールして攻撃的な選手を入れてこれも面白いなと。たまたまそういうスタイルの選手が多いんですよ。だからそういった意味ではまた来年もダブルボランチは今の3年生かなと。それと同時に他の選手も良い選手いるんで。スポーツ推薦が無いといっても今は1部からみんなやってるしサッカーの強豪校でも勉強をしっかりやりなさいという指導者は多いので良い選手がいるのでその中でまた良いチームを作っていきたいなと思います。
宮地元貴主将(総4・東京ヴェルディユース)
(今日の試合を振り返って)率直に悔しいですね。僕個人としてももちろんですが、チームとしての甘さが出た試合だと思っています。(前半は風下でチャンスが少なかったがコイントスはどちらが勝ったのか)コイントスは自分たちが取って、監督と前半は風下という話をしていて前半は出来としてはまずは無失点というのがあって、その中で1点を取れたので理想的な入りは出来たと思います。(主将としてこのチームについて)正直苦しい時期や悔しい思いをしたことが多かったのですが、こういう形でインカレにギリギリ滑り込むことができて、本当にこの西が丘で後期の早慶戦辺りからチームがすごいまとまってきて、本当の意味でチームが1つになって戦うことができたと思います。それまでは本当の意味では1つになれていなかったのですが、このインカレに挑む中でも本当に全員がこのインカレで結果を残したいという思いで、練習からメンバーに入れなかった人もできていたのでチームを誇りに思います。(チームメイト、特に4年生について)シーズン当初に僕をキャプテンに選んでくれてみんなが期待するような結果を残せなかったんですけど、それでもいつも隣で支えてくれて高め合うことができて本当に感謝しています。かけがえのない仲間だと思っています。(下の世代に伝えたいこと)それぞれ思いがあると思いますし、僕たち試合に出た人は本当に悔しいですし、逆にメンバーに入れなかった人も悔しいだろうし、各々の立場でこの試合に関して感じたことがあると思うのでそれを糧にそれぞれのサッカー人生と慶應ソッカー部の糧になればいいと思います。(これからプロとして戦うが大学生活で身につけたもの)大学生活で得たものはソッカー部だけではなくて、人との繋がりです。大学に来なくて高校からプロに行ったとしても人との出会いはあるのかもしれませんが、僕が慶應に入って出会えた人は本当にかけがえのない存在だと思っています。その中でサッカー選手としても人間としても成長させてくれた場なので本当に感謝しています。(これからのサッカー人生で思い描いている姿)普通の選手にはなりたくないので、サッカーではもちろんですけど、まずは名古屋グランパスというチームに入団するので中心選手となってチーム目標である1年でのJ1昇格に向けて貢献したいです。そしてゆくゆくは日本を代表するサッカー選手になりたいと思っています。サッカー以外でも夢や希望をサポーターの方々や支えてくれる方々に与えられるような存在になりたいと思います。
井上大副将(総4・國學院久我山高)
(今日の試合を振り返って)正直、技術的な差は結構あったと思うのですが、その差は戦術的な部分で補えるし、戦い方次第では勝利という結果に持っていけたのかなと思う残念な試合でした。(前半は押し込まれる展開が多かったと思うのですが)前半押し込まれるのは予想通りでした。風下でしっかり我慢してセットプレーのワンチャンスで一点取れればいいなと話していたので、プラン通りの前半でした。ただ、後半立ち上がりにああいう形で失点してしまって、そこから相手の足下の技術を出させて、走らされてしまって、最後は完璧に崩されてしまったので、後半の立ち上がりの失点はもったいなかったかなと思います。(3年連続で出場したインカレについて)もう一つ勝てば阪南大とやれるチャンスがあったのですが… 阪南大は2年生の時に0-3で負けていて、スコア以上に実力差があったというのは今でも思っているので、もう一回やってリベンジしたかったなというのが正直なところです。(今シーズンを振り返って)個人的には1年間ムラなく安定したプレーが出来たと思うのですが、それがチームの勝利に繋がらなかったり、得点のチャンスになかなか結びつかなかったので、サイドバックというポジションからチームの勝利に貢献できなかったのはすごく悔しいです。ただ、四年生として他の4年生たちと協力してチームを引っ張っていけたのは今後の人生に向けてすごく大きな財産になったのかなと思います。