【野球】ビッグイニングで試合を決めた。勝負は五分に　立大③

４月２４日（月）東京六大学野球春季リーグ　立大３回戦 

三塁にスライディングし、セーフになった天野

「明日に繋げるための勝ち」――この１勝ではまだ満足してない。立大に先勝を許して迎えた3回戦。4回に4番岩見雅紀（総４）から始まった4連打と天野康大（環４）の三塁打などで5点を先攻し、大きくリードを奪った。先発の関根智輝（環１）は７回途中まで投げて無失点で９つの三振を奪う好投を見せる。投打がかみ合った快勝で対戦成績を１勝1敗のタイに戻した。               

慶大：○関根、髙橋佑、髙橋亮―郡司

立大：●田中誠、中村、比屋根、宮崎―藤野

慶大：郡司２号ソロ（７回）

◆慶大出場選手

圧巻のピッチングを見せた関根

暑い日差しが神宮を照らす月曜の午後。王座への戦いはまだ始まったばかりだ。前日の試合で今季初めて星を落とし、もう負けられない慶大の先発マウンドは中１日で関根が上がる。その立ち上がりに１死から連打でピンチを招くが、「芯で捉えられたヒットではなかった」と冷静なルーキー。前日逆転のホームランを放った山根を併殺に打ち取り、無失点で抑える。２回は先頭の５番飯迫に二塁打を許したが、６番大東に送りバントを許さず最後は速球で見逃し三振を奪う。７番・好調の笠井は外のフォークで空振り三振、８番の藤野は直球で空振り三振とここもゼロで抑える。４回にもピンチを招いたが、ボールを低めに集めて内野ゴロを打たせ、得点を許さない。

先制のホームを踏みガッツポーズする岩見

ルーキーを援護したい打線は主砲の一打で目覚めた。４回、先頭の４番・岩見が三試合ぶりにヒットを放つと、続く５番・郡司裕也（環２）は相手先発田中誠が投じた初球のストレートを打ち返すと打球は右中間真っ二つ。岩見が１塁から激走を見せてホームインし、立大戦３試合目にして初めて先手を奪った。盛り上がる１塁側スタンドの若き血が鳴りやまぬ間に６番清水翔太（総４）も初球を捉えてライトオーバーのタイムリーツーベースで２点目。続く７番倉田直幸がレフトに運び、これで４連打。初戦で苦しめられた田中誠をノックアウトする。その後１死を取られたが、２塁３塁のチャンスに９番関根が高いピッチャーゴロを打つと３塁ランナー倉田が果敢にホームへ突入する。ギリギリのタイミングだったが相手捕手を見事にかわして生還し、３点目を奪う。さらに１番天野康大（環４）も右中間を破るスリーベースヒットを放ち２者を迎え入れる。最終的にこの回打者一巡の猛攻となり、５対０と立大を突き放した。

全打席ヒットで出塁した倉田

５回６回と三者凡退で乗り切った関根だったが、７回先頭の飯迫にこの日３安打目を許すと、続く大東を今日初めての四球で歩かせてしまったところで降板する。６安打を許しながら９奪三振で無失点と要所を締めるピッチングだった。代わってマウンドに上がった髙橋佑樹（環２）は代打の林田に粘られるが、速球を打たせてダブルプレーに打ち取ると、藤野もサードゴロに仕留めてスコアボードにゼロを刻んだ。その裏、追加点が欲しい慶大の攻撃は２アウトから先制打の郡司が再びストレートを弾き返すと、打球はグングン伸びて左翼席に突き刺さる。欲しかった中押し点をソロホームランで得て、完全に試合を決めた。８回から登板した髙橋亮吾（環２）が９回に１点を失ったが、それ以上の得点は許さず６対１と逃げ切った。

今年の大きな不安要素は投手陣と言われている。さらに立大戦ではここまで柱である菊地恭志郎（政３）が出場なしと厳しい状況だ。しかし残った投手が継投で最少失点に抑え、経験を積むことができている。「災い転じて福となす」とはこのことだろう。逆に立大戦では２回戦まで４番の岩見が無安打と抑えられたことで打線がつながらない部分があった。今日こそヒットが生まれて打線爆発となったが、常に岩見に依存するわけにもいかない。勝ち点を取らなければ今日勝った意味がないと選手たちは話す。正真正銘総力戦となる４回戦は皆でお互いをカバーし合う全員野球で勝ち点２を目指していく。

