【ラグビー】FW戦で優位に立つも、強力BK陣を抑えられず/関東春季大会③VS早大

ラグビー

宿敵との今年度最初の対戦は長野県で行われた

第8回関東大学春季大会Aグループ

慶大12ー36早大

5月26日(日)12:45K .O . 

@長野Uスタジアム

 

 

 

 

春季大会で2敗している慶大。第3戦目は、長野の地で、去年の大学選手権でラスト30秒のところから逆転を許した早大と対戦。終始早大の強力なBK(バックス)陣に苦しめられたものの、慶大は、スクラムなど、FW(フォワード)戦で優位に立った。前回の帝京大戦と同様に、手応えと課題を感じる試合であった。

T=三木、川合
G=中楠

 

Starter
1.PR(プロップ) 原田衛(総2・桐蔭学園)
2.HO(フッカー) 安田裕貴(政4・慶應)
3.PR(プロップ) 室星太郎(総4・静岡聖光学院)
4.LO(ロック) 相部開哉(政3・慶應)
5.LO(ロック) 篠原孝太(政2・慶應)
6.FL(フランカー) 川合秀和(総4・國學院久我山)
7.FL(フランカー) 大谷陸(政3・慶應)
8.No.8(ナンバーエイト) 濱野剛己(総3・桐蔭学園)
9.SH(スクラムハーフ) 上村龍舞(環4・國學院栃木)
10.SO(スタンドオフ) 鎌形正汰(商3・慶應)
11.WTB(ウィング) 安西浩昭(政4・慶應)
12.CTB(センター) 木村朝哉(商4・慶應志木)
13.CTB(センター) 三木亮弥(総3・京都成章)
14.WTB(ウィング) 宮本恭右(環3・慶應)
15.FB(フルバック) 高木一成(商4・慶應)
Booster
16. 山本英晴(商4・慶應)
17. 有賀光生(総4・國學院久我山)
18. 瀬田俊幸(経3・慶應志木)
19. 川端隼人(理4・國學院久我山)
20. 今野勇久(総1・桐蔭学園)
21. 若林俊介(政3・慶應)
22. 中楠一期(総1・國學院久我山)
23. 佐々木隼(1・桐蔭学園)

選手変更

40分 木村 朝哉→22 中楠 一期
50分 上村 龍舞→21 若林 俊介
50分 原田 衛→17 有賀 光生
62分 大谷 陸→20 今野勇久
62分 安田 裕貴→16 山本 英晴
70分 安西 浩昭→23 佐々木 隼
77分 篠原 孝太→19 川端 隼人
77分 室星 太郎→18 瀬田 俊幸

 

令和初の注目の早慶戦。慶大は、栗原由太(環4・桐蔭学園)が3戦連続欠場となり、相部開哉(政3・慶應)がスタメンに復帰した。一方の早大は、主将・齋藤直人が欠場するも、中野将伍、岸岡智樹など、主力級の選手が多く出場し、フルメンバーに近い布陣で早慶戦に臨んだ。去年のスターターが多く残るスター軍団早大に対して、”Unity”を掲げ、チーム力に自信を深める慶大がどこまで戦えるかが注目された。

 

前半は、早大の独壇場だった。前半5分、慶大の陣形が十分に整っていない中、内側に寄っていたため手薄だった左サイドを突破した相手NO.8に独走トライを許すと、続く8分に敵陣でプレーしていたところ、CTB中野からオフロードパスをもらったWTBに左サイドでラインブレイクを許し、失トライ。いきなり出鼻をくじかれる。早急にディフェンスを立て直したい慶大だったが、12分にCTB中野のグラバーキックからSO岸岡のトライにつながる早大のアタックを止められず、またしても早大の圧倒的なタレントを誇るバックス陣に翻弄される。その後、慶大は、強力なFW陣で敵陣奥深くまで攻め込むも、早大の堅牢なディフェンスや、アタックのミスなどにより、得点につなげられず、前半を0-19と折り返す。

スクラムでは慶大が優位に立った

迎えた後半。しかし、開始間もなく、岸岡にラインブレイクを許し、後半最初のトライを献上する。なんとか反撃したい慶大。BK陣とFW陣が一体となったアタックで敵陣に攻め込むと、後半6分にインゴール前のラックからパスを受け取ったCTB三木亮弥(総3・京都成章)が待望のトライを決めた。

トライを挙げる三木

「フォワードで攻めていて、トライを取り切れない場面が多かったので、バックスがしっかり積極的にアタックに参加しようという意識を前半から後半に変えた。それがうまくはまって良かった」と慶大最初のトライを振り返った。

 

ここから波に乗りたい慶大だったが、10分と22分にバックス陣のボールキャリーを止められず、失トライ。再び点差を広げられる。その後、フォワード陣を中心としたアタックで敵陣を攻め、試合の流れが徐々に慶大に。すると、28分、ピックアンドゴーからFL川合秀和(総4・國學院久我山)が相手ディフェンスを押し切り、グラウンディング。5点を追加する。しかし、反撃はここまでで、12-36と因縁の相手に対して悔しい敗戦を喫した。

