春季大会開幕前特集最後となる第4弾は2年からスタメンに定着し、チームの大黒柱であるSO古田京(医4・慶應)主将とLO辻雄康(文4・慶應)副将に現在のチームの状況について伺った。
——まず他己紹介をお願いします
古田:辻です。普通部から一緒にラグビーをしていて、特に高校時代からはチームリーダーになり、いろいろなことを話していて、その中でも一緒にまじめな話をした時間が一番長いです。プレーがすごいので頼りになります。
辻:フィールド上では誰よりも考えていて、ゲームを作ってくれるリーダーであり、精神的な支柱でもあります。どんな時でも勝とうとする姿勢が慶應を引っ張っていく力になっていると思います。普段から誰よりも勝ちたいという思いが強いです。頭の回転も速いですけど、それだけでなく、熱い心を持っている人なので、それがみんなを動かす力になっていると思います。
——どういう経緯で主将と副将になったか
古田:主将は同期で話し合って、投票で僕が選ばれました。その後、僕と金沢HCで話して副将やポジションリーダーを決めました。
——主将と副将は責任が多く、大変なポジションだが、やりがいは
辻:副将という立場でチームを引っ張らせてくれることに関して感謝をしています。副将なので自分が与える影響力というのが凄く大きいです。自分の役割を果たすというのではなく、果たすのが当たり前で、結果を出せるように自分が日々努力をしていかないと思います。まず自分が意識しているのはチームの精神的な支柱であるということと自分が努力する姿勢を見せなければいけないということです。だからそういう努力をしています。
古田:とにかく4年生全体的に言えることですが、少しの行動がチーム全体に広がると感じているので、少しさぼったプレーをするとみんなにそれが広がり、逆にいいトレーニングや姿勢を見せるとみんながついてきます。そういうところにやりがいを感じます。自分たちが本当に強い気持ちを持ってやろうとしたことがチーム全体に広がるので、それは一つのやりがいだと思います。
—— 主将と副将に就任したことによるご自身の変化は
古田:小さいことですが、自分のロッカーを凄くきれいにするようになりました。今年のシーズンで何が足りないかと考えたとき、ラグビー以外の小さな部分など、日常生活の部分が最後の2点差や3点差につながるという話をリーダーなどとしました。そのためロッカーをきれいにすることなど細かい部分に対する意識が変わりました。
辻:周りに目を配るというのは普段から心がけていたつもりでしたが、今年に入ってからもっとするようになったと思います。
——昨シーズンを振り返って
辻:昨シーズンは惜しいところで勝ちきれず、最後の試合にけがで途中退場してしまい、悔しい思いがあります。昨年のチームは実力があり、いいプレーのできる選手がいて、勝てるチームだったと思いますが、負けてしまったということはそれが自分たちの本当の実力であったと思うので、今シーズンはそういうことがないように普段から取り組んでいきたいです。
古田:自分も全く同じです。力はあったと思います。力はあったけど、勝てませんでした。だから、なぜ勝てなかったかをみんなで考えてやっています。
——昨シーズンで印象に残った試合
古田:負けた試合は全部ですね。早大戦、帝京大戦、大東大戦。負けた試合は昨シーズンを象徴するような試合であったと思います。
辻:個人的に嬉しかったのは明治に勝ったことです。明大相手に勝ち切れて自分たちの自信もつきました。そして、ずっと負けていた公式戦という舞台で最後まで自分たちの力を出し切り、2点差や3点差で勝ったのはいい経験になったと思います。逆に帝京の試合は2、3点差で負けましたが、そこの3点にはただの3点ではなく、凄く大きな差を感じました。そこの力の差を埋めたいです。
——帝京戦の2、3点差にはどういった要素が含まれているか
辻:全体としての勝ちへの執念、死んでも勝ち切るというプレーをもっと行動で表現する必要がありました。何があっても勝ち切るという気持ちがあったら、結果は違っていたと思います。だから、その気持ちをチーム全体に浸透させる必要があります。
古田:気持ちだけでなく、戦術的にも早大戦、大東大戦にも自分たちが考えている勝敗の分かれ目というのがあり、そういう部分も試合を重ねていく上でついてくるものだと思います。
——新チームの特徴は
辻:ラグビーで核になるポジションである2、5、8、9、10、15には下級生のときから試合に出ている選手が多いので、大きな強みだと思います。力のある選手も周りに多くて全体的に総合力の高いチームであると思います。
古田:逆にそれ以外の選手は試合経験が少ないので、春の緊張感のある試合を経験して、レベルアップしていく必要があると思います。
辻:古田が言うように核の選手や、ポテンシャルの高い選手が結構います。全員で作るチームを心掛けているので一人一人がリーダーになるようなチームにしていきたいです。そういう雰囲気作りを意識しています。あとは、勝ちに執着するという面で、最後まで残って練習するなどそのような文化を作るように意識しています。勝ちに対する執念はいつものチームより強いと思います。
弱みとしては層が薄いことです。試合経験が多い選手もいれば、そうでない選手もいます。そういう選手が経験を踏んでもっと強くなっていってほしいです。
——選手層を厚くするためにしている取り組みは
辻:とにかくただ練習あるのみという感じですね。スキルに差があるので、そういう人たちは練習しないといけません。できない人にできる人は言わないといけないと思います。とにかくやり続けるしかないです。そうやって一日一日を大切にするしかないです。
——厳しい声が必要というような意識はどうして生まれたか
古田:なぜ勝てないかという率直な質問で、これに関してよく話しています。僕たちが思ったのは勝利の執念が足りていないことと細かいミスの積み重ねが2、3点差につながっているということです。その二つがチーム全体として納得している部分です。そういう声があるので、実践しているところです。
——新チームの雰囲気は
辻:雰囲気はいいと思います。一人一人がチームの練習に対してどういう取り組みや準備をしなければいけないというのを自分の心の中で考えて取り組んでいるし、弱みを埋めるようなトレーニングや強みを高めるようなトレーニングを一人一人が考えてやっていると思います。リーダー陣もそういうふうに一人一人が意識を持てるような雰囲気作りをしていると自分たちの中で思っています。
古田:一言で言うといいなと思います。
——チームとして目指すラグビーは
古田:今まで慶應のラグビーといえば、ディフェンスがいいとか運動量があるなどと言われてきました。それに加えて、戦術面に深い理解を持って
辻:より深い理解を持って、こだわり続けるではないの?
