全関東学生弓道選手権大会から一週間が経ち、迎えた第29回全国大学弓道選抜大会。6月24日25日、今年も明治神宮中央道場で開催された。昨年は予選敗退で悔しい結果に終わった今大会、昨年に続きメンバーに選ばれた3年生2人と新たにメンバーに加わった2年生とで今年こそはと強い気持ちで挑んだ。惜しくも1本の差で決勝トーナメント1回戦敗退となったが、チームの成長が着実に結果に表れている。この悔しさを胸に8月のインカレに向けて再スタートをきる。
第29回全国大学弓道選抜大会
6月24日(土)、25日(日)@全日本弓道連盟中央道場
ポジション | 選手名 | 予選 | 1回戦 |
大前(おおまえ) | 湯浅汐里(環3・東洋英和女学院) | 4 | 4 ○ |
中 | 西紗綾(経2・慶應女子) | 1 | 1 × |
落(おち) | 岡本茉莉子(経3・フェリス女学院) | 3 | 3 ○ |
合計 | 8 | 8 2 | |
対戦校 | 関西大 | ||
計 | 8 3 |
※1回の試合で各選手4本矢を放つ。女子団体は3人で構成され、予選では計12本のうち上位16チームが翌日行われる決勝トーナメント戦へ勝ち進む。
トーナメントは2チームが同時に矢を放ち始め、計12本のうち的に中(あた)った本数の多いチームが勝ち進む。的中数が並んだ場合は、各自1本の計3本からなる一本競射が繰り返される。
予選はあいにくの雨の中行われた。雨の滴る音と共に、選手の緊張感が静寂な雰囲気と共に客席に伝わってくる。大学の大会では唯一の、全日本弓道連盟主催の大会だ。明治神宮の境内にある道場で、全関東とは違い応援の掛け声も禁止される。後日行われた決勝トーナメントは、予選とは打って変わった快晴で太陽が選手たちを出迎えた。関東のみならず全国各地のリーグを代表する強豪校が集まり、頂点を目指した熱い戦いを繰り広げる。
昨年の予選敗退から一年。主力としてチームを引っ張っていた陣内選手が引退し、1年前は初出場であった湯浅(環3)と岡本(経3)は新たに後輩を引っ張る立場となりリベンジに挑む。大前湯浅の堂々とした射は大初矢を的に射止める。しかし後続の2人はその中りを繋ぐことができない。不安を抱えた状態で迎えた2本目、ここで終わっていられないという三人の強い気持ちは全的中へ導いた。調子を取り戻し良い流れで迎えた3本目、湯浅と岡本は粘りを見せ後半2本とも的中、湯浅は堂々と4本皆中を記録し計12射8中で予選を通過した。
翌日26日、自分のやるべきことをしっかりやろう、と冷静な心持ちで挑んだ決勝トーナメント戦一回戦の相手は前日12射8中の関西大。今年からメンバー入りした西(経2)が初矢を抜いてしまうも、前半は6射5中で好スタートをきる。しかし後半、大前湯浅が的中するも後続が倒れ、予選と同じ12射8中で相手校と同中。勝敗は競射に持ち越された。緊張感漂う中、ここで力の差を見せつけられる。両校大前が的中し残り二人に勝負が託されると、中の西の矢が惜しくも的を外れる。一方関西大は見事に皆中を記録し、1本の差で慶大の敗退という結果に終わった。
「人の成長という部分ではすごくよかった」。試合を振り返り越後監督はこう語る。昨年度予選敗退という悔しさは、この一年間で選手を大きく成長させた。しかしこの成長は結果で見せられなければ意味がない。「普段はしっかり中てられるが試合になると萎縮をしてしまうという精神面の部分で弱い部分がまだある」(越後監督)、「緊張に弱い」(湯浅選手)、とそれぞれが分析するように、最後に1本競射で緊張に打ち勝つことができなかった。全員中てる技術はある、あとはいかに練習通りの射を試合で再現できるのかがポイントになってくるのだろう。次なる戦いは8月に神戸で行われるインカレ。ここで全国優勝すれば王座決定戦出場を果たすことができる。王座優勝のためにはもう負けは許されない。王座に向けさらに成長を遂げた女子弓術部がこの夏、最後のリベンジに挑む。
(記事・写真 國分萌々子)
監督・選手コメント
越後雅之監督