副将・川合の今季初トライ

令和最初の早慶戦を勝利で飾れなかった慶大。この試合の早大の6トライ中5トライを挙げたのは、BK陣。早大ラグビーの真骨頂である「展開ラグビー」を見せつけられる形となった。それに対して、ゲームキャプテンのFL川合は、「自分たちは内寄りになってしまい、外側をうまく攻められてしまったことが反省点」とスペーシングの面で課題があったことを認めている。一方のFW戦は、大山祥平(経3・慶應)と山本凱(経2・慶應)が欠場するなど、フルメンバーではなかったものの、慶大に軍配が上がった。「FWとしては食い込めて、スクラムでも勝てていた」(室星)と手応えを感じている声が多く聞かれた。

 

次戦の対戦相手は、大東文化大学。強力なFW陣とスクラムを武器とするチームである。そういうチームに対して、慶大の強力なFW陣がどこまで通用するかが見どころであろう。「今日出た反省を生かしてチームとして次の試合でフォーカスしていたところを達成できるように頑張りたい」(三木)。再来週の大東文化大戦で早大戦の反省を生かし、進化した姿を見せつける。

(記事:萬代理人 写真:竹内大志・松嶋菜々美)

 

(共同記者会見)

――試合の総括

栗原HC

フォーカスしていた点はある程度できました。結果は残念ですが、しっかりやってくれたと思います。

川合

自分たちの強みであるフォワードやそのスクラムの部分で前に出られたことはポジティブに受け取っています。早稲田は外に振ってくるチームで、それに対して自分たちは内寄りになってしまい、外側をうまく攻められてしまったことが反省点です。自分たちの課題は明確なので、これを次につなげていきたいです。

 

――チームの強みと課題は

栗原HC

接点ですね。接点で下がらず、踏み込むということが課題として帝京戦から出て、そこを修正してきました。今日は接点の部分は下がらず、踏み込めたかなと思っています。課題は、アタックをもう少し整理しなければいけないところです。また、ディフェンスの外側も課題で、良いランナーが早稲田にはたくさんいて、そこでスペースを与えすぎてしまったなという印象です。

川合

今日はスクラムでは100%出し、スクラムを起点にトライを取るということにフォワードはフォーカスしていたので、その部分は少し出来たのではないかという印象です。課題はフォワードが内側により気味だったので、相手との条件にもよるんですが、早稲田は外側に振ってくるチームなので、フォワードもそれに合わせて前を見てひろがるといった部分をフォーカスしてやっていきたいと思います。

 

――1番・3番の出来は

栗原HC

スクラムはかなりヘビーな選手がやってきて、よくやってくれたな、と思っています。

 

――室星選手は

栗原HC

マイボールは安定して出せていましたし、チャンスがあるところは押し込んでいましたし、すごくよくやってくれたなと思っています。

 

――原田選手はフッカーから、室星くんもバックローからですが

栗原HC

もともとは本職じゃないですが、プライドを持ってやってくれているのでチームとしてはすごく助かっています。

 

――彼らは伸びてきて、いま良い状態ということですか

栗原HC

そうですね。木曜日に長いスクラムの練習をして、みんなそこに耐えていいスクラムを組んできてくれたと思っています。

 

――川合選手は四年生として室星選手を長く見てきたと思いますが

川合

課題はたくさんあるんですが、チームで決めたことをしっかり実行して、チームでどういうスクラムを組むか、というところを全員が同じ方向を向いてやっていこうとしているので、個人個人というよりはまずはチームとして組めているところはあったと思います。いいスクラムを組めたかなと思っています。

 

――もう少しスクラムを起点に点数を取りたかったですか

川合

もちろんです。スクラムは今日有利に立てていたので、もっと取れたと思っています。

 

――前半の最後はもったいなかったですね

川合

そこが甘さだと思います。環境はととのっているのでそういった細かい部分を修正できるよう練習していきたいと思います。

 

――去年の4年生が引退したチームの屋台骨だった存在感がある選手がごそっと抜けてしまった印象がありますが、今の4年生の心情は

川合

去年はいい選手が沢山いてそこが良い部分でもあったんですがそういった選手に頼っていた部分が多々ありました。今年は飛び抜けた選手は山本凱などはいますが少ないので、チーム全員がひとりひとり主体性を持てば勝利することが可能だと思っていて、チームの組織力を意識しています。

 

――ルーキーが3人出場していましたが

栗原HC

3人ともしっかりいいプレーをしてくれました。

 

――1年生は単純に部内競争であがってきましたか

栗原HC

そうです。

 

――それぞれの持ち味は

栗原HC

今野はリーダーシップとゲームの理解ですね。将来のリーダーとなるような存在です。フォワードの中でも存在感を出してやってくれています。(中楠)一期はスキルが高くて、ゲームメーカーとしてゲームをコントロールできる選手です。(佐々木)隼は決定力ですね。今日は走る機会はなかったですが、ボールを持った時は突破してくれると思います。そういったところで評価していますし、今後も期待していきたいと思います。