【This is YOUR day!!】勝利に導く貴公子　郡司裕也

落ち着いた表情で投手陣をリードする郡司

もう名実ともに慶大の要だ。昨秋から正捕手を務め、今季は経験の浅い投手陣を冷静なリードで引っ張るという重要な役割を全うしている。ここまで投手陣が崩してしまった試合はない。打っては今年からクリーンアップを任され、２カード目にして２本目のホームランを放つなど長打力が成長。本塁打・打点はともにリーグトップで打率もリーグ３位と打者としても頼れる存在になった。投打のカギをともに握るプリンスが今季こそ慶大を最高の歓喜へ導いてくれるはずだ。

記事：尾崎崚登

◆打撃成績

◆投手成績

◆監督・選手コメント

大久保秀昭監督

（負けられない試合に勝ちました）初めから明日もやるつもりでいましたので、その通りになってよかったと思います。（関根投手がよく要所を抑えました）しっかりゲームメイクしているし、緩急もつかえているし、十分ずっといい働きしてくれているなと思います。（関根投手は中１日での先発でした）考えると負けたら終わるとか、いろんな展開があるので初戦を終えてすぐ決めたわけではないです。１年生というところもあるので、無理をさせないように十分注意しながら負担がかかりすぎないという部分を球数も含めて林助監督と相談しながらやっています。今日はそういう意味ではちょっと１イニング余計に引っ張って、若干ピンチになってしまいました。本当はあそこで代えてあげても良かったのかなと思います。そこは反省です。（関根投手は三振がよくとれていました）三振がというよりも、リズムよく無駄な四死球なくバッテリーでよく頑張ってくれたと思います。（髙橋佑投手はピンチを乗り切りました）いい仕事をしてくれたと思います。こっちのミスを選手がカバーしてくれたと思います。（髙橋亮投手は少しバタバタしてしまいました）本当はゼロで抑えてピシャッとベストゲームという感じで気分よく終われますけど、いろんな経験しながらまた次に生かしてくれたらなと思います。まだ若いので良かったり悪かったりどこでバタバタと行くかなんて見えない部分もあるので、そういう意味ではよく頑張っている方だと思います。（菊地投手が不在の中で他の投手が奮闘しています）いない選手のことを言っても仕方ないけど、逆に投げるチャンスで自信をつけるようなピッチングが出来たら、それはこっちにとっては大きな収穫になりますし、今後につながるというのもあります。いてくれたらもうちょっとゲームメイクしやすいかなという部分はありますけど、それも含めて投手は良くやってると思います。（ここまで守備はノーエラーです）でも最後はエラーみたいなものです。照屋キャプテンにはもう少ししっかりしてほしいです。ダブルプレーとってよく守ってますけど、照屋の力からしたら最後の打球も取れるし、チャンスで打点を稼ぐというところも期待はしています。（打線はファーストストライクからよく打ちました）それは選手がしっかり攻略してくれたと思います。（岩見選手の一打から４点とりました）４番の仕事をしてほしいですね。東大戦は彼が火付け役になって、この２戦は彼がブレーキになって、そうすると打線も沈黙してしまいます。相手も十分警戒しての攻めですが、それを打ってこそ４番だと思います。（郡司選手のホームランは）大きかったです。（立大を３盗塁に抑えて持ち味を発揮させていませんが）全然気にしてないです。最後にホームに返さなければいいと思っているので、僕は盗塁されるのを全然気にしてないです。全然嫌じゃないです。（明日はどう戦いますか）明日はお互い総力戦になると思います。いろんな意味でスタミナがついているし、僕は楽しみです。

天野康大（環４）

（今の気持ちは）勝ちましたが、明日に繋げるための勝ちなので。しっかり明日勝点取らないと今日の勝ちが意味を持たないので、明日に向けて準備していきます。（４回、適時三塁打を放ちました）関根が頑張っていたので、なんとか追加点を取って関根を楽にしてあげたかったです。打てて良かったです。（３回にはバントを決めました）初球で決めることで流れが来るので、しっかり一球で決めようと思っていました。（打撃の調子は）チャンスで一本打って、勝負強いバッティングでチームのために打てたらと思います。（第4戦に向けて）どんな形でも勝つしかないので、しっかり明日勝って勝点取れるように頑張ります。

倉田直幸（法４）

（今の率直な感想をお願いします）疲れました（笑）（全打席ヒットで打撃好調をワケは）好調というわけではないです。ちゃんとボールを見て（バットを）振れているので。狙っているとかではなく、三振しないことを意識しています。（去年はチーム全体的にエラーが目立つ試合も多かったが、今季は未だノーエラーです）守備はみんなが意識してやっているので、それが現れているんだと思います。“エラーしない”というより“アウトをちゃんととる”という前向きな姿勢がいいんだと思います。（明日に向けてひと言）明日絶対に勝って勝ち点とれるように頑張ります。