(ソッカー部での4年間を振り返って)自分が思っていたよりも結果を残せなかったなと思います。今まで僕は日本一とかリーグ優勝とか経験したことなかったので、そういうのを一回でも経験してみたいなと思っていたのですが、それが一度も達成できなくてすごく残念です。(後輩へ向けてメッセージをお願いします)あと3年の人、2年の人、1年の人、残り時間はバラバラだと思うのですが、いつ自分にチャンスが回ってくるか分からないし、そのチャンスをいつ逃してしまうかも分からないので、とにかく与えられた役割や自分の特徴をどんどん伸ばしていったり、しっかりこなしたりして、真面目にコツコツプレーしてほしいと思います。
豊川功治(総4・ジェフ千葉U-18)
(今日の試合を振り返って)しっかり自分たちのサッカーをやろうと臨んだのですが、苦しい時間帯が多かったです。自分たちのサッカーが出来た時間帯もありますが、やはり相手の方が力が上回っていたことがこの結果に繋がったのかなと思います。(押し込まれるなかで、セットプレーから先制点を奪えたことは狙い通りだったのでは)そうですね。風下で、風も強かったですし、相手がああいう上手いチームだったので、監督からも前半はしっかり耐えようという話がありました。チームとしては0-0でも良かったところを、むしろセットプレーで1点取れたので、予想以上のスタートだったと思います。(3年連続で出場しているインカレを振り返って)チームは3年連続で出てるのですが、ベスト16より上に行けていないというのがこの3年の流れなので、そこをなんとか自分たちの代でベスト8に行こうとやってきたのですが、行けなかったのは残念です。また来年以降後輩がこの悔しさを次に繋げてくれればなと思います。(望月選手の分もという思いはありましたか)そうですね。彼とはCBをずっと組んでいましたし、同期として一緒に日吉にも住んでいて、プライベートでも関わる機会が多かったので。またケガのシチュエーションが自分も絡んでいたので、そういう苦しさもありました。「頼んだ」と今日も試合前に言ってくれましたし、そういう思いも背負って毎試合全力で戦っていました。彼のためにも今まで行ったことのないベスト8や一戦一勝を掲げながら日本一を目指していたので、そこに行けなかったのは残念だなと思います。(今シーズンを振り返って)苦しさも多いシーズンだったなと思います。周りからも慶應が優勝するシーズンになるのではないかと言われたり、自分たちも多くの試合に出ていた分、期待感を持ちながらのシーズンだったので、それが噛み合わずにどんどん順位が下がっていったときは苦しかったです。ただ、最後こうやってチームの調子も上がってきて、雰囲気も良く練習出来て、試合に出ていないB、Cチームの4年生も自分たちと一緒に最後までやってくれて、本当に楽しく良いシーズンだったと思います。(4年間をともにした須田監督について)4年間監督からは厳しいことを常々言われていて、苦しい時期ももちろんありました。ただ、最後の1年間は、ほぼ全試合に出場できてましたし、信頼を感じています。キャプテンマークは巻いてないですが、試合のコントロールは自分に任されていて、そういう信頼関係のある中で1年間サッカーをやらせていただいたので、監督には感謝しています。(最後に後輩に向けてメッセージをお願いします)仲の良い後輩もたくさんいるので、自分たちのリーグ順位とインカレベスト16を超えてほしいし、超えられると思うので、自分たちの力を信じてこれからも頑張ってほしいなと思います。
溝渕雄志(環4・流通経済大学付属柏高)
(試合を振り返って)順大が攻撃に関しては、流動的で個々の技術が高いということはわかっていたので、最後にゴールラインを割られなければいいというようにポジティブにやっていて、そういう意味では前半は良かったと思います。米田は順大のキーマンだったので、右サイドに関してはチームのセットポジションより少し高めに設定していました。手塚にどんどんサイドバックに仕掛けさせて、僕はタイトにマンツーマンで米田にいくということはできていました。イメージ通りの守備でした。後半は工夫されだして、オープンになってきたので、もう少しラインの上げ下げができていれば距離を縮められて相手の間合いでやられるシーンは少なかったかなと思います。そこは、試合の中でもう少し修正できれば良かったかなと思います。(ゴールについて)そうですね、上手いこと入りました。