ついに幕を開けた関東学生ラクロスリーグ戦。チームは初戦にして山場の一つと話す立大戦に臨んだ。開始から相手DFに苦しめられ先制点を許す展開となるが、MF小久保(政4)とAT西村(商4)の得点により、前半を1点リードで終える。しかし後半、立大の速攻をくらい、同点へ。緊迫したゲームのなか、MF伊藤(経4)が相手守備陣を切り崩し、勢いのあるジャンプシュートを決める。試合はそのまま4-3で終了し、大接戦となった開幕戦は慶大に軍配が上がった。
第31回関東学生リーグ女子 第1戦 vs立大
8/13(月) 17:40ドロー @富士通スタジアム川崎
| 前半 | 後半 | 合計 |
慶大 | 2 | 2 | 4 |
立大 | 1 | 2 | 3 |
スタメン
ポジション | 背番号 | 名前 | 学部・学年 | 出身高 | 得点 |
G | 28 | 大沢かおり | 経4 | 学芸大附属国際 | 0 |
DF | 62 | 櫨本美咲 | 経4 | 慶應女子 | 0 |
DF | 75 | 平井淑恵 | 商3 | 慶應女子 | 0 |
DF | 81 | 野々垣眞希 | 商2 | 慶應女子 | 0 |
MF | 58 | 清水珠理 | 商2 | 慶應女子 | 0 |
MF | 66 | 石川のどか | 政4 | 品川女子学院 | 0 |
MF | 73 | 伊藤香奈 | 経4 | 慶應女子 | 1 |
MF | 97 | 小久保磨里奈 | 政4 | 慶應NY | 1 |
AT | 18 | 荒井理沙 | 経3 | 慶應女子 | 0 |
AT | 32 | 友岡阿美 | 政4 | 慶應女子 | 0 |
AT | 33 | 西村沙和子 | 商4 | 慶應女子 | 1 |
AT | 72 | 吉岡美波 | 理4 | 大妻多摩 | 1 |
ベンチ入り選手
ポジション | 背番号 | 名前 | 学部・学年 | 出身高 | 得点 |
G | 5 | 西村佳子 | 政3 | 東京女学館 | 0 |
MF | 17 | 脇坂遥香 | 経3 | 慶應女子 | 0 |
MF | 20 | 溝口友梨奈 | 経2 | 慶應女子 | 0 |
MF | 26 | 井上ゆり子 | 経2 | 慶應湘南藤沢 | 0 |
MF | 51 | 石田百伽 | 経4 | 慶應女子 | 0 |
MF | 59 | 日野美咲 | 商2 | 慶應女子 | 0 |
MF | 77 | 橋本ひかる | 政4 | 慶應女子 | 0 |
AT | 13 | 髙木紗瑛 | 商4 | 立教女学院 | 0 |
開幕戦の相手はブロック内で早大とともに警戒する立大。コート全体を使った攻撃を得意とし、昨年もFINAL4まで残った強豪チームだ。初戦にして山場の一つを迎える慶大は、この日に向け立大対策に特化した練習を積んできた。当日は悪天候の影響を受け、試合開始が予定より約3時間遅れるハプニングにも見舞われるなか、日本一への挑戦が幕を開けた。
開幕のドローに臨むはMF小久保磨里奈(政4・慶應NY)。勝負の分かれ目と話す一本目のドローを競り取る慶大だが、「中にこもっているディフェンス」(石川のどか=政4・品川女子学院)と話す立大の守りにシュートコースを堅くふさがれ、ゴールに繋げられない。すると3分、相手の素早い展開から攻め込まれ、開幕第一弾を立大に明け渡してしまう。しかし9分、今度は慶大側に好機が訪れる。DF野々垣眞希(商2・慶應女子)が立大ボールの奪取に成功すると味方が繋ぎ、ゴールサイドでパスを受けた小久保がそのままシュート。さらに22分、MF石川のパスカットから慶大は再び相手ゴールを囲む。最後は相手Gの隙をついてAT西村沙和子(商4・慶應女子)がゴール裏から回り込み、逆転弾を打ち込んだ。慶大のボールキープで前半は終了したが、2-1と油断ならないロースコアで後半へ繋ぐこととなった。
後半始めの流れをつかんだのは慶大だった。AT吉岡美波(理4・大妻多摩)がゴール正面でパスを受けると、2人の相手DFを巧みなターンでかわし、シュートを決めた。幸先良いスタートとなったが、直後、立大が得意とするオールコートでの速攻を許し、すぐさま1点を返されてしまう。さらに16分、またしてもスピードある相手攻撃を止められず、同点へ。手に汗を握るこの展開を救ったのは、MF伊藤香奈(経4・慶應女子)だ。「前半でDFの穴だと思っていた部分があって」と話す左サイドから走り込み、勢いよくジャンプシュートを叩き込んだ。これにて慶大の1点リードとなったが、油断はならない。緊迫したパス回しが続くなか、待望の試合終了の笛が鳴り響いた。4-3でみごと逃げ切り、緊張から解放されたメンバーは、ベンチ・観客席の部員らと喜びを分かち合った。
