【ホッケー(男子)】早慶両校のプライドがぶつかる好ゲームは同点優勝で幕を閉じる/第94回早慶ホッケー定期戦

男子ホッケー

試合前にはセレモニーが行われた

今季の最終試合、4年生にとっては引退試合となるこの試合は両校の意地とプライドがぶつかり合った。慶大は先制されるも第2Q、福田洸輔(政2・慶應)がPCでのゴールを決め追いつく。第4Q、序盤で失点するも森翔平(政3・慶應)がタッチゴールを決め追いつく。しかしその後立て続けに2失点を許してしまう。このまま負けかと思われた試合終了間際にPCを2度獲得すると望月慎之介(経4・慶應)、福田がそれぞれ決め、最終的には3年連続の同点優勝という形で最終試合を終えた。

第94回早慶ホッケー定期戦

 

11/23(月) 14:10試合開始 @駒沢オリンピック公園 第一球技場

 

 

第1Q

第2Q

第3Q

第4Q

合計

慶大

早大

 

 

スタメン

 

GK 小川慶人(経3・慶應)

 

DF 望月慎之介(経4・慶應)、片岡賢治郎(経4・慶應)、飯室隼(経3・慶應)、福田洸輔(政2・慶應)

 

MF 安田武大(政4・慶應)、田畑智哉(政3・慶應志木)、中山正暉(経3・慶應)

 

FW 前多亮佑(経4・慶應)、村上慧(法3・慶應)、藤代茜利(経2・慶應)

 

 

早稲田との3連戦となった慶大。初戦のインカレではPCでのゴールで敗北を喫し、2戦目のリーグ3位決定戦ではPC対策がはまりクリーンシートでの勝利。1勝1敗で迎えたこの試合はやはりPCがポイントとなった。

完全勝利を目指した

早稲田ボールで始まった第1Q、縦の動きで敵陣に入り込もうとするも早大にボールを取られサークルへの侵入を許してしまう。ここは望月、片岡賢治郎(経4・慶應)などの堅守でボールを取り返すと、5分、前多が相手サークル内に入り込みゴール前にいる齋木壮之介(経1・慶應)にパスするもシュートは打てずに終わる。このチャンスを逃した慶大は早大にカウンターをくらいピンチを迎える。自陣に侵入され、一時は福田が守るものの再びボールを奪われゴールを決められてしまう。再開後攻めきれない展開が続いていたが12分、中山正暉(経3・慶應)がボールを受け取るとスピードを上げて相手DF陣を突破。しかしゴール前で決定打に欠けこのQが終わった。

 

第2Q、序盤から同点のチャンスがやってくる。2分、安田武大(政4・慶應)が3人がかりのプレスを華麗にかわしサークル内にパスを通すと相手のファールを誘発し今日初のPCを獲得する。ここでシュートを任せられたのは山学大戦で2得点を挙げた福田。強烈なフリックショットから放たれたボールはゴールネットに突き刺さりすぐ同点に追いついた。再開後、早大の果敢な攻撃に苦労するも泥臭い守りを随所に見せ自陣サークル侵入を防ぐ展開が続く。しかし8分、一瞬の隙を許しPCを与えてしまう。このピンチ、小川慶人(経3・慶應)が相手の動きを読み切りファインセーブで乗り切る。その後膠着した時間が続いていたが12分ボールを受け取った中山が相手サークルに入るとPCを獲得。勝ち越しの期待が高まったが早稲田もファインセーブでお返し。白熱したゲーム展開で前半を折り返した。

福田の強烈なフリックが決まった

後半第3Q、序盤からペースは早稲田。3分、PCを許してしまう。ここはDF陣の上手い守りで耐え凌ぐ。これで流れを引き寄せるかと思いきや再び早大の攻撃が続く。自陣でのプレーが続く慶大だが集中力を切らさず守り続ける。このまま両チーム無得点で終わるかと思われた14分早大にPCを許す。絶対に止めたいこの場面、小川がまた好セーブを見せた。

 

