【アイスホッケー】決定力不足に泣く・・・歴史的勝利は冬の早慶戦へ持ち越し 第63回早慶アイスホッケー定期戦

新横浜で両校が激突

 早慶アイスホッケー定期戦が新横浜に帰ってきた。昨年は改修工事のため新横浜スケートセンターでの開催はなく、年2回ある早慶戦はどちらも東伏見で開催された。当日は多くの学生や関係者が応援に駆けつけ、誰もが慶大の歴史的勝利を熱望していた。しかし、第1ピリオドからゴールを決めることが出来ず苦しい展開に。ようやく第3ピリオドで早大のゴールネットを揺らすことが出来たが、反撃は許されず。決定力を欠き今年の春も黒星。冬でのリベンジを誓った。

 

63回早慶アイスホッケー定期戦

2016513日(土)1630F.O. @新横浜スケートセンター

慶應義塾大学3-7早稲田大学

 

Period

1

2

3

Score

慶大

0(6)

0(5)

3(15)

3(26)

早大

2(13)

1(17)

4(6)

7(36)

()内はシュート数

 

 

旗手を務めた運上雄基(総1・埼玉栄高)

 「今年こそは――」。慶大の勝利を望む多くの人はここ数年この言葉を口にしてきた。そしてその言葉は現実になりそうだった。4月に行われた秩父宮杯第65回関東大学アイスホッケー選手権大会の3回戦で宿敵早稲田と激突し、公式戦では42年ぶりに勝利。周囲の期待が高まるなかで迎えた第63回早慶アイスホッケー定期戦だったが、序盤から出鼻をくじかれる展開となる。

 

序盤から点を追う展開に

 試合開始からわずか30秒で安藤直哉主将(政4・慶應義塾高)がペナルティーにより2分間の退場。早速ひとり少ない状況となってしまう。冬に続きスタメンでゴールマウスを守る小池丈二(経2・浦和高)が好セーブ、長谷川真之介(政2・慶應義塾高)が体を張った守備を見せるなど、何とか2分間のキルプレーを凌ごうとする。点を入れさせまいと、耐える時間の中で奮闘したが先制を許してしまう。安藤の退場が残り13秒となったとき、左サイドから守備を崩された。7分には右サイドからダイレクトで決められてしまい2点を追う展開になる。攻撃の場面もあったが最後の得点まで結びつかず、早大の素早い攻撃を前にDF陣は苦しめられた。焦りからか、17分に長谷川が、18分には安藤がペナルティーにより退場し、ふたりも少ないキルプレーとなってしまう。しかしここは何とか早大の攻撃を封じ切り、第1ピリオドは2失点に抑えた。

 

 第1ピリオド終了後にはスケート部フィギュア部門によるエキシビションが行われ、橋本將太(政3・慶應義塾高)が登場した。最初のジャンプで転倒するが、次のジャンプをしっかり決め大歓声が沸き起る。独特ながらも凛々しい演技で観客を魅了した。

凛々しい表情で演技する橋本

 

 第2ピリオドも我慢の時間が続くが、DF陣は果敢に早大の攻撃からゴールを守る。隙を突き、攻撃を仕掛ける動きも多く見られるようになってくる。3分、滝智弥(政3・慶應義塾高)が相手のパスをカットし、持ち前のハンドリングで早大の守備をかわす。ゴール左サイドにいた永田雅宗(総3・日光明峰高)にパスをするがタイミングが合わず、いい形でシュートまで持っていけない。反撃開始と思われたが、史習成リック(総3・駒大苫小牧高)が早大選手とのラフィング(乱暴な行為によるペナルティー)で退場。両チームともにひとりずつ少なくなった状況となったが、早大は動じることなく確実に決めてくる。9分、左サイドから痛い追加点を奪われ点差は3に。この後もパックを支配される時間が長くなり、シュートも簡単に打たせてもらえない。流れを作れず第2ピリオドも無得点に終わる。ここまでのシュート数は11。シュートも打たせてもらえないほど早大の守備は前回とは違った。

決定力不足が選手たちの焦りを誘う

 

