第8回関東大学春季大会Aグループ
慶大12ー38流経大
5月12日(日)13:00K .O .
@流通経済大学第一グラウンド
創部120周年を迎えた慶大蹴球部が一歩目を踏み出した。関東大学春季大会初戦の相手は流通経済大学。前半、力強いスクラムに加えて新戦力の躍動もあり、互角の戦いを繰り広げた。SH若林俊介(政3・慶應)とWTB高木一成(商4・慶應)の2人のトライで12-12の同点で前半を折り返す。しかし、セットプレーの安定感を欠いた後半は相手に主導権を握られ、1つのトライも挙げることができずに12-38で敗戦。これからに向けて、多くの課題が残る結果となった。
【Starter】
1.PR(プロップ) 松本拓弥(総4・常翔学園)
2.HO(フッカー) 安田裕貴(政4・慶應)
3.PR(プロップ) 大山祥平(経3・慶應)
4.LO(ロック) 川端隼人(理4・國學院久我山)
5.LO(ロック) 池田勇希(商3・熊谷)
6.FL(フランカー) 川合秀和(総4・國學院久我山)
7.FL(フランカー) 大谷陸(政3・慶應)
8.No.8(ナンバーエイト) 濱野剛己(総3・桐蔭学園)
9.SH(スクラムハーフ) 若林俊介(政3・慶應)
10.SO(スタンドオフ) 鎌形正汰(商3・慶應)
11.WTB(ウィング) 宮本恭右(環3・慶應)
12.CTB(センター) 菅涼介(政2・慶應)
13.CTB(センター) 木村朝哉(商4・慶應志木)
14.WTB(ウィング) 高木一成(商4・慶應)
15.FB(フルバック) 金堂眞弥(環3・城南)
【Booster】
16. 山本英晴(商4・慶應)
17. 有賀光生(総4・國學院久我山)
18. 瀬田俊幸(経3・慶應志木)
19. 相部開哉(政3・慶應)
20. 今野勇久(総1・桐蔭学園)
21. 上村龍舞(環4・國學院栃木)
22. 中楠一期(総1・國學院久我山)
23. 三木亮弥(総3・京都成章)
【選手交代】
13分 PR大山祥平→18 瀬田俊幸
36分 CTB菅涼介→23 三木亮弥
58分 LO川端隼人→19 相部開哉
58分 PR松本拓弥→17 有賀光生
58分 HO安田裕貴→16 山本英晴
68分 FL大谷陸→20 今野勇久
68分 SO鎌形正汰→22 中楠一期
68分 SH若林俊介→21 上村龍舞
慶大に有利な追い風が吹く中、流経大のキックオフで試合が始まる。最初のチャンスは慶大だった。流経大のペナルティから、キックでエリアを拡大し、敵陣深くで今日初めてのラインアウトを獲得。きっちりラインアウトを成功させ、モールからHO安田裕貴(政4・慶應)が抜け出し、SH若林がパスを受けてインゴールへ迫る。しかし、相手のタックルでボールをこぼし、先制点には至らなかった。一方、前半7分に慶大はラインアウトを失敗し、そこからボールを奪われると、流経大の外国人選手に大きくゲインを切られるなど、序盤は互いに一歩も引かない展開だった。
試合が動いたのは13分。CTB木村朝哉(商4・慶應志木)がセンターライン付近で相手のキックしたボールをキャッチし、そこからタックルをくぐりぬけてボールを運ぶ。そして、NO.8濱野剛己(総3・桐蔭学園)につなぎ、最後はSH若林がパスを受けてグラウンディング。今年からコンバージョンキックを任されたWTB高木もしっかりと決め、慶大が7点を先制する。
このまま試合の主導権を掴みたい慶大。しかし、23分に流経大のラインアウトから、モールで押し込まれ、そのままトライを献上。7-7の同点とされる。その後は、流経大の外国人選手を中心としたアタックにヒヤッとする場面も多く見られたが、慶大も必死のディフェンスでトライを許さない。しかし、35分に右サイドを抜かれ、痛恨の失トライ。7-12とリードを奪われる。
流経大リードのまま前半を折り返すと思われた。しかし慶大も前半終了間際にハーフライン付近でWTB高木が一瞬の隙をつき、流経大のパスをカットする。そして、そのままインゴールへボールを持ち込みトライ。その後のキックは失敗するも、同点で前半を折り返す。
慶大サイドが風上から不利な風下に変わった後半は、厳しい時間帯が続く。後半4分に、こぼれたボールを拾われ、後半最初のトライを奪われる。その後も自陣でのプレーが続き、7分にはラインアウトのミスから失点し、14分にも続けてトライを許した。
反撃に転じたい慶大は、30分に相手のペナルティーからキックでエリアを拡大する。ラインアウトも成功させ、FB金堂眞弥(環3・城南)がゲインを切ると、そこを起点にフェーズを重ね、ゴールに迫る。耐えきれなかった流経大がペナルティを犯し、ボールを獲得すると、右サイドへキックパスで展開。しかし、これがWTB高木の頭の上を超えて通らず、トライの大きなチャンスを逃してしまう。その後は再び流経大のペースで試合が進み、39分にもトライを献上し、ノーサイド。後半は無得点に終わり、12-38で悔しい敗戦となった。
