8月13日(月)に開幕を迎える関東学生ラクロスリーグ戦。昨年の全国覇者・慶大は、新たなチーム102人で全戦勝利に挑む。今回は開幕直前企画として、今季の注目選手対談を二夜に渡ってお送りする。第一夜となる今宵は、AT荒井理沙(経3・慶應女子)、DF平井淑恵(商3・慶應女子)、MF清水珠理(商2・慶應女子)、DF野々垣眞希(商2・慶應女子)と、新戦力として期待が懸かる4人の2・3年注目選手にお話を伺った。下級生ならではの思いや覚悟など、さまざまなことを語っていただいた。
(取材日:8月9日)
――まずは隣の人の他己紹介をお願いします
野々垣→平井:3年の淑恵さんです。ポジションはDFで…
平井:何言ってもいいよ(笑)
野々垣:えー(笑)プレー面では動きがすごく豪快で、見習うところがたくさんあります。性格的には、いつも面白いことを急に言うので、笑わせてもらっています(笑)
平井→清水:隣の方は珠理です。MFをやっています。プレーは何といってもダウンボール処理が得意なのと、あと視野がすごく広くて、ゲームメイクをしてくれています。性格的には、真面目なときは真面目に、ふざけるときは最大限ふざけてくれる、面白い後輩です。
清水→荒井:あらりささんは、途中までMFで、急にATになったんですけど、カットやシュート精度などがすごくてめちゃめちゃ活躍しています。けがをしていた期間も自主練をずっと続けていて、努力の人だなと思います。性格的には、周りを見ながら、波風を立てずにまとめられる、優しいところがあります。
荒井→野々垣:まきです。ポジションは、最初AT寄りのMFだったんですけど、気づいたらDFにいて、気づいたらDFがとても上手になっていました。走るのもすごく速いんですけど、その足の速さを生かしたチェックとか、まきを筆頭にボールを奪っている今です。
平井:今です(笑)
荒井:性格は、こんなイケイケな外見なんですけど、意外と緊張しいで、そういうところが可愛いなあと思います。元気な子です。
――野々垣選手はどういった経緯でDFになったのですか
野々垣:元からライドが得意で、ライドでボールを奪うようになってから、段々とポジションが後ろに下がっていって、気づいたらDFになっていました(笑)
――皆さん合宿を終えた直後ということですが、合宿ではどのようなことをされたのですか
荒井:開幕戦直前なので、例えばセットDFの練習では、AT側に(開幕戦の対戦相手である)立大のような動きを再現してもらって、それに合わせて調整していきました。
――合宿の雰囲気はどのようなものでしたか
平井:合宿で開幕戦を意識した練習をしたので、合宿に行く前よりも緊張感は出てきていたのかなと感じています。
――ここで昨年の1年間を振り返っていただきたいのですが、自身にとってどのような1年でしたか
荒井:さっき珠理が言ってくれたんですけど、私は昨年の夏までけがをしていて、その期間、戦術を理解するためにトップチームに入れてもらっていました。でも、けがが治った後にそのままトップチームで復帰してしまって、まだ本調子ではないけれど、いさせてもらっていた、という感じでした。試合にはあまり出られなかったんですけど、日本一を取った先輩方と一緒に練習できたことはすごく貴重だったし、いい経験だったなと思います。いろいろな意味で準備の年でした。
清水:去年は9月からトップチームに入れてもらって、ちょうどウィンター(ウィンターカップ)や準リーグも控えている時期だったので、いろいろなところで試合経験を積ませてもらった年でした。また、日本一を取ったチームで一緒にプレーさせてもらったのはすごく貴重な経験だったし、その経験を今年に生かしたいと思っています。ただ、去年はトップチームにいさせてもらったけど、自分が勝利に貢献できていなかったので、今年は自分が日本一に貢献できるように練習したいと思います。
平井:私は、去年の早慶戦が終わった後あたりからトップチームに上げてもらいました。初戦から何戦かはベンチメンバーに入っていたんですけど、そのときは「なんで自分が入れてもらったのか」とか「自分が試合に出て何ができるか」ということがはっきりわかっていませんでした。でも、最初の3戦が終わった後にベンチメンバーから外されて、そのときに「自分には何ができるのか、何ができないのか」「今突然試合に出されたら何をしようか」などを考えるようになりました。その後もベンチに入ることはなかったけど、最後まで先輩の戦い続けている姿を見たら、「来年はこういうことをしたい」と考えたりして、自分のメンタル面の課題にたくさん向き合った1年でした。
