まさに全員で勝ち取った1勝だ。リーグ最終戦となった5-6位決定戦の防衛大戦。前後半通して終始慶大が主導権を握り、防衛大を圧倒した。前半2分、獲得したPCで三宅美紅(経3)が2試合連続ゴールを叩きこみ先制。その後も2点を加え、3点リードで前半を折り返す。後半も勢いは止まらない。8分の雑賀水紀(経3)の得点を皮切りに3点を追加。6点全てを違う選手が決める圧勝で、TEAM2017は秋季リーグを5位で終えた。
平成29年関東学生ホッケー秋季リーグ 5-6位決定戦
11/19(日) 11:15試合開始 @駿河台大学ホッケー場
前半 | 後半 | 合計 | |
慶大 | 3 | 3 | 6 |
防衛大 | 0 | 0 | 0 |
スタメン
GK 大野結花(商4)
DF 花島夏紀(文4)、三宅美紅(経3)、茂木みな美(経4)、皆川真裕子(文4)
MF 荒川理佳子(経3)、石田怜子(文4)、山崎ほのか(商3)
FW 高橋夏苗(文4)、戸張佳子(経3)、雑賀水紀(経3)
秋季リーグ最終戦となった防衛大戦。勝って5位を守りきり、ラストを飾りたいところだ。相手の防衛大とはプール第2戦で当たっており、5-0で下している。目標とする大量得点での勝利となるか。
前戦では立ち上がりに苦しんだ慶大だったが、この試合ではいきなり主導権を握る。2分、PCを獲得すると、前の試合でも先制点を奪った三宅がこの日も豪快に叩き込んだ。幸先よく先制に成功。その後も慶大は攻撃の手を緩めず、立て続けに相手ゴールへ攻め寄る。すると14分、三宅のドリブルから山崎ほのか(商3)にパスが渡り、山崎のシュートが相手DFに当たってそのままゴールへ。追加点を奪う。しかし、17分思わぬ事態が。慶大が獲得したPCからのプレーで、高橋夏苗(文4)の顔にボールが当たり負傷交代。ここまで最前線で体を張ってきた副将が試合から退く。だが、それをカバーできるのが今の慶大。「ばたつくかなと思いましたが、緊張感を持ちながらも練習の成果を出してくれました。」と吉貴監督が語るように、残った選手が高橋の思いも胸に躍動する。中盤には何度か自陣ゴールに詰め寄られるがGK大野結花(商4)のキックセーブなどで凌ぐ。無失点のまま、28分にPCを獲得。ここで三宅のシュートに石田怜子(文4)がタッチで合わせ3点目を奪った。力の差を見せつけ、3点のリードで前半を折り返す。
後半も勢いは止まらない。7分、山崎が左サイドからサークル内へ侵入。やや高めに浮いたパスに雑賀が空中で合わせてゴールへ。相手GKが立ち尽くしてしまうほどの巧みな連係プレーだった。その後しばらくは自陣での時間が続いたが、「サークルインされないように前の方で(ボールを)取れていた」(茂木みな美=経4)ことで、決定的なチャンスは作らせない。終盤に差し掛かると再び慶大が相手陣でのプレーを展開。23分には荒川理佳子(経3)のシュートのこぼれ球を戸張佳子(経3)が押し込み、リードを5点にする。さらに29分には、ロングパスを最前線で受けた下温湯瑞貴(商3)がGKとの1対1を見事にかわし6点目。その後も得点こそなかったが防衛大を圧倒し、リーグ最終戦を大量6得点で飾った。
春との違いも見えた一戦だった。春は4年が得点し4年が中心となって守る、そんなチームだった。だがこの試合、6得点中5得点は3年が奪ったものであり、5点を挙げたのは全て別の選手。守備でもPCを相手に一度も与えず、4年中心のDF陣含めた全員が相手にプレッシャーを与え続けた。1年と2年も積極的な攻撃参加が見られ、来年チームを支えていく下級生の成長も著しく感じられただろう。もちろんこれは4年が示してきたものが形となって現れたものであり、彼女たちも来年に向けて安心感を得たのではないだろうか。
今年のチームスローガンである『全員戦力』。この言葉の下に試合を重ね、レギュラー陣だけでなく、ベンチ外の選手、マネージャー、指導陣、チームに関わる全員が勝利に不可欠な戦力になった。結果からすればチーム目標である「関東1部リーグ上位」と「打倒早稲田」を果たすことはできなかった。その悔しさももちろんあるだろう。しかし、彼女たちが今年得たものはそれ以上に価値がある固い絆だ。必ずこの絆は来季の飛躍への足掛かりとなる。最も大切なものを手に入れた慶大ホッケー部女子。これからも“全員”で戦い続ける。
(記事:重川航太朗/写真:津田侑奈)
◎関東学生ホッケー秋季リーグ 最終順位
1位 | 山梨学院大学(47季連続47度目) |
2位 | 東京農業大学 |
3位 | 駿河台大学 |
4位 | 早稲田大学 |
5位 | 慶應義塾大学 |
6位 | 防衛大学校 |
7位 | 成城大学(入れ替え戦へ) |
8位 | 立教大学(入れ替え戦へ) |
以下、コメント
吉貴菜津子監督
