今季もフロンｔローの中心として活躍が期待される
仲宗根組特集の第５弾は高橋浩平（経４）と古田哲也（環４）の４年生フロントローコンビ。それぞれ、高橋浩がセットプレーの安定、古田がＰＲでありながらフィールドプレーと異なる持ち味を持ち、慶大第一列の鍵を握る。昨季も最前線で慶大を支えていたが、最終戦の大学選手権・帝京大戦ではFwd戦で惨敗。これ以上にない屈辱を味わった。今年はその悔しさを晴らすべく立ち上がった２人に、昨季から今季のこれまで、さらにラストイヤーとなる今年に懸けるフロントローとしての思いなどを伺った。
第一列の強化は逃げてはいけないこと
――2人は昨年もAチームで多く出場していたが、実際どんなシーズンだったか
高橋 すごくいいシーズンでした。早稲田に勝てたのが破格の嬉しさでしたね。でも対抗戦で勝てた帝京に（大学選手権では）Fwdでゴリゴリやられ、弱点といわれていたフロントローのところで後手にまわり負けたので、反省しています。今は食事、体作りから帝京に負けないように、帝京に勝つためにやっています。また昨年良いラグビーができたので、それを継続するためにも体を大きくしつつ、フィットネスもキープするように取り組んでいます。
古田 早慶戦に勝ったこともありましたが、対抗戦で1度勝った帝京に勝てなかったという反省すべき点もあるので、良い部分も悪い部分もあった1年でしたね。
――昨季をフロントローの目線から見ると
高橋 対抗戦の明治戦が一番スクラムが合っていました。その後合わなくなってきて、そのまま大学選手権に入ってしまいました。
古田 Fwdは格上だ、と言われていた明治にあれだけいいスクラムを組めたのは自信につながりました。今年は、良いスクラム、ぶれない基盤をつくろうと思います。
――ピークは明治戦だったのか
高橋 そうですね。明治は重い相手でしたがターンオーバーされませんでした。むしろこちらがターンオーバーする機会がありました。すごい収穫だったのですが、あの良い状態をシーズンで終わりまで保てなかったのが勿体なかったです。
――最高学年として今の心境は
高橋 4年の僕たちは当然気合いが入って出来ています。下級生も今しっかりついてきてくれてるので、引っ張っていく意識も上がって良い状態です。
古田 後輩たちがいかに同じモチベーションでついてくるためにはどうすれば良いのかというのを意識しながら練習してます。
――田中新監督の印象は
高橋 いい人だなあと最初に会った時から思ってます。練習もしっかり見てくれます。みんなを声で鼓舞してくれるというか、盛り上げてくれる熱い人ですね。去年を知らないということで、全員を均等に見たいとおっしゃっていますね。全員にチャンスがある、という意味ではとても良いと思います。
古田 部員全員に均等に声をかけてくれますね。だから全員がやる気を出すことが出来ているんじゃないかな、と思います。
左：古田、右：高橋浩
――「超高速ラグビー」については
古田 林さんの頃から高速ラグビーはずっと肝にあって、さらにそれを実現する、強さを兼ね備えたものにする、という意味なんじゃないかな、と思っています。そんなに大きな変化はないかなあ、と。
高橋 去年結構目をつむっていたブレイクダウンなどを、練習から激しくやることで、試合に近い状態で接点の攻防ができています。だから去年よりブレイクダウンについては強くなると思います。ブレイクダウンが強くなれば、球出しも速くなりますし。今たくさん走り込んでいますが、そこにフィットネスがつけば速いラグビーが出来るということです。
――野澤新ＨＣは
高橋 コンタクトの知識が豊富です。タックルやブレイクダウンの体の入れ方などを今はメインに教えてもらっています。
古田 自分がすごいプレイヤーなので、何を言っても自分で実演してくれるんです。口で言うだけでなく、実際できるので、自分たちも出来るだろう、頑張ってやってみよう、と思えるんです。
――野澤ＨＣの練習で一番今までと違うのは
古田 明らかにコンタクトのレベル、強度が違いますね。去年まではダミーでやってましたが、今年は練習からガチガチで体を当ててます。
――激しいコンタクトの練習を普段からやって、ケガは無いのか