野々垣:私は去年の6月に1年チームからサブチームに上がって、先輩方と一緒に練習をさせてもらうようになってから、自分の強さを発揮できる場面がたくさんあったので、自分の強みを生かせるプレーをたくさん見つけることができた1年でした。トップチームまでは行けなかったんですけど、準リーグなどで発見した自分の強みを今年発揮したいと思っています。
――今シーズンは皆さん主力として活躍されていますが、六大学戦や早慶戦を通してなにか自分自身が変わったことはありますか
平井:私とあらりさとはる(脇坂遥香=経3・慶應女子)と(西村)佳子(政3・東京女学館)というメンバーで春幹部(4年の就職活動期間に幹部の仕事をやるメンバー)をやっていて、その幹部の目標が「早慶戦に勝利すること」で。六大学戦の途中から早慶戦の前まで4年がいないなかで、自分たちがどう主体的に動けるか、などを考えていました。その時期から「自分たちで主体的にチームを動かそう」という気持ちが強くなって、試合に対する考えが変わったなという感じがします。
荒井:私も似ているんですけど、六大学戦の最初など、4年生がチームを引っ張っているときは、自分は何点か取れたらいいなという感じだったんですけど、どうやって勝っていくかとか、春幹部をやってから支持を出す側になって、いろいろ考え方が変わったなと思います。春幹部が終わった後も、「ただついていくだけではチームが強くなることはない」と思うようになりました。具体的には、私はATで、私以外の3人がすごく上手でたくさん点を取ってくれているので、「あらりさがボールを持ったらゴールまで行ける」くらい周りに思ってもらえるように、信頼や自信をつけなきゃと感じました。
清水:春幹部の先輩方が、4年がいないなかでも引っ張ってくれていて、自分たちの一つ上の学年のそういう姿を見て、2年もただ後をついていくだけではなく、チームとして強くなるために学年を超えて一つのチームとして力を合わせて勝ちにいきたいなという気持ちが出てきました。
野々垣:六大学戦のときは、自分がトップチームに上がっても戦力になっている実感はなかったんですけど、早慶戦に向けてみんなで勝つためにどうするかを考えていくなかで、自分がどうするかも考えるようになって、その過程で自信もついてきました。
――次に下級生としての質問に移りたいと思います。それぞれ2・3年はどのような学年ですか
清水:正反対ですね(笑)真面目でストイックで細かいところまでちゃんと考えるのが3年の先輩方です。
荒井:3年はいろいろ考えちゃう学年で、考えて考えて、何もできないみたいな(笑)
清水:いろいろ考えたうえで行動に移す学年です。
荒井:2年は元気で楽しそうで、もうまさか!みたいな感じです。
清水:細かいことを考えるのが苦手な人が多いですね。
――皆さんにとって4年はどのような印象ですか
荒井:4年生は本当にすごいです。しっかりもしているし、楽しいし…
清水:濃いです。
平井:個性が一人一人強いですね。
――友岡阿美主将(政4・慶應女子)はどのような人ですか?
一同:小さくて可愛い(笑)
荒井:すごく人としてできた人です。
清水:一人一人と向き合っているなあという印象です。
平井:ガチガチな雰囲気を作りすぎないで、いい意味で明るい雰囲気を作ってくれる主将です。
――荒井選手と平井選手は副将に就任されましたが、どのような経緯だったのですか
平井:学年内の話合いのなかで、立候補したりして、その人の長所と短所をいろいろと出して、学年のみんなで決めました。
――前もって決意していたのですか
平井:3年になるからちゃんとやらなきゃという思いがあって、副将をやれば自ずとやるしかないという責任感がついてきて、それが自分のためになると思って、副将をやることに決めました。また、チームのためになってみたいという思いからです。
荒井:同じですね。
――では、2年のなかでのまとめ役は誰ですか
清水:いるかな?(笑)まだ幹部を意識していないし、役割がない状態で結局みんなで話し合ってやっている感じです。
野々垣:スタッフじゃない?(笑)スタッフにしっかりしている子が多いです。