同点で迎えた最終Q、開始早々試合が動いた。早大に中盤でボールを奪われると一気に自サークルまで侵入しついに2点目を奪われてしまう。優勝のために早く追いつきたい慶大は2分、中山からサークル内の藤井貴士(経4・慶應)へとパス、そしてゴール前に藤井がボールを出すと森が執念のワンタッチシュートを押し込み同点に追いつく。最終Qで荒れ始めた試合展開は再開後も収まらなかった。7分、PCを許してしまうと、今日初めてPCでのゴールを許してしまう。さらに11分にはサークル内での混戦の中でこぼれ球を拾われシュート。同点からあっという間に2点差が開いてしまった。残り4分で2点差という絶望的な状況でも慶大イレブンは諦めていなかった。積極的に前に動き敵陣プレーを続けると14分、PCの獲得に成功する。ここで副将の望月が冷静にゴールを決め1点差とする。残り1分を切った状況で試合再開となったが早稲田からボールを奪うとショートパスを連続で通し、再びゴール前へ侵入するとPCを獲得。この土壇場で今季大きく成長を遂げた福田が今日2得点目のシュートでゴールネットを揺らし同点に追いつくことに成功した。残り数十秒、追いつかれた早大はGKを下げフィールドプレーヤーを増やすパワープレーを選択。数で押し切ろうとする早大、カウンターを狙う慶大という構図になったがここでホイッスルの音が響く。3年連続の同点優勝という結果になった。

森の執念のタッチシュート

土壇場で追いつき喜びを爆発させる

今年の早稲田との対戦成績は結局1勝1敗1分、全くの5分という形に終わった。タレント揃いの今年のチームは8年ぶりのリーグ戦3位になる一方でチームの目標である優勝を果たせなかったが、この引退試合で慶應らしさを見せたのではないのだろうか。来年こそは早大だけでなく明大、山学大などの強豪を打ち破り10年ぶりの栄冠へ。4年生の勇姿を引き継いだ新チームに大きな期待がかかる。

最後まで戦い続けた

(記事:國本葉月/写真:津田侑奈、澤田夏美)

 

 

以下、コメント

 

前多亮佑主将(経4・慶應)

――試合を振り返って

興奮した部分が多くてあまり覚えていない部分もあるんですけど、序盤は駒沢のグラウンドに順応できていなくて結構やりたいことができていないなというのと、ちょっとプレッシャーにやられていたなというのが大きくて。後半もある程度残っていたんですけど個人の技術でカバーできたというような試合展開、それが4−4という結果になったのかなと思っています。

 

――どのような展開になるかなどの予想は

早慶戦というのは本当に予想できなくて、全くそこは読めていなかったです。ただ先制点が入った方の流れになるだろうなという予想はしていました。

 

――ご自身のプレーについては

PCを獲得したシーンやサークルの中からパスを出すシーンなどが多かったのでそれに関してはよくできていたなと思いつつも、得点ができなかったというのは心残りですが他のところでしっかりカバーできたので悔いなく引退できるかなというプレーではありました。

 

――第4Qで一時2点差をつけられました

正直結構浮ついたと思っているんですけど、主将の責務はチームの精神的支柱であることなので、少なくとも自分は空元気でもいいから声を出し続けて、その結果持ち直せたのかなと思います。

 

――1年間を終えて今年のチームは

勝てる強いチームができたなと思いました。時間も短いなかで選手全員が役割を遂行できて、どのようなことをやればいいか分かっていて、しかも個人の細かい部分も詰められることができていたすごく良いチームになったなと思います。

 

――4年間の大学ホッケー生活を振り返って

本当にやって良かったなという思いが大きいです。最初の頃は傲慢な部分があったなと思っていて、それが1、2、3年を通してちょっとずつ自分なりに気付けて最後しっかりと立派になれたなと自負しているので入って良かったな、やれて良かったなと。あとは色んな遠征なども行くことができて、色んな地方にも行くことができて楽しかったですし、4年間一緒にいた同期も一生の宝物で改めてホッケーやって良かったなと思います。

 

――後輩たちにメッセージを

本当に粒ぞろいで技術も高く日本でトップクラスの実力を持つと僕が自身を持って言えるので、あとは3年生のみならず1、2年もしっかりアクションを起こして良いチームを作り上げてくれたらなと思います。今年良いチームになったのは4年が引っ張ったからというのもあるんですけど、やっぱり3年生以下がアクション起こし続けた結果だったのでそれを忘れずに、この良い雰囲気を継続してくれたらチームワークも完璧な素晴らしいチームができるなと。正直僕は優勝も狙えると期待しているので本当に頑張ってもらえたらなと思います。

 

安田武大副将(政4・慶應)

 

――試合を振り返って

勝ちたかった、本当にそれに尽きるんですけど最後2−4で負けているときに、ラスト5分くらいでもみんなが集中力を切らさずに戦えて引き分けまで持って行けたのは良かったかなと思っています。

 