(今日の試合を振り返って)落ち着いて力の差をはっきりとできたのが良かったです。前後半一緒の点が取れて、ずっと力を出し切れたと思います。(今日はPCを一度も与えませんでした)そうですね。でも、攻め込まれている場面もあって怖いなと思うときもありました。それでも、しっかり守り切ってくれたなと思います。(攻撃陣はPCでもフィールドゴールでも得点を決めました)今日は山崎がチャンスを作ってくれて、シュートも打っていたしPCも取ってくれたし、良かったです。3年生が活躍していた試合だったと思います。副将の高橋がけがで退場してしまって、ばたつくかなと思いましたが、緊張感を持ちながらも練習の成果を出してくれました。(5位で終えた今季を振り返って)言ってしまえば、ある意味順当な結果だとは思います。ですが、本当にこのチームで上位にいけるポテンシャルがあったと思うので、指導陣含めてまだまだできた部分があったと思うと、悔しいです。(今年のチームはどういったチームでしたか)まず物理的に人数が多かったです。練習でチームを分けてやったのは初めてでしたし、チーム運営上4年生に負担があったと思います。選手たちもいろんな気持ちがあったと思いますが、気持ちを一つにやってくれたので良かったと思います。(引退する4年生には何を伝えたいですか)まずは、この1年お疲れ様というのが一つ。あとは、この後の学生生活を充実させてほしいということと、社会人になって輝いてほしいと思います。(下級生に向けて)今日は下級生が活躍をして、これからが楽しみだなと思うこともあるし、自分たちの代になることは大変だと思いますが、頑張ってほしいと思います。
大野結花主将(商4・田園調布学園)
(勝利して率直な今の気持ちを)TEAM2017の集大成として、6-0で勝ち切れたことがすごく良かったです。それでかつ、6点中5点を3年生が入れてくれて、支えを感じて幸せな試合でした。(今日の試合を振り返って)前半は結構足が止まっていて、アウトレットからの組み立てがうまくいかなかったんですけど、後半はMFも受けられるようになって、前後半で勢いを止めることなく攻撃を続けられたことは良かったと思います。(PCを一度も与えなかったDF陣の活躍はいかがでしたか)昨日はPCを何度か与えてしまったので、今日はしっかりとサークル外での勝負を徹底できていて、安定した守備ができていたと思います。(逆に今日の攻撃陣はいかがでしたか)終盤に足が止まってしまっていたんですけど、全体的にしっかりと足が動いていました。初めはパスが弱いのが気になっていましたが、後半はそれも修正されて、練習通りの組み立てもできていたし、とても良かったと思います。(来年GK候補である杉山選手についてはどう感じていますか)本人は結構不安がっていると思うんですけど、頼もしいゴールキーパーなので、自信を持ってやってほしいなと思います。(5位で終えた今季を振り返って)農大にも早稲田にも勝ちきることができなくて、1点の重みや一本の重みを感じたシーズンでした。でも、勝てるという手応えがあったので、来年につながると思います。(4年間のホッケー生活を振り返って)正直4年が一番しんどい時期ではあったんですけど、たくさんの仲間に支えられて、もう一回人生をやり直すとしてもホッケー部に入りたいなと思うくらい、幸せな4年間でした。(同期に伝えたいことは)自由な主将でたくさんの迷惑をかけたと思うんですけど、いつでもちゃんと付いてきてくれて、優しい同期でした。ありがとうの一言に尽きます。(残っていく下級生に向けて)今日の試合も含めて、下級生がチームを支えていたので、その代がメインとなるチームは楽しみですし、不安を抱えることなく自信を持って思い切りやってほしいと思います。
石田怜子(文4・東京学芸大附属)
(今日の勝利の感想は)6-0で勝つことができて、3年生もたくさん点を決めてくれたので、すごく良かったです。(今日のチームの雰囲気は)良い雰囲気で臨めたと思います。(今日の攻撃の手応えは)私はそれほどではなかったですが、ほかのFWや3年生が活躍してくれたので、すごく私としても落ち着いてできたかな、という部分が多かったです。(今シーズンを振り返って)MFとして試合に出させてもらったのですが、たくさん難しいこととかあって、自分自身悩んだ時期もありました。でも最後こういう風に終わることができて良かったと思います。(ホッケー部としての4年間はどうでしたか)ホッケー部に入って良かったなって思います。(後輩へのメッセージ)まずはこの1年間着いてきてくれて、そして支えてくれてすごく感謝しています。来年はもっともっと良いチームになると思うので、今年学んできたことを引き継ぎつつ、もっと良いチームを作っていってほしいなと思います。
茂木みなみ(経4・慶應女子)
(今日の勝利の感想は)前半3-0、後半3-0の6-0で両方ちゃんと点を入れることができて、下級生もしっかり点を入れていたので、『全員戦力』というスローガン通り、完勝できたかなと思います。(今日は相手にPCを取らせませんでしたが、昨日の反省は生かせましたか)前線でボールを取って、カウンターで攻め上がるのを、選手全員反省して、連係がしっかりできていたと思います。また、今日はちょっと危ないシーンも何回かはあったんですけど、敵陣でプレーする時間が長かったので良かったと思います。(今日のDFの手応えは)私たちは結構、攻めている時間が長い分、何本か敵がカウンターで攻めてきて、バタバタした状態で守備をするというのが、同格の相手と戦う時は多くなってしまうんですけど、今日はそこにしっかり対応できていました。焦らず、サークルインされないように前の方で(ボールを)取れていたのが良かったのかなと思います。(ホッケー部での4年間はどうでしたか)ホッケー部に入って良かったなって思うことが多くて、同期にも後輩にも、そして監督やコーチ陣にも恵まれて、すごく幸せな環境でホッケーというスポーツに出会えて、そのスポーツを楽しめたのが良かったかなと思います。(後輩へのメッセージ)早慶戦で負けてしまったのが、私の中ですごく悔いが残っているので、来年はしっかり勝ってリベンジしてほしいし、絶対良いチームになると思うので期待しています。