【ラグビー】仲宗根組始動特集①“先頭をゆく両雄”仲宗根健太×栗原大介(その2)

一人一人の頑張るエネルギーが集約されてチームのエネルギーになる

 

栗原の武器は他を圧倒する身体能力

――次に今年のスローガン「for」について伺います。まず、このスローガンはどのような経緯で決まったのでしょうか

仲宗根 去年まではチーム指針のようなスローガンはあったんですけど、精神的なスローガンが無かったので今年は作ろうと。ちょうど監督からのアイデアもあって作りました。全く何も無い状態から、みんながスローガンを出し合って「for」になりました。
栗原 みんなが「どういうチームを作りたいか」というのが先にあって、それに基づいて10個くらいが候補に挙がりました。そこから削っていったら3つ位になって、またみんなで話しあって「for」になりました。みんなが一丸になってやりたい、っていうチーム意識が表れたものだと思います。

 

――「for」の説明をお願いします

仲宗根 勝利のために、チームのために、自分がどうあるべきかを考えて行動しようという大前提がまずありまして。大学日本一を目指して蹴球部にいると思うんですけど、それぞれ何のためにやっているかは違うと思うんです。自分の行動一つ一つが、勝利のために、チームのために繋がっていきますし、マイナスのことをすればそれも「for」に繋がっていく。部員が160人と多い中で一人一人が「~~のために」を考えて行動しようということが「for」には込められています。

 

 

――仲宗根組はどのような集団を目指しますか

仲宗根 慶應として、ラグビーだけをやっているようじゃいけないと思います。4年生のミーティングでも挙がったんですけど、ラグビーでも大学日本一になるのはもちろんですけど、その他の規律などの内面的な部分も正していきたいと思います。
栗原 さすが。主将は違いますね。
仲宗根 ちょっと分かった?
一同 (笑)

――部員一人一人には何を求めますか

仲宗根 それはもちろん「for」ですね。160人だとバラバラになりがちになると思うんですけど、それでも「for」を心に秘めてやっていけば変な方向にはいかないと思いますし、必ず良い方向に持っていけると思います。
栗原 160人いる中で全員を管理して一気にやるのは難しいと思いますし、日記リレーにも書いたんですけど、去年、竜さん(竹本前主将)も言っていたんですけど、一人一人の頑張るエネルギーが集約されてチームのエネルギーになる。160人いたらそれだけ大きなエネルギーを生み出せるはずなので、一人一人が何のために頑張っているのかを考えながら前に進んでいってもらいたいです。考えて頑張ることを忘れないで欲しいです。

 

――田中監督の第一印象は

仲宗根 一個下の代は(慶應高で)田中さんに教えてもらっていた代なんですけど、僕の代はちょうど高校も入れ替わりで田中真一さんのことを何も知らかったんですよ。なので、第一印象は「どんな人なんだろう」という感じでしたね。
栗原 探り探りな感じの初対面でした。

 

――田中監督の指導の色や林前監督との違いは

栗原 田中さんはあまりコーチングはしていなくて、基本的に野澤さんが笛を吹いているんですけど。マットさん(林前監督)はトップリーグでもトップレベルのコーチングスキルを持っていて、理論的であったり理詰めしたものが多かったと思います。違いと言うと...
仲宗根 考えさせられる感じが多いですね。
栗原 そうだね。去年までは与えられる状態が多かったんですけど、今年は各々が考えることが多いですね。体育会の学生スポーツというのを意識していて、プロ集団じゃないんで、考えて得るものや学生時代でしか得ることのできないものがあるからそういうのを掴んでほしいというのが多いです。

 

――野澤HCはどんな方ですか
仲宗根 最初は恐かったんですけど、実際はすごく気さくで明るい方ですね。練習になると厳しいんですけど、オフになれば親しみやすいです。
栗原 野澤さんはまだ現役を引退して2、3年しか経っていなくて、練習中もものすごく強いHCです。異常な輝きを見せるHCです(笑)スキルを下してくれるので、すごく勉強になっています。

 

超高速ラグビー 

 
 

――今年目指すラグビーは

仲宗根 “超高速ラグビー”ですね。野澤さんが掲げてくれました。僕たちの要望を聞いてもらった時に、去年までのラグビーの中でFwdの強化をしたい、Bksも(実力が)落ちているので、そこも上げていきたいと話しました。そうしたら“超高速ラグビー”をやるぞ、と。
栗原 その超高速ラグビーをやるには、1v1で勝つことから始まるので、フィジカルのところで勝たないとしょうがないので、今はそこからやっていっています。なので、今はウエイトなんかのベース的な練習が多いです。

 

――お2人について伺います。お互いはどんなプレイヤーだと思いますか

栗原 出た、この展開。(ケイスポ取材で)あるんだよなー(笑)
仲宗根 栗原君は足の速さだったり、爆発的なものをもっています。LOなのにすごく走れますし、強いですね。1対1でも勝っていける選手だと思うので、すごく良い選手だと思います。
栗原 仲宗根は一発を狙うとかではなく、繰り返し突っ込んでいくタイプですね。トイメンだったら嫌な選手です。この体なので当然強いですし、CTBの中では大きい選手だと思います。Jr.選手権とかでも何回も(突っ込んで)いってラインブレイクもしていましたし。あとは、もうちょっとだけパス能力が上がればいいですね、ブレイクダウンも強いのでそこだけ伸びれば(笑)そうすれば慶應のラグビーの理想に近づきますし、完璧なんですけどね(笑)
仲宗根 上手くなっているつもりなんだけどね(苦笑)