古田:割って入ってきたね(笑)
そういうことです。理解して、自分たちのラグビーに自信を持って、試合をするということはチーム全体でやっていることです。
——オフに重点的に意識してきた練習は
辻:全部です。
古田:個人のスキルもチームのスキルも全体的にやってきたという感じですね。
辻:去年より積極的なディフェンスを見てほしいです。
アタックに関してはいろいろな判断を適確にできるところを見てほしいです。
——新チームで期待する選手は
辻:新一年生の山本凱選手です。あとは、LO/FL相部(開哉=政2・慶應)選手とPR大山(祥平=経2・慶應)選手です。二人ともジュニアジャパンに選ばれて、そういうところで得た経験を慶應に持ち帰って試合で活躍してほしいですが、一段階伸びてほしいです。大山にはもっとスクラムを引っ張ってほしいという思いがあります。そして、アタックの局面では体の大きさを活かして、ドライブできるような選手になってほしいです。相部は声をあまりだせてないので練習や試合で相部が引っ張っていけば、チームがどんどん変わっていくと思います。
古田:個人的にはWTB/FB高木一成(商3・慶應)ですね。ポジションが変わって今年は試合に出ることが増えると思います。もともとなんでもできる選手なので、ポジションを変えてもいろいろなことができると思います。あと、SH江嵜慎吾(商4・小倉)ですね。辻とFB丹治(辰碩=政4・慶應)に並ぶ選手だと思うので(ハーフ団の)二人でうまいラグビーを作っていきたいと思います。
辻:江嵜はめちゃくちゃうまいです。上手なのはFWの使い方と判断です。
——山本凱選手はどういう選手か
辻:一年生で入ってきて、スキル、フィジカル、スピードなどは大学レベルに通用して、今のウエイトの数値は4年生を勝る数値をたたきだせます。しかも向上心がすごくあります。また、熱さもあり、オンとオフの切りかえがうまいです。楽しくて、凱が頑張れるようなチームを作りたいと思えるような選手です。
——高木一成選手は
古田:身体能力が高い選手です。ラグビー選手としてはベースが高く、器用な選手です。今までBK3をやっていたのですが、CTBもSOもチャレンジしています。なかなか大学レベルでポジション転換はないですけど、それができる選手という感じですね。
——主将と副将をやっていく上で個人の目標
古田:プレーヤーとしては判断、プレー選択など戦術的に負けたというのがないようにしていきたいです。
リーダーとしてはみんながそれぞれ小さな歯車として、自分が真ん中にいて、より動くことによりみんながより回るようになる形を作っていきたいです。
辻:プレーヤーとしては、誰よりも体を張って、どんなにきつい状況であっても、試合の流れを変えるようなタックルやボールキャリーを見せて、雰囲気を変えられるようにしたいです。
リーダーとしては、古田と同じですけど、全員が頑張れるような雰囲気作りを心がけています。まず、自分が誰よりも努力するという姿勢を周りに見せることを意識しています。
——慶應のアピールポイントは
古田:ディフェンスはもう一度チームとしてこだわって、練習しているところです。ディフェンスのいい慶應を見せたいです。ラグビーがうまいチームになったらいいなと思います。特にアタックでその部分を目指しています。
辻:すべてのことに対してこだわりを持てるようなチームです。それがアピールポイントだと思います。
——チームの目標は
古田:対抗戦優勝と大学日本一です。
お忙しい中ありがとうございました。
春季リーグ日程
4月28日(土) VS大東文化大 13:00KO(慶大日吉グラウンド)
5月5日(土) VS流通経済大 14:00KO(保土ヶ谷公園ラグビー場)
5月20日(日) VS明治大 13:00KO(石巻市総合運動公園フットボール場)
6月3日(日) VS東海大 13:00KO(東海大学グラウンド)
6月10日(日) VS帝京大 14:00KO(富山県総合陸上競技場)
(取材:萬代理人、田中壱規 写真:川下侑美)