「スタイルとしては良くなっている」――開幕4連敗から4連勝と星を戻した慶大。今シーズン好調の順大との対戦だったが、サーブが効果的に決まらず、なかなか連続得点することができない。一方で相手の巧みな攻撃に対応できず、流れを奪われてしまった。ストレートでの敗戦となったが、「目を覆うような内容ではなかった」(宗雲監督)。リーグ戦の最終盤に向けて、収穫と自信を身につけ、次への反省を見つける試合となった。
5月12日(土)春季関東大学男子1部バレーボールリーグ戦第9戦 慶大×順大
@日本体育大学健志台キャンパス米本記念体育館
得点表 | ||
慶大 | セット | 順大 |
21 | 1 | 25 |
22 | 2 | 25 |
20 | 3 | 25 |
開始直後はマルキナシム(総3・川越東)のスパイクなどでリードを奪う。しかし、相手の力のあるサーブに押され、リズムを作れないまま逆転されてしまう。途中には、ピンチサーバー赤川拓(理2・横手)の力強いジャンプサーブから得点を挙げるシーンも見られたが、両者引かない攻防が展開される。相手の時間差や移動攻撃といった多彩な攻撃で得意のブロックが機能できず、逆転の芽を掴み取れなかった。中盤以降、大崩れすることはなかったが、21-25でこのセットを落とした。
第2セットも先手を取ったのは慶大だった。相手のスパイクを小出捺暉(環1・駿台学園)が見事に返し、繋いだボールをレフトからマルキが打ち切る。序盤に3連続得点し、そのリードを保ったまま試合を進めていった。しかし13-11から相手の強力なサーブに苦しめられ、3連続失点で逆転を許してしまう。タイムアウトを取った慶大。ここから富澤太凱(経3・慶應)のスパイクでサイドアウトを取ると、富澤とマルキが立て続けにブロックポイントを決めて再逆転した。このリードを今度こそ守りたいところだったが、直後から連続失点を繰り返して流れを渡してしまった。マルキのサービスエースなどで反撃ムードは作ったが、2セット目も落とすことになった。
なんとか返していきたい第3セット。相手のスパイクに崩されるも、永田将吾(総1・高松)の2段トスから富澤がきっちり決めてまず先制した。序盤は樫村大仁(環2・茨城高専)と清水柊吾(総2・広島城北)の両センターのクイックで得点を重ねていく。しかし、相手のブロックに阻まれるなど、4連続得点を許してしまう。小出のスパイクが冴えて、サイドアウトは取っていくものの、なかなかブレイクすることができない。セッター吉田祝太郎(政2・慶應)が自らスパイクを決めて、雰囲気を作ろうとするが、直後に4連続失点を喫して大勢が決まってしまった。大量ビハインドから盛り返すことができず、20-25でこのセットも落とし、ストレートで敗戦。連勝は4でストップする形となった。
悲観する内容ではない。課題の守備に関しても、全体的にサイドアウトは取れていたと選手は振り返る。攻撃面でも、得意のクイックは威力を発揮し、マルキと富澤の両輪も得点屋としての働きを見せ、小出もスパイクで存在感を示した。ただ、サーブに関しては、サービスエースこそ2回あったものの、ミスが目立ち、相手を崩すことはできなかった。「自分たちの武器であるジャンプサーブを使えなかったという部分は悔いがある」と宗雲監督が話したように、これまでの4連勝を支えた「攻めるサーブ」を生かしていきたい。
残り試合はあと2つ。今日の試合で入れ替え戦の可能性は消えただけにあとは上を向いて攻めるのみ。慶大らしい攻めのバレーを貫き通し、リーグ戦を締めてほしい。
(記事:尾崎崚登 写真:染谷優真・藤澤薫)
以下、コメント
宗雲監督
――今日の試合を振り返って
慶應自体はそんなに悪くなかったです。今日はあまり効果的なサーブが入らなかったのと、相手の両レフトの子がなかなか捕まらなかったので、それが難しい展開になったのかなと思います。あとは、追いつけるところのブレイクポイントをことごとくブロックされていました。その3つが大きな点だと思います。
――やりたいことはできていたということか
もちろん終盤にミドルが捕まったりとか細かいポイントはあります。でも、マルキのスパイクにしても、富澤もよく頑張っていたし、スパイクでは小出もすごく頑張っていたので、目を覆うような内容ではなかったです。それよりも、自分たちの武器であるジャンプサーブを使えなかったという部分は悔いがあります。学生にもシーズンの序盤と同じ展開になっているから、もっと思い切って打ちなさいと指示しました。
――守備の面でも悪くはないということか
マルキも狙われていましたが、リーグ序盤と比べると、よく頑張っていました。自分で取った後に、平行のボールを叩き込んでいたので、良かったと思います。負けたことが残念なだけです。
――ブロックについては
順天堂さんは時間差の攻撃があるので、その対策はしました。その対策はもともと効果がなくてもいいという考えでしたが、やはり効果がないと焦ってしまうので、そこがブロックがうまくいかなかった理由だと思います。ライト側はうまくいきましたが、真ん中とレフト側はうまくいなかったです。その部分は次の狙いだと思います。
――明日に向けて
今日負けたことをネガティブにとらえないで、スタイルとしては良くなっているので、慶應らしくあと2戦をのびのびやらせます。
マルキナシム(総3・川越東)
――今日の試合の感想
ストレートで負けるとは予想してなかったので、悔しいです。