「自分たちのやりたいことをやりきれない、そこに尽きる」。HO安田は、無得点に終わった後半の戦いを厳しい表情でそう振り返った。前半はほぼ互角の戦いを繰り広げていただけに、後半を悔やむ声が選手から多く聞こえた。ラインアウトをはじめとしたセットプレーなど、チームとして解決しなければならない課題も多く見られた。一方、栗原由太主将(環4・桐蔭学園)や山本凱(経2・慶應)をはじめとした選手を欠く中で、新戦力が大いに躍動したのは好材料だろう。昨年の中心選手が抜け、チームはまだまだ発展途上の段階。今後、ますますチーム内の競争も激化していくはずだ。
次なる相手は帝京大学。昨年は日本一を逃したものの、手ごわい相手であることに変わりはない。しかし、秋の対抗戦に向けても超えていかなければならない一つの大きな壁である。「”Unity”、”Dominate”、”Balance”といった自分達がやっていくべきことをやらないといけないですね」。FL川合秀和(総4・國學院久我山)副将が語るように、相手がどうであれチームとしてやるべきことは明確だ。次戦では今日出た課題を修正し、さらに一皮むけた黒黄軍団がピッチに立つのを期待したい。
(記事:菊池輝 写真:川下侑美、野田快)
次戦 VS帝京大
5月19日(日)13:00K .O .
@帝京大学百草グラウンド
以下、コメント
FL川合秀和(総4・國學院久我山)
――今日のゲームプランは
今まで練習でやってきたような、アタックは全員がリンクする、全員がオプションになる、ということです。
ディフェンスに関しては相手の外側からプレッシャーをかけるというプランでした。
――今日の試合を振り返って
リンクするということに関しては前半はよくできていて、ディフェンスの部分も、100%とは言えませんがしっかり意識してやれたと思います。前半の課題としては、ラインアウトを始めとしたセットプレーの部分と、オフサイドの際に、審判に自分達の悪い部分をよく見られてしまったなあといった感じです。
――セットプレーが安定しませんでした
そもそもこっちのスキルレベルがあまり高くないということと、相手が張っているところに自分達がそのまま跳んでしまうという、相手がディフェンスしやすいラインアウトをしてしまいました。
――後半に失速しました
後半にかけてコミュニケーションの質が下がったのと、疲れた時に、元々意識していた部分を出し切れていなかったです。
――次戦以降に向けて改善点は
しっかり今日の試合を見て、全員で話し合うのはもちろんですし、どんな選手が交代して出ても、そこ(のポジション)のレベルを下げてはいけないと思います。チームのレベルの底上げです。あとはセットプレーの安定。そこに関してはまだまだ僕たちは甘いので、しっかりと修正していきたいです。
――100点満点で点数をつけると
50点です。前半はそんなに悪くなかったと思います。今年から戦術も変わりましたし、新しいディフェンスのシステムも加わって迎えた初戦にしてはよかったです。しっかり前半は全員で冷静に自分達の戦術を遂行しようという意識があって。だけどやはり後半、安定していたスクラムのレベルがひとつ下がったりして、ミスが増え、コミュニケーションは質が落ち、少しずつ自分達でゲームを崩してしまったのかなと思います。
前半に見えた課題を後半に修正するということ、交代して出てくる選手も含めてチーム全体でレベルアップして、”Unity”、”Dominate”、”Balance”といった自分達がやっていくべきことをやらないといけないですね。
WTB高木一成(商4・慶應)
――今日の試合を振り返って
初戦だったので、正直身体は思ったようには動かせませんでした。通用したところもあればまだまだだな部分もあるなと実感した試合でした。
――通用したと実感された部分は
ディフェンス面で1本インターセプトをすることができました。外側のディフェンスについては自信を持てるなと思いました。
――今日のゲームプランは
明確に決めていたわけではありませんが、目標として掲げていた”Unity”、”Dominate”、”Balance”の3つを意識していました。
――その3つについて、現時点での完成度は
できた時間帯もあれば、できなかった時間帯もありました。今のところは100点満点中15点ぐらいですかね。
――無得点に終わった後半については
後半になるにつれて、自分たちのミスが増えてしまいました。集中力が少し落ちてしまったのかなという気はしています。
――試合全体のご自身のプレーを振り返って
半年ぶりの試合でしたが、もう少しアタックでゲインしたかったです。ディフェンス面についても、タックルの精度をさらに上げていきたいと思います。
――今日の試合ではキッカーも務められていました
そうですね、全部決められるように頑張っていきたいと思います。
――バックス陣の連携については
試合に出ていたメンバーの中で結構話はできていて、どこを攻めていきたいのかについてもかなり意思疎通は図れていました。その点についてはよかったと思います。
――来週の帝京大戦に向けて意気込みを
帝京大学さんは手強い相手だと思うので、細かい部分をしっかりと突き詰めて隙を見せないように戦っていきたいなと思います。
HO安田裕貴(政4・慶應)
――春季大会初戦となりましたが、どのような気持ちで今日の試合に臨みましたか
新チームになり、去年とは違う攻め方というところで、初めての試合だったので、春からやってきたことをしっかり出そうという意気込みで試合に臨みました。
