大混戦が続くリーグ戦。負ければ王座出場を逃す状況の中、明大戦に臨んだ。山学大戦に続き、ダブルスで2勝を上げると、S3平田歩(総2・岡山学芸館)、S5中村礼(総4・須坂)、S1佐藤南帆(環1・日出)が勝利を収め、5-2で明大を下した。慶大はリーグ戦を4勝1敗という結果で終え、4年ぶりの王座出場を決めた。
慶大 |
| 明大 |
D1 ○佐藤・永田 | 2{6-3,6-3}0 | 金山・稲葉 |
D2 ○大村・望月 | 2{7-6(4),6-1}0 | 吉田・岡垣 |
S1 ○佐藤 | 2{6-0,6-0}0 | 宮田 |
S2 ●永田 | 0{2-6,2-6}2 | 吉田 |
S3 ○平田 | 2{7-6(10),6-3}0 | 竹本 |
S4 ●末野 | 0{2-6,2-6}2 | 金山 |
S5 ○中村 | 2{6-3,7-6(5)}0 | 岡垣 |
合計5 | – | 2 |
関東大学テニスリーグ 明大戦
2019年9月15日@筑波大学テニスコート
※試合が終わった順に戦評を掲載しています
ダブルス
慶大2-0明大
全勝中の佐藤南帆(環1・日出)・永田杏里(総1・南山)組は、強烈なクロス、ネットプレーなど、状況に応じたプレーでポイントを重ねていき、試合の流れを掴む。終盤に相手の強烈なストロークに押され、3ゲームを連取されるも、第9ゲームをキープし、第1セットを獲得する。第2セット入っても、佐藤・永田組は圧倒的な実力を見せつけ、6-3でこのセットを奪取。慶大の1勝目を飾った。
D2大村千乃(環3・九州文化学園)・望月菜々子(環3・白鵬女子)組の第1セットは接戦となった。ネット前での強さを武器とする2人はこの日も積極的に前でボレーを決めて先行するが、攻めるあまりにミスも目立ち、堅実なプレーをする相手に途中で逆転を許す。一時は3-5まで追いつめられてしまうも、ここで緊張の色が見えた相手を前に大村・望月は強気なプレーで挽回。タイブレークでは2-4の劣勢から5ポイントを連取する勝負強さを見せ、第1セットを勝ち取った。ここで勢いに乗った2人は続くセットでも攻めたプレーで相手を圧倒。6-1で第2セットを終わらせ、慶大のダブルス2勝目を持ち帰った。
シングルス
慶大3-2明大
S3平田歩(総2・岡山学芸館)は第1ゲームにブレイクを許すなど、立ち上がりに躓き、1-4とリードされる。だが、第6ゲーム以降はストロークの調子が上がり、勝負をタイブレークに持ち込む。タイブレークは両者も一歩も譲らない激しいストローク戦となるが、最後は平田に軍配が上がり、第1セットを7-6で制す。勢いに乗った平田はバックハンドでコースにウィニングショットを決めるなど、ベースライナーらしいプレーで主導権を握った。このセットを6-3で奪い、慶大の3勝目を上げた。
S4末野聡子(総2・芦屋学園)は強烈なストロークを誇る明大の金山晴菜と対戦した。序盤からパワフルなショットを連発させる相手の勢いに飲まれ、末野は劣勢を強いられる。粘り強くラリーをつなげて相手のミスを誘うも、左右に振られてゲームの主導権を握られてしまった。第1セットを2-6で落とすと、続くセットでも波に乗れず。第2セットも2-6で逃し、このリーグ戦で初のストレート負けを喫した。
初戦以外は全てS5として出場している中村礼(総4・須坂)。序盤はラリーで粘り切れず、苦戦を強いられる。だが、中盤以降は相手のミスが増え、流れが中村に傾くと、中村ペースで進み、6-3で第1セットを先取。流れが完全に中村に渡ったと思われたが、コートの深い部分を狙ったショットがアウトになるなど、ミスを連発し、0-4で相手に主導権を握られてしまう。それでも持ち味である積極的なプレースタイルを崩さず、ショットを打ち続ける。これが奏功し、怒涛の追い上げを見せ、勝負はタイブレークに。一時2-4と劣勢になるが、強気の姿勢を貫き、タイブレークを制した。中村の勝利により、慶大の4年ぶりの王座出場が決まった。
S2は永田と今年インカレベスト4の実力を持つ吉田明日香の対戦となった。立ち上がりから両者は力強いストロークで打ち合うも、徐々に永田のミスが増え試合の流れは相手側に傾く。なかなか調子の上がらない永田は連続でポイントを落としてしまい、第1セットを2-6で奪われると、第2セットでも挽回の兆しは見られなかった。力強いラリー戦で打ち負け、慶大の勝利を決めることはできなかった。
慶大のエース、佐藤はいつにも増してその強さを発揮した。「相手がどこを嫌がるのかとかを考えてプレーできた」というこの試合、佐藤は力強いストロークで相手を圧倒し、ポイントを連取。ドロップショットを交えながら緩急あるラリーで翻弄してくる佐藤を前に、相手選手は手も足も出なかった。隣のコートで中村が慶大の王座出場を決めてからもその勢いを止めることはない。終始佐藤のペースで試合を進めると、1ゲームも落とすことなく完勝を収め、チームのリーグ最終戦に花を添えた。
