【ラグビー】タックルで流れを引き寄せた慶大、逆転で勝利掴む/関東大学Jr.選手権VS流通経済大Jr.

喜びを分かちあう選手たち

3週間前に行われた明大戦で勝利した慶大、第3戦の相手は流通経済大学だった。

前半は相手のペースに飲まれ苦しむも、後半は主導権を奪い見事21-17で勝利を収めた。しかし相手のブレイクダウンのプレッシャーに押された部分などもあり、次戦の帝京大との戦いに向け課題を残した試合となった。

 

 

得点

慶大

 

流通経済大

前半

後半

 

前半

後半

T

G

PG

DG

14

小計

10

21

合計

17

 

平成30年関東大学ジュニア選手権VS流経大Jr.

 

10月14日(土) 13:00K.O. @流通経済大学第一グラウンド

 

T=原田2、辻本

G=南3

 

ポジション

 先発メンバー

 交代選手

1.PR

竹内 翼(政4・慶應)

→後半0分 有賀光生(総3・國學院久我山)

2.HO

原田 衛 (総1・桐蔭学園)

→後半31分 中川丈豊(経4・慶應)

3.PR

菅 公平(政4・慶應)

→後半24分 坂田拓海(経4・慶應志木)

4.LO

田中 芳樹(政4・慶應)

 

5.LO

佐藤 航大(理4・國學院久我山)

→前半35分濱野剛己(総2・桐蔭学園)

6.FL

辻本 大河(法4・慶應)

 

7.FL

齊藤 柊(環4・獨協埼玉)

 

8.No8

北村 裕輝(経2・慶應)

 

9.SH

若林 俊介(政2・慶應)

→後半38分 上村龍舞(環3・國學院栃木)

10.SO

南 翔大(総4・常翔学園)

 

11.WTB

沖 洸成(総2・尾道)

 

12.CTB

柴尾 將希(商4・修猷館)

 

13.CTB

阿部直孝(政1・國學院久我山)

 

14.WTB

中山 和政(総4・桐蔭学園)

→後半0分 安西浩昭(政3・慶應)

15.FB

小谷田 尚紀(経2・慶應志木)

 

 

雨がぱらつき、背筋が伸びるようなピンと張った冷たい空気が立ち込めた流通経済大学第一グラウンド。関東大学ジュニア選手権第3戦は、天気のせいなのか、それともこれから始まる戦いを控えてなのか、独特の雰囲気が漂う中で行われた。

 

流通経済大のキックオフで試合は始まった。序盤、主導権を握ったのは慶大だった。敵陣でのプレーが続き、チャンスの場面も何度か訪れた。しかし、相手のディフェンスや慶大のミスでなかなかそれをものにできない時間が続く。

 

そんな慶大にしびれを切らしたのだろうか。ここまで守りの時間帯だった流経大にインゴールを割られてしまう。流経大ボールのスクラムから、ボールを持った相手のBKは慶大のディフェンスをかわし一気に左サイドを独走。ゴールキックは決まらず失点は5点に抑えられたもののここで貴重な先制点を奪われた。

 

慶大も黙ってはいない。前半25分、敵陣深くでのマイボールラインアウトのチャンスを得るとこのラインアウトを見事成功、そのままゴールへモールで押し込みHO原田衛(総1・桐蔭学園)がトライを決めた。SO南翔大(総4・常翔学園)のゴールキックも決まりここで逆転を果たした。

 

しかし依然として試合は流経大ペースで進み、慶大は自陣でのディフェンスの時間が続く。そして前半35分、右サイドを突破され、再度リードを奪われてしまう。

辻本の低いタックルが光った

このまま相手ペースのまま終わりそうだった前半。

またも、流通経済大が攻撃を開始。しかし、FL辻本大河(法4・慶應)が強烈なタックルで相手のペナルティーを誘い、嫌な流れを払拭。このプレーで慶大にやや流れがくるか、というところで前半が終了。

 

迎えた後半、前半終了間際に掴んだ流れをそのままに、慶大は逆転に成功する。後半7分、再びインゴール前のラインアウトからモールで押し込み原田がトライを決めた。

これだけでは終わらない慶大。後半17分、インゴール前で今度はマイボールスクラムのチャンスを得ると、相手のスクラムを押し崩し、スクラムから抜け出した辻本がトライ。これで流経大をさらに突き放した。