 最終ピリオドで何とか逆転したい慶大。滝と安藤のコンビネーションなど攻撃が機能し始め、徐々に早大のゴールを脅かす。相手のペナルティーを誘い二度にわたるパワープレーも生み出し、得点のチャンスを迎える。そして7分に待望の1点が生まれる。阪本航大(環4・苫小牧東高)と瀧澤慎之督(経2・慶應義塾高)がゴール前までパックを運び、最後は田中陸(政2・慶應義塾高)が押し込んだ。ここで一気に点差を縮めたいところだったが、早大も攻撃の手を緩めない。慶大は1点目を決めた直後に、1分間で2失点を喫してしまう。点差は4点とさらに開いてしまったが押される展開の中でもシュートを量産し、反撃を試みる。15分、十文字開紀(商2・八戸高)が相手ゴーリーの肩口に鮮やかなシュート2得点目を決める。勢いのまま、慶大はゴーリーをベンチに戻し一か八かの6人攻撃に乗り出す。18分には長谷川がこぼれたパックに反応。ゴーリーの頭上を越え、パックは相手ゴールに突き刺さった。6人攻撃が成功かのように思えたが、この作戦が裏目に出る。試合終了30秒前と5秒前に無人のゴールに難なく決められてしまい、点差は縮まることなくタイムアップ。猛攻及ばず、悔しさが残る敗戦となった。

待望の得点で歓喜する選手たち

 

 「今シーズンは3ピリに自信を持っている」と安藤は語る。確かに第3ピリオドは決して悪い内容でなかったが、流れを最後まで引き寄せられなかった。ただ今の慶大の状態は春のトーナメントからもわかるように非常に良い雰囲気であることは間違いない。「スコアリング」など、今回の早慶戦で見えた課題をそれぞれ個人としてももちろんだがチームとして強化していけば、間違いなく慶大のアイスホッケー部は強くなり「今年は混戦が予想されている」(安藤)秋季リーグ戦も面白くなる。スケート部ホッケー部門の1年は始まったばかりだ。

 

(記事 椙本彩愛)

 

試合後コメント

 

安藤直哉主将(政4・慶應義塾高)

(今日の試合を振り返って)本当に悔しいですが、このような舞台で力を出しきれなかったのも今の私たちの実力不足だと思っています。流れを取り戻せるシーンはいくつかありましたが、仕留めきれず結果的に自滅してしまいました。個人的にも満足いくプレーができずさらに努力が必要だと感じました。(早大の印象)速攻が速いので素早いプレッシャーを心がけました。3週間前の試合ではあまりガツガツ来ないイメージでしたが、修正してくるところはさすが早稲田だなと思います。(春のトーナメントからあまり時間が経っていないなかでの早慶戦となったが、この期間で強化したことなどは)トーナメントではキルプレーでの失点が半分以上だったので、特にセットプレーには力を入れて練習しました。結果的にパワープレーや6人攻撃では得点できましたが、キルプレーでの失点を防ぐことができませんでした。(試合前選手たちに伝えたことは)とにかく、ここ数年では最も良い春のシーズンを送れていると思うので、今年こそは歴史を変えたいという思いは伝えていました。なので気持ちが入っていない選手は誰一人いなかったと思います。(第1、第2ピリオドは厳しい時間だったのでは)チャンスがいくつかありながら決めきることができず、もったいなかったと思います。ただそれも含めての実力だと思いますし、今後スコアリングは一つの課題だと思います。ただ今シーズンは3ピリに自信を持っているので焦りはあまりありませんでした。(第3ピリオド、特に試合終盤はかなり積極的に攻めていったが流れを掴んだ瞬間はどこか)良い時間で1点目を取ることができたところはひとつ鍵だったと思います。ただその後のシフトで失点しまったところが後に大きく響いてしまったと思います。春は全試合通して試合終盤のプレーはかなり積極的になっているので体力面も含めてそこは収穫だったと思います。(ゴールした選手が全て2年生でかなり下の層も厚くなってきていると思うが、その点に関して主将としてどう感じるか)良いことだと思います。昨年は得点力不足が大きな課題だった中で、今年はどのセットからでも得点が狙える雰囲気はできてきていると思います。強いて言えば僕と滝と十文字の第一セットは上級生が多いセットなので、チームの看板セットとしてもう少し得点はとれると思うので頑張らないといけないですね。(今後の目標)次のターゲットは秋のリーグ戦です。ここ2年間は最下位で苦しいシーズンですが、今年は混戦が予想されているので、どうなるかは本当に私たちの取り組み次第だと思います。具体的には勝ち点20を目標に、一戦ずつ大事に戦っていきたいと思います。

