前節の法大戦の惜敗により3連敗となってしまった慶大。そのため、今試合の日体大戦はビッグ8との入替戦を回避するためにも大事な一戦だった。だが、そこに向けた気負いが強すぎたのだろうか、序盤は日体大にペースを握られ最大14点の差をつけられる。だが、その後は攻守が機能し3本のタッチダウンを奪って同点に追いつくと、4Q終盤、日体大に激しくプレッシャーをかけセイフティを獲得し逆転に成功した。このまま逃げ切った慶大はトップ8残留を確定させる貴重な1勝を手にした。
関東学生アメリカンフットボールリーグ戦 第5節
vs日体大
11月11日(日) @横浜スタジアム 10:45 KO
慶大 |
| 日体大 |
0 | 1Q | 7 |
0 | 2Q | 7 |
14 | 3Q | 7 |
9 | 4Q | 0 |
23 | TOTAL | 21 |
日体大の攻撃で始まった1Q。試合開始早々、DB玉造怜(経2・慶應義塾)がインターセプトを決め攻撃権を得た慶大。このまま勢いに乗りたいところであったが、最初の攻撃をゲイン無しのパントであっさり終わるとその後、日体大に連続でフレッシュを獲得されて流れが相手にいってしまう。慶大はラインバッカ―を中心に奮闘していたが、1Q後半に入るとディフェンスラインが日体大のオフェンスラインに押され中央のランを止めきれなくなりコンスタントにゲインされる。そして、9分過ぎ、スクリーンパスでゴール前にボールを運ばれると、最後はオープンランでタッチダウンを奪われ先制を許した。この流れを変えるためにも反撃を開始したいところであったが、流れに乗った日体大は守備でも激しいプレッシャーをかけてくる。その圧力に屈した慶大は間もなくインターセプトを許し攻撃権を失ってしまった。そしてリズムが悪い中で始まった次の日体大の攻撃、慶大が反則を犯してしまい相手に攻撃権を与え続ける形で1Qを終えた。
2Qに入っても、流れを掴めきれない状況は続いた。慶大のラフィングザキッカーの反則で自陣35ヤード付近からの守備を強いられると、勢いに乗った日体大のランによる攻撃を止められず立て続けにゲインを与える。3分過ぎ、中央をこれまたランで突破され追加点となるタッチダウンを奪われると、続くキックも決められ14点のビハインドとなった。その後はディフェンス陣の奮起もあり、なんとか得点を許さなかった。一方で、オフェンス陣は要所でパスを決められず1点も取る事が出来ないまま前半を終えた。
0−14という厳しい状況で迎えた3Q。主導権を握ったのは慶大だった。相手のキックを受けたWR佐藤凱輝(経3・慶應義塾)の好リターンで、敵陣48ヤードからの攻撃開始に成功するとRB藪田大登(商4・慶應義塾)のナイスランもあり前進。最後はQB西澤巧馬(理3・清風)のパスを受けた主将のSB松岡拓希(法4・慶應義塾)のタッチダウンで待望の得点を挙げ7−14となった。その後、日体大に57ヤードのロングパスによるタッチダウンで再びリードを広げられるも、すぐさま慶大は反撃に出た。日体大キックのアウトオブバウンズの反則で自陣35ヤードから1stダウンが始まるとSB松岡へのスクリーンパス成功とRB谷田顕弘(政3・南山)の巧みなドロープレーによる相次ぐロングゲインで敵陣8ヤードまで進むと、QB西澤からのパスが敵陣エンドゾーン左サイドにいたSB加藤航太郎(商4・浅野)に通ってタッチダウン。再び7点差まで詰め寄った。このあとの守備ではDL中島健(経2・芝)の人生初となるQBサックが生まれるなど、オフェンス・ディフェンスがかみ合ったいい流れで4Qに望みをつなぐ。
さらに攻勢を強めた慶大は次々とパスを決め、4Q開始2分までに敵陣6ヤードへ持ち込むと、続くプレーでRB谷田がラン。日体大の堅いディフェンスを切り抜けてタッチダウンに成功する。直後のトライフォーポイントも決まり慶大はついに21−21と追いついた。その後、両者ともに攻め手を欠く時間が長くなり試合終了まで残り3分となったところ、K廣田祐(理4・慶應志木)のこの試合一番のビッグパントで日体大を自陣11ヤードまで押し込んだ。すると、直後の相手の攻撃でスナップが乱れ、慶大ディフェンス陣が同1ヤードまで追い込むことに成功。ここで、日体大はパントではなくニーダウンによるセイフティを慶大に与える事を選択。相手にとっては自らの攻撃時間を確保するために2点を献上するという苦渋の選択であった。そして23‐21と逆転した慶大は、残り48秒となった日体大の攻撃に入るとDB田中瑛(経3・慶應義塾)とLB中野航平(政4・慶應義塾)が連続でパスカット、さらにDL天野修太郎(経2・慶應義塾)がQBサックを決めるなど相手の攻撃を完璧に封じ込めたディフェンスで攻守交替に。最後の攻撃はニーダウンで残り時間をうまく使って試合は終了した。