波に乗った慶大だが後半25分、自陣インゴール前でのラインアウトのピンチが訪れる。これを流経大が成功させると、モールで慶大は踏ん張るも守りきれずトライを献上。

 

4点差まで詰め寄られた慶大だったが、後半はこのまま終始主導権を譲ることはなかった。しかしそれと同時にチャンスの場面で相手のディフェンスに苦しみ得点にもつなげられない。試合終了間際、ゴール前でのスクラムを2回立て続けに得て、トライのチャンスが訪れるも、やはり相手に阻まれゴールラインまであと一歩、というところでノーサイド。追加点は得られないまま21-17で試合を終えた。

阿部の今後に期待だ

3週間前に行われた明大戦に引き続いて勝利した慶大。しかし「自分たちがやろうとしていることができなかった」(PR菅公平=政4・慶應)と試合後のインタビューで語ったように、「快勝」と呼べる勝利ではなかった。特に相手の激しいブレイクダウンに苦しめられていたように感じた。

ただ、「勝ち」は「勝ち」として大いなる意味がある。

 

次戦の相手は帝京大。ジュニア選手権6連覇中の強豪である。もちろん簡単に勝てる相手ではない。しかし、今回の「勝ち」を足掛かりに、「課題」は次なる躍進の材料に、ひるむことなく立ち向かっていってほしい。

 

こうした「勝つ」というチームの目標に加え、彼らにはもう一つ目標がある、とこの試合で副キャプテンを務めた辻本は語る。それは「Aチームに上がって日本一のメンバーとして23人に入る」(辻本)ことである。この目標を果たし、彼らが今度は黒黄のユニフォームで暴れまわる姿が来る日も、楽しみに待ちたい。

 

(記事:松嶋菜々美/写真:川下侑美)

 

 

次戦(対抗戦) 11月4日(日)vs明大

11:30K.O. @秩父宮ラグビー場

 

(Jr.戦) 10月28日(日)vs帝京大Jr.

13:00K.O. @帝京大学百草園グラウンド

 

 

以下、コメント

 

PR菅公平(政4・慶應)

——今日の試合を振り返って

フィジカルで勝っているので、前に出て有利に試合を進められれば良かったですが、ブレイクダウンの部分でプレッシャーを受けたり、ミスがあったりして自分たちがやろうとしていることができなかったのかなと感じました。

 

——チームでやろうとしていたことは

コミュニケーションをとり、ディフェンスで前に上がって、相手にプレッシャーをかける部分と、ボールを失わないという部分でそこはできていなかったと思います。

 

——チームとして、ラインアウトのモールから2つトライを決めましたが

ラインアウトモールの部分は今日の試合では良かったと感じています。

 

——その要因は

相手は結構引き倒してくるようなプレーをしてきましたが、そこでしっかりまず作って、しっかり8人でまっすぐ押していけたことが良かったと思います。

 

——練習で工夫されていた点は

練習としては夏合宿から継続してきたことがそのまま出たかなと考えます。

 

——スクラムに関してですが、流通経済大とうまくいかない場面がありましたが

自分たちが組むべき低いスクラムが組めませんでした。

 

——それは相手やレフリーとの兼ね合いなどが原因ですか

(原因が)そこになってはいけません。相手やレフリーが誰であっても、自分たちは低く組まなければいけないので、ちゃんとセットアップや、自分たちのルーティンのまま組まなければいけない部分でできませんでした。

 

——ご自身のプレーの評価について

僕の一番の強みはボールキャリーだと思っているのですが、そこではまったく活躍できなかったので、よくなかったなと思います。

 

——対抗戦やJr.戦に向けてどういった練習していきますか

Aの選手に日頃からプレッシャーをかけられるように、練習からそういう心意気でやっていきたいと考えています。

 

 

FL辻本大河(法4・慶應)

