2018年7月7日、バスケ早慶戦とサッカー早慶戦が同時に開催される、まさに早慶のスポーツが最も盛り上がる一日が始まった。まず行われたのはバスケ女子戦。1部でトップを争う早大と、4部に位置する慶大とでは、力の差ははっきりとしている。重要なのは勝敗ではなく、これまで積み上げてきたバスケットがどこまで早大に届くか。大勢の観客が見守る中、今年で76回目となる伝統の一戦が幕を開けた。
2018/7/7(土)@大田区総合体育館 | |||||
第76回早慶バスケットボール定期戦女子戦 | |||||
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
慶大 | 12 | 8 | 16 | 14 | 50 |
早大 | 27 | 35 | 25 | 15 | 102 |
◆慶大スターティングメンバ―◆ | |||||
#4 森川唯加(経4・慶應義塾女子) | |||||
#6 豊村沙恵(商4・慶應義塾ニューヨーク学院) | |||||
#8 井ノ本雅子(商4・四天王寺) | |||||
#19 武藤怜(商1・成蹊) | |||||
#20 眞尾瞳(商1・浦和第一女子) |
1Q、出だしは固さもあったか、早大に連続得点を許す。それでも武藤がフリースローを決めて落ち着きを取り戻すと、さらに井ノ本のタフショット、眞尾のパスから武藤のシュートで得点を重ねる。昨季は苦しんだ相手のプレスを上手く掻い潜って攻撃を組み立てる一方、守備でも眞尾が巧みなブロックを決めて存在感を発揮。終盤には西理奈(政1・葺合)の速攻、眞尾の1on1からの得点が生まれると、最後は終了のブザーとともに眞尾が3ポイントをヒット。期待のルーキーの大活躍で最初のQを締めくくった。
2Qはしかし、シュートが惜しいところでリングにはじかれ、思うように得点が伸ばせない。それでも、この日が復帰戦となった豊村がリバウンドで踏ん張りを見せると、武藤の3ポイント、森川のフローターへと繋がった。残り3分のタイムアウト明けには豊村のアシストから眞尾の3ポイントが決まったが、このQは早大の独壇場。日本トップの実力を示す圧巻のプレーを連発され、点差が大きく開いた状態で後半へ折り返す。
3Q、いきなり井ノ本がカットインとミドルで連続得点を奪うと、さらに勢いは止まらず、3ポイントも連続でヒット。わずか3分間で10得点を挙げる大活躍に、観客・ベンチは大盛り上がりを見せた。そこからはターンオーバーからの失点が続いたものの、リバウンド争いでは相変わらずチーム全体で奮闘。眞尾の軽やかなレイアップや西のフェイダウェイが決まるなど、引き続き1年生が見せ場を作り出した。
最終Q、まずは1年生に負けじと、4年生の高瀬華琳(経4・広尾学園)がオフェンスリバウンドで繋いだボールを、同じく4年生の井ノ本が外から沈める。主将の森川も、タフなレイアップとリバウンドへの飛び込みでチームを鼓舞した。終盤には武藤がスティールからそのまま速攻を決めると、続けて流れるようなパスワークから眞尾が3ポイントをヒットさせるなど、早大顔負けの華麗なバスケットを披露。さらに豊村も巧みなターンからスクープショットを沈めた。こうして試合は50-102で終了。最後まで足を止めず戦い抜いた選手たちに、観客から惜しみない拍手と歓声が送られた。
スコアはもちろん、内容的にも近年では文句なしに最高の試合だった。初めての早慶戦で堂々たるプレーを披露した1年生、最後の早慶戦で意地を見せた4年生を含め、学年を問わず全員が持ち味を存分に発揮していた。特に4Qのスコアはほぼ互角。主力が数人欠けていたとはいえ、日本トップの早大を相手に自分たちのバスケが通用したのは、大きな自信になっただろう。次の舞台はいよいよ秋のリーグ戦、目標の3部昇格へ向けた戦いが始まる。それでも、今日のようなプレーができれば目標達成は十分に可能ではないか、そんな期待を抱かせてくれる一戦だった。
(記事:徳吉勇斗、写真:染谷優真・船田千紗)
森川唯加(経4・慶應義塾女子)
――試合を振り返って
