【バスケ】慶関定期戦 取り戻した自信、秋シーズンへ弾みとなる勝利!

 

成長を遂げた桂がインサイド陣をけん引する

一度沈みかけた船が再び動き出した。春シーズン不本意な結果に終わった慶大。見失っていた慶大のバスケットを取り戻すため、そしてリベンジの秋シーズンにするために、この夏チーム一丸となって練習に取り組んできた。その成果を試すべく挑んだ慶関定期戦。猛暑の中、慶大が敵地で見せたバスケットは、秋シーズンに向けて期待を抱かせるものだった。
第79回 慶関バスケットボール定期戦
 
2011/8/6(土)@関西大学千里山キャンパス
慶大‐関大 1日目
1Q 2Q 3Q 4Q 合計
慶大 21 20 25 40 106
関大 17 25 23 14 79
序盤、春シーズンからの悪い流れを引きずるように、出だしでつまずく慶大。9-15とリードされてから、投入された金子(環4)の連続得点で追い上げる。さらには矢嶋(総2)がミドルシュートやドライブインから得点し逆転。21-17で1Qを終える。続く2Q、再び金子のスリーポイントが決まると、慶大はそこから一気に突き放しにかかる。中島(総2)がポストプレーからバスケットカウントを決めれば、伊藤(環1)も速攻を演出。オフェンスから良い流れを掴みかけるも、ディフェンスが機能せず、相手のスリーポイントを止められない。互いに譲らぬクロスゲームの末、41-42で試合を折り返す。

金子は春の悔しさを秋に繋げられるか

後半も不安定な戦いが続く。桂(政3)の連続得点で先制すると、中島もそれに続き加点。ただ、オフェンスが機能し始めた反面、ディフェンスが依然として機能しない。関大にリバウンドから速攻を何度も決められ苦しい流れに。ここで慶大は矢嶋を投入。その矢嶋が持ち前の得点力でチームに勢いをもたらす。ターンからジャンパーを続けざまに決めると、矢嶋のアシストから本橋(環2)がインサイドで得点。66-65で迎えた最終Q、一気に慶大がスパーク。矢嶋のディフェンスがチャージングを誘うなどディフェンスが機能すると、相手のシュートが落ち始める。そこから本橋のリバウンドを起点とし、「ディフェンスリバウンドを取って速攻に繋げる」(家治主将・環4)という慶大本来のバスケットを見せる。こうなると流れは完全に慶大に。家治がターンからタフショットを沈めると、伊藤がルーズボールで粘り速攻に繋げる。さらには本橋がゴール下でバスケットカウントを決めると点差は20点に広がる。勝利を射程圏に入れた慶大は終盤、麻生(環4)や原田(総4)など4年生を投入し試合を締めくくった。結果は106-79。2日目、そして秋シーズンに繋がる勝利となった。
 
2011/8/7(日)@関西大学千里山キャンパス
慶大‐関大 2日目
1Q 2Q 3Q 4Q 合計
慶大 25 23 33 36 117
関大 19 25 18 32 94
慶大のスタメンは、家治、桂、蛯名(法2)、中島、伊藤。
1Q、序盤は前日と同様オフェンスで手詰まるも、徐々に関大のターンオーバーをしつこく誘うタイトなディフェンスを見せ始める。そしてディフェンスからリズムを掴むと、そこから速攻も生まれ、立て続けに得点。その後も慶大はシュートを外しても、オフェンスリバウンドを拾う粘り強いオフェンスを展開する。だが矢嶋、中島が1Qのうちに3ファールを犯してしまう。主力のファールトラブルで少々雲行きが怪しくなるも、ディフェンスから流れを掴んだ慶大が25-19とリードで1Q終了。2Q序盤、金子を起点とするオフェンスが機能する。家治、桂のフロントコート陣が献身的に走り、速攻を演出。さらには矢嶋のスリーポイントも決まり、35-24。慶大が徐々に点差を広げ始める。終盤では、吉川(環1)がディフェンスで光る活躍を見せる。要所でファールをもらい、関大はうまくリズムをつかむことが出来ない。しかし慶大もトラベリング、ターンオーバーが目立ち始め、完全に慶大のペースに持ち込むことができず。終盤に関大はスリーポイントや速攻で慶大に食らいつき、48-44で前半を終える。

