慶大はこの日、順大との一戦に臨んだ。第1セットはリードする場面も逆転される場面もあったが、慶大の流れのまま手堅く先取する。第2セットは惜しくも落としたものの、第3セット・第4セットは攻守が噛み合い、終始慶大のペースで優位に試合が進み、セットカウント3-1で今季3勝目をあげた。前日の日体大との一戦で見えた戦い方がしっかりはまった試合であった。サイドアウトをしっかり切ることができたことが大きいだろう。リーグ戦も残り3試合。最後まで彼らの活躍を見届けたい。
2022年5月29日(日)
春季関東大学男子1部バレーボールリーグ戦
第9戦 慶大×順大
@日本体育大学健志台キャンパス米本記念体育館
得点 | ||
慶大 | セット | 順大 |
25 | 1 | 23 |
23 | 2 | 25 |
25 | 3 | 21 |
25 | 4 | 18 |
出場選手(サーブ順) | ||
ポジション | 背番号 | 名前(学部学年・出身校) |
OH | 6 | 島田航希(経3・慶應) |
MB | 8 | 芳賀祐介(環2・札幌北) |
OP | 2 | 松本喜輝(環3・九州産業) |
OH | 18 | 安達龍一(環4・洲本) |
MB | 9 | 降小雨(商4・慶應) |
S | 1 | 高倉真古都(商4・慶應) |
L | 7 | 山元康生(法1・慶應) |
途中出場 |
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OH | 12 | 内田克弥(環2・松江工業) |
MB | 27 | 下田悠生(経4・慶應湘南藤沢) |
OH | 3 | 渡邊大昭(商2・慶應) |
第1セット。序盤は互いに譲らず、サイドアウトを取り合う展開が続いた。松本喜輝(環3・九州産業)の技ありのフェイントが決まり9-7とし、このままブレイクを重ねていきたいところであったが、直後相手に4連続得点を奪われ9-11と逆転を許してしまう。10-13と相手にリードされたまま消毒のタイムアウトを迎え、巻き返しを図りたい場面、降小雨(商4・慶應)と安達龍一(環4・洲本)の二人でブロックポイントを奪取したことで、チームに勢いをもたらす。勢いそのままに、松本の力強いスパイクなどで得点を重ね、5連続得点を奪うことに成功。15-13となり、たまらず相手がタイムアウトを要求。流れをつかんだ慶大が先に20点台に乗せ、一時は22-22と追いつかれたものの、流れを渡すことはなく、最後は松本のスパイクが相手コートに鋭く突き刺さり、25-23でこのセットをものにした。
第2セットも第1セットと同様、序盤はサイドアウトの応酬に。降のAクイックや安達のサービスエース、高倉真古都(商4・慶應)の冷静なツーアタックなどナイスプレーが多く見られるも、相手のクイック攻撃に対応しきれず11-13で、セットは折り返しに。松本や安達が中心となり着実に得点を積み重ね、17-15と逆転したところで、相手がタイムアウトを要求。ここからさらにリードを広げていきたい慶大であったが、レシーブの乱れやミスが重なり、先に20点台に乗せたのは順大であった。その後も、下田悠生(経4・慶應湘南藤沢)や渡邊大昭(商2・慶應)をピンチサーバーとして送り込むも反撃かなわず、最後は相手のクイック攻撃が決まり、23-25で惜しくも第2セットを落としてしまう。
切り替えたい第3セット。相手ブロッカーに動きを読ませない高倉の巧みなトスから、降のAクイックがノーマークで決まり、3-2。島田航希(経3・慶應)がブロックの間からスパイクを打ち抜き、5-5。またもノーマークで、今度は芳賀祐介(環2・札幌北)のAクイックが決まり8-8と、序盤は一進一退の攻防が続く。そこから頭一つ抜け出したのは、降による二連続のブロックポイントだった。続けて降がクイック攻撃を決め、11-8と優位な状態で相手にタイムアウトを取らせる。そして、松本のスパイクが相手レシーバーの腕を弾くと、そのボールは2階席まで飛び、強烈な一打を相手にも観客にも見せつけ14-10と差を広げていく。安達の高さのあるクロスへのスパイクで18-14、降のCクイックで21-15と大きくリードを奪うも、終盤、順大も意地を見せ、そこから3連続得点を許し、21-18と3点差まで詰められてしまう。ここで流れを渡したくない慶大はタイムアウトを要求。タイムアウト明けの大事な場面、安達がしっかりと決め切ると、勢いそのままに最後は松本がブロックアウトを取り、25-21で第3セットを制した。
勝ち切りたい第4セット。相手のバックアタックを安達、芳賀、松本の高さのあるブロックで仕留め、また、島田にサービスエースが出るなど序盤からブレイクを奪い、4-0で順大が1度目のタイムアウト。その後も、安達、芳賀、松本が見事にスパイクをシャットアウトし6-0と大きくリードを奪うことに成功。芳賀のサービスエースも飛び出し、9-3で順大にタイムアウトを使い切らせる。終始危なげない展開で、13-8と差を保ったままセットは後半に。第4セットになり、ブロックの対応力も上がり、しっかりワンタッチを取り、自分たちのチャンスを作って攻撃するという形が確立され、慶大の勢いはさらに加速していく。松本が力のこもったスパイクで、降がブロックとクイック攻撃で得点を量産し、20-15と慶大が先に20点台に到達。終盤も、その勢いは衰えることなく、最後は松本の強烈なスパイクが決まり、25-18で勝利を収めた。
(記事・写真:田中瑠莉佳)
以下、コメント
星谷健太朗監督
――今日の試合を振り返って
観客の皆さんに来ていただいた中で試合ができたこと、また、順天堂大学さんという素晴らしいチームを相手に好ゲームができたことが幸せですし、ありがたいなと思います。
――昨日と比べて、ミスをしても引きずらない姿勢を感じました
そうですね。今週の練習では、そういう場面をどう乗り越えるのかというところで、学生を中心にしっかり考えて取り組んできました。昨日もその成果は随所に現れていて、結果自体は負けということだったんですが、今日に関しては昨日よりもその成果が出るタイミング・頻度が多かったのかなと思います。
――安達選手がスタメン起用でしたが、昨日の調子の良さや戦略あってのことでしょうか?