清水:あとは、まとめ役が全然出てこないので、話し合いのときにあらかじめ今日はこの人がまとめてね、というのを決めておいて、その人に仕切ってもらうことが多いですね。
――野々垣選手は学年内でどのような役割ですか
清水:眞希はまとめ役というよりは、プレーで引っ張る感じですね。エースみたいな感じです。
野々垣:話し合いはちょっと苦手ですね(笑)
清水:ちゃんと意見も言いますけどね。まとめ役よりは、プレー中に指示を出したりする役割が多いですね。
――清水選手はどうですか
野々垣:珠理は両方だよね。まとめているし、去年からトップチームで活躍しているから、学年のみんなが尊敬しています。
清水:あ、じゃあ。頂いておきます(笑)
――尊敬やお手本にしている先輩はいますか
荒井:(友岡)阿美さん、(吉岡)美波(理4・大妻多摩)さん、(西村)沙和子(商4・慶應女子)さんの3人ですね。その3人は明らかにレベルの違うほど上手いです。阿美さんと沙和子さんはスピードとかがすごいんですけど、美波さんは本当にすごくて、速さというよりは、テクニック、特にカットがすごいです。自分もスピードのあるタイプではないので、美波さんは自分の目指せるスタイルに近いのかなと、尊敬しています。
平井:私のポジションはDFなので、先輩である(櫨本)美咲(経4・慶應女子)さんを尊敬しています。美咲さんは質問するとかみ砕いて説明してくれて、細かく理解できるように説明してくれます。全体に説明するときもとてもわかりやすいです。DFは動きの理解が大事になるポジションなので、美咲さんの姿勢は参考にしています。
清水:私はMFなので、伊藤香奈(経4・慶應女子)さんを尊敬しています。香奈さんは慶應一運動量があるし、トレーニングも手を抜かないし、攻守の全部を任せられるMFの鑑のような人です。香奈さんのような不可欠な選手になりたい、と思わせてくれる先輩です。ビデオでも、常に香奈さんを追っていて、動きを見て学ぼうと常に思っています。
野々垣:私は、ポジションがコロコロ変わるのでプレー面ではわからないですけど、性格面では(石川)のどか(政4・品川女子学院)さんを尊敬しています。自分はそんなにストイックではないので、本当にすごいなと思うことが多々あります。
――ここでラクロスから少し離れてプライベートな質問をさせてください。皆さんオフはどのように過ごされていますか
野々垣:私は、ゴロゴロしながら映画を見ています。アクション系が好きで、よく見ています。
平井:私もすごくインドア派で、普段とれない分の睡眠をとっています。あとは、撮り溜めていたドラマの録画を見ています。また、気が向いたら練習のビデオも見ています。
清水:私はインドア派かアウトドア派かわからないんですけど、家にいるときはYouTubeだけを見て過ごす日もあれば、自主練したり、友達とドライブに行くこともあります。最近は、できればそこに時間を使いたくないのですが、教習所に行っています。
平井:確かに費やしたくはない(笑)
清水:期限があるので仕方なく(笑)いずれは自分の運転で友達をドライブに連れていきたいなと思っています。
荒井:私は、オフの前の日に遊んで、オフの日は家にいることが多いですね。オフに遊びたいと思うんですけど、前日になると休みたいなって(笑)最近はその反省を生かして何も予定を入れないようにしています。
――自分の背番号に特別な意味はありますか
荒井:特に意味はないんですけど、仲の良いはる(脇坂)と連番にしたくて。はるが高校のときに#71で、逆の#17がいいと言ったので、#18になりました。
清水:私も全く同じで、ゼット(日野美咲=商2・慶應女子)と連番にしたくて、私が高校時代に#85だったので、反対の#58にして、ゼット選手が#59になりました。
荒井:全く一緒じゃん(笑)
平井:私は結構意味があります。ずっとバスケをやっていたんですけど、中学のときの背番号が#7で、高校のときの背番号が#5だったので、そこに関連付けたいという思いがあって、ちょうど#75があったのでこれにしました。
野々垣:私は#1が良かったんですけど、G(ゴーリー)用の番号だったので、#81がイケてるなあと思い、決めました。
清水:フィーリングね(笑)
――最近何か部内で流行っていることはありますか
一同:あー!それはもう、ね!