清水翔太（総４）

（今日の試合を振り返って）１戦目でやられた田中誠也投手を早めに降ろせたのはよかったと思います。あとは、１イニングで集中して打線が繋がってピッチャーも粘り強く投げてくれてよかったです。（オープン戦から、今日も４打数３安打と打撃好調ですが）石垣キャンプからずっと大久保監督に何人か指定されて「お前らが打たないと勝てない」と言われてきたプレッシャーのなかやってきたんで、オープン戦の時のように試合に臨めてはいると思います。来た球をちゃんと打てているなという感触ですね。（最近は下位打線で多くヒットが出ているが）そうですね。上位が打てなくても俺らがやってやるんだ、とはよく倉田と話しています（笑）（今季初めてしっかり打線がつながりました）大久保監督も言っていたんですけど、どこかで攻撃的に攻めていきたいな、ということだったので。郡司が初球でしっかり打ってくれたのが大きかったです。僕はバントかなあと思っていたら打てのサインが出たので“お前はこういう仕事をしろ”っていうメッセージだと思って思い切って自分のスイングをしました。（走塁面での意識は）もうずっと次の塁を狙ってできているので。ミスが出ても、変わらず積極的にできているのは良いことだと思います。（明日に向けて）勝ち点とります！

郡司裕也（環２）

（今日の試合を振り返って）１年生の関根に先発を任せることになったのですが、１年生らしい思い切りの良いピッチングをしてくれたので、本当に頼もしいと思います。（二塁打で先制しました）バントかなと思っていたのですが、監督が打てのサインを出していたので、ここで（点を取りに）いってほしいのだなと思いました。相手ピッチャーも多分バントだと予想して、簡単にストライク取ってくると思ったので初球から狙いました。（ラッキーセブンでの本塁打は）ラッキーですね。たまたまです。真ん中高めのストレートでした。その前の打席で凡退していて、結構難しいピッチャーだなと感じていたので、バットを短く持ってコンパクトに振ったのですが、まさかあんなに飛ぶとは思いませんでした。（昨年よりも長打が多い印象です）オープン戦から、昨年に比べたら大きいのが打てているなと自分でも感じています。だからといって狙っているわけではありませんが、成長できているのかなというふうに感じています。（盗塁に関して気をつけていることは）駆け引きに関してはピッチャーの方がやってくれています。僕はただボールを投げるだけなので、ピッチャーがよくランナーを気にしてくれているなという感じです。（投手陣の調子は）エースというエースはいない状態ですが、それぞれ個性があって、その個性を出してくれているので、明日もこのような感じで投げてくれればと思います。よりピッチャーと会話したりして、個性を引き出せるようにしたいです。（明日への意気込みを）明日勝たないと今日勝った意味がなくなってしまうので、今日の勝利はとりあえず置いておいて、明日に全てを注ぎたいです。

高橋佑樹（環２）

（今の率直な気持ちは）関根に自責点を付けなくて良かったなと思います。（今日はリリーフでした）林助監督からイニング中にいつでもいけるように作っとけと言われたので行くかなと思っていました。（昨日からの疲れは）疲れはないです。（明日に向けて）気合いを入れてやるしかないです。1年生が繋いでくれたチャンスを無駄にするわけにはいかないので。頑張ります。

関根智輝（環１）

（今日の試合を振り返って）第１戦投げて勝てなくて、これで負けられない試合だなと個人的には実感していました。相手先発も第１戦と同じピッチャーでしたし、絶対負けたくないなという気持ちはありました。（中１日の登板でしたが）１回戦は４回くらいまでしか投げてないので、疲れている感じはなかったです。（初回のピンチを併殺で切り抜けました）低めに集めることもできていましたし、そのランナーの出方もついてないというか、芯に捉えられたヒットという感じではなかったです。悪い流れになりそうな雰囲気もあったのでいい感じで抑えられたと思います。（三振も多く奪いました）ツーシームというか落ちる球の調子がよくてストレートも腕が振れていたので、その分三振も多く取れたのかなと思っています。（もう少し投げたいという気持ちは）監督から、「初回から全力でいっていけるところまで」と言われていました。あの回は投げ切りたかったです。今年は継投という年なので、僕が１人で投げ切ることがピッチャー陣の負担が減ることにもつながるので、できれば長いイニング投げていければいいと思っていました。不本意で、悔しいという気持ちはあります。（制球よく投げていました）ストライクゾーンを広く使えて、相手も結構振ってくれた中でストライクが取れたので、調子が良かったんじゃないかなと思います。（明日に向けて）明日勝ってやっと今日勝った意味があるというか、勝ち点が付くということなので、気を引き締めて頑張っていきたいと思います。