リーグ戦も最終戦を迎えた。相手は春の定期戦で敗れた早大。ダブルスを1勝2敗で折り返し、シングルスに臨んだ。6試合中4試合がフルセットまでもつれ込む接戦となったが、エース級のS1今村昌倫(環3・清風)、羽澤慎治(環2・西宮甲英)が敗れ、S4伊藤竹秋(法2・慶應)による1勝しか上げられなかった。
慶大 | スコア | 早大 |
D1 ●福田・今村 | 0{1-6,5-7}2 | 島袋・千頭 |
D2 ○川島・羽澤 | 2{6-4,6-3}0 | 木元・田中 |
D3 ●田中・佐々木 | 0{3-6,2-6}2 | 古賀・安上 |
S1 ●今村 | 1 {7-5,4-6,6(2)-7}2 | 島袋 |
S2 ●羽澤 | 1{6(4)-7,6-4,4-6}2 | 白石 |
S3 ●成 | 0{4-6,1-6}2 | 千頭 |
S4 ○伊藤 | 2{2-6,6-3,6-4}1 | 小林 |
S5 ●福田 | 0{3-6,2-6}2 | 田中 |
S6 ●甲斐 | 1{3-6,6-2,6(3)-7}2 | 藤井 |
合計2 | - | 7 |
関東大学テニスリーグ早大戦兼男子第189回早慶対抗庭球試合
2019年9月14日@法政大学テニスコート
※試合が終わった順に戦評を掲載しています
ダブルス
慶大1-2早大
苦戦が続いているD3に抜擢された田中隆輔(環3・秀明英光)・佐々木健吾(環2・高松北)組は、ストレートを果敢に狙うなど、ストロークを主体とした相手のプレースタイルに苦しみ、3-6で第1セットを落とす。第2セットで意地を見せたいところだったが、第5ゲームでブレークを許すと、相手のペースに飲み込まれ、悪い流れを払拭できなかった。このセットも2-6で落とし、ストレート負けを喫した。
D1福田真大(商4・慶應湘南藤沢)・今村昌倫(環3・清風)組は早大の絶対的エース島袋将と次世代エース千頭昇平の強敵ペアと対戦。ここは1本取ってチームを勢いづけたいところだったが、相手のストレートコースを狙うリターンに苦戦してなかなか調子を上げることができない。福田・今村らしいプレースタイルを封印されて第1セットを1-6で落としてしまうも、切り替えて臨んだ第2セットは一転して接戦となる。互いにゲームを取り合いながら5-5で迎えた11ゲーム目、福田のサービスゲームでブレークを許してしまった。ここで勢いに乗った相手はそのまま次のゲームをキープ。福田・今村はストレートでこの試合を落とし、勝利を持ち帰ることはできなかった。
前回の亜大戦で負けを喫したD2川島颯(総3・名古屋)・羽澤慎治(環2・西宮甲英)組は、インカレを制覇した木元・田中組と対戦した。序盤から互いのサービスゲームのキープが続く中、安定したリターンからの攻撃でブレイクに成功し、第1セットを6-4で奪取。続く第2セットでは、持ち前の息の合ったネットプレーが光った。相手のミスにも助けられ、主導権を牛耳ると、最後はスマッシュで勝利を決めた。
シングルス
慶大1-5早大
最終戦で1勝を上げたい成耀韓(総2・埼玉栄)。この日はフォアハンドでエースを連発し3-1とリード。だが、粘り強く戦い抜く千頭に対応されると、主導権が千頭に。4-6で第1セットを先取される。第2セットでは、時折ネットプレーを織り交ぜるも、ラリー戦で千頭に競り負ける場面が多かった。1ゲームしか取れず、1-6でこのセットを落とした。
S4伊藤竹秋(法2・慶應)は小林雅哉と対戦。「(相手選手は)自分の苦手なところをひたすら突いてきた」という第1セット、根気強くラリーをつなげる伊藤だったが先にミスが出てしまい2-6で落としてしまう。しかし、第2セットでは伊藤の力強いボールに相手が打ち負け始め、徐々に流れを引き寄せていく。最後は長いラリー戦を制し、ファイナルセットまで持ち込むことに成功。互いにゲームを取り合う中、ここで伊藤が積極的なネットプレーを展開し、相手を突き放した。苦手意識があったと話す早大の選手から見事勝利をもぎ取った。
