悲願達成だ。第1Qは終了間際に獲得した1得点に止まったが、第2、3Qは3得点ずつを奪取し1部で戦ってきた慶大の風格を匂わせた。しかし第4Q開始2分に、気の緩みからか相手にシュートを許し失点。それでも大きく付いた点差を埋められることなく8−1で勝利した。1部残留をかけた試合であっただけに気迫を感じさせるプレーで圧倒した慶大は、来季も1部でプレーすることを許された。
平成30年関東学生ホッケー春季リーグ 1部2部入替戦 vs学習院大
6月24日(日) 14:45試合開始 @慶大日吉グラウンド
| 第1Q | 第2Q | 第3Q | 第4Q | 合計 |
慶大 | 1 | 3 | 3 | 1 | 8 |
学習院大 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
スタメン
GK 小川修平(政4・慶應)
DF 河本倫太郎(法4・慶應)、吉川大地(政3・慶應)、望月慎之介(経2・慶應)、片岡賢治朗(経2・慶應)
MF 金田翼(政4・慶應)、安田武大(政2・慶應)、中山正楎(経1・慶應)
FW 永野裕太(政4・慶應)、大橋俊介(政4・慶應)、前多亮佑(経2・慶應)
入替戦であるため多くの関心を寄せられたこの試合は、たくさんの観客が見守る中行われた。今回の対戦校である学習院大は、昨秋2部降格したばかりのチーム。決して気を抜けない相手だ。
エンジンがかかるのに時間がかかった。第1Qはしばし互いの陣を行き来し、優位なプレーを展開できずにいた。8分、MF金田翼(政4・慶應)がカウンターからサークル内のFW永野裕太(政4・慶應)へパス。シュートチャンスかと思われたがここで相手反則によるPCが巡る。しかしこれは得点ならず。そして14分、第1Qも終わろうとしているタイミングにPCを獲得した慶大。ストップはミスしたものの、取り戻したボールをDF吉川大地(政3・慶應)が押し込みゴールを決めた。なんとか1点を先制し、第1Qを終える。
追加点を挙げたい第2Q。5分に相手GKが反則により一時退場する事態になると圧倒的な慶大優位に。直後獲得したPCで再びDF吉川が得点、早速リードを広げた。7分に途中出場のMF田畑智哉(政1・慶應志木)がフィールドゴールにより追加点、9分にはつかんだPCでMF金田がゴールを揺らすなど、相手GK不在の間に3得点を追加し大きく突き放す。その後も攻撃の手を緩めることなく4−0で前半を折り返した。
慶大に追い風が吹いている状況で迎えた第3Q。自陣プレーでスタートしたものの、徐々に敵陣に近づいていく。2分、4分にPCを獲得し、ここもDF吉川がシュートを担ったが相手GKの堅い守りから得点にはならず。しかし6分にはついにMF金田が今季初のフィールドゴールを決める。9分、14分の慶大PCはそれぞれFW藤井貴士(経2・慶應)とDF吉川が得点とし上昇気流のまま無失点7点リードで最終Qに向かった。
無失点を貫けるか。最終Qは敵陣プレーからスタートしたが、2分、慢心からか相手にフィールドゴールをあっさりと決められ初失点を喫する。3分には相手にPCを与え、得点にはさせなかったものの気の緩みは否めない状況だった。全体的に少し疲れの見られる中でもMF金田はカウンターで駆け上がり、貪欲にシュートを狙う。サークル侵入は幾度としたがなかなか得点をあげられない。しかしここで得点を挙げたのはやはりDF吉川だった。9分にサークル侵入からシュートを放ち、個人で今試合4点目を決めた。12分に相手PCから失点危機を迎えたが、GK小川修平(政4・慶應)が足で止め追加点にさせず。そのまま相手に得点を与えないまま終了のホイッスルが鳴り響き、慶大は8−1で勝利。危なげなく1部残留を決めた。
今季全体を振り返って、「1部に残留できるかどうかという試合まで進んでしまったところが問題」と述べた吉川。4得点をあげてもなお「ラッキーだった」と厳しく捉えている。確かに前回の駿河台大戦までに挙げた得点は3点に止まり、「得点力の低さ」は毎度課題として挙げられていた。トラップなどの基本的な技術の不安定さが得点機を見出す足かせになってしまっている。この夏はまずそういった技術向上に尽力することが必要なのではないか。「チームの真価が問われるのは、秋リーグでどういった結果を残せるか(金田主将)」だ。目標であるリーグ優勝、インカレ出場を達成するため、来季はこの春燻っていた実力を存分に発揮してほしい。
(記事:津田侑奈/写真:重川航太朗、手塚まこ)
以下、コメント
金田翼主将(政4・慶應)
——今日の試合を振り返って
結果が求められる試合だったので、よかったなと思います。内容がどうであれ勝つことが大事なので。
——今日は入替戦でしたがどのような思いで試合に臨みましたか
入替戦自体が2回目で、「こんな感じなんだろうな」と思いながら臨んだのですが、4年生になって出てみるとちょっと違うなと思いました。ミスなくやろうと思って出ました。