最初のサインでみんな決めるんですけど、ファーに入って元貴が僕の前で、突っ込むので、一歩引いていようと思っていたら(ボールが)落ちてきて、シュートはスーパーでした。枠に入れれば絶対に入ると思ったので、抑えることだけ考えていたら、綺麗にミートしてすり抜けて入りました。後半のシュートを決めていたら本当にヒーローだったなと思います。(後半立ち上がりの失点について)立ち上がりは結構集中して入っていたし、ゴールラインを割っていないように思えた。監督が「今日はどちらもチャンスを作るだろうから、決めたほうが勝つ」と言っていました。2点目も個で剥がされていましたが、試合で見れば追いつけるシーンはあったし、本当に少しのことがもったいなかったです。(4年間を振り返って)1年生のときは残留争いをしてインカレ争いをして、去年優勝争いをしました。今年はだからこそ、期待値に対して、結果が出なくて苦しいシーズンを過ごしてきたなと実感しています。その中でも最後にインカレに出て、4年生の意地は見せられたかなと思います。納得いかないシーズンだったからこそ充実していて、得られるものもたくさんあったので、すごくいい4年間でした。(背番号が5番になったが望月選手への想いか)まさにそうです。(その想いを教えてください)大知は一緒に慶應に入ってきて、デビューした試合も同じその年の2節目の早稲田戦で、そこからずっと一緒にコンスタントに出てきました。一緒に最多出場ももらいましたし、ずっとトップチームで色々な状況を励まし合ってやってきました。ポジション的にも近い分、お互いに信頼していたし、あいつのCBとしての技量は認めていました。プロを目指していることも知っていましたし、色々なバックグラウンドがある中で、僕はたまたま運が良く進路が決まっているのに、あいつは頑張っていた中でのあの事故でサッカーの夢を諦めなければいけない状況になってしまいました。僕も最初は辛かったですけど、戦える状況であるだけ幸せだと思ったし、その場に立てる機会があるのだったら、そういうやつの分まで戦わなければいけないと思いました。今回の5番に関しては、僕からお願いして付けさせてもらった背番号であいつのために最後の大会で結果を出そうと臨んでいたので、強い特別な想いがありました。(ともに戦った同期、後輩に伝えたいこと)一言では言えないですけど、どういうメンタルで試合に臨むかというのは出ていたやつは感じ取れたと思います。特に今年は結果が出なくて、チームのスタイルが変わっていくなかで最後に一つの型が生まれました。後期の法政戦からポゼッションサッカーになって、負けてもサッカーは変わらなかったしそれを崩さないっていうのはここに来て、慶應が得られた財産だと思うので、後輩にも大事にしてもらいたいです。勝ちたい勝ちたいという試合の入り方ではなく、今日で終わりでもいいと思えるぐらいのプレーをするということです。勝ちにしがみつくと、どうしても守りに入ってしまったり、大事にし過ぎたり、勝ちにつながるプレーはできないと思うので、割り切って覚悟を決められるようなメンタルがいかに大事かというのは、伝えられたのではないかなと思います。
加瀬澤力(総4・清水東高)
(今日の試合を振り返って)順天堂大学は強かったし、自分たちは最後まで諦めずにやれたと思います。今は悔いはないという気持ちでいます。(2試合連続でCKから得点を演出したが)自分の役割はそこだと思っていました。自分の長所はしっかり出せたかなと思っているし、そこでチームに貢献しないといけないなと思っていました。それが得点につながったのは自分としてはすごく良かったかなと思っています。(後半逆転されてしまった要因)前半から自分のサイドの崩しに対応しきれなかったという部分は良くなかったと思いますが、もう終わってしまったことだし、自分の学生でのサッカーは終わりなのでしょうがないかなと捉えています。(今シーズンを振り返って)本当にきつかったです。色々なことがなかなか上手くいかなかったし、めちゃめちゃきつかった。そんなの中でも同期と一緒になって、なんとかしてチームを良くしようと考えたり、行動したりしたことは今となっては、いい経験をしたなと思っています。結果は出ませんでしたが、そのために全力でみんなで取り組んできたことはすごく自分の中に残るなと思います。(4年間振り返って)良い時も悪い時もあったけど、それは長い人生を見た時にきっと、そういうことはあるんだろうなと思っています。