――今日の敗因は
OBの方や監督にも言われたのですが、自分たちの武器はサーブで、僕と吉田と富澤のミスが多かったことです。あと、ブレイクの場面でこっちが連続して得点できず、ズルズルといってしまい、20点以降いかれてしまったという印象です。内容はそんなに悪くないですが、勝負所で勝ちきれなかったと思います。ブレイクはもっとしっかりしないといけないなと思っています。
――サーブレシーブの面は
そこはうまくいっていたと思います。でも、要所要所でジャンプサーブが間に落ちたりというのが各セット見られたので、それは良くなかったと思います。サイドアウトはしっかりとれていたので、直接敗因につながったわけではないと思います。
――ブロックに関しては
僕はライトの選手にしっかりマンツーマンブロックで飛んでいました。潰すことはできていましたが、他のクイックやレフトの攻撃をブロックしてからのレシーブという面では自分はできていなかったので、そこも敗因だと思っています。相手の攻撃にやられてしまいました。
――「切り替えていこう」という声が聞こえたが
僕らはサイドアウトとブレイク面は全く別のものだと考えてやろうとしていますが、引きずってしまうことが多いです。特に1、2年生が多く出ているので、そこは上級生の僕たちがしっかり声をかけて切り替えようとしていました。
――修正点はサーブの部分か
サーブの精度をもっと上げていかないと、ミスの少ない硬いチームに勝つのは難しいと思います。逆にサーブが入ったら楽に勝つことはできると思います。
――明日の試合に向けて
残り3戦全勝するつもりで来ましたが、今日負けてしまいました。今日は切り替えて、しっかり明日の試合勝とうと思います。
樫村大仁(環2・茨城高専)
――今日の試合を振り返って
今日はサーブミスが多かったのと、相手の速い攻撃に対応できませんでした。自分たちが対応できなかったのが悔しかったです。
――試合にはどのような対策立てて臨んだのか
他のチームに比べて順大は時間差(攻撃)が多いのは分かっていたので色々試したのですが、それが上手く噛み合わなかったです。ライトの選手は対応できたのですがレフトは最後までいけなかったので、そういうのを試合中にもっと話していたらもっと良い展開に持っていけたのかなとは思うので残念です。
――ブロックで意識されたことは
いつも出てくる選手の速いクイックに対してのブロックの練習をしていたのですが今日は出てこなくて、代わりの選手に惑わされてしまいました。コミット(ブロック)を多くする練習をしてきたのですが、結局リード(ブロック)で全部いってしまったので、そこでごちゃごちゃしてしまいました。
――今日の試合で見つかったチームとしての課題は
やはりサーブミスと、1セット目にやられたことに対する対応を試合中に考えられなかったことです。
――明日の試合に向けて
明日は自分たちがちゃんとした力を出せれば勝てる相手なので、気を引き締めて頑張って勝ちたいと思います。
小出捺暉(環1・駿台学園)
――今日の試合の振り返り
今日は相手の攻撃に対応できなかったっていうのと、あと…4戦勝ってちょっと落ち着いた段階でちょっと気持ちが入ってなかったなって思います。
――今日のサーブレシーブについて
相手があまり攻めて来なかったというのもあったんですけど、結構サイドアウトは取れていたと思います。
――スパイクが好調だったが
(富澤)太凱さんとかマルキさんにブロックが集まってくれたので、しっかり打てました。
――順大対策をしてきたということだが
結構してきたところが今日は当たらなかったっていうのが大きかったんですけど、持ち前のリードブロックに切り替えて修正できたのでよかったです。
――チーム全体での修正点は
今日一番悪かったのがサーブだったので、サーブを明日はしっかり打っていきたいと思います。
――明日の国士舘大戦に向けて
明日しっかり勝って、次の東日本と全カレなどでシードを取れるように勝ち切りたいと思います。
出場選手 | |
セッター | 吉田祝太郎(政2・慶應) |
サイド | 小出捺暉(環1・駿台学園) |
センター | 樫村大仁(環2・茨城高専) |
オポジット | 富澤太凱(経3・慶應) |
サイド | マルキナシム(総3・川越東) |
センター | 清水柊吾(総2・広島城北) |
リベロ | 永田将吾(総1・高松) |
途中出場 | 赤川拓(理2・横手) |
| 宮川郁真(総1・松本県ヶ丘) |
順位表(5月12日終了時点) | |||
| 大学 | 勝利数 | セット率 |
1位 | 早大 | 9 | 13.5000 |
2位 | 筑波大 | 8 | 3.4286 |
3位 | 中大 | 7 | 2.0909 |
4位 | 日体大 | 7 | 1.4000 |
5位 | 順大 | 5 | 1.4286 |
6位 | 東海大 | 4 | 0.9412 |
7位 | 慶大 | 4 | 0.7000 |
8位 | 明大 | 3 | 0.7500 |
9位 | 駒大 | 3 | 0.5000 |
10位 | 国士館大 | 2 | 0.4583 |
11位 | 日大 | 1 | 0.4000 |
12位 | 学芸大 | 1 | 0.4000 |
◇順位の決め方◇
勝利数が同じ場合、セット率(得セット数/失セット数)の高い方が上位となる。
セット率も同じ場合、得点率(総得点/総失点)の高い方が上位となる。