——今季初めてのフィールドゴールでの得点を挙げましたが
そもそも4年間を通してフィールドゴールをあまり決めたことがなかったので、嬉しかったです。滅多にないですので。
——相手GKが退場して不在だった場面もありました
相手GKがいない間に、できるだけ点を取ろうかなと思っていました。
——秋リーグまでに強化したいポイントは
ゴール前での得点力であったり、ディフェンスラインの安定であったりは春リーグを通して課題として上がったことですね。
——今季全体を振り返って
春リーグはこのような結果(入替戦出場)になってしまいました。なのでこのチームの真価が問われるのは、秋リーグでどういった結果を残せるかなのかなと思います。春のこの結果を覆せるような結果を出せるようにしたいです。
吉川大地(政3・慶應)
——1部残留をかけた試合、どのような気持ちで挑みましたか
どちらかというと1部に残らなきゃいけないという気持ちよりかは、来季に向けてというか、このチームが先日の試合で負けてから改善していたところをどのようにできるかというところを考えて今日の試合に臨みました。
——4得点をあげた感想は
僕自身はラッキーだったなというのが今日の感想です。しっかり決めるところを決めることができたのは僕の自信にもなりましたし、自分でもわかった点だったと思います。やっぱりプレー自体を振り返ると、そんなに今日調子が良かったわけでもなく、ちゃんとフェイントをしっかりかけるところも、自分では意識しようと思っていました。とはいえ完璧にできたわけではなかったので、その中で自分にボールが来た時にはちゃんと決められたってところは良かったですが、まだまだもうちょっと改善していけないかなと思っています。
——1番改善すべき点とは
今日の試合に関してはちょっと自分で考えるポイントを多くしすぎたところが問題かなと思っています。このチームがというわけではないんですけど僕自身で今日は、たとえば、大きくフェイントをかけるだとか、ボールを止めてから速く動くだとか。そういうことを意識することを多めにして取り組んだので、やっぱ上手くいかなかった部分というのは、その分いっぱい出てきましたね。
——今季全体を振り返って
やはり結果だけ見ると、1部に残留できるかどうかという試合まで進んでしまったところが問題だと思うので、決してよかったとは言えないです。ただ、チームとして悪いわけではなくて、来季も可能性は十分にあると思うので、しっかり攻め方だったり、個人の技術だったりをもう一度見直して、来季は必ず優勝までもっていけるように頑張りたいと思います。
——夏にどのような点を強化していきたいですか
たくさんありますけれども、やはり個人技の強化がまず1番だと僕は考えています。やっぱり1対1で負けないっていうところが大事になってくるところが第一のポイントです。それともう1つは、チームの陣形の部分ですね。今新しいプレスの形を練習したりしているんですけど、そこらへんが上手くかみ合うように、試合までもう少し時間があるので詰めていければと思っています。
——秋に向けての意気込みを
秋に向けては、もちろん優勝して、インカレでも上位に進んでいくというところが重要だと思っています。なので、そこに向けて頑張ります。
田畑智哉(政1・慶應志木)
——今日の試合を振り返って
入替戦ということで、絶対に勝たなきゃいけない試合だったので、チーム全体で盛り上がっていけたのは良かったと思います。その中で、自分たちの思い通りにできる部分が多くあって、ミスも少なくできたかなと思います。
——大量得点できた要因は
春リーグ全体の反省として、得点力不足だということが分かっていたので、みんなのシュートへの意識が高かったのが大量得点に繋がったかなと思います。
——初得点もありましたが
嬉しかったです。必死でやっていたので。
——チームのディフェンスについては
何度か危ない場面があったんですけど、1点取られた場面以外はミスも少なくできていたかなと思います。
——1年として意識していることは
まだ2ヶ月くらいしか経っていなくて、先輩に動きを聞きながらという部分があるので、勉強しながらということを意識して、必死にやっています。
——春季リーグを通して成長した部分は
高校の時は自分がもらうためにということしか考えていなかったんですけど、今は他の人がもらえるようにするためにとか、チーム全体を見ながら動くことができるようになってきたかなと思います。
——今季総じて振り返って
入替戦に回ってしまったというのは良くないことだったと思います。ここで学習院を倒せたので、秋は春の反省を生かしてもっと頑張りたいと思います。
——この夏はどういったところを強化したいですか
得点力不足というのが言われるので、それに繋がるトラップだったり、基礎技術だと思うので、そのあたりの技術をしっかりと上げていきたいと思います。