その中で、自分が重要視していたのは、自分が試合に出られていない時、きつい時にどういう振る舞いができて、どういう想いを持って、日々過ごせるかでした。その経験が自分としてはとても大事なものだと考えています。自分はプロになりたくてこの部に入ってきてなんとかして上に行きたいという思いはあったんですけど、なれなくて挫折だと捉えていて悔しいです。サッカーの競争では、自分は負けたと認めています。でも、長い人生を見た時にこの経験がどこかでつながったら、どんどん自分の人生が豊かになれば良いなと思っています。そういう意味では、この4年間は濃かったと思います。色々な人に感謝の気持ちを少しずつ伝えていけたらなと思います。(今後もサッカーを続けるのか)アスリートとして続けるのは自分の中ではけりを付けています。何のためにサッカーをやって、何のためにプロを目指しているのかを4年間すごく考えてきました。サッカーを仕事にすることはないと思うんですけど、どんな形であれサッカーには携わっていくと思います。僕はサッカーが大好きなので、自分の関わり方をこれから考えていきたいと思います。
山本哲平(政4・國學院久我山高)
(試合を振り返って)前半良い時間帯に点を取れてそのまま後半に入って、油断はしてなかったですけどセットプレーから失点した後のサッカーが、ゲーム自体は悪くなかったと思うんですけど最後の失点は個人でドリブルでサイドから崩されてしまっていたので、ゲーム自体は悪くなかったけど勝負強さが出なかったかなと思いました。(思い描いていたゲームプランは)今日は風が強かったので前半はしっかり対応という形になって、0-0で全然いい形だったんですけどセットプレーから点を入れられたし、後半は風上なのでどんどん攻めていこうということで、自分たちのやりたいことはできたかなと思いました。(4年間のソッカー部生活を振り返って)幸いにも僕は1年のころから試合に出させてもらっていて、FWとして点をたくさん取れたので、使っていただいた監督とかにには感謝しているしチームを上に導きたかったんですけどそれができなかったのが少し心残りかなと思いました。(慶應の背番号10を背負って戦った今年は)去年に比べたらリーグ戦の得点も決められなかったし、順位もその分下がってしまったと思うんですけど、すごく誇りに思っていて。やっぱりよっち(武藤嘉紀・経卒・現FSVマインツ)や豪くん(端山豪・総卒・現アルビレックス新潟)が着けてきた番号をもらってプレーさせてもらったというのは本当に人生の中でも宝だと思います。(後輩にメッセージを)いつもリーグ戦もいいところまで行って去年だったら勝てなかったし、インカレもいつも2回戦負けなので、あとは総理大臣杯も出てほしいし、僕たちの記録以上は絶対行ってほしいです。
矢野峻寛(文4・暁星高)
(試合を振り返って)一戦必勝という目標を掲げていて、順大とはリーグ戦2試合やって2勝していたんですけどそういうのは忘れて目の前の順大を倒すということだけを考えて今日は挑みました。(投入の際の指示は)逆転された状況だったので、自分の良さである裏に抜けることであったり得点を目指すところを意識してやれというような指示でした。(どのくらいその指示通りの動きができたか)時間も短かったしあまりボールを受けることができなかったので、チームをもっと助けることができればよかったなと思います。(4年間のソッカー部生活を振り返って)自分自身はCチームからやってきて少しずつステップアップして最後こういう形でトップチームに関わることができて、自分自身本当にこの部では何人もが悔しい思いしかしていないのですごく恵まれているんだなというのを思いながらも、そういう悔しい思いをしている人がたくさんいる中でそういう人たちの応援の声にもっと応えることができればよかったなと思います。(四国学院大戦でのゴールは一生忘れられないのでは)そうですね、自分自身去年から少しだけトップチームに試合に出させてもらって、FWというポジションながらも得点することができていなかったので、4点目というチームの勝利に直結するゴールではなかったんですけど、自分自身すごく嬉しい1点でした。(後輩にメッセージを)自分たちが4年生の時はシーズン開幕からチームがうまくいかなくてもがきながらやっていたら本当にあっという間に引退まで駆け抜けて行った感じなので、本当に1日1日を大切にして日々の練習や試合から成長できるように向上心を持って、関東優勝という俺らが達成できなかった目標に挑んでほしいなと思います。
