リーグ戦も第3節を迎え、折り返し地点に差し掛かった。いまだ白星を獲得しておらず厳しい状況が続く慶大は、昨年まで1部に在籍していた法大に終始圧倒される。それでもライトフライ級の桑満隆生(文1・慶應義塾)やライトウェルター級の森瑞季(経3・福島成蹊)らが熱戦を繰り広げ、敗れはしたものの判定まで持ち込んだ。結果は7戦全敗だったものの、格上校相手に気迫のこもったファイトを見せた。
2017年6月10日(土)
第70回関東大学ボクシングリーグ戦 vs法政大@後楽園ホール
階級 | 勝敗 | 慶大選手名 |
| 相手選手名 |
LF | ● | 桑満隆生(文1・慶應義塾) | 2-3(27-30,29-28,29-30,27-30,29-28)
| 田中佳斗
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F | ● | 宮内龍ノ介(法3 ・慶應湘南藤沢) | RSC 1R 3分3秒
| 大橋洸
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B | ● | 矢野健太郎(理3・西大和) | ABD 1R 2分2秒
| 鈴木魁人
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L | ● | 江嵜歩人(法2・開智) | 0-5(27-30,27-30,27-30,27-30,26-30) | 黒田虎之介
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LW | ● | 森瑞季(経3・福島成蹊) | 0-5(26-29,28-30,24-30,27-28,27-28) | 中原隆太朗 |
W | ● | 北岡秀石(経1・清風) | 0-3(28-28.26-30,28-28,27-29,26-30)
| 河津光貴
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M | ● | 小屋慶彦(理4・甲陽学院) | RSC 2R 2分22秒
| 森脇唯人
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第1試合 ライトフライ級 桑満隆生(文1・慶應義塾)
今試合が大学デビュー戦となる桑満が先陣を切った。試合序盤から軽快なフットワークで勢いよくフックを打ち込み、果敢に攻める。しかし相手の反撃に遭い、初回からダウンを奪われる。2Rではしっかり立て直し、「前で右をちゃんと当てて、自分の持ち味の左を最後に決めるというイメージを持っていました」との言葉通り、相手の防御の隙を狙って左ストレートやボディを放つ。3Rも存分に持ち味を発揮したが、手数で相手を上回ることができず。惜しくも2-3で判定負けとなった。
第2試合 フライ級 宮内龍ノ介(法3・慶應湘南藤沢)
昨季軽量級の主力として活躍した宮内が、今季リーグ戦初出場を果たした。1R、序盤から打ち合いの展開になる。宮内は頭を大きく振りつつジャブを挟んで攻撃のチャンスをうかがうが、1R終盤立て続けに2回ダウンを奪われ、無念のRSC負けとなった。
第3試合 バンタム級 矢野健太郎(理3・西大和)
1R序盤から重いパンチを次々に撃ち込まれ、早々に試合の主導権を握られてしまう。2度のダウンを奪われ、ABD負けを喫した。
第4試合 ライト級 江嵜歩人(法2・開智)
全日本8位の強豪選手を相手に迎えた。1R、積極的にストレートを放って攻撃してくる相手に対し、身長差を活かして巧みに避け、ブロックの空いたボディを中心に攻めこむ。だが2Rになり、相手の力強い打撃が入り始めると、以降は守戦一方。ランカー相手に3Rを戦い抜いたが、惜しくも判定で敗れた。「相手には及ばなかったですけど、学ぶことの多い試合になりました」。最後は爽やかな表情でリングを降りた。
第5試合 ライトウェルター級 森瑞季(経3・福島成蹊)
1R、ゴングが鳴った直後から、気持ちを前面に押し出した強気のスタイルで攻め込む。力強いワンツーを放ち、ダメージを着実に積み重ねていく。2R、相手もペースを上げ、パンチをもらう場面が多くなるが、森も負けじと応戦する。ここまで順調に試合を運んでいた森。だが3Rは相手が完全にペースを支配し、残り時間わずかのところでダウンを奪われてしまった。「(相手選手に対し)キャプテンを務めるだけあって、最後の最後で上手だった」と悔しがった森。惜しくも判定で敗れた。
第6試合 ウェルター級 北岡秀石(経1・清風)
今日が後楽園デビューの北岡。1R、お互いに様子を見ながらストレートを狙う場面が多く見られ、会場に張り詰めた空気が漂う。2Rでも駆け引きが続き互角の戦いを繰り広げる。両者決め手を欠き、判定に持ち込まれたものの、手数で上回った相手に軍配が上がった。試合後には「相手が手数を出してきて、(自分は)ちょっと大振りに行きすぎた」と反省。それでも「今度から細かいパンチの手数を増やしていって、しっかり相手の攻撃をブロッキングすることを意識していきたい」とまた前を向いた。
第7試合 ミドル級 小屋慶彦(理4・甲陽学院)
全日本9位の選手との対戦。1R、序盤から相手の鋭い左ジャブが小屋を襲う。距離を取りつつ時折パンチを返すが、巧みなブロッキングに阻まれる。2R、少しずつ間合いを掴み始めた小屋が効果打を放つ場面も見られたが、相手の強烈な右フックに沈み、RSC負けとなった。