「メンタル的にもコンディションを一回上げたのに落ちてしまって」(友岡阿美=政4・慶應女子)と話すように、試合延期によりさまざまな調整が困難であるなか迎えた開幕戦だった。予想通りの立大の速攻に苦しめられた点もあるが、「何が起こるかわからない開幕戦を、逃げていたとしても、勝ち切れたのは良かった」(西村)と話すよう、緊迫したゲームを勝ち切ったことはチームとして大きな収穫となったはずだ。一つの山を越え、「逆にこれで吹っ切れた」と友岡主将は語る。次の法大戦では目標とする二桁得点が期待されるだろう。慶大らしい超攻撃型ラクロスで圧倒し、晴れやかな快勝を収めてほしい。
(記事:堀口綾乃 写真:五十右瑛士・髙橋春乃)
次戦 8月25(土) vs法大
16:00ドロー @明治学院大学へボンフィールド
以下、選手コメント
友岡阿美(政4・慶應女子)
開幕戦でブロックの中で一番強い立大との一戦で、さらに延期ということで、メンタル的にもコンディションを一回上げたのに落ちてしまって、自分たちの入りもつかめていないなか、ロースコアで終わってしまったという感じです。
――立大対策をして臨んだそうですが、効果はいかがでしたか
立大はオールコートで強いというふうに自分たちも構えていたので、オールコートでいかに潰せるか、逆に自分たちがハーフコートでいかに点を取ったり、ボールを奪えるかということをやっていたんですけど、やっぱり相手もやってくることが違ったりして、それに上手く対処しきれなかったからこそのロースコアだったのかなと思います。
――立大は2年選手が強いと伺いましたが彼女たちの印象は
私が育成をしていたときの代が今の2年で、あすなろで戦ったときも(立大の)2年に負けてしまったので。でもそんなに(立大の)2年を気にしていたというよりは、開幕戦に向けて自分たちのやれることをやって勝ちに行くだけでした。
――次戦へ向けて
開幕戦をロースコアで終えたので、逆にこれで吹っ切れたと思います。あとは自分たちができなかったところとできたところを考えて、次の試合で何を潰して何を伸ばしていくかを考えられたらもっと良くなると思うので、そこをやっていきたいと思います。
小久保磨里奈(政4・慶應NY)
結構厳しい試合になったと思うんですけど、勝ち切れたというのは大きかったと思います。
――試合後のインタビューで西村選手が「思っていたような勝ち方ではなかった」と話していたが、もっと楽な試合にしたかったか
自分たち的には10点以上取って大差で勝つのが目標だったんですけど、結構ロースコアゲームになってしまったのは予想とは違いました。でも最後は気持ちで勝ち切れたのは大きかったと思います。
――開幕戦に向けての準備は
開幕戦は結構独特な雰囲気とかがあるので、気持ちで勝つことが大事だと思っていたので、もちろん今まで練習してきたことを出すことはすごく意識してきたことなんですけど、最後は気持ちで負けないっていうのを大事にしました。
――試合時間がかなり遅れたが、影響はあったか
最初の集中力っていうのは監督からもすごく言われていて、雷で遅れたことで集中が切れるかもしれないからいつも以上に意識していこうとしました。
――自身の得点シーンを振り返って
あれはもう、もらって自分が最初のシュートを決めるっていう気持ちで打ったので、決められて良かったなと思います。
――日本一を目指す長い戦いの一歩目となったが、これからの戦いについて
ひとつひとつ勝っていって日本一を獲るのが私たちの目標なので、今日見つかった課題をしっかり修正してまた次の試合に向けて頑張っていきたいと思います。
伊藤香奈(経4・慶應女子)
二桁得点を目標にして、絶対二桁得点すれば勝ちに持っていけるゲームだとは思っていました。ただ、相手に守られてしまってうまく攻めることができずにロースコアのまま終わってしまって、自分たちで苦しい展開にしてしまったのは反省点かなと思います。この開幕戦という大きな試合で勝ち点3をあげられたというのは大きなことだったのかなと思います。
