慶大弓術部のプライドをかけた早稲田大学との定期戦が、5月12日に日吉志正弓道場で行われた。昨年2年ぶりに勝利した早慶戦、今年も勝って全関に向け波に乗りたい慶大は、前半二立で22中と、課題としていた立ち上がりでまずまずの的中を残す。しかし、疲れからか立を重ねるごとに外れる矢が目立つようになり、最終的に48中対54中で敗北を喫した。
第42回早稲田大学対慶應義塾大学定期戦
5月12日(日)@志正弓道場
※一回の試合で4本矢を放つ。女子団体は4人で構成され、計80本のうち、的に中(あた)った本数の多いチームが勝利となる。
5月にしては少々高い気温の中、爽やかな初夏の風が吹き抜ける志正弓道場で弓術早慶戦が行われた。この大事な一戦、先発を任された4人は全員が2年だった。先日行われた新人戦で王者・日大を破って優勝を成し遂げた学年である。志正に大きな拍手が鳴り響く中、慶大の連覇をかけた戦いが始まった。
毎年課題とされていた「一本目」を4人中3人が中てるなど、順調な滑り出しを見せた慶大は、緒戦で柏木咲良(経2・筑波付属)、森千晴(文2・雙葉)が皆中する。そこで的中が奮わなかった梶村和花(商2・慶應湘南藤沢)も二立目には皆中するなど、前半の二立が終わった時点で早大に1本差の互角の勝負を展開する。
後半での巻き返しが期待される慶大は三立目、柏木に替えて橘田英里香(経4・慶應女子)を投入する。交代直後の大事な初矢を見事的中させるも他が続くことが出来ず。梶村が一人8射6中と奮闘するが、四立目を終えた時点で39中対46中と大きく差を広げられてしまう。
勝負の五立目、慶大は疲れの見える森に変え、渡辺翠(看3・慶應女子)を投入する。一手射ち終えた時点で差を一本だけ縮めるも、開きすぎた的中差を縮めることが出来ず、48中対54中で早慶戦連覇は叶わなかった。
毎年課題に挙げられていた一本目を抜く場面は少なかった慶大。的に矢を中てるという部分だけなら早大に全くひけを取っていなかった。新人戦で優勝したことからもその実力は証明されている。それにも関わらず6本の的中差が生じた原因は、五立という長期戦ゆえの疲労が大きいだろう。まだまだ若いチーム、伸び代は十二分にある。その実力を最後の一立まで発揮できる体力が付いた時、一体どれだけの勝利を積み重ねるのか。弓術部の熱い夏が始まる。
(記事:五十右瑛士 写真:左近美月、佐藤有、松岡実優、五十右瑛士)
以下、選手コメント
東城明日香(商2・慶應女子)
──今日の試合を振り返って
今週の練習では割と良い的中で、みんな持ってきているものは悪くなかったと思います。悪かった点としては、かなり一人一人の甘さが出てしまっていたことです。詰めの甘さもそうですし、相手が早稲田、となった時に今までの練習通りのひき方が出来ない、体が硬くなってきたりだとか。今までは自分を信じて、相手も信じてみんなで一緒にやってきたのですが、今日は一番大事な自分を信じるという部分ができていなかったです。前々シーズン、今までずっと、そんなにいい的中が出来ていなくて、早慶戦までにちゃんと調子の波を持って行こう、と言っていたのですがそれが出しきれていなかった。自分に甘すぎました。
──ご自身の今日の的中を振り返って
練習では16、17中がでていて、やることは決まっていたし、これをやれば当たるという確信もあったのですが、今日いざ引いてみると、こうすれば当たる、ということ以外の重要なところ、胴作りなどがぶれていて、自分が思っていた点以外への意識が足りなかったかなと思います。試合で出すべき射ではなかったです。
──今後の改善策
次はアリーナなので、相手が1校いるわけではなく、自分がどれだけ中てられるかにかかってくるので、もう少し自分に対して甘い部分をなくしていきたいです。そして中てて、試合を楽しくしたいです。苦しいのではなくて、自分に自信を持って試合に臨んだらもっと楽しくなるのではないかなと思います。
梶村 和花(商2・慶應湘南藤沢)
──今回の試合に向けてどのような気持ちで練習に取り組んできましたか
絶対に勝つという強い一心で練習を重ねてきました。
──今回の試合の反省点や今後の課題は何かありますか
どのような試合でも緊張することは分かりきっていることなので、その緊張が自分の強さに繋がるようにしていきたいです。課題は下半身の安定感ですかね。そこに注目して強化していきたいです。
──20本目の最後の矢を1人だけ当てていましたがそのメンタルの強さはどのように鍛えていますか
自分の弱みは自分が誰よりも分かっているから、練習の時に周りから褒められても、納得のゆくまでは自分を認めないし、自分を認められないということがその結果に繋がったのだと思います。
──団体戦ということでチームワーク向上のために意識していることは
ベースは個人の実力の合算だと思っていますが、同期や他の人の練習姿を見ているので無意識のうちにお互いを信頼しています。
──今後の目標は
慶大の一部復帰を目指して頑張ります。