今回も戦前から厳しい戦いが予想されていたが、強豪校相手に4階級が3Rまで戦い抜き、リーグ戦を通じて着実に成長を遂げている様子がうかがえた。特に今回後楽園デビューを果たした1年生2人が堂々とした試合を見せたことは、今後に向けて大きな収穫だ。
リーグ戦も折り返し地点を迎え、残り2試合。ここからは絶対に負けられない試合が続く。次戦の相手は専修大。昨年のリーグ戦では慶大が勝利しており、勝機は十分にある。慶大の掲げる「気持ちのボクシング」で、今度こそ念願の初白星を獲得してほしい。
(記事:佐野ちあき 写真:江島健生)
以下、選手コメント
桑満隆生(文1・慶應義塾)
(デビュー戦を迎えるにあたって準備してきたことは)とりあえず体重を落とすこと、そしてできるだけ場馴れをすることです。(リング上の雰囲気はどう感じたか)すごい声援でした。高校の部活でやっているのとは全然違って、大きい場所でやれて楽しかったです。(声援は聞こえましたか)あんまり聞こえなかったです(笑)。熱くなっちゃったので。(相手の印象は)堅実で隙がないという印象でした。はっきりとした弱点や逆に突出した部分が無かったので、やり辛い相手だなと。(そういった相手に対し、どのような試合プランを立てていたか)熱くならず冷静になることです。前で右をちゃんと当てて、自分の持ち味の左を最後に決めるというイメージを持っていました。自分では上手くそのあたりが出せたと思います。(結果としては判定負けとなってしまった)相手の方が慣れていたんだと思います。自分はプレッシャーに弱いので、メンタル面で負けてしまったという気はします。でも、2Rからは結構エンジンがかかってきて、強気でいけたと思います。次につながる良い経験になりました。(次戦に向けて)もっと自分らしい動きを出したいです。固くならずに、リラックスして打てるようになれれば良いと思います。あとは、見ていて楽しいボクシングをやりたいです。
江嵜歩人(法2・開智)
(今日の試合を振り返って)相手がランカーだったので、少し引け腰だったんですけど、良い勉強になったなと思います。(相手とは身長差があったが)自分は160cmなので、誰とやってもそうなってしまうんですけど、いつも通り試合をしようとしました。(相手選手の印象は)ランカーで経験がある分、上手いなと感じました。やっぱりボディとかも手打ちにならないで、しっかり腰を使って打ってるところとか個人的に勉強になりました。相手には及ばなかったですけど、学ぶことの多い試合になりました。(試合中ボディを狙う場面が多かったが)身長差があるので、上からではなく、下から放り込むように打つのが自分のスタイルなので、今日もそれが出せたと思います。(惜しくも判定負けでしたが、試合後には笑顔もみられました)終わったあとに完全に負けた顔をするのは悔しいので、めっちゃ苦しかったけど爽やかでいようとしています。やせ我慢みたいな感じですね。(次戦に向けて)まだ未勝利で、これで3連敗になっちゃったので、とりあえず1勝したいです。それに向けて、先輩方や同期と切磋琢磨して自分の能力をより一層上げていきたいなと思います。
森瑞季(経3・福島成蹊)
(今日の試合プランは)技術で闘えば絶対相手選手の方が上手いので、インファイターであったかつての先輩である三浦三四郎選手(2015年卒)のように、泥臭く、相手が嫌がるような自分のボクシングをしようと心掛けました。(相手選手の印象は)疲れ方は自分と同じ程度でしたが、攻め方や、要所要所でポイントが取れるところは取って、最後の最後でまとめるというやり方が自分より上手かったと思います。(序盤優勢だったものの相手選手が後半に盛り返しました)元々スタミナが無いので、相手のボクシングをさせないよう1,2Rで攻めて、3Rは凌ぐというやり方でいつもやっていましたが、相手選手はキャプテンを務めるだけあって最後の最後で上手だったなと思います。(次の試合に向けて)今のボクシングのまま、2Rまでは続けられるよう、間は短いですがしっかり練習したいと思います。
北岡秀石(経1・清風)
(惜しくも判定負けに終わりました。試合を振り返って)反省点はいっぱいあって、ちょっと大振りに行き過ぎたと思ったので、今度から細かいパンチの手数を増やしていって、しっかり相手の攻撃をブロッキングすることを意識していきたいです。おそらくまたやる相手だと思うので、そのときには勝てるように頑張りたいと思います。(今日がリーグ戦でのデビューとのことでしたが、どのような思いで臨みましたか)初後楽園のデビュー戦で勝利したかったんですけど、できなかったです。勝機は全然あった相手だったと思うので、そこは自分でもうちょっと練習方法を見直さないといけないところがあるのかなと思いました。(後楽園ホールでやる試合はどうでしたか)最初緊張したんですけど、いつもの試合とそこまで変わるわけではなくて、1.2倍ぐらいかなあと。緊張度で言ったら。それぐらいだったんですけど、試合後感じたのはここで勝ったらすごく気持ち良かったんだろうなということですね。観客がいっぱいいるので。たとえ判定でも嬉しいだろうなと感じましたし、KO・TKOならもっとそうなんだろうなと思ったので、次後楽園に立つときは勝てるように頑張りたいと思います。その気持ち良さを味わいたいです。(相手の印象は)以前にもやったことがあって、そのときの印象で言ったらお互い手数は少なかったんですけど、今回は僕に比べて相手が手数を出してきて、そこを相手が矯正してきたのかなと思います。(これからの大学4年間でどんなボクサーに成長していきたいですか)僕が卒業して5年後、10年後とかに、こんな強い人がいたよと言われるようなボクサーになりたいです。年後、10年後とかに、こんな強い人がいたよと言われるようなボクサーになりたいです。