秋季リーグ戦(秋季関東大学男子1部バレーボールリーグ戦)が開幕してから2週間が経過した。持ち前の「組織力」でリーグ戦に臨む慶大男子バレー部。今回は、その中でも菊地海帆アナリスト(政4・新宿)、佐瀬琴美アナリスト(政4・学習院女子)、黒坂麻莉子渉外主務(文4・ミシガン州立)の4年生女性スタッフ3人を取材した。
3人が出会ったのは3年前の春。高校でバレー部に所属していた菊地と佐瀬は、大学で続けるか悩みもしたが、実際に練習を見学したときに「ここしかない」と感じ、入部を決意した。一方の黒坂は、過去にバレーの経験はなかったが、「練習見学のときに迫力に魅了され」、バレーの世界に足を踏み入れた。それから4年間、大学生活のほぼ毎日をともにしてきた3人。チームを裏で支えるスタッフとして、それぞれの役割を果たしている。
菊地、佐瀬の2人が務めるアナリストとは、自チーム、相手チームの情報を収集・分析し、チームの戦術を方向付ける役割を担うスタッフのこと。リーグ会場には、ビデオカメラとパソコンを手に、黙々と作業を続けるアナリストたちの姿がある。
菊地と佐瀬は、「チームの勝利に自分なりの形で貢献したい」(菊地)という思いから、アナリストに就任した。アナリストは、情報のインプットだけではなく、アウトプットも必要な仕事。分析方法を覚えることと同時に、「選手たちに受け入れてもらえるだけの人間にならなくては」(佐瀬)と信頼関係の構築にも取り組んできた。今では、伊藤祥樹主将(総4・清風)とともに作戦を立てる、チームの中核となっている。
選手たちが練習に、そしてアナリストたちがデータの分析に専念できているのは、チームの運営を担うスタッフがいるからだ。その中の一人が、渉外主務の黒坂。練習の補助のほか、プレー写真の撮影やTwitter・HPの管理といった広報活動、さらにはOB・OGとの窓口など、その仕事は多岐にわたっている。
黒坂には2つのモットーがある。それは、「チームのために尽くすこと」と「新しいことにどんどん挑戦すること」。入部直後、黒坂は宗雲健司監督から「色々新しいことにチャレンジしていってほしい」と声を掛けられたという。歴史ある部活にあっても、現状を維持するだけでなく、常にアップデートを図る。慶大バレー部の進化は、黒坂たち運営陣のそういった姿勢に支えられている。
3人は4年生。最上級生になって以来、部の方針から練習メニューまでありとあらゆることについて、同期8人で話し合いを重ねてきた。今年度最後の大会、全日本大学選手権大会まで残り2か月余り。「後輩スタッフのために何か残せるように」(菊地)、「みんなが十二分に力を発揮できるように」(黒坂)、彼女たちは今まで通り仕事を全うする。そして、「笑顔でいるだけで自分の中のスイッチにもなるし、周りにも良い影響しか及ぼさないから、最後までどんなことがあっても笑顔でいたい」(佐瀬)。彼女たちの熱き想いは、日本一への原動力となるだろう。
(記事:藤澤薫)
◇連載企画◇ リレーインタビュー
先月取材した吉田祝太郎(政2・慶應)選手からの質問です。
――最近で一番良いお買い物は何ですか?
黒坂 テンピュールの、低反発の良い枕を買いました。
佐瀬 Amazon Fire TV Stickを買いました。もう何でも見られるんですよ、あれは!
菊地 宝塚歌劇団のチケットですかね。オフの日に見に行ったりとか、兵庫や大阪、福岡とかに行ってから日帰りで帰ってきて部活行ったりします。
◇プロフィール◇
菊地海帆 (きくち・みほ)
1996年5月19日生まれ/法学部政治学科4年/新宿高/アナリスト
黒坂麻莉子 (くろさか・まりこ)
1995年7月24日生まれ/文学部4年/ミシガン州立高/渉外主務
佐瀬琴美 (させ・ことみ)
1996年10月2日生まれ/法学部政治学科4年/学習院女子高/アナリスト
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