 

――初めて会った時のことは覚えていますか

栗原 僕は覚えていますね。秋葉台球場っていうところでなんですけど。神奈川のベスト8の試合で、2人とも主将だったので、握手して、僕は「ジャパンの仲宗根だ」みたいな感じでした。向こうはベスト8くらいで通過点なんで、知らん顔みたいな。
仲宗根 僕は覚えていないですね(笑)
一同 (笑)
仲宗根 銀髪だったんですよ、栗原は。ありえないですよね。
栗原 (湘南高は)自由だったからさ。今やったら退部です。

 

――普段はお互いどんな感じですか

栗原 ロッキーを見せてくれる存在ですね。
仲宗根 全然分からないじゃん!
栗原 映画のロッキーがすごく好きで、僕は見たことがなかったので、今は1~5まで「見ろよ」って。今、五夜連続ロッキーです。
仲宗根 今日は3ですね。追って連絡するから(笑)クリはやっぱり頭が良い、って感じですね。良いぶっているのかは分からないですけど、難しそうな本を読んでいたりして、勉強家です。

 

――神奈川選抜の時の思いでなどは

栗原 泊まったところがプールとか、パターゴルフとかがついているところだったんですよ。
仲宗根 レジャーランドみたいな感じで。
栗原 国体中の練習は合わせるくらいですぐ終わるので、みんなで遊んでましたね。
仲宗根 一部屋で30人くらい一緒に寝たし、仲良かったよね。
栗原 ずっと遊んでいましたね、「勝っちゃった、勝っちゃった」って(笑)

 

――3日の募金活動はいかがでしたか

栗原 僕らの「for」ともつながるんですけど、僕らは今活動が縮小されているので何か被災地の方々に何かできることは無いか考えて、オール早慶明が無くなったこともあったので早慶明の三校で募金活動をすることになりました。あとは早稲田や明治の選手とはあまり話す機会もないので良い経験になりましたね。募金活動でも「頑張ってください」とか声を掛けてもらったりもして、本当に良い経験になりました。
仲宗根 2時間で140万円も寄付していただいたんですけど、一人一人の力だと小さいんですけど、一人一人の協力が大きな力を生むんだと感じました。

 

――春シーズンのチーム作りやどういった試合をしていきたいなどは

栗原 まだ、チームとしての練習はしていないので、野澤さんが思っていることとかを試していって、どうなるかですね。とりあえず、体を大きくしたり、ベース部分を固めることと、試合経験値積んでいきたいです。
仲宗根 チーム的には栗原が言った通りです。一人一人がチャンスの年だと思うので、チャレンジじゃないですけど、一人一人が自分のライバルに勝てるように部内での競争も激しくなればいいなと思っています。

 

――春の展望は

栗原 Fwd勝負のところはこだわっていくと思います。Fwdは1v1仕掛けていって、勝たなきゃいけないと。
仲宗根 Bksは、ボールを動かすのがBksだと思うので、Fwdに口うるさく言ったり指示して、慶應のラグビーを見失わないようにやっていきたいと思います。

――年間目標は

栗原 チームでまとまって、みんなで笑って終わりたいですね。
仲宗根 4年間も部活にいると、みんなのことがすごい好きというか、みんなで勝てばすごい嬉しいので、最後にみんなで勝って、楽しく終われたらいいと思います。

――新シーズンの抱負を

栗原 Fwdとして一人のプレイヤーとして、去年の終わり方を見てもFwdは春シーズン頑張らなくてはいけないと思います。練習でも試合でも勝負にこだわってやっていきたいですね。
仲宗根 僕が一番やらなければいけないと思っているので、練習でも試合でも誰よりも意欲的にやって成長していきたいです。 

――慶應のファンへメッセージを

栗原 今年は、最初は去年ほどの力は無いと思うんですけど、Fwdから盛り上げていって、去年悔しい思いをしたスクラムや接点のところを頑張って改善していくので、引き続き応援よろしくお願いします。
仲宗根 去年の4年生が抜けてしまったんですけど、慶應の低いタックルだったりボールを動かすラグビーは継続していくので、引き続き応援よろしくお願いします。

By Tomoki Kakizaki

左:栗原、右:仲宗根

 

仲宗根 健太(なかそね・けんた)
桐蔭学園高を経て、現在総合政策学部4年。名門で1年生時からレギュラーを務めた。各世代の日本代表に選出され、高校代表、U20代表では副将を務めた。高3時には主将として国体に出場。神奈川代表を日本一に導いた。ポジションはCTB/FB。1㍍80、92㌔

 

 栗原 大介(くりはら・だいすけ)
湘南高を経て、現在総合政策学部4年。入学時はNO8だったが2年時にLOにコンバート。50㍍走6秒0の快速を武器にレギュラーを掴んだ。高3時には仲宗根らと共に国体優勝を経験した。ポジションはLO/NO8。1㍍81、94㌔

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