清水:言っていいですか? Tik Tokですね!(笑)もう大流行してます。合宿のバスの中でもどこからでも音楽が聞こえてきて。
荒井:主に2年と4年だけどね(笑)
清水:投稿はしないで、「可愛い~」みたいな感じで満足しています。
――では話題を戻します。もうすぐリーグ戦が始まりますが、昨年の全日本選手権の決勝を振り返っていかがですか
荒井:あの劇的勝利ですね。
野々垣:感動ですね。
清水:去年を経験して、もう一度あの決勝まで行きたいし、あんなすごい舞台に2度も行けたらすごいし、そのフィールドで戦ってみたいし、もう一度日本一を取りたいと思うし、なんなら圧勝したいです。
荒井:今度の開幕戦は12月の決勝への第一歩だから、スタートが良ければいい波に乗れるだろうし、最初から圧勝して、飛ばしていきたいなとは思っています。
――ずばり今年のチームの武器とは
荒井:今年は例年に比べて、学年の壁があまりないなと感じていて、言い方は違うかもしれないけど、いい意味で仲良しですね。4年もアプローチしてくれるし、2年もいい感じにグイグイ来てくれて親しみやすいし、3年の私はやりやすいなと感じています。
野々垣:プレーがしやすいです。
――チームのキーマンは誰になりそうですか
荒井:香奈さんですね。シュート率や運動量がすごくて、1人で何人分もの仕事をしているので、香奈さんの力になれるように、頑張らなきゃなって思います。
――警戒している対戦校はありますか
平井:まずは初戦かな。
荒井:初戦の立大ですね。立大は2年がすごく上手いチームで、でも去年リーグには出ていなくて、どんなプレーをするかのスカウティングができていないので、その意味で怖さはあります。
清水:立大の2年が怖いなっていう思いはあるんですけど、慶大と立大の2年を比べたときに、同じ2年として負けたくないという思いがあります。立大の2年は経験者が多く、経験者以外の人たちも上手で、代表に選ばれている人もいます。でも、去年慶應は日本一を取ったし、いつもトレーニングも頑張っているので、同じ2年として、対人したときには絶対に負けたくないと思います。
――自分が試合で貢献したいプレーは何ですか
野々垣:ポジションがDFのバッカーのサイドというポジションなんですけど、そこが一番のボールの奪いどころになっているので、ボールを奪ってすぐにATに繋げるプレーをしたいと思います。
平井:私はプレーの予測が得意だと思っていて、どの辺にボールが来そうかというのを予測して、早めに攻撃の芽を摘んでいきたいと思います。また、DFしているときは後ろに下がりがちなので、自分が攻撃の起点になるんだという攻める気持ちをもってプレーしたいと思います。
清水:私はドローサークルの近くでゲームがスタートするので、ドローからの速攻で得点を決めたいです。また、得点に繋がるプレー、相手にターンオーバーさせて、自分たちが攻めるきっかけをつくりたいと思います。
荒井:私は点を決めることが仕事なので、点を取りたいのが一番です。また、慶大は奪うDFをしてくれているので、それを生かしてブレイクしてシュートまで繋げられるようにしたいです。
――では最後に、リーグ戦に向けて意気込みをお願いします
平井:一戦一戦が大事になってくると思うので、どの相手に対してもしっかり準備をしていって、勝てるようにしたいと思います!
荒井:個人的に初めてのリーグ戦で緊張しているんですけど、初戦は日本一に向けてのスタートなので、きちんと勝ちたいです。今の慶大は本当に良いチームで、先輩も同期も後輩も仲が良いので、このチームで最後まで戦えるように、最初から頑張ります!
清水:日本一を取るための最初の試合なので大事になると思っています。そこで負けると今までの努力に対する不安が出てきてしまうし、日本一に繋がらないと思うので、頑張りたいです。リーグ戦なのでまだ負けたら終わる試合ではないけど、大好きな’18チームで一日でも長くプレーしたいという思いが強いので、絶対に負けないよう頑張ります!
野々垣:緊張はありますが、強気でガンガンいって相手を倒して、リーグ戦のいいスタートを切りたいと思います。ここで圧勝すれば、Vリーグや準リーグにも良い影響を与えられると思うので、全力で戦いたいと思います!
――選手の皆さん、貴重なお時間をありがとうございました!
(取材:堀口綾乃・五十右瑛士)
☆選手紹介☆
#18 荒井理沙(経3・慶應女子)
個性豊かな慶大AT陣の新戦力。けがを乗り越え、自身初となるリーグ戦の舞台で「真剣勝負」を魅せる。
#75 平井淑恵(商3・慶應女子)
優れた観察眼で今季からDFのスタメンに定着。幹部となり自覚の芽生えた今季、目指す頂点への強い思いを色紙に書いていただいた。
#58 清水珠理(商2・慶應女子)
1年次からトップチームで試合経験を積む才能溢れるMF。今年は勝利への貢献を誓う。色紙に描かれた自慢の「力こぶ」にもご注目。
#81 野々垣眞希(商2・慶應女子)
慶大DF陣の期待の星。持ち前のスピードでボールを狩り取る姿に注目だ。色紙には、悩んだ末に「圧勝」の二文字を記していただいた。