現在、慶大バレー部は春季関東大学男子1部バレーボールリーグ戦を戦っている。昨年まで大黒柱として活躍した黒田彪斗(H30環卒・現FC東京)が卒業した今、「新・大黒柱」と期待されているのがマルキナシム(総3・川越東)だ。コートキャプテンを務めることもある慶大チームの中心人物を、リーグ開幕前に取材した。
マルキは富澤太凱(経3・慶應)とともにポイントゲッターとしての役割を果たし、常にチームを引っ張ってきた。スパイクを打つ時は、コース以外にも「レシーバーに当たっても弾いてやろう、くらいのつもりで打っている。」とその打力にこだわり、力強いプレーで周囲を圧倒する。「僕は祥樹さん(伊藤祥樹主将=総4・清風)みたいにはあまり声を掛けられないので、プレーで示すしかない」。――プレーで魅せる、そんな教え方もマルキらしい。
今年の慶大バレー部はチームスタイルを「サーブと攻撃」から「ディフェンスからの攻撃」にシフトした。チームとしては今、ブロックやサーブレシーブなどディフェンスの強化に注力している。マルキ自身は昨年、相手にサーブで徹底的に狙われることが多かった。「僕の特徴ってスパイクとかサーブだと思うんですけど、そっちばかり意識しないで、しっかりとしたパスを出したい」。現在、マルキの他にサーブレシーブを担っているのは、同じポジションの小出捺暉(環1・駿台学園)とリベロの永田将吾(総1・高松)の新入生2人。4月8日の対筑波大の試合後、マルキは「彼(小出)をのびのびやらせることが僕の仕事。」と語っている。卒業した黒田がそうだったように、自分も後輩を支えたい。マルキの意識は変化している。
今年から、伊藤主将の意向でミーティングの頻度が高まり、意見を交わす機会が増えた慶大。「トップダウンではなくボトムアップ。学年を問わず意見交換できているところが良い。」とマルキは語る。そのほかにも、自身のプレー動画を見て、上級生だけでなく下級生からもアドバイスを求めるというマルキ。技術向上にも余念が無い。
リーグ開幕以来、まだ白星を挙げられていない慶大バレー部。マルキ自身、得意とするサーブで不調の色が見られる。「今年のチームは僕と富澤がポイントゲッターだと思っている」。リーグ開幕前、まっすぐ前を向きながらこう語っていた。マルキの復活こそ、チームの勝利への一番の近道ではないだろうか。「己こそ己の寄る辺(=最終的に信じられるのは自分自身)」――中学時代に恩師からもらったというこの言葉を胸に、その存在感を1部リーグの舞台で存分に発揮する日はもうすぐそこに迫っている。
(記事:津田侑奈・藤澤薫)
◇連載企画◇ リレーインタビュー
先月取材した、清水柊吾(総2・広島城北)選手からの質問です。
——髪型へのこだわりを教えてください
ないです、全然。すごく適当です。大学に入ってからは、黒田さんの先輩が東京で美容師をやっているので、そこに行かせてもらっていて、とりあえず短くしてくださいとお任せしています。
◇プロフィール◇
マルキナシム
1997年7月27日生まれ/総合政策学部3年/川越東高/192cm/サイド
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