S6には今リーグ戦全勝中の甲斐直登(環4・日出)が登場。1年次から早慶戦に出場するもいまだ勝利を挙げていないという甲斐は、今季の勢いそのままに勝利を目指して4年目の早慶戦に臨んだ。ミスないテニスが持ち味の藤井颯大と戦ったこの試合、甲斐は序盤から攻めたストロークで打ち負かそうとするも、相手の安定した返球を前にミスが出てしまい、第1セットを3-6で落とす。しかし、次なるセットでは鋭いストロークで相手を振り回し、6-2で挽回に成功。粘り強くラリーをつなげる両者の戦いはファイナルセットのタイブレークまでもつれ込んだ。緊迫した展開の中、最後まで自分のテニスを貫こうとする甲斐だったが、藤井のミスないボールに打ち勝つことはできなかった。あと一歩が及ばず、悔しい敗戦となった。
シングルスで全勝しているS5福田。この日はインカレで負けを喫した田中優之介と対戦。「対策をした」と臨んだ試合だったが、田中の強力なストロークに押され、福田らしいネット前でのプレーが封じられる。流れを掴み切れず、3-6で第1セットを落とす。巻き返したい福田は、持ち味のボレーとストロークを組み合わせたプレーを披露するも、田中の強力なストロークを攻略できず、第2セットも取られ、最後のリーグ戦で勝利を上げることができなかった。
5試合中4試合でS2として起用されている羽澤。相手は夏関を制覇した白石。羽澤が有利と思われたが、試合開始から凡ミスが続き、苦しい展開に。その後、意地を見せ、タイブレークに持ち込むも、ここでもミスを連発し、第1セットを取られる。続く第2セットで切り替えたいところだったが、どんな打球にも必死に食らいつく白石のプレーに対応できず、思うようなプレーで試合を進められない。だが、1-4となったところから積極的なプレーに転じ、5ゲームを連取。セットスコアをイーブンに戻す。ここで勢いづいた羽澤は、4-2と試合を優位に進める。しかし、それ以降は、前に出てネットプレーを決めるという得意な攻撃パターンに持ち込めず、追い上げを許す。最後は白石にパッシングショットを決められ、勝利を上げられなかった。
早慶のS1対決といえば「羽澤対島袋」であるが、この日は今村がこのエース対決に名乗りを上げた。ストロークが快調だった今村はパワフルなショットで島袋と互角に渡り合い、見事第1セットを7-5で先取。続くセットでも勢いそのままに3ゲームを連取するが、ここで島袋も調子を上げ始め、逆転を許す。相手の強烈なサーブに押されて4-6でこのセットを落とし、試合はファイナルセットへともつれ込んだ。今村の力強いストロークと島袋の鋭いショットが飛び交う接戦はタイブレークへ突入。最後はサーブで流れをつかんだ島袋がこの激闘を制し、今村は悔しい敗戦となった。
2-7という結果で早大に敗れ、厳しい現実を突きつけられた慶大。シングルスでは6試合中4試合がフルセットまでもつれ込んだものの、小さな差が大差につながっただろう。最終戦は悔しい負けとなったが、今季のリーグ戦を振り返ると、日本一に向けての収穫はあった。シングルスの下位で起用された選手の活躍が大いに目立った。それに加え、インカレチャンピオンの今村も安定したプレーを見せ、明大戦と法大戦ではプレッシャーがかかった場面で勝ち星を上げた。リーグ戦の課題を克服すれば、日本一は遠くないであろう。
(記事・写真:萬代理人、堀口綾乃)
◆選手コメント
坂井利彰監督
――今日の試合を振り返って
去年のリーグ戦の同じ対戦は4-5でした。スコアは全体のスコアで放されましたが、課題としていたシングルス4、5、6で勝った試合もありましたし、タイブレークで負けた試合もありました。成長していることが確認できた試合だったと思います。2-7という結果で負けて悔しいですけど、チームとして手応えを感じた早大戦だったと思います。
――リーグ戦を振り返って
チームが一戦一戦成長したリーグ戦だったと思います。厳しいリーグ戦になると思いましたが、ここまで厳しくなるとは思いませんでした。みんなが修羅場をくぐり抜けて、その分成長したところがあったと思います。
――4年生が踏ん張りましたが
