早慶戦前企画第二弾は、早慶エース対談をお届けする。今年、両校で主力としてチームを引っ張ってきた、慶大・古山皓介(環3・新潟江南)と早大・青木真誉(創理2・早大本庄)のお二人に、ボクシングを始めたきっかけや早慶戦に対する思いなどを伺った。
※この取材は11月3日に行われたものです。
──お二人は今までに交流や面識はありますか
古山:去年の(早慶戦の)試合相手が青木くんでした。だから、今年階級が同じであれば、2回目の対戦になります。
──お互いの印象を教えてください
古山:僕は慶應のコーチから、「(青木は)めっちゃパンチ力強いよ」と聞いていたので、初めて試合した時は少しビビっていました。「本当にこの子そんなに強いパンチ打つのかな」という疑問があって。顔からは想像できないじゃないですか(笑)。
青木:僕も情報を結構教えられていました。古山さんはリーグ戦でも全勝しているという話を聞いていて、全日本や国体にも出られている選手なので、自分は大学からボクシングを始めて、いきなりデビュー戦の相手がそんなに強い人で大丈夫かなとすごく不安でした。
古山:え、あれ初めてだったの。
青木:そうです。去年の早慶戦がデビュー戦でした。緊張しました。
──ボクシングはお好きですか
青木:モチベーションにもよるのですが、基本は好きです。
古山:僕も一緒ですね。モチベーションの浮き沈みはすごく激しいのですが、楽しい時は本当に楽しいし、辛い時は辛いので。でもなんだかんだ好きではいます。そうじゃないと続けられないかなと思います。
──ボクシングを始めたきっかけは
古山:もともと高校には部活がなくて、小中ずっとサッカーをやっていたので高校もサッカーをやろうかなと思っていたのですが、なんとなくもういいかなと思って。9年間サッカーをやって、また3年間やるのはもったいないなというのがあって最初は帰宅部だったのですが、さすがに動いていないと気持ち悪くて、運動不足解消にジムに行こうかなというのがきっかけです。
青木:僕はもともと空手をやっていたのですが、大学で何か打ち込めるものが欲しいと思っていて、自分がやってみたいなと思っていたのがボクシングだったので、大学ではボクシング部に入りました。
──今年のチームの特徴はいかがですか
青木:早稲田は推薦の制度で選手をとれなくて、今は大学から始めた選手でチームが成り立っているのですが、みんなで声を出し合って士気を高めていて、成長過程だと思うので、これからもこのまま成長していければなと思っています。
古山:慶應も早稲田と少し似ているところがあって、推薦制度がそもそもなくて、AO入試でなんとか年に1人受かるか受からないかというところなので初心者が多くて、今年のリーグ戦で戦っていた人たちも半分くらい抜けてしまうので、そういう意味では早稲田と一緒で、初心者の1年生や2年生が盛り上げてくれるような感じかなと思います。
──相手校のボクシング部のイメージはいかがですか
青木:慶應のイメージとしては、人数が多くてそれぞれの選手も強いので層が厚いというイメージがありますね。
古山:僕は1年生の時に岩田翔吉さん(H30卒)がいた時のイメージで、必ず1人すごく強い選手がいるというイメージを持っています。
──好きなボクサーや憧れるボクサーはいますか
古山:僕は、新潟の先輩で、高校教師をやりながら選手としても活動されている小林将也さん(日大出身)です。高校の時から何回か指導をもらったり、相手をしてもらったりしていて、その人のボクシングスタイルなど尊敬できるところが多くて好きですね。
青木:自分はフィリピンのマニー・パッキャオ選手です。彼も自分も同じ左利きなのですが、すごく攻撃的な試合運びをする選手で、自分もそういうボクシングスタイルを目指しているので、練習前に動画を見てイメージをつかむことがよくあります。
──ご自身の部内でのポジションは
古山:リーグ戦が終わって、夏から新主将としてやらせてもらっているので、あまり得意ではないのですが、まとめ役というかリーダシップを発揮して、去年よりも声を出して、みんなを引っ張っていくような役割をしています。
青木:自分もあまりまとめることは得意ではないので、チーム内で士気を高め合っていけるように、練習中の声出しでなるべく出すように、自分なりに盛り上げるようにしています。
──オフの日は何をされていますか
古山:僕は、減量中だったらほとんど寝ていますね。外に出る気力もなくて、家にこもって映画を見ています。減量中ではなくても映画を見にいくことが多いかなと思います。休日には買い物に行くこともあります。
青木:自分は理系の学部なので、課題に追われる休日を過ごすことが多いですね。あと暇な時は、地元のスーパーに行って、美味しそうなものを探すこともあります。
──学業と部活の両立は大変ではないですか