単複ともにインカレを制した佐藤、インカレ準優勝を果たした大村・望月組、春関ベスト4の平田を擁するなど、圧倒的な戦力を誇った今季の慶大。蓋を開けてみれば、初戦の筑波大戦を落とすなど、苦しい試合が続いた。それでも、選手は諦めず、王座出場を獲得した。だが、「王座優勝が目的」と中村主将が話すように、チームは既に王座を見据えている。リーグ戦に出た課題を克服し、王座に臨んでほしい。
(記事・写真:萬代理人、堀口綾乃)
◆選手コメント
坂井利彰監督
――今日の試合を振り返って
今日負けたら王座に行けない可能性があったので、本当に厳しい試合になると思いました。ダブルス2本取れたのが大きかったです。その後の平田のシングルスを取ってうまく流れを作れたのが良かったと思います。
――リーグ戦を振り返って
初戦を落として、苦しい試合が続きましたが、苦しかった分チームがタフになったと思います。今日の試合も負けたら終わりの中で自分たちの力を発揮できて本当に強いチームになったと感じています。
――王座決まった心境は
今日で終わらせるわけにいかないと思っていたので、ホッとはしました。しかし、チームが目指しているのは王座優勝です。今日も緊張した場面が多かったので、王座決勝の場面で起こりうる状況が見えたと思います。それをまた想定して練習していきたいです。
――王座に向けての意気込み
しっかり準備をして、戦略的にやるべきことをしていきたいです。勝つための努力というのが大事だと思うのでそこに集中してやっていきたいです。
中村礼(総4・須坂)
――チームとして今日の試合を振り返って
結果的に5-2という形で勝利しましたが、いくつか苦しい瞬間がありました。コートに入っている選手だけでなく、サポートの選手も本当に協力して勝ったチーム戦だったと思います。
――ご自身の試合を振り返って
苦しい時間もありましたが、第2セットのフルセットまで行き、最終的に王座を決める勝利を収めて良かったと思います。
――王座が決まった心境は
私たちは1年のときから王座に出場したことがありませんでした。男子だけの出場だったので男女でともに王座出場が決まったときは嬉しかったです。
――どのような心境でタイブレークに臨まれましたか
結構強気に行けたと思います。2-4という厳しい場面がありましたが、強気に攻めれたと思います。
――リーグ戦を振り返って
初戦を落として苦しい状況が続きましたけど、接戦をものにしたり、難しい試合を乗り越えてチームが成長した結果が王座出場につながったと思います。苦しい1週間、2週間でしたが、チームが成長したリーグ戦だったと思います。
――王座に向けての意気込み
もちろん王座優勝が目的です。そこに向けて時間がある限り頑張っていきたいのと楽しんで最後を終わりたいです。チャレンジャー精神を持って王座優勝の瞬間を楽しみにしながら臨んでいきたいです。
佐藤南帆(環1・日出)
――王座出場が決まりしたが、今のお気持ちは
本当に嬉しいです。もし王座に行けなかったら、4年生の先輩方は引退だという思いもあったと思いますし、その中で自分が勝って王座を決めることができて本当に嬉しいです。
――今日はシングルスで完勝を収めましたが、試合を振り返って
ベンチの上杉(海斗)さんともしっかりと話して、相手がどこを嫌がるのかとかを考えてプレーできたのが一番の勝因だと思います。
――ダブルスの試合を振り返って
苦しい場面もあったのですが、そこを2人で乗り越えられたことは良かったと思います。
――王座出場のかかったこの明大戦にはどのような思いで臨まれましたか
今日は泣いても笑っても最後の一戦だったので、1ポイント目から全力を出すことを意識して準備してきました。
――1年目のリーグ戦はいかがでしたか
初めは中2日もあるし、みんなが言っているほど疲れないとは思っていたのですが、実際に戦ってみて、トーナメントに比べてリーグ戦はより疲れてしまって、1戦目終わった後はこのまま戦えるのか不安でした。でも、応援などのおかげで最後まで戦い抜くことができました。
――1年生にしてS1とD1を背負われましたが、プレッシャーなどはありましたか
やる前はやばいやばいと言っていたのですが、私に勝負がかかることはあまりなく、その前に決めてくださったりしたので。試合前からS1とD1で出るということはわかっていたのでしっかりと準備して臨めたかなと思います。
――最後に王座へ向けて
王座は4年生と戦える最後の大会なので、後悔なくしっかりと準備して臨みたいと思います。