高橋 ケガしないように、ウェイトトレーニングも新しく太田コーチがついてくれました。週６でウエイトと走り込みをやってるんで、ケガに関しては、コンタクトが激しいのでどうしても出てきてしまうとは思うんですけど、それも最小限に抑えていけるようにしてます。ずっとコンタクトの練習をするワケではないし、100%の力でやる時間はそれほど長くないので、ケガをしないように自分たちの気持ちをいれてやるだけですね。
――仲宗根主将はお二人から見てどんな主将か
高橋 口は上手くないですが、姿勢でみせる主将です。コンタクトの部分などで引っ張っていってくれています。
古田 1番プレッシャーのかかる立場であれだけがんばっているから、口は本当に上手くないですけど、姿勢をみてついていこうかな、と思える主将ですね。
高橋浩はセットプレー安定の鍵を握る
――今年の第一列は昨年も主力として戦ってきたがその経験はどう活かせるか
高橋 そうですね、やっぱり昨年帝京に負けたとき、実際にスクラムを組んでいたのは僕と古田しか残っていないので、その悔しさは晴らさなければ行けないと思っています。いくらBksが強くても、スクラムで球が出なかったり、Fwdでやられてしまったら試合にならないですからね。最後の帝京戦みたいな負け方は二度としたくないですからね。そのためにも第一列の強化は、逃げてはいけないことだから今厳しくやっています。
古田 いかに帝京戦でやられた悔しさを忘れずに1年間過ごすか、ということを考えてやりたいですね。あとは努力して、後輩にその思いを伝えて一緒に今年勝つことを目指しています。
――昨年いろんなチームとスクラムを組み、帝京だけに圧倒されてしまったように見えたが帝京と他大の違いは
高橋・古田 塊で押された、って感じですね。
古田 正直重さだったら明治も重いですが、明治はバラバラというか…
高橋 一人ひとり自由にやってる感じですね。帝京はまとまっていて、さらに気合いもすごくて、気持ち的に圧倒された部分も正直ありますね。迫力ありました。ロック陣、バックロー陣の押しもすごいので。
――今季はどのポジションでやっていくのか
高橋 今はどうしても足りないポジションに入ってやっています。僕はどこでもできるので、どこでも大丈夫、という気持ちはあります。
古田 僕も１，３番は出来ますね。去年もずっと1番だったんですけど、最後だけ3番になった、という感じでしたから。今年はもしかしたら1番になるかもしれないですけど。体がみんなほとんど変わらないんですよね。ずば抜けてでかいやつがいたら、3番やればいいんですけどいないんで。だから僕も3番をやりますし、みんなにチャンスがある、という感じでやっています。
――春の期間もスクラム組んでいるのか
高橋 土日に社会人コーチがたくさん来てくださるので、その時にコーチが決めたメンバーでやったりします。今は土日を強化にあてています。
――スクラム強化の手応えは
高橋 今ちょうど4人しかいなくてHOが少ないので、そんなにスクラムが多く組めないんです。だから2コしかスクラムが組めないんです。でもその中でもベストは尽くすようにしています。
古田 去年全然スクラムを組めなかった後輩が沢山いるんですけど、そういう選手とも今年初めて組んだりして、「いいな」という選手もいっぱいいますね。去年より絶対いいスクラムが組める、という自信がつきます。
高橋 去年はあまり下級生に指導できていないし、技術がないんです。そういうところを教えていけば、去年より底上げできると思います。
古田 去年より体はでかいよね？
高橋 でかいね。
古田 みんな大きいですよ。
――セットプレーのここまでの完成度は
古田 まだ試合もやっていないので、仕上がりという意味ではまだ完成はまったくしていないです。
高橋 でも個々のラインアウトのリフト、スローイング、スクラムの姿勢だったり、今できることはやっています。
今年の前３は今までのとはちょっと違うぞ、というのを一緒に見せていきたい
――では、高橋選手からみて古田選手とは