 

――HCになって初めての早慶戦でしたが

栗原HC

いいレッスンをいただきました。これを活かしてチーム一丸となって修正して秋にはリベンジできればと思います。

 

――4年になって、令和になって初の早慶戦でした

川合

去年の最終戦負けたのは早稲田で、別な気持ちの部分もありました。まだ春ですし、今年から戦術も変わって、チームの仕組みも変わったので、色々と学んだことをしっかり秋に向けて修正していければと思います。

 

以下は個別インタビュー

 

上村龍舞(環4・國學院栃木)

――今季初スタメンでした

まず楽しむということと、緊張せずに、守りに入らず、チャレンジするということは自分の中でありました。

 

――チーム全体のゲームプランは

アタックのフォーカスでは、パスに愛情を、ということと、ボールキャリーする時には低く当たること、ディフェンスではタックルする時にしっかり踏み込むということと、内側の選手が最後にディフェンスできるということがありました。

 

――試合を振り返って

チームとは別に「ディフェンスの整備」という自分なりのフォーカスがありました。ラック周りのディフェンスの整備が狭かったりして、スペーシングを広げるというスクラムハーフの役割が途中までできずにいたことが反省点かなと思います。途中で立て直せました。

 

――スクラムで押す場面が目立ちました

FWがスクラムで押せていたので、ペナルティをもらいにいこうという話はしました。

 

――相手が早稲田大学ということでなにか意識はありましたか

ありましたね。絶対に負けたくなかったです。

 

――次戦の相手は大東文化大ですが

外国人選手のインパクトのあるプレーにゲインされずに、慶應のディフェンスを貫くことが大切だと思います。

 

――今後に向けて

今日は(スターターとして)チャンスをもらえましたが、しっかりスターターに定着するということと、「強気」という自分の強みを生かして、春シーズン成長していけたらと思います。

 

――今日のご自身のプレーに点数をつけると

50点で。試合中に修正していけたのは良いですが、残り半分としては、自分なりのフォーカスが最初からやりきれなかったところがあるので。

 

室星太郎(総4・静岡聖光学院)

――今回の早慶戦はどのような気持ちで臨んだか

僕は4年で今年最後の代ですし、今年最初の早慶戦だったので、絶対勝ちたいという思いで臨みました。

 

――試合を振り返って

フォワードとしては食い込めて、スクラムでも勝てていたんですが、バックスは少しやられてしまいました。今年チームとして“Unity”というものを掲げているので、フォワードがバックスをカバーしてもっとできるのかなと思いました。

 

――スクラムなどの出来は

1・2番の安田と原田が強い選手でその2人が押して、前半の最後相手に押されてしまったので、そこは個人の改善点としていきたいと思います。後半は安定したスクラムを組めてチームに貢献できたので良かったとおもっています。

 

――ご自身のプレーは

プレーはスクラムがほとんどだったんですが、仲間が出てる時に自分が出られないというシーンがあったので、そこをもっと改善できればと思います。

 

――次戦の相手である、大東大の印象は

大東大には二年前の対戦(大学選手権準々決勝)で負けて、その時にスクラムでペナルティトライを取られてしまったので、次は取られないでしっかり攻め込んでいきたいと思います。

 

――最後に意気込みを

春シーズンはあと2戦ありますが、これまで全て負けてしまっているので、今までの修正を生かしてここからは全て勝てるように頑張っていきたいと思います。

 

CTB三木亮弥(総3・京都成章)

 

――今日の試合を振り返って

フォーカスしていた部分ができていたところもありました。できていなかったときに相手にやられるところがあったので、手応えと反省があった試合だったと思います。

 

――具体的にどういったところにフォーカスしましたか

ボディーハイドという当たる姿勢のところを意識しました。そのアタックのときにしっかり相手のところを深く潜ってゲインを取れば前に出れました。相手の敵陣にいるとき前でプレーできたので、そこは良かったと思います。ディフェンスの面では、前でしっかりタックルするというズームを意識しました。そこは前回の試合と比べて改善したと思います。しかし、まだスペーシングの面が狭くて早大の強みを出させてしまったところが今日の敗因の一つだと思います。

 

――相手のバックスにトライを許す場面が多かったです

横とのコミュニケーションが大事です。今日は横とのコミュニケーションがうまくいかなくて一対一でディフェンスをしてしまいました。そこからトライを許してしまうところがあったのでそこを改善すれば止められたと思います。

 

――トライのシーンを振り返って

最初のところや、最後のところでフォワードで攻めていて、トライを取り切れない場面が多かったので、バックスがしっかり積極的にアタックに参加しようという意識を前半から後半に変えました。それがうまくはまって良かったです。

 

――大東文化大の印象は

外国人がいてフォワードとスクラムが強いという印象があります。

 

――次の試合に向けての意気込み

自分の持ち味はディフェンスです。今日出た反省を生かしてチームとして次の試合でフォーカスしていたところを達成できるように頑張り

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