——試合を振り返って

Jr.選手権を前回の明治大から続けて勝利できたのはとても良かったですが、試合内容には反省点が多くありました。特に、アタックではブレイクダウンのところ、ディフェンスでは一人目のタックルの部分で、アタックでは、普段慶應は巡目に走ってテンポをつくって切り崩していくというアタックをしていますが、それがうまく歯車が合わなかったことで、相手のブレイクダウンのプレッシャーを受けてしまい、良い流れができなかったのが苦しかったところです。ディフェンスは、相手のアタックに対して一人目がしっかり低くタックルできず相手を倒しきれなくてずるずると(相手に)前に出られてしまって、慶應がディフェンスのゴールとしている、しっかり全員で前に出て走って止めてという繰り返しのディフェンスをする、ということができなかったです。内容的には反省する材料がたくさん見つかった試合だったと思います。

 

——今日のゲームプランについて

ゲームプラン、というよりもゲームの中でみんなで意識していたことで言えば、コミュニケーションをしっかりとることで、ディフェンスでもアタックでもしっかり隣の人と話して、アタックだったら全員が相手の脅威になる位置に立つことだったり、ディフェンスだと全員で前に上がるというような意思を統一して、チーム全体が機能するようにやるというのを意識していました。またボールを大事にするということも意識していました。しかしこれらをやる前に先ほどの課題が見つかってしまい、プラン自体は達成できなかったです。

 

——副キャプテンとして意識したことは

副キャプテンというよりも、自分の中ではフォワードのリーダーとして捉えていてます。フォワードはセットプレーがいっぱいありましたが、そこで普段練習の中で声をかけていることをあえて試合でもすることによって、意識することを練習のように全員に共有することを個人的には意識していました。また、相手に攻め込まれているときなどの試合の中の苦しい場面で、自分が一発良いタックルを決めて試合の流れを変えられればと思って試合に臨みました。

 

——前半の終了間際、辻本選手のタックルで流経大ペースの試合の流れが変わったような場面が見られました。今日の自身のタックルについて

もともと大学に入った時からタックルを自分の持ち味にしていてました。最近自分の中でをのタックルであまり手ごたえがありませんでしたが、今日は自立して相手に強い姿勢でタックルに入るということを特に意識してやったことが一つ形に現れたことは成果だったと思います。

 

——後半のトライの場面を振り返って

僕のトライというよりも、スクラムの前で押しているフォワードが相手のスクラムを崩してくれて、たまたま空いたところを自分が突いただけなので、フォワードの前5人のおかげだと思っています。

 

——今後に向けて

Jr.戦はあと帝京大戦が残っているのですが、今回や前回の明治戦などこれまでの試合で出た反省点や材料がたくさんあるので、それをJr.帝京までに潰していって、僕は勝った経験がないですし今の4年生も勝った経験はないと思うので、全員でJr.帝京を倒していきたいです。またその先に、僕らJr.戦に出ているメンバーはAチームに上がって日本一のメンバーとして23人に入るというのがやはり目標で、チームとしてのゴールと個人としてのゴールをそれぞれ持っているので、その2つを両立して達成できればいいなと思います。

 

 

CTB阿部直孝(政1・國學院久我山)

——今日の試合を振り返って

チームが勝てたことは良かったですが、自分たちが満足するような内容ではありませんでした。しっかりと修正して次の試合につなげていきたいです。

 

——心がけていたことは

今日は僕の対面が外国人の選手だったので、プレッシャーをかけていいディフェンスをすることで、チームに流れを持っていけたらなと考えていました。1回良いタックルを決めてターンオーバーできたので、そこは良かったと思います。

 

——チームの良かった点とそうでなかった点をそれぞれ挙げると

良かった点は勝利できたことです。(BKの)悪かった点は、外側のスペースにもっと仕掛けていっても良かったかなと思うところです。相手を惑わすような仕掛け方ができればいいなと思います。

 

——試合の最後の方に大きくゲインした場面が見られました

SHの龍舞さん(上村龍舞=環3・國學院栃木)の判断が良くてちょうど空いている僕にパスが来ました。最後の方は流れが良くなかったので、そこで勢いを持ってこれたかなと思います。

 

——次の帝京大Jr.戦に向けて意気込みを

春のJr.戦では帝京大に負けてしまっているので、次は勝ちたいです。そしてその流れを対抗戦につなげていけたらなと思います。また、対抗戦に出ることが目標なのでそこに向けてもチャレンジしていきたいです。

(阿部は、10月21日の帝京大戦で対抗戦初出場を果たしている。)

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