全関東学生弓道選手権大会や全国大学弓道選抜大会を控え、今年こそⅠ部復帰を果たすべく戦いに挑む慶大弓術部男子。そんな中でチームの大黒柱として的中を引っ張るのが本郷一輝選手(法3・慶應湘南藤沢)だ。一年生時から団体戦の選手として抜擢され、昨年には慶大弓術部からは6年ぶりとなる東西学生弓道選抜対抗試合出場、そして今試合で20射皆中、射動優秀賞受賞という偉業の結果を残した。そんな本郷選手に昨年の東西学生弓道選抜対抗試合の振り返りと、今後の試合の意気込みをお聞きした。
東西学生弓道選抜対抗試合
2017年11月18日@伊勢神宮
ポジション | 選手名 | 4射目 | 8射目 | 12射目 | 16射目 | 20射目 | 合計 |
大前(おおまえ)(東軍) | 本郷一輝 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 20(皆) |
東軍合計 |
| 36 | 40 | 35 | 35 | 39 | 185 |
西軍合計 |
| 30 | 35 | 36 | 32 | 36 | 169 |
※それぞれ10人立で構成され、1回で各選手4本矢を放つ。計200本のうち的に中(あた)った本数の多い大学の勝ちとなる。
―――20射皆中、そして射道優秀賞受賞という素晴らしい結果でしたが、東西の試合を振り返っていかがでしょうか。
東日本と西日本のトップ10人を集めて1人20本、計200本で戦わせるという試合なのですが、自分が中学・高校の時からずっと東西という試合に憧れていて、これに出るためにずっとやってきたので素直に嬉しかったです。でもその反面、団体でいかないと意味がないなという思いもありました。
コンディションとしては、部活の関係で道場開きや125周年式典が試合の前と被りとても忙しい中で調整するのが少し大変でした。
また、同期皆がはるばる伊勢まで応援しに来てくれたのがとても嬉しかったです。
―――試合はやはり緊張はされましたか
とても緊張して、足が震えました。矢も的の枠ギリギリにばかりあたっていて、最初の8本まではうまくひけていたのですが、的中を詰めていくにつれて、12射目あたりからだんだん緊張で力んでしまい冷静ではいられなくなりました。
―――他校の選手とチームを組んで、いつもと違う点はありましたか
同じチームの人がすごくあたるので刺激的でした。皆中の拍手が鳴りやまなかったです。
―――試合前のルーティーンなどはありますか
試合前日にはあまり練習しないようにしています。練習しすぎると身体ももたないし、試合前日に何か練習が足りていないようではいけないと思っています。
―――19本詰めて20本目、など、緊張した場面でもあてるコツは
どれだけ緊張しても自分のやるべきことを更に忠実にやり抜くことが大事だと思っています。的中のためのポイントをまとめたポイントシートというものがあるのですが、そのポイントシートを自分の頭の中で読み返し続けています。本数が増えるにつれて、ほかの邪念を取っ払ってさらにそのポイントに忠実になっていく感じです。
―――自身の中てるためのポイントは
最終的にはメンタルだと思うので、自分のポイントシートに、自分に活を入れるメッセージを書いています。
―――自身に足りていないと思う点は
自分のイメージ通りに身体を動かせるか動かせないかが大事だと思って練習しています。自分の意識していないところで思っていない方向に身体が動くようなことが無いように練習しています。
―――そこを改善するために具体的にどのような練習をしていますか。
ビデオをたくさんとって、ノートに書くなどして記録を沢山とっています。
―――自身の強みは
中ると思うまで離さない、粘り強いところです。
―――三年生になって意識面で変わったことは
部活の運営に関わるようになりました。後輩には、指導において人格否定をしないということです。そして弓が楽しく思えるように教えるようにしています。これは、中高時代に失敗をしたからこそ意識していることです。
―――目標としている人、ライバルはいますか
部の関係者では磯野晋作さん(H24卒)です。磯野さんを超えることが目標です。
ライバルは宮川友城くん(法政大2年)です。
―――その目標を超えるためには
残り2年間東西に行き続けて、王座を取ることだと思います。
―――今シーズンの目標は
団体では、Ⅰ部復帰インカレ優勝、個人は全日優勝です。
―――弓道を始めたきっかけは
海外に12年間住んでいて、日本の武道に興味を持ったというのはあります。あとは、運動神経が悪くて他のスポーツができなかったからです。(笑)
―――これまでの弓道人生で一番つらかったこと、逆に嬉しかった瞬間は
一番嬉しかったのは去年のリーグ戦第5週の対中央大学戦です、号泣してました。今Ⅱ部で、Ⅰ部に昇格するにはⅡ部で優勝しなければならないのですが、最後その優勝の懸かった試合でした。自分達が壱の立で、最後の20射目で自分たちの的中数が低く、もう負けてしまうかもしれないと思ったときに弐の立が1本しか抜けないという状況で皆中をみせて逆転勝ちをした時が嬉しかったです。
悔しかったことは、昨年の入れ替え戦で勝てなかったことです。あとは1年の時にⅡ部落ちしたときです。あの時は涙もでなかったです。まだ大学入って1年目で、その瞬間はあまり辛くなかったけれども今思えばすごくつらかったです。
―――弓道の一番の魅力はどこだと思いますか
弓道は自分との戦いだと思います。自分がどれだけ緊張して、どれだけ辛いと思っても、我慢して耐える、でも面白い、それが魅力だと思います。
―――自身の長所、短所
変化をあまり恐れないことは長所だと思います。あとは、高校時代に部で沢山失敗していることが自分にとってプラスになっていると思います。
短所はなんでも直球で言葉で発してしまうことかなと思います。
―――最後にこれからの試合に向けて意気込みを聞かせてください
今シーズンは山場だと思っているので、今年こそⅠ部に復帰できるように頑張ります。
そして、ただ弓をひくだけでなく、もっと沢山変えられる部分はあると思うので、そこをたたき上げていって部の体制を整えて部としてのレベルを上げていきたいと思います。
―――お忙しい中ありがとうございました!
(取材・写真:國分萌々子)
第48回全関東学生弓道選手権大会は6月16日(土) 17日(日)@日本武道館
第30回全国大学弓道選抜大会は6月23日(土)24日(日)@全日本弓道連盟中央道場、明治神宮武道場至誠館弓道場
にて行われます。ぜひ足をお運びください!