――今日の試合に向けて準備してきたことは
8月頭の合宿で開幕戦を意識した練習を組んで、しっかり全員で立教に向けてどう戦うかという意識を高めていったので、その気持ちがしっかりこの試合で体現できたのかなと思います。
――後半攻め込まれていた中で伊藤選手のゴールで勝ち越しました。ご自身のプレーを振り返って
リードして同点に追いつかれて、残り6分くらいだったと思うんですけど、絶対ここで次の得点を決めた方が流れ持って来られるなと思っていました。前半でDFの穴だと思っていた部分があって、そこで自分が(ボールを)持ったら攻め込んでいこうと思っていたので、思い通りのプレーができたのかなと思っています。
――大事な開幕戦を勝利で終えました
去年日本一を取って一応王者という立場ではあるんですけど、また今日から0からのスタートということで臨みました。まずは勝ち点をあげられて、あと10戦、日本一に向けて良いスタートを切ってチームに勢いを付けられたのかなと思います。
――次節に向けて
2週間後に法大戦を控えていて、その次に青学大戦もすぐ控えているので、チームで課題をどんどん潰していって、成長できるところは成長して、進化した慶應を見せられるように頑張っていきたいと思います。
西村沙和子(商4・慶應女子)
最後、気持ちで勝ち切れた点が良かったです。結果的には一点をキープしてつかんだ勝利でしたが、何が起こるかわからない開幕戦を、逃げていたとしても、勝ち切れたのは良かったと思います。
――この試合に向けて準備してきたこと
慶應は超攻撃型チームということで、とにかくATにボールを置くというのをメインに、DF時間をいかに短くするかということを練習してきました。
――自分の得点シーンを振り返って
あれはゴーリーが前に出てきたことで生まれた咄嗟の一点でしたが、そういう一点で逆転への糸口を作れたというのを4年でできたということは誇らしいと思います。
――次の試合に向けて修正する点
とにかく慶應は大量得点で勝ち切りたいです。それが超攻撃型を武器にしているチームの重要な点だと思います。もともと25点を取るプレーをしたいと思っているので、それを体現できるようにしたいと思います。
石川のどか(政4・品川女子学院)
本当はもっと得点をして勝つつもりだったんですけど、あまり得点が入らなくて、そこが苦しかったなと思います。
――開始時刻が遅くなりましたが、コンディションなどはいかがでしたか
試合が何時に始まるかが分からなくて、どう整えればいいかも難しかったです。最初は14時半に合わせていたんですけど、どんどん遅くなるなかで調整し直すのが難しかったです。
――遅れたことでチームの雰囲気に何か違いはありましたか
最初は緊張を高めていたんですけど、中止になったところで一度力を抜いて楽しい雰囲気にしてから、またそこから集中を高めるという感じでした。チームとして、集中を一気に高めるという点ではまだまだだと思いますが、かなりみんな集中してできていたかなと思います。
――点数があまり取れなかった要因は
立教のやりたいようにやられてしまったかなと思います。立教のディフェンスが中にこもっているディフェンスで、私たちはそういうのがあまり得意ではなかったので、ポゼッションの時間は長かったんですけど、シュートにいけなかったり攻め切れなかったなと思います。
――立大の攻撃はディフェンスから見ていかがでしたか
ブレイクとか長いパスを投げてから一気にシュートに来るかなと予想していて、その通りに来ていた部分はあったんですけど、やりたいようにやられてしまったので、次の試合に向けて修正していきたいです。
――開幕戦に向けてはどういった練習をしてきましたか
自分たちは攻撃が強くなればそれにつれてディフェンスも強くなると思っているので、攻撃の練習をメインでやってきました。
――個人的に伸びた部分などはありますか
個人的にはボールの判断だったり、一つ一つの対峙という部分では伸びてきたかなと思います。
――次戦に向けて
日本一という目標に向けては11試合のうちの1試合目なので、着実に勝てたという点では良かったですけど、また次の試合に向けてしっかりと練習していきたいと思います。