早稲田大学には技術では勝てないので、私たちができるディフェンスやリバウンド、ルーズボールは負けないようにしようと思っていました。100点以内に抑えて50点以上取るという目標があって、それはギリギリの所で破られてしまいましたが、私たちがやるべきところはできたかな、という思いがあります。
――この試合の収穫は
1年生の活躍が一番大きかったです。この大舞台に緊張せずに、自分の役割を達成できたのはすごいと思います。あとは相手の選手が全員はいなかったとはいえ、早稲田相手に50点取れたのはよかったです。
――今のチームの課題は
入ったばかりの1年生にかなり頼りきりになっている部分が大きいと思うので、4年生としてしっかりしていかないといけないと思っています。
――4年間の早慶戦で成長を実感できたところは
1年生の時も途中から出させてもらったんですけど、何が何だかわからなくて舞い上がっていました。こんな大舞台を経験することは基本的にはないので、そういったところでやれたこと自体が、自分の中で良い部分だったなと思います。
――秋のリーグへ向けて
ここからが本当に本番だと思います。秋のリーグで3部に昇格することが私たちの目標で、そのために1年間やってきています。ここからテストに入りますけど、しっかり体力を保って、夏合宿などでオフェンスやディフェンスの厳しさを改善していきたいです。
豊村沙恵(商4・慶應義塾ニューヨーク学院)
――試合を振り返って
自分的には得点を取るという目標を挙げて取り組んでいたけれど、それが達成できませんでした。リバウンドでもチームに貢献できなかったし、もっとチームを引っ張りたかったです。夏に入ると合宿もあって、リーグまでは止まらずに行くので、もう一回振り返って課題を消化したいです。
――ケガの状態は
もう大丈夫です。完全です。
――久々のプレーとなったが
ケガしているときに、外から見ているだけで悔しい思いをしていたので、戻ってプレーできて楽しい気持ちはありました。4年生としてもっと引っ張っていこうという思いでした。
――1年生の活躍について
早慶戦もそうだし、普段からも元気にプレーしてくれていて、刺激になっています。1年生と連携したプレーももっとしていきたいです。1年生だけでなく、4年間一緒にプレーしてきた(井ノ本)雅子や(森川)唯加との連携も強めていきたいです。
――秋のリーグへの意気込みを
目標は3部昇格なので、4部はぶっちぎりの1位で入れ替え戦に行くつもりです。それに向けて、自分にできること一つ一つを見直して、バスケットに取り組んでいきたいと思います。
井ノ本雅子(商4・四天王寺)
――試合を振り返って
体感としてはあっという間でした。最後の早慶戦なんだなと試合前は思っていたけど、いざ試合が始まったらそんなこと考える余裕もなかったです。
――3Qの活躍について
1・2Qは色々考え過ぎてプレーしていたところがありました。ハーフで、同期のマネージャーに「最後だから思いっきりやりなよ!」って肩を叩いてもらって臨んだ3Qで、得点が決められて嬉しかったし、そう言ってもらえたのも嬉しかったです。ただ、人に言ってもらって出来るのではなくて、1・2Qでももっと出来たらなと思いました。
――4年間の早慶戦で成長した部分は
大きな体育館で大勢の人に囲まれて試合をすることなんてなかったので、1年生のときは「お祭り」みたいな感じでただ楽しんでいました(笑)。高学年になるにつれて、どういうプレーが通用するか、というのを意識しながらプレーできるようになったと思います。
――チームの課題は
4年生にあると思っています。コーチにも言われたんですけど、4年生がプレーでチームを引っ張っていかないといけないと思います。1年生の活躍は嬉しいけれど、今は4年生のチームだから、私ももっと要所で決めないといけなかったし、4年生全体でももっと自分を追い込んでやっていく必要がある気がします。
――秋のリーグへ向けて
リーグは毎週試合があってとても長いので、誰が出ても同じように結果を残せるようになりたいです。今日は出る選手が限られたけど、全員が戦える本当に強いチームになっていきたいです。