まず調子という面で、昨日すごく良いプレーをしていたというのがあります。あとは戦略的な面でも、彼の持ち味はスパイクももちろんそうですが、高さのあるブロックだと思います。高さのあるブロックがあれば、相手の得意なCクイックだったり、ライトからの攻撃だったりといった軸に対してプレッシャーをかけられるということで、選ぶことに疑う余地はなかったです。
――来週に向けて
勝った負けたという結果は毎週のように出ていて、今週については1勝できましたが、そこに一喜一憂せずに、引き続き負け続けていたときと同じように、むしろそれ以上に自分たちがやるべきことは何かというところに対して向き合って、成長し続けて欲しいです。その結果、試合で自分たちの最大限のパフォーマンスを発揮できるように、皆さんに少しでも何か感じ取ってもらえるものを与えることができれば嬉しいなと思います。
高倉真古都主将(商4・慶應)
――今日の試合を振り返って
嬉しいです。ここのところ何連敗…?まあ数えていないんですけど、負け続けていた中での勝利だったので、嬉しいの一言に尽きます。
――松本選手と同じくらい安達選手にトスを集めているなと感じました
そうですね。戦い方として喜輝に上げるというのはもともと決まっていたんですけど、それだけだと相手もマークするので、もう一つというところで、高さとパワーでいけるタイプの龍一が入ってくれて、その攻撃を相手が嫌がっていたので、そこはたくさん使っていこうと思いました。その思いに龍一も応えてくれた、っていうのが嬉しかったですね。
――昨日よりミスを引きずらない姿勢を感じましたが、1日で修正できたということなのでしょうか?
昨日の試合は点数だけ見ると22点とか23点とか2・3点で負けていて、そこを取りにいくのは意識の問題なんじゃないかというところで、ミスをしてしまったことはひっくり返らないししょうがないので、次の1点を取りに行くことに集中しようと話していました。あと今日はリードしている展開が多くて、でもそこから巻き返されるのが今までの試合だったので、そこの意識はみんな強かったんじゃないかと思います。ここからでも負けるチームなんだぞ、っていうのをあえて言ったりして、普通のチームはそんなこと言わないと思うんですけどね(笑)。連続で得点されても耐えることができたのは、今までの負けた数試合ではなかった展開かなと思います。良いイメージができました。
――来週に向けて
順位がそろそろちらつき始める頃だとは思うんですが、どこがどこに勝ったとか関係なく、目の前の1試合1試合戦って、自分たちがやるべきことだけを徹底して、あと3試合頑張りたいと思います。
降小雨副将(商4・慶應)
――今日の試合を振り返って
真古都のトスがしっかりアンテナまで伸びていたので、サイドの攻撃が決まって、サイドアウトが良い形で切れていたのが良かったと思います。
――昨日細かいプレーが取り切れていないとおしゃっていましたが、今日は取れていると感じましたがいかがですか?
そうですね、まだまだな部分はあるんですけど、昨日が50パーセントくらいだったら、今日は75か80パーセントくらい取れたと思います。とは言っても落ちている細かいボールがあるので、残りの3試合で修正していけたらと思います。
――そこを100パーセントにするためにどういうことを意識して練習していきますか?
練習の質を高くすることかなと思います。ひとりひとりが絶対に落とさないんだぞ、という意識を持ってみんなに取り組んで欲しいし、自分も取り組みたいと思います。
――来週に向けて
青山学院大学さんと早稲田大学さんで決して楽な相手ではないので、自分たちの良いときのバレーボールを思い出して、結果にとらわれずに、自分たちのバレーボールを出せたらいいなと思います。
安達龍一(環4・洲本)
――今日の試合を振り返って
まず、サイドアウトが切れていたのが大きくて、その上でサーブとブロックでブレイクできたので、自分たちの強みが発揮できて、その結果勝てたのかなと思います。
――トスが集まることに関してプレッシャーはありましたか?
上がってきたのを打つって考えていただけで、プレッシャーはあまりなかったです。
――スタメン起用でしたが、心境は
今日は自分が出たんですけど、チーム全員で戦うというところで、自分が悪いときは他のサイドがってなるので、次また自分が選ばれたときは自分の全力を出せたらいいなと思います。
――来週に向けて
残り3戦というところで、青山学院大学さん・早稲田大学さん・専修大学さんだと思うんですけど、結果にとらわれず、自分たちのできることを全力で頑張りたいと思います。
松本喜輝(環3・九州産業)
――今日の試合を振り返って
まずは1勝できたというのが、自分的にはとても嬉しかったです。
――勝因はどういったところにあると思いますか?
やっぱり全員が取りたいボールっていうのを意識して、つなぐバレーができたのかなと思います。
――気迫のあるプレーが多く見られました。何か意識していたことはありますか?
自分たちが負けてしまうパターンとして競ったところから取り返されて負ける、というのが多くて、チームがきつい時に自分にトスが集まってくるというのは分かっていたので、そこを自分で切れるような意識を持ってやっていました。
――来週に向けて
自分たちは勝ったあとにちょっと抜けてしまうところがあるので、また気を引き締め直して頑張っていきたいと思います。