――ご自身のプレーについては

1点、点に関連するプレーができたのは良かったと思うんですけど、逆にファーのところで詰めるというのが一個できなくて、上手くいけば点を取れたところがあったなと少し後悔するところがあります。そうですねやっぱり勝てなかったので後悔の方が大きいです。

 

――4−4という結果については

やっぱり勝ちたかったということに尽きるんですけど、でも今までやってきた慶應のホッケーの形というのは出せたと思うので、実力が出て4−4という結果なのでさっき後悔って言いましたけど試合全体としての後悔は感じなかったです。

 

――昨年のDFからMFに転向した1年でした

高校と下級生の頃にもMFとDFを結構行き来していたんですけど、今年の戦術的にディフェンスもできるMFもできるという流動性が求められているポジションだったので大きく変わったというわけでもないんですけど、今までやってきたことを発揮してミッドを4年生で引っ張っていかなきゃなという責任感はありました。

 

――今年を振り返って

コロナがあってできなかった期間があったんですけど自分たちの生活全部がホッケーに通じているなということを本当に認識できて、練習が6月から始まって11月23日まで5ヶ月間しかできなかったんですけど本当に楽しくできましたしそこに悔いはないです。

 

――4年間の大学ホッケー生活を振り返って

楽しかったのはもちろんなんですけど、自分の生活の全てになりすぎていて。大学ホッケー最初は入るかどうか迷っていたところはあるんですけど心から入って良かったなと思っています。

 

――後輩たちにメッセージを

後輩たちはすごく上手い選手が揃っていると思うので、今まで自分たちは早慶戦などで結果をなかなか出せなかったんですけどその思いを後輩たちに晴らしてもらいたいです。

 

望月慎之介副将(経4・慶應)

――試合を振り返って

個人的には4失点してしまって、やばいなと思った時は失点してしまってポジション取るなどの準備が甘かったなと思いつつも失点したあとまだ追いつけると思えるのはチームに自信があったからなので良いチーム作れたなと思いました。

 

――ご自身のプレーについては

守備面はダメダメだったんですけど3点目を取れて引き分けですけど結果に貢献できたので50点くらいかなと思いますね。

 

――4−4という結果については

まさかこんな殴り合いみたいな試合になるとは思っていなかったので、やっていてすごい楽しかったんですけどディフェンスとしては取られすぎたなというのは反省点です。今から僕はどうすることもできないですけど後輩たちには今日点を取られたのを反省してもらってしっかり春リーグにつなげて欲しいなと思います。

 

――副将としての1年を振り返って

特別意識することは無かったんですけど副将としてピンチをしっかり体を張ってディフェンスできたとかはそこそこお手本になることができたと思うので、そのような闘う姿勢を後輩に見せられたので来年もぜひ受け継いで欲しいです。

 

――今季開幕前にチームに求めた「泥臭さ」については

今日の2点目の藤井のリバースヒットはすごく泥臭さが出ていたと思いますし練習でもしっかりファーポストにくっついて、地面に手をくっつけて待っているというのは1年生の頃には絶対なかった光景なので泥臭く良いホッケーができるチームになっているなと思います。

 

――4年間の大学ホッケー生活を振り返って

あっという間だったんですけど個人的には1年前のビデオを見たときに「すっごい下手くそだな自分」と思えたことが成長につながって良かったなと思いますし、良い先輩良い後輩に恵まれて楽しくホッケーできたな、とても幸せだったなと思います。

 

――後輩たちにメッセージを

上手い人は代表合宿などにどんどん挑戦して傷つくことを恐れずに外から色んなことをチームに持ってきて欲しいし、1、2年生はどんな形でもいいので必死に食らいついてしっかりとチームのボトムアップにつなげてくれたら良い組織になると思います。みんな傷つくのを恐れないでガンガン行ってくれたらなと思います。

 

福田洸輔(政2・慶應)

――今日の試合を振り返って
途中で2点差をつけられてしまって絶望的だったんですけど、そここら最後に追いついたので自分たちがやってきたことが出せたなと思います。

 

――引き分けという結果について
すごく悔しいです。やっぱりみんなで4年生のために勝とうと決めていたので、勝ちたかったです。

 

――本日2得点でした
1得点目は相手キーパーが止めづらい下のコースを狙って、2本目の時は上を狙って相手キーパーの逆をつこうと思って決めました。

 

――自分たちのプレーはできましたか
そうですね。これまでの力は存分に出せたと思います。

 

――4年生への想いは
4年生は一人一人すごく尊敬していて、一人一人違ったプレースタイルがあって、僕たちもそれを見習って来年以降も頑張りたいと思います。

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