(今大会を振り返って)特に三年生は、今まで大きな試合でなかなか結果が出ていなかったような選手がこういった大会できちんと結果を出している、そういう人の成長という部分ではすごくよかったなと思います。まだまだチームが若いというところもあり、普段はしっかり中てられるが試合になると萎縮をしてしまうという精神面の部分で弱い部分がまだあるのでそこは今後の課題なのかなと思います。(先週の全関東の試合の結果を受けてどのようなことを改善しようと心がけましたか)全関東のときも含め、試合も続いていて基本が崩れている選手が多くいました。もう一回基本を立て直そうということを心がけました。(昨年から出場している3年生お二人と、今年から新たにメンバーに加わった2年生から構成されたチームでしたが、メンバー構成についてはいかがですか)今現状のうちのチームのベスト4です。やはり試合で自分の力を発揮できる精神力であったり、射型を含めしっかりひけている選手たちですのでそういう点で選ばれている4人はベスト4なので彼女たちが軸になっていくのではないかと思います。(今後の女子チームに期待したいことは何ですか)やはり大きな課題として、これだけ大きな試合があったり試合ごとに多少崩れて1週間ごとの試合に耐えられる体力や射型がまだまだ出来上がっていないのでやはり理想としては、あるべき射をきちんと頭の中で作ってあげてずれているところを1週間以内にしっかり調整していく、という練習方法を含め、短いスパンできちんとした数字が出せるような選手になってもらいたいなと思います。(今後に向けて意気込みを聞かせてください)選手がこれだけ育ってきているということもあり、去年以上に強くなってきていると思うのでこの勢いを閉ざさずにチーム全員で優勝目指して次の試合頑張っていきたいなと思います。
湯浅汐里(環3)
(今大会を振り返って)皆緊張していたと思いますがその時にきちんと振り返られる射で、突然射が悪化してしまって抜いた矢というよりかは、いつも通りひいて抜いてしまった矢が多くてそこが次に活かせる試合を経験することができたというのは良かった点だと思います。初矢やトメが春シーズン弱くて、それが緊張に弱いからというのはあるかもしれないですがそこを乗り越えていかないとこれからのシーズンは厳しいかな、という点がこれからの問題点だと思います。(予選の結果を踏まえて決勝はどのような点を改善しようと心がけましたか)個人的には、予選の感触はそこまで悪くなかったのでそれをそのままポイントを確認して、あとはゆっくり休もうと思っていました。チームとしては、リラックスをして、自分のやるべきことがしっかりできるような雰囲気づくりに重点を置いてみました。しかしどこが、緊張しているという面でまだ準備不足だったかなと思います。ただ雰囲気としては予選を終えて悪かったというわけではなかったので、これからのシーズンにももう少し活用できたらなと思います。(昨年も今大会に出場されていましたが、一年間どのような思いでどのようなことを心がけて練習してきましたか)昨年は予選敗退という結果に終わってしまったので悔しい気持ちで練習してきました。さらに秋シーズンにはⅡ部に降格してしまったので、昨年は常に悔しい気持ちでいました。今年は先輩が引退されて自分がきちんとチームを引っ張っていかなければならないのだと思いながら責任をもって練習してきました。昨年の結果などを振り返ると辛いと思うことも多々ありましたが、試合に出させていただいていることと、これまでの経験というものを大事にして、必ず勝つつもりで練習をしてきました。(今大会、1本も抜かず皆中という結果でした。自身を100点満点で表すなら?)…90点くらいかなと思います。少し高評価になってしまいますが、自分の良かった点としては練習での調子はそこまでよくなかったものの、きちんとポイントがあってそれをやり切って自分の思い通りに的に中ったので、試合できちんとやることをやり切れたという気持ちです。残りの10点は、「安心感を与える大前になりたい」という目標があるのでそこがまだ足りていない部分があったかなと思います。(今後に向けて意気込みを聞かせてください)次の大きな試合はインカレになるのですが、やはり春シーズン予選は通過していて昨年よりは調子がいいと思うので、この波に乗って次はこの悔しさをばねにして、インカレは王座へつながる唯一の道なので優勝目指して頑張っていきたいと思います。