――前半を振り返って
ディフェンス面に関しては自分たちのやってきたことができたのかなと思っています。それから、スクラムも良かったと思っています。ラインアウトに関しては自分たちのレベルが低いと実感しました。アタック面に関しては、まだまだボールを継続する力が足りないと感じたので、そこをもっと練習していきたいと思いました。
――後半を振り返って
風上から風下になったというところはあると思いますが、自分たちのやりたいことをやりきれない、そこに尽きると思います。ボールを継続する力が足りなかったと思いました。
――セットプレーに関しては
スクラムの部分では合格点かなとは思っているんですけど、ラインアウトがチームとしてまだまだレベルが低いと思いました。
――良かった点を挙げるならば
タックルで体を張れた点と、スクラムはターンオーバーもできたので良かったと思います。
――次の試合に向けて意気込みを
今後は、今日良くなかった点のラインアウトをしっかり修正して、スクラムは良かったので引き続き次の試合も押せるように頑張っていきたいと思います。
SH若林俊介(政3・慶應)
――春季大会初戦でしたが、チームとして意識していたことは
相手がどうこうというよりは、自分たちで今シーズン大きな目標としてかかげていた”Unity”だったり、”Dominate”、”Balance”という3つを掲げて今日は試合に臨もう、ということになっていました。
アタックは細かいところでいうと、FW(フォワード)とBKがリンクすること。
ディフエンスはスペーシング(広く立って)をして、外であわせてしっかり前に出ること。その2点を意識してやっていました
――前半は同点で折り返した
前半は風上ということもあって楽にエリアが取れました。セットプレーが安定しなくて苦しみましたが、ディフェンスで外からしっかり上がれて、最後のカズさん(=高木一成 商4・慶應)のトライも生まれました。
僕のトライも、自陣で粘ってそこからのカウンターアタックだったので、前半はアタックでエリアがとれて、ディフェンスではしっかり前に出ることができたので、悪くはなかったと思います。
――どちらかというと収穫の方が多かった、ということか
実はこのグラウンド、普通のグラウンドに比べて横幅が狭いんです。
ワイドにアタックする自分たちのアタックが横幅の影響で機能できませんでした。
エリア取りは悪くなかったと思いますが、球を動かすという点では前後半通してまだまだかな、と感じました。
そこは僕だったり、10番(SO)だったりがもっと考えてやらなきゃいけないところでした。
――鎌形(=正汰 商3・慶應)選手とは新しいハーフ団として初めてのA戦となったが、収穫と反省点は
(鎌形とは)元から下のチームでやってきたので、コンタクトも取りやすく、お互い気づいたことを言い合えるいいコンビだと思います。ただ彼は僕と同じく、キックが得意じゃないんですよね。
今日コーチに言われたのは、ボールを動かしながら早めにキックを蹴って、そこからディフェンスで前に出る意識をもつ、ということですね。特に後半風下になった時、無理にフェーズを重ねてターンオーバーされて、そこからトライをとられるというシーンが何回かあったので、そこは今日の反省です。
――後半に入って突き放された要因は
後半最後の10分くらいまではアンラッキーな2トライだったんですけど、そこでチームが落ちてしまったというのは良くなかったと思います。ディフェンスとしては、ダブルタックルに行く時、2人目が相手プレーヤーをラックにかけるか、かけないかの判断が個々人で出来ていませんでした。
そこでむやみに(ラックに)かけて、人数が足りなくなり、一対一を作られて留学生にゲインされてしまいました。タックルのところの2人目の判断がよくなかったですね。
――外側で人数が足りなくなり、そのままトライを許すシーンが多かった
向こう(流通経済大)も左右に球を動かしてくるチームだったんですけど、内側で2人目の判断が悪くて人数をかけてしまい、その影響を受けて外側が内側にずれざるをえなくなってしまいました。外側はアグレッシブにあがる、というフォーカスがあって、そこはトライにつながったシーンもあって悪くなかったな、と思います。
(内側のズレに関しては)僕のコントロールができていなかったのも大きな影響だったんですけど、近場のディフェンスのコントロールを(チーム全体として)もう少ししなきゃな、と感じました
――次戦に向けて修正していくことは
かなりたくさんあるんですけど、ディフェンスは自分が近場のコントロールをして、近場をしっかり揃えて、外に安心して上がってもらう、という今日の試合では出来なかった内側の(ディフェンスの)ところをやっていきたいです。
アタックは、フォワード・バックスのリンクが今日はあまり多くありませんでした。
フォワードも苦しくい場面が多かったので、そこはもう少し(フォワードを)上手く使っていきたいです。
今はいろんなオプションを試している段階なので、それらを使いながら、9、10番の課題として、もっと球を動かしながらキックを交えて攻めていけたらと思います。