秋にはスコアラーとして矢嶋の真価が問われる

3Q、慶大のディフェンスが完全に機能。開始から4分の間、関大を無得点に抑える。オフェンスでも蛯名がインサイドで立て続けにシュートをねじ込むと、更に中島のリバウンドから伊藤が速攻に繋げ、連続得点。慶大が攻守で関大を圧倒する。選手交代が行われても、チームの士気は変わらない。依然として積極的なオフェンス、粘り強いディフェンスを敢行。完全に慶大ペースの試合運びに。更に追い打ちをかけるように中島のスリーポイント、桂の速攻も決まり、慶大は4分の間に20点差をつけ、大量リードを奪う。「今日は3ピリで離せた」(桂)と慶大はこのQで関大を大きく突き放し、3Qを81―62で終える。4Qは序盤からチーム全員がバランス良く得点。完全に流れにのった慶大は猛攻を仕掛け大量得点。終盤には藤木(政4)の連続得点もあり、最後まで関大に流れを渡さなかった。結局117-94と慶大は快勝。慶大は優勝という形で、伝統の一戦を締めくくった。
春シーズンには見られなかったトランジションバスケット。それがようやく形になってきた。「個々の役割が不透明」(家治)だった春シーズンの反省から、「まずはディフェンスを頑張るという風に共通理解を持った」(家治)。その結果、チーム全体が同じ方向を向くことが出来た。「収穫は多かった」(佐々木HC)慶関定期戦。慶大らしいバスケットが展開され、春シーズンに失った自信を取り戻したはずだ。そして9月からはいよいよリーグ戦が始まる。慶大にとって鍵となるのはやはりディフェンス。ディフェンスが機能している時間を長くし、いかに数多く速攻に繋げることが出来るかが勝負を大きく左右する。さらに、「10人ぐらいの力が拮抗していて、そういう人たちと切磋琢磨できる環境を段々作れてきている」(金子)。これまでの慶大には見られなかった層の厚さが今のチームにはある。9週間で18試合をこなさなければならないリーグ戦においては、このことが必ず助けになるはずだ。リーグ戦、そしてインカレへと続く秋シーズン。全ての大会においても、狙うはあくまで「優勝」(佐々木HC)。原点回帰で慶大の巻き返しに期待したい。
 
By Yosuke Okada, Yuzuru Maruyama
 
コメント(1日目)
佐々木HC
相手は慶應の春を知ってるので、何十年振りのチャンスということで相当狙ってきていたようですけど、個々の所でそれぞれの人がよく頑張っていたと思います。例えば、伊藤がスタートは良くなかったのが途中から良くなったり、本橋も途中から急に覚醒したかのようなプレーをして。それにつられて金子なんかもしっかりやっていたし。こういう感じになればチームはいい方向に行くんじゃないかと思いますね。(ディフェンスの出来は)結局伊藤が頑張ってくれれば、こういうディフェンスの締まったいいゲームになるんですよ。金子はディフェンスの詰めがまだ甘いです。オフェンスはいいんですけど。PGとしては、ゲームを作るという意味で苦しい時にこそディフェンスを頑張らないといけないので、伊藤が頑張ればチームディフェンスがぐっと締まる。(今日良かった選手は)本橋ですね。(早慶戦後の練習は)早慶戦からはね、相当落ち込んでいて、私自身もあんなに負けたことは人生でもあんまりないので、かなりガッカリしていました。その中で少し変化があったことといえば、北海道で指導者講習会というのがありまして、ずっと講習する立場としてやっているんですけど、今回もそのために練習を抜けて行って、講習をしたり受けたりして、「選手達を気持ち良くプレーさせないといけませんよ」という話を自分でしながらやってなかったなと思いまして。だからちょっと褒めてやることを意識してやりました。少しでもディフェンスの足が動いてたら褒めるようにしてます。今までは結果が上手くいかないと全部ダメだという感じだったんですけど、今はちょっとでも言ったことに対して足が動いていれば褒めてやります。それで彼らは少し楽になったようです。
家治主将
 