高橋 なんか恥ずかしいですね（笑）。古田はずっと一緒に出ていて、すごい信頼はしています。良いヤツだと思うんですけど、負けたくないですね、むかつくんですよ（笑）。プレーについてだと、古田はスクラムは自己中なんで、僕がいつも合わせてあげるんです（笑）。あとタックルはちょっと下手くそです（笑）。でもフィールドプレーはすごく良いですね。アタックの時、積極的にボールもらっているのは良いところですね。
――古田選手から見て高橋選手とは
古田 やっぱり一番隣にいて安心する選手ではあります。頼もしいですね。
高橋 照れるな〜（笑）
古田 （笑）。信頼してます。あと、こいつ（高橋選手）がいるとセットプレーが安定する、という点は見習うべきだと思います。ちょっと直してほしいところは…
高橋 口が悪いところ？（笑）
古田 そうですね、こいつは口が悪くて、相手に悪口を言うんですよ。それで逆に悪口を聞いた相手に力をもたれちゃうんです。で、やられてしまうんです…。だから「言うな」と注意するんですけどね…そういうところは辞めて欲しいですね（笑）。あとはフィールドのオフェンスでもっとボールをもらっていってほしいな、と思いますね。今年の前３は今までのとはちょっと違うぞ、というのを一緒に見せていきたいと思います。
――チーム内にライバルは
古田 こいつ（高橋選手）のことは明らかに意識してます。本当に入部したときから。
高橋 やっぱり同じ学年なんで、僕もこいつ（古田選手）に負けたくない気持ちはあります。
――では、理想としている選手は
高橋 いません！
古田 いないの？僕はフィールドプレーはメアラムっていうNZ代表のHOが理想です。
高橋 レベル違うじゃん、ニュージーランド人じゃん（笑）！
古田 まあ目標にしては高すぎるんですが、結構前からすごいなあ、と思っていて。とにかくすごいです。
高橋 僕はそういう風に目標を作ってしまうと型にはまってしまいそうなので、自分らしくいきたいと思っています！
古田 何格好良いこと言ってるんだよ（笑）！
ＰＲらしからぬフィールドプレーが持ち味の古田
――2人のプレーにおけるこだわりは
高橋 僕は去年ずっとHOをやっていたので、セットプレーの安定を心がけていますね。慶大はセットプレーからの得点が一番多いので、試合前や練習で意識しています。あと昨年は僕がボールもらって当たったりするよりも、4年生が強かったので、4年生に出して自分はオーバーに入って仕事していたんです。でも今年はいなくなってしまったので、自分が引っ張っていく、くらいの気持ちでやっていこうかな、と思います。
古田 僕は結構逆ですね。去年ちょっと意識をしてボールをもらうようにしていたんです。今年僕が他のどの大学のPRより上にしたいと思うのは、フィールドプレーのオフェンスで目立つ、ということですね。「PRなのにここにいた」と思われるようなプレーをするのを意識していますね。なので、もっと改善していきたいとは思いますが、フィールドプレーは僕の売りですね。逆にもっと改善したいところはスクラムの安定です。ラインアウトのリフトもなんですけど。そのあたりを安定して出来るようにしたいです。
帝京に勝ちたい、日本一になりたい
――春シーズンは震災の影響もあり開始が遅くなってしまったが、その影響は
高橋 みんな高い意識を持って取り組んでいたので、全然フィットネスも落ちていませんし、体も小さくなっていません。
古田 僕はむしろ体重が増えました。体が大きくなったという意味では良かったのではないかな、と思っています。
――この春の対戦相手で意識するのは
高橋 やっぱり僕は帝京ですね。あとは早稲田です。帝京は去年（選手権で）負けた悔しさがあるんで、去年の借りを返す、という気持ちでいきたいです。気持ちの面で負けたら嘘なので。早稲田については、あちらも去年の4年生がたくさん抜けたんでどうなるか分かりません。でも絶対負慶大蹴球部に入ったからには、早慶戦に懸ける気持ちというのはあるので早稲田はもう絶対に意識しますね。
古田 やっぱり帝京、早稲田ですね。帝京は昨年の悔しさを秋返すのは当たり前なんですが、春から絶対負けたくないです。早稲田は入部したときから倒したい相手なので、早稲田に負けたくない、という気持ちは根底にありますね。