青木:忙しい日々が、自分の中では逆に充実した日々に感じているので、スケジュールを詰めていた方が自分としても時間に有効に使えているのかなというふうに感じて、暇よりも忙しい方がいいです。
──モチベーションの上がることは
古山:食べ物ですかね。減量中は辛くても、減量が終わったらここに行こうと決めて、友達と約束することが多くて、減量が終わったらここに食べに行くというのをモチベーションにしながら減量しています。あとは、ボクシングの動画や自分の試合を振り返ると、モチベーションアップにつながります。
青木:自分も似たような感じで、強い選手や自分の参考にしている選手の動画を見ることです。あとは、やっぱり食事で、試合が終わったら何を食べたいかなということを考えています。
──減量中に工夫していることはありますか
古山:僕は食事にすごく気をつかっていて、徐々に食べるものや量を減らしていくようにしています。最初の方は、量は変えなくても食べるものを変えていくようにして、その後量も減らしていきます。
青木:自分も余計なものはなるべく食べないようにして、徐々に食事を減らしていって、最後にどうしてもきつくなったら水分もなるべく摂らないようにしています。
──ボクシングをやっていてよかったなと思うことはありますか
古山:経験できないことができたかなというのが1番大きいです。ボクシングをやる人ってなかなかいないじゃないですか。競技人口も、サッカーやバスケと比べると多くないという部分もあって、人を殴りたくてやっているわけではないですが、そういう部分も特別なスポーツだなと感じています。あとは、インターハイや全国大会に出て注目されることもあって、新聞に載せてもらえた時は、地元の人や親が応援してくれたり、声かけてくれたりするのでよかったかなと思っています。
青木:練習は結構きついメニューも多くて、スパーリングやランニングなど厳しいメニューを日頃からやっているのですが、厳しいきついメニューをこなした後ほど達成感があるので、そこがボクシングの魅力かなと思います。
──逆に辛いことは
古山:減量中が一番しんどいですね。でも、だからこそ、それを乗り越えて試合で勝てるとやっぱりうれしいし、乗り越えられた達成感を味わえます。
青木:もちろん減量も練習メニューもきついのですが、スパーリングや試合で強い選手と戦って、自分の力のなさを感じる時が自分の中では辛い瞬間です。
──お二人の思うボクシングの魅力というのは
古山:拳を交えた後に、殴り合った相手でも、その後の交流で仲良くなることがあって、試合やスパーリングの後に話すことも多くて、そこでつながりが生まれるのがボクシングの魅力だと思います。
青木:古山さんがおっしゃっていたとおり、他のスポーツだと相手選手との距離感が遠いというか。でも、ボクシングだと拳を交えることで、言葉で表すのは難しいですが、友情が生まれるというか…。
古山:普通とは違う新しいつながりができます。変わったつながりができるのがやっぱり魅力です。
──早慶戦に対する思いは
古山:僕は今まで早慶戦は勝ったところしか見たことがなくて、それを途絶えさせてはいけないなというプレッシャーがあります。
青木:去年の早慶戦では7階級全敗してしまって、早稲田は1勝もできないまま終わってしまったので、今年こそは1勝でも多くできるようにチームで高め合って、残り1ヶ月間頑張っていきたいと思います。
──早慶戦で注目してほしいポイントはありますか
青木:全体では、早稲田は大学から始めた選手が多くて、推薦で入ってきている選手たちよりは多少劣ってしまうところはあると思いますが、ガッツでは負けないと思います。
古山:慶應は、AOで入ってきた人が多いという部分があるので、1つ1つの技術に注目してもらえたらなと思います。高校から始めている人もいるので、中には、変わったボクシングをする人もいて、なかなかない技術を見てもらえればと思います。
──最後に、早慶戦に向けて意気込みをお願いします
古山:勝っているところしか見たことがないので、それを途絶えさせないように、全員で残り1ヶ月練習していくというのと、僕自身は勝つことはもちろん、内容もしっかり良いものにして勝ちたいと思います。
青木:今までの岩田翔吉さんや、去年卒業された土田大輔さん(H31卒)がいなくても、「早稲田大学ボクシング部は強いんだぞ」というところを早慶戦で見せられたらいいなと思います。
──ありがとうございました!
(記事:津田侑奈)
古山 皓介
主将。慶應義塾大学環境情報学部3年。新潟・新潟江南高校出身。
青木 真誉
早稲田大学創造理工学部2年。東京・早大本庄高等学院出身。
◇第63回早慶ボクシング定期戦
12月8日(日)12:00〜開会式開始
@早大早稲田キャンパス17号館地下2階ボクシング道場