李元(政4・慶應義塾高)
(今の率直な気持ちは)悔しいという思いもあるんですけど、チームとして最後まで自分たちのやりたいサッカーを貫き通しての負けだったと思います。僕個人としても4年間通して本当にいい同期を持てたなと思うのと、最後までこうしてAチームに絡むことができたという環境にも感謝していますし、自分でも頑張ってこれたのかなとは思います。(ベンチからどのような心境で今日の試合を見ていたか)とにかく勝ってくれっていう一心だったんですけど、その中でもベンチのメンバーが試合を変えることもありますし、アップにも集中して少しでも良くできればなと思っていました。(大学サッカー最後の一年間となった今シーズンは、個人的にはどのようなシーズンだったか)一言で言うと悔しいシーズンだったんですけど、それでもすごくいい体験ができたなと思っています。というのは、シーズン当初はAチームにいながらBチームに落ちて、その中でIリーグ最終節まで全国を賭けた戦いができたのもすごく大きかったですし、今までの4年生だとそのままBチームに残ることが多い中で、(宮地)元貴だったりBチームの富田コーチだったりが自分のことをAチームに上げてくれて、最後までAチームでチームの代表として戦えたことは一つ自分の中で大きな財産になりました。(4年間を振り返って)すごくきつかった4年間だったとは思います。それはミーティングもそうですしサッカー面も両方で結果が出なくて、苦しい4年間だったんですけど、その中でも本当に苦しい時に同期が声をかけてくれたり支えてくれ たこと、それから最後の一年間、BチームAチームである程度結果を残しながら戦えたことは自分の中で一つ大きな財産になったと思います。
望月大知(環4・静岡学園高)
(今の率直な気持ちは)最後自分がピッチに立てなかったことに関しては少し心残りがあるんですけど、この4年間一緒に戦ってきた仲間、同期や後輩たちが最後まで全力で戦ってくれたことは嬉しかったです。(ケガをしてピッチに戻れないことが分かった後のシーズンについて)この真剣勝負の場にもう立てないと分かったとき、自分の気持ちの整理をつけるのはすごく大変だったんですけど、そんなときやっぱり同期を中心にチームのみんなが声をかけてくれて、俺の分まで頑張るという一つ一つの言葉が自分の気持ちを変えてくれたというか、このチームのために自分も全力で頑張ろうと思って、その気持ちを持って最後までやろうと思っていました。(溝渕選手が望月選手の5番を着けて出場した経緯)本人から「着けさせてくれ」って言われて、自分はもうメンバーに入ることはないと分かっていて、だったら自分もミゾ(溝渕)に一番着けてほしかったので、「頼む」と言いました。あいつもやっぱりケガがちで大変だったと思うんですけど、負けてしまったけれど最後まで全力でやってくれたので、嬉しかったです。(外から見ていて、今日の試合はどうだったか)やっぱり順大はうまいチームで、前半は自分たちの思い通りのサッカーだと思ったんですけど、後半立ち上がりの失点でゲームが崩れてしまったというか、1年通してああいう立ち上がりの失点だったりが減らなかったのがいけなかったと思います。(4年間を振り返って)最高の仲間に巡り合えましたし、最高に楽しいサッカーができたと思っています 。この4年間は本当に自分の人生にとって大きなものだと思っていて、さっき須田監督もおっしゃっていたんですけど、「大学生活は人生のウォーミングアップだ」と。今後の長い人生、この大学で学んだことを活かせるように頑張っていきたいと思います。
小比賀奨(政4・國學院久我山高)
(今日の試合を終えて)率直にいうとやっぱり悔しいです。ただ、インカレもギリギリのところで出られて、「一戦必勝」という目標を掲げた中で、自分たちがやってきたことが全て出せた試合だったと思うので、自分は出れませんでしたけど、チームとしてはやることはやったし、そういうシーズンを過ごせたので、今は充実感でいっぱいです。(ベンチからどのような気持ちで試合を見ていたか)相手が上手いということも分かっていたので、僕は4年生としてベンチに入った中で、少しでもチームの雰囲気が重くならないように相手ボールでも自分達のペースかのようにチームを盛り上げていました。