 

十文字開紀(商2・八戸高)

(今日の試合を振り返って)まず先制された時間帯とか、得点後の1シフト目とか悪い時間で失点してしまったということ。そこが、最後まで流れを引き寄せられなかった原因の1つかなと思っています。(第1、第2ピリオドで得点することができず、かなり厳しい時間が続いたと思うが流れを作れなかった原因は)今日はみんなで体に当たるのをゲームプランとしてやっていて、そこは実行できたんですけどパックを前線に送ることとか、最後シュートを決めきるところとかが足りてなかったので、チャンスは多かったんですけど、そこを決めきれないところから流れが悪くなってしまったんだと思います。(決定力が欠けていたというところも原因の一つか)はい。(今日得点を決めたのが全員2年生だったが、2年目でかなり良い学年になってきているのか)僕ら3人(十文字、田中陸、長谷川)は1番最初の1年生の時の公式戦も同じところで決めているので、何か縁があるのかもしれないですけど、良いライバルとしてFWなのですごくいい学年になってきていると思います。(今日の早慶戦から見えた課題は)僕自身はパワーとかスピードとかそういう面でもっともっとレベルアップしていかないと、慶應の中の練習だけじゃやっぱり足りないし、色んな相手に対応していかないといけないので、もっとスピードだったり、体で当たりに行くということを強化していきたいと思います。レベルアップしていきたいと思います。(応援してくださった方々に向けて)今日は本当に僕自身新横浜での早慶戦が初めてだったので、声援の大きさに本当に驚きました。その声援の中で勝ちきれなかったのは残念ですけど、もっともっと僕らがいい試合をして、アイスホッケーの良さとかをもっとたくさんの方に知ってもらいたいので、今度の早慶戦は冬になるんですけど、歴史的勝利を収めて、アイスホッケーの良さを広められたらなと思います。

 

長谷川真之介(政2・慶應義塾高)

(今日の試合を振り返って)前回勝ってたので、勝ちたいという気持ちが強すぎて、1ピリ空回りしてしまって、足動かそうって言ってたのも結局できなくて、自分たちで反則してしまって2点先行されてしまうという自滅って形になっちゃったので、ちょっと勿体なかったなという感じの試合でした。(今季リーグの早稲田戦での勝利を受けて定期戦をどんな気持ちで迎えたか)前回勝ったの自体42年ぶりだったんで、相当嬉しかったんですけど、気持ちは入れ替えて、早慶戦で勝つのとトーナメントで勝つのはまた別っていう、僕らも早慶戦は特別な思いだったので。ただ一回勝っただけでちょっと気負いすぎたかなっていう感じではありますね。(3点目のゴールシーンを振り返って)あの試合もう5-2で残り3分切ってたので、もう6人攻撃で仕掛けて取るしかなかったので、早稲田がすごい(安藤)直哉さんとか滝さんとかにマーク付いててて、自分が空いてるのわかってたので、練習通り。慶應はすごい6人攻撃が強いので毎回成功してるんで、成功するだろうなとは思ったんですけど、自分が決めてやるっていう思いで打ったので、とりあえず入って良かったなって感じでしたね。(今後に向けて)とりあえず春シーズンがこの早慶戦で終わってしまったので、春トーナメントも早慶戦も自分たちのやりたいことは何もできなかったので、とりあえず秋シーズンに向けて、サマーカップが苫小牧であるのでしっかり結果残して、夏のトロント遠征ではしっかり自分たちのレベルを最大限まで上げて、秋リーグはとにかく去年のような入れ替え戦に回るような真似はしたくないですし、4位以上はマストで入って、インカレも優勝目指してやって、最後はまた早慶戦絶対に勝って4年生を笑顔で卒業させてあげたいなと思います。

 

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