春のシーズンはなかなか結果を出せなくて、反省が残るシーズンだったので、それを踏まえて4年生だったりチームのみんなでミーティングして、夏からの秋に続くリーグ戦、インカレに向けて全員でしっかりとディフェンス頑張って速攻を出すという慶應の伝統のスタイルを、もう1回しっかりと作って秋のシーズンに繋げていこうという話をしていました。その中で1番最初にある試合がこの慶関戦で、これを1つの目標として頑張って来たので、この結果は素直に嬉しいです。個人的にはホームということもあって緊張しちゃってシュートの調子も悪かったんですけど、その中でも途中から出て来る選手だったり他のメンバーが充実感を持ってやってくれたし、途中からですけど、ディフェンスリバウンドを取って速攻に繋げられたんで、今日は本当に全員で勝てた試合だったなと思います。(チームとしてのまとまりが感じられた試合だったのでは)春のシーズンは何をすればいいのかというのが不明確だったんですけど、まずディフェンスを頑張るしかないという風にみんなが思えたというか、そういう風に共通理解を持てたので、シュートが入らなくてもまずディフェンスを頑張ろうという意識をみんな持っていたので、それが良かったと思います。あとはチームで攻めるということをずっと言ってきたので、今日は1人で解決できなくても、そこからの合わせだったり、オフェンスリバウンド取って決めたりということをチームで出来たので良かったと思います。(早慶戦後の練習で伸びた所は)この夏の練習はずっとディフェンスに焦点を当ててやっていました。その成果が途中からですけど出たので、それは良かったと思います。やっぱりディフェンスでいい流れが出来ると、みんな元々能力が高いのでシュートも入りますし、リバウンドも取れるので、まずはディフェンスというのを課題にやってきました。(チームで期待している選手は)もちろん全員に期待しているんですけど、特に4年生だったら今日も春本だったり峻也(金子)が、僕がふがいないプレーをしていた時に穴を埋めてくれたんで、そこは信頼してやっていきたいと思います。あとは3年生の桂が来年のことも考えてか、最近すごく充実感を持ってやってくれていますね。あと2年生はちょっと波のある選手もいるんですけど、集中した時はみんなしっかりとやってくれます。やっぱり今年のチームは全員がしっかりとやるしかないと思うので、全員に期待しています。
金子
正直もうちょっと早く出るんじゃないかと思っていたんですけど、それを発散しようという気持ちでコートに出たのがよかったんじゃないかと思います。(何を意識したか)僕は途中から出て行って、流れを変えることが重要だと思っているし、去年のリーグ戦からシックスマンとしてやらせていただいて、その難しさもわかっているし、できない時もできる時も経験してきたので、そういうのを経験した僕が、四年生として率先して流れを変えようと思っていました。(早慶戦からの練習は)ディフェンスのフットワークの使い方とか、本当に基礎的なところから見直していきました。ゲームライクな練習とかはそんなにしてないので、試合勘みたいなところではわからないですけど、昨日の甲南大学との練習試合ではよくできていました。でも、今日はまだまだ練習でやったことを出し切れなかったと思います。(チームのまとまりについては)今までのチームは強い人が何人かいて、そこと下の差が開いちゃっていたので、まとまりっていう意味でどうだったか分からないですけど、今年は10人ぐらい力が拮抗していて、そういう人たちと切磋琢磨できている環境を段々作れてきています。隣の人がライバルであり、尊敬する人であるという関係なので、そういう意味ではみんなすごく一体感を持っていると思います。
本橋
 
春シーズンはチームとして良くない結果で、それを踏まえて、夏休みをだいぶ削って、皆で練習してきたのが、ディフェンスとそれからのこぼれたシュートのリバウンドの強化に繋がったのだと思います。僕としても期待されている役目がリバウンドだと思っているので、今日はリバウンドが取れたこと、いつもと比べてスクリーンアウトが少し徹底できていたのが良かったです。(集中力が持続していたことについて)今はベンチから出場させてもらっているのですが、「その試合に出た瞬間から最大限集中しろ」と言われているので、練習中から意識するようにしていました。(終盤の粘り強さについて)今日の試合で話しかけたのですが、流れが悪くなってしまって、相手に追いつかれることが2回くらいあったのですが、3回目に均衡しているときに、ガード陣だけにゲームメイクの負担をさせてはいけないと思うので、センター陣が後ろから頑張ろうという声を率先してかけることを徹底しました。
 