高橋 あとは明治にも昨年負けているので勝ちたいです。
古田 確かに明治負けたくないね。
高橋 大きいだけでは走れないので、そういう相手に負けるのは悔しいというか（昨年の対抗戦は）勿体なかったと思います。
――帝京をはじめとする、大型Fwdを擁するチーム対策は
高橋 セットプレーで負けないのはもちろんですね。あとはブレイクダウンの攻防などを、今野澤コーチにすごく鍛えてもらっています。そういうところで負けたくないですね。
――この春シーズンで確認しておきたいことは
高橋 昨年のチームは4年生が多かったんですが、みんな抜けてしまったので、まずは自分たちの今の実力を知ることが必要かな、と思います。昨年前３のせいで帝京に負けてしまったということには変わりないので、その悔しい気持ちをぶつけていきたいと思いますね。
古田 チームとしてはフィットネス、パス能力、タックル能力を確認していきたいですね。昨年とは絶対別のチームになっていると思うので。昨年慶大はちょっと強かったので、たぶんそのままの意識があると思うんです。でもそれは間違えで、だから本当の今の自分たちの実力を確認することが春やるべきことだと思います。
高橋 秋に勝つために通用するところ、修正すべきところどちらも知りたいです。
古田 また前３としては、慶大ならではの組み方を確認しておきたいですね。昨年まだ（シニアチームに）上がってこなかったような選手に、慶大の組み方を伝えながら自分も再確認していきたいです。個人としてはスクラムもチェックしたいです。あと昨年は突破力のある選手が多かったんですけれども、今年はそういう選手が減ってしまったので、フィールドプレーにも気を配ってやっていきたいです。
――最後の1年の抱負は
高橋 そうですね、日本一じゃないですかね。4年になった今思うと、これほど日本一になりたいと思ったことはなかったです。
古田 僕も絶対日本一になりたいです。細かいことよりまず日本一になりたいですね。
――今季は「ここを見て欲しい」という点は
高橋 チームの強みはまだ全然わからないですが、去年みたいな展開ラグビーをしていければいいな、と思っています。ただ昨年の4年生が抜けてしまって、それが出来るかさえわからない状況です。まずは戦ってみて、展開ラグビーが出来るかどうか見極めて、もし出来ないならそれなりの戦い方も出てくると思います。そうやっていくことで強みを作っていきたいと思います。個人としては4年生としての気迫のあるプレーをみてほしいですね。今まで軽くやってきた気持ちはないですが、今年は違う、というのを練習から見せていきたいです。
古田 一人一人の日本一になりたいという気持ちからうまれる泥臭いプレーだとか、体を張ったプレーというのを見せていきたいです。慶大はそういうプレーが強いチームだと思うので。ラグビーが分からない人でも少しは分かるような、体を張ったプレーを個人的にもチームでも意識してやっていきたいです。
高橋 あとはスクラムですね。去年より強いものを組みたいので、見て欲しいですね。
――慶大を応援している方に一言
高橋 絶対勝つんで観に来てほしいです。観に来ていただいて損はさせません。
古田 チームの感動を観に来てくれた人にも共有してほしいですね。損はさせないというか、観に来てくれたらもっと好きになってもらえると思うので、ぜひ観に来てください！
By Akane Takahashi
高橋 浩平（たかはし・こうへい）
慶應高を経て、現在経済学部４年。大学入学後にＰＲからＨＯに転向し、対抗戦には２年からベンチに入り、２年の大学選手権ではスタメンも経験した。昨季は春はＰＲ３として出場するが、秋には再びＨＯへ。フロントロー全ポジションをこなすことができる。ポジションはＰＲ／ＨＯ。１㍍70、98㌔。
古田 哲也（ふるた・てつや）
国学院久我山高を経て、現在環境情報学部４年。花園ではＨＯとして出場し、活躍した。昨季はＰＲ１での出場が続いていたが、対抗戦・日体大戦からＰＲ３を務めた。スクラムの強さはもちろんだが、ライン参加も多く、フィールドプレーでの活躍も光る。ポジションはＰＲ。１㍍75、100㌔。
コメント