(4年間を振り返って)僕は1年生の時に試合に絡ませてもらって、2、3年生の時にはBチームで苦しんだんですけど、4年生でこうして最後に試合に絡ませてもらって、本当に良い時も悪い時もたくさん色々な経験をさせてもらったと思うし、サッカーとこれだけ真剣に向き合うことが出来たので本当に悔いのない4年間で、本当に素晴らしい4年間だったと思います。(4年間、ソッカー部そして慶應で学んだことは)ソッカー部もそうだし19年間僕はサッカーをしてきて、一つ学ぶことが出来たものは、自分の為だけではなく、人の為に何か仕事をすることであったり、声を出すことやプレーすることだったり、誰かの為だと思って日々行動したり練習したりすることが、結果自分の為になるということで、サッカーをしていて、ソッカー部にいた事でその部分が一番成長できたし、気付けたところだと思います。(後輩達に向けて伝えたいことは)まずは、僕達4年生がなかなかまとまらない代だったという自覚もありますし、こんな4年生に付いてきてもらったという思いがあるので、本当に今は感謝の気持ちでいっぱいです。後は、僕は2軍で過ごした時間が長いので、そういう2軍とか3軍にいる選手も本当に腐らずに、最後までずっと諦めずにやり続ければ、こういう舞台で最後にメンバー入りをさせてもらったり出来るので、後輩達にはそういうきつい時やつらい時も、下を向かずに、日々前を向き続けてやって欲しいということを伝えたいです。(最後に、自身の今後に向けて)来年から社会に出るわけで、19年間サッカーばかりやってきて、やっぱりまずはこの19年間本当にたくさんの人達に育ててもらって、支えてもらったので、そういう人たちに恩返しができるような人間になれる様に、来年からは社会人として、しっかりと日々歩んで行ければいいなと思います。
冨田純主務(総4・桐蔭学園高)
(今日の試合を終えて)インカレに出場するのが、目標を「一戦必勝」にしていて、とにかく一戦一戦勝っていこうというのが目標だったので、勝てなかったのはすごい悔しいんですけど、最後応援とかもすごいやってもらったし、自分たちらしいサッカーができたのですごく楽しかったです。(試合前に選手たちにどんな声をかけていたか)うちの代の4年生たちの性格として、まとまろうとかみんなを抑えて抑えて一つにしようというのは、すごくうまくいかなかった印象が1年間通してあるので、とにかくいつも通りサッカーを楽しんで、4年生もそういう風にやるのが1番良いと思っていたので、もしかしたらこれが最後になるかもしれないから今までやってきたことを100パーセント出せるように楽しんでやろう、ということをずっと声かけていました。(主務としての1年を振り返って)自分は選手も続けてやっていたので、選手としては全然まだまだだったんですけど、少しでも戦う姿勢だったりとか諦めないで少しでもチャンスを掴もうとする姿勢っていうのを伝えるためにやってきて、それが4年生全体として伝えるのが僕の主務としての目標だったので、どう伝わっているかはわからないですけど、こういうインカレまで出させてもらって最後まで戦いきれる環境に残れたことがすごく嬉しいし、やって良かったなと思います。(ソッカー部での4年間を振り返って)学生主体というのがうちの部活の特徴で、学生中心にいろいろなことを運営してきて、本当に自分も人間的にすごく成長させてもらったと思ってますし、他の自分の同期も最初一緒に入学してから色々成長してくれたところがたくさんあって、そういう意味では同期と一緒にずっと4年間歩んできたつもりなので、すごく良い思い出になりましたし、この部活をすごく好きになった4年間で、引退してからもずっと応援したいと思えるような部だったなと思います。(後輩へメッセージ)すごく部員が増えて、まとまることというのはすごく難しいと思うんですけど、まとまったときにすごい力を発揮出来る部活だなと4年間通して思う場面がいくつかあったので、それを発揮できるようにやっていけば最終的に良い結果が待っているんじゃないかと思うし、自分たちもこの部で全国を3回経験してきてベスト16止まりが3回だったので、とにかくまずはベスト8以上に進んで、引退が決まったときに笑って終われるような4年間に是非してほしいと思います。
※1年間、ケイスポの取材に快く応じてくださった選手の皆様、取材活動を支えてくださったスタッフの皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。皆様の今後のご活躍を期待しております。