コメント(2日目)
佐々木HC
昨日いい感じだったのでその調子を崩さないことと、あとリーグ戦を想定して、昨日の戦い方と今日の戦い方は変わるかもしれないよ、ということを言っていて、こっちでスターターを変えようかなとも思ったんだけど、良い感じだったので変えませんでした。なので、リーグ戦用の練習というのはちょっと出来ませんでしたね。(2日間を通しての収穫は)桂が少し落ち着いたのと、ガード陣がやっと板についてきたかなということ、あとは本橋が持ち前の爆発力を見せたんで、収穫は多かったと思います。(インサイド陣の出来は)リーグ戦について言うと、彼らがいかにリバウンド取ったりこぼれ球入れるかが鍵になるので。そこが安定しないとアウトサイドもダメになっちゃうので、今年のチームはそこがキーですね。(チームオフェンスが機能してきたようだが)一応分解練習を3対3までやってはいたんだけど、チームオフェンスはほとんど練習していないんです。でもたぶん強くなるチームというのは、こういう感じで少しずついい感じになっていくんだと思います。トライアングルだったりハイスクリーンだったりドリブルスクリーンだったりっていう自分達の先輩達がやってたオフェンスが出来てきたのは、1ヶ月間日吉でやらなかったことを考えても、いい芽が出てるんじゃないかなと思います。(これから伸ばしていく所は)もう1回ディフェンスです。やっぱり関東と関西の違いが少しあって、もう少しバックコートで頑張れないといけないですね。関東はガード陣が力を持っているので。(今後に向けてメンバーの構想は)期待しているのは矢嶋かな。彼が復調すればスコアラーが1つ増えるので。(リーグ戦の展望は)もちろん優勝を狙います。青学にリベンジしたいですね。
昨日は4ピリまで競っていたのですが、今日は3Qで離せたのがよかったと思います。(速攻での走りについて)まだまだだと思います。毎回、速攻に参加できるように、インサイドが走ることが重要だと思うので、頑張っていきたいと思います。(春からの自分の中での変化について)春の反省として、攻撃力というのがあって、割と無難にこなしていた部分があったと思うのですが、秋は自らプレーで何かを起こしていくことを意識して、シーズン入りしたので、一種の変化はあったと思います。(シュート率について)インサイドなので、1本1本決めていくことが大事だと思うので、シュート率も意識しながら頑張っていきたいと思います。(リーグ戦に向けて)最初の週に大東と早稲田という春シーズン悔しい思いをしたチームとやれるので、そこでしっかり2連勝して、優勝できるように個人的にも、チーム的にも頑張っていきたいと思います。
中島
チームとしては2日間通して勝って、優勝することが出来たので良かったと思います。個人としても、リバウンドだったりスリーだったり、やっと自分らしいプレーが出来たので良かったです。(早慶戦からの練習は)そんなに成長したという所はないです。今ようやく良かった時の感覚に戻ったというぐらいなので、まだまだこれから伸ばしていきたいと思います。(この夏に特に重点的に取り組んだことは)ウェイトはもちろん、ドライブの技術を上げようと練習していたんですけど、それが試合で発揮出来なくて悔しいです。(チームとして成長したことは)桂さんや本橋のリバウンドが安定してきて、そこからの速攻の形が出来てきたのが良かったと思います。オフェンスは、下級生が主体のチームなので試合を経るごとにシステムも浸透してくるし、もっと良くなると思います。(リーグ戦に向けて)夏休みはこれから遠征とか合宿とかが多いんですけど、怪我なく乗り切って、個人としてもチームとしても成長して、万全の形でリーグ戦に臨みたいと思います。
蛯名
どうしても春は勝てなくて、とりあえずここで勝とうという話だったので、勝ててよかったです。(何を意識していたか)二戦目は意識したわけではないですけど、流れを変えることができたので、これからは流れを変えることを意識してプレーしようと思います。(チームのまとまりについて)基本的に四年生についていく形なんですが、試合に二年生が多く出ていて、自分たちの我が強くなって、四年生に迷惑をかけてしまっているかもしれないですけど、最終的に勝ちにつながればいいかなって思っています。(春にHCから「自分のなかで整理できていない」と言われていましたが)あんまり考えないようにしてます。考えてもどうにもならないので。今日みたいに点を取って、しっかりとディフェンスをやることが役割だと思っているので、無難にこなして流れを作れればいいかなって思っています。(秋のリーグ戦に向けて)強いところがいっぱいいるので、勝つのはもちろんですけど、試合の中でいろんなことが吸収できるように、四年生についていって頑張りたいと思います。なんとかいい成績が出せるように頑張ります。

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