試合前評判では、今季の戦績を踏まえると慶大が比較的優位に試合を運べるのではないかという予想がされていたが、蓋を開けてみると前半までに14点もの大差をつけられる展開となった。だが、後半に入ると慶大は攻守ともに前半とは見違えるようないいプレーをして、鮮やかな逆転勝利を飾った。「後半、点を取るに当たり、全員で殺気を取り戻して流れを変えようと臨んだ」とRB谷田が振り返っていたが、彼自身のロングゲインのシーンにも後半におけるチームの気迫のこもった姿勢が感じられた。この結果、トップ8残留を決めた慶大は次節、最終節を迎える。相手はここまで4勝1敗と好調をキープしている明大だ。厳しい試合になることが予想される。ただ、「次を勝って3勝3敗にすることで去年を超えるとともに、来年のチームがいい方向に進むと思う」とLB中野が言うように、3勝という数字はチームの成長を考えるうえで非常に重要な意味を持つ。集大成として迎えるシーズン最終戦、勝利という形で締めくくりたいところだ。
(記事 増田将大)
以下選手インタビュー
谷田顕弘(政3・南山)
₋₋₋今日の試合を振り返って
とにかく勝利出来て嬉しいです。バイウィークで試合がないときに、しっかりと準備したことが今日の勝利につながったと思います。
₋₋₋試合前はどのような気持ちで臨みましたか
皆が気持ちを入れて、次の一戦は絶対勝つという気持ちで練習することが出来ました。いい意味で全員が殺気があって、集中力があったから今日の勝利につながったと思います。
₋₋₋後半逆転しましたが、ハーフタイムのミーティングではどのような話があったのでしょうか
後半は絶対に点を取らなけなかればいけないという話がありました。前半の入りが悪かったので全員が気持ちを高めて、殺気を取り戻して流れを変えていこうと後半に臨みました。
₋₋₋次の試合に向けて意気込みをお願いします
去年の成績が2勝5敗だったので、その成績を超えるためには次の明治戦に絶対に勝たなければいけないです。今までオフェンスが上手く機能しなかったことがあったので、次の試合ではオフェンスがしっかり頑張って勝ちたいと思います。
中野航平(政4・慶應義塾)
₋₋₋今日の試合を振り返って
前半で2本差になってしまって厳しい戦いでしたが、チーム全体として諦めてる雰囲気はなく、結果として逆転できたのでよかったと思います。
₋₋₋久々の勝利でしたが今のお気持ちは
単純に嬉しいです。
₋₋₋入替戦のかかった負けられない試合でしたがどのような気持ちで試合に臨まれましたか
入替戦でビッグ8に降格して次の代に渡す、ということは絶対にしたくなかったので、4年生としても絶対に勝つという気持ちでみんないつも以上に気合が入ってました。
₋₋₋試合前にチーム全体に声をかけたことなど
今月はバイウィークで4週間時間があったのでこれまで以上にハードなオフェンスとディフェンスのぶつかり合いがありました。そういったぶつかり合いを経てチームとして結束力も強まったと思います。
₋₋₋今日のディフェンスの作戦は
相手QBの小林君が、投げれるし走れるといういい選手なので、あまり自由に動かさないようにしようというコンセプトで行きました。結局大きいのを1本通されてしまったのでそこは負けてしまった部分かなと思います。
₋₋₋前半かなり点数を取られた後での後半の巻き返しでしたが、ハーフタイムで話し合ったことは
チームとしてまだ自分たちのやりたいことが出来ていない、自分たちが4週間かけてやってきたことをしっかり出せれば勝てる、というのを主将含め全員が発信していました。ディフェンスとしては、2本取られてしまったのですがいいテンポは出来ていたのでこれを継続していこうという話をしました。
₋₋₋今日のチームのベストプレーは
ディフェンス寄りになってしまうのですが、2年の玉造が初プレーでインターセプトしたのがベストプレーだと思います。
₋₋₋ご自身のベストプレーは
最後の2プレー前くらいでパスカットしたので、それが良かったと思います。
₋₋₋最終戦に向けて意気込み
次回勝てば3勝3敗です。今2勝3敗で負け越しているので、勝って引き分けにすることで、チームとしても来年いい形で進んでいってくれるんじゃないかなと思います。去年は2勝しか出来なかったのでそれを超えるという意味でも勝って終わりたいと思います。