福田、甲斐、平山が鍵になると思ってました。大事なところで勝ち星を上げてくれたので、彼の背中を見てチームが奮起した部分があると思います。本当に彼らに感謝しています。
――王座に向けての意気込み
早大に負けてるわけですけど、関西勢も強いです。リーグ戦と違うのは連戦があったりするのでフィジカル的にも考えないといけません。多少分業したり、準決勝、決勝で出場する人を変えたり、取りこぼしているところをもう一度強化しないといけません。勝負にこだわった練習をしたいです。今回の試合で勝負を分ける小さなきっかけをチーム全体で共有できたと思います。それを日頃の練習から意識できるかが勝負だと思います。そこに焦点を当てて練習していきたいです。
福田真大(商4・慶應湘南藤沢)
――チームとして今日の試合を振り返って
率直に悔しいという気持ちがあります。しかし、今まで勝てなかった選手が一本取ってきたのはチームとしては一番の成長だと思いました。今まで取っていたところで取れなかったのが王座まで成長しないといけない部分だと思いました。王座までの一か月はそこを中心に頑張っていきたいです。
――ご自身の試合を振り返って
ダブルスに関してはあまり調子が良くない中、1セット目流れで入ってしまって、簡単に取られてしまいました。悪い流れというのを簡単に止まられず、ダブルスは負けてしまいました。シングルスは、インカレで負けた相手で結構対策をしました。その対策もゲームは取れますけど、すぐ相手に対策されてしまったので、自分のできることを増やさないといけないと思いました。
――リーグ戦を振り返って
王座に行けたのは良かったです。しかし、僕らが目指しているところは早大を倒して日本一です。そこに関しては残念だったと思います。
――王座に向けての意気込み
1か月しかないのか、1か月もあるのかと捉えるのは自分たち次第です。勝つための練習をして勝つチームを作って王座に臨んで日本一を取りたいと思います。
伊藤竹秋(法2・慶應)
――早慶戦を終えた今のお気持ちは
早慶戦は他の4戦とは違って、また特別な思いがあるというか、いつも以上に勝ちたいという気持ちがあったので、今日は勝てて安心もしたし、今まで早稲田の選手には苦手意識があったので、勝つことができてまた一つ自分の中でも成長できたかなと思ってすごく嬉しいです。
――この早慶戦にはどのように臨みましたか
ここの1年で早稲田の選手とは4~5人と当たっていて、その全員に負けていたので、そのときに全員同じようなテニスをしてきていて。そのテニスというのは、自分のフォアの低いところに集めて自分にミスをさせようというテニスだったので、とにかくそういうテニスをしてきてもひたすらミスをしないで手堅くラリーをしようと。それで相手の挑発に乗らずに自分らしいテニスをとにかくしていこうと意識して臨みました。
――対戦相手の小林雅哉選手について
テニススクールの先輩で長く一緒に練習させてもらっていて。高校時代は負けてばっかりだったのですが、大学に入って1年が経った今日試合をして、最初はビビッて一気にいかれてしまったのですが、落ち着いて自分のプレーをしたら勝つことが出来たので、自分の成長を確認できた相手だったのかなと思います。
――第1セットを取られてから、第2セットはどのように切り替え臨みましたか
相手は自分の苦手なところをひたすら突いてきたので、そこは絶対にミスらないことを前提に、粘り強い選手だったのでひたすらラリーをしていても埒が明かないということで、ネットプレーにすぐ出て、できるだけボレーでポイントを取るということを意識していたら、流れが変わったのかなと思います。
――関東リーグを振り返って
毎回1戦1戦、自分の中で成長を確認できたというか。始まる前は勝てるのかという不安があったのですが、1戦1戦勝っていくごとに自信がついて、2週間前の自分と今では結構違うのかなとは感じています。
――王座に向けて
また早稲田にリベンジするチャンスがあるということなので、自分がもちろん勝って、チームでも次は勝てるように、この1カ月間練習していきたいと思います。