【ラグビー】母校監督に聞く、高校から慶應への飛躍②/國學院久我山高校・土屋監督

ラグビー

慶應義塾大学蹴球部には毎年日本中の名門高校から数多くのラガーマンが”日本一”の野望を胸に入部する。そんな慶應選手を輩出する高校で指揮を執る監督に当時の選手の姿や現在の成長を聞く取材企画。第2弾は東京最多タイ5回の全国制覇を誇る國學院久我山中学・高校を率いる土屋謙太郎監督。慶大の中楠・永山コンビをはじめ名選手を各大学に送り込んできた名将に話を伺った。

都内の閑静な住宅街の真ん中にある名門・國學院久我山中学・高校

東京都杉並区に門を構える國學院久我山高校は、今年の春の甲子園でベスト4に入るなど、屈指のスポーツ名門校として知られる。現役の慶大選手だけでも野球部の宮崎恭輔(環3)、ソッカー部の宮本稜大(商4)などの名プレイヤーを多数輩出し、卒業生も野球の矢野謙次(國學院大巨人日本ハム)、バスケットボールのトカチョフ サワ(慶大)などスポーツ多種多様に渡る。

野球部スタメンの一員として活躍する宮崎恭輔(環3)

慶大在籍時のトカチョフサワ

中でもラグビー部は都内指折りの強豪校である。伊藤拓巳(BIG BLUES)、山同走(セコムラガッツ)などのプロ選手の母校であり、東京都勢では目黒高校と並び最多タイとなる5回の全国制覇を達成している。これは東京のみならず東日本勢としても最多だ。

慶大現役選手として國學院久我山高校出身は4年だけで4名の選手がいる。なかでも注目は4年の中楠一期と3年の永山淳。幼少期からタッグを組み続けた2人は久我山でも名コンビとして練習に励み、その成果は現在の蹴球部にも引き継がれている。そんな彼らを中高の6年間誰よりも近くで見てきたのが土屋監督である。彼らの素顔、そして関係性に迫るため、土屋監督へのインタビューを敢行した。

 

ー本日はよろしくお願いします

國學院久我山高校の土屋と申します。本日はよろしくお願いします。

ー<共通質問>教え子たちが慶應のみならず関東、全国のラグビー部に羽ばたき活躍している。送り出した監督としての受け止めや感想など

今慶應に在籍してる本校の卒業生は中学の頃からうちに通っている子が多いものですから、子供の頃から見ています。ラグビーが好きで、さらに強いところで、ということでいろんな大学で活躍してくれるのは本当に嬉しいなと思っています。

ー中楠・永山は久我山当時からコンビを組まれていた

彼らは小学校から同じラグビースクールで、中学も両方うちにきてという感じで、付き合いは長いですね。メンバー組んでるのは中楠が3年、永山が2年の時に同じポジション、1012で組んでというのは1年やっていたと思います。

秋に復帰、活躍を見せている中楠

ー彼らの高校時代の立ち位置など

中楠は攻撃の組み立ての中心で、肩書きはなかったですけどバックスのリーダー的存在という感じで。永山は一つ下なので2年で一緒に組んでいるときはどちらかというとおとなしいわけではないですが、先輩方に混じって自分の仕事をしっかりしていく感じですね。永山は3年ではリーダーを務めてましたので、いずれも中心選手として活躍してくれたと思います。

ー永山は来年のリーダー的存在にぜひ

なってくれないと困りますよねえ(笑)。

3年・永山は来年の第100回早慶戦にも期待できる最重要戦力だ

ー中楠が怪我から復帰しました

戻ってきましたね。

ー戻ってきての活躍は期待どおりですか

そうですね、大学に入学後すぐに栗原監督にも目をかけていただきまして、ゲーム経験豊富な選手なのでね。慶應としては予定通り戻ってきてくれたって感じでしょうね。慶應の中では珍しく大学を出てもラグビーを続けると聞いていますから、それを見据えての春シーズンだったと思うので、さらに上を目指してっていうところで満を持しての復帰という感じでしょうね。永山も1年は怪我がちだったのもあったようで、やっと本来の力を出してきてくれたのかなとは思いますね。

ー卒業生との交流など

永山はつい最近も見学がてら顔だしてくれましたね。定期的にこうOBが、例えば慶應のOBで休みになったら顔出すとか、いろんな大学がオフの時に顔出してくれるのがあるので、中楠たちにも久しぶりに会いましたね。夏前ですかね、慶應のOBが、朝田や後藤だとか何人かで一緒に来てくれて。

ーそれは慶應としてまとめてという感じで

久我山の同期で声かけあって高校に挨拶に来てくれていますね。生徒が自主的に来てくれています。

ーどのようなお話や取り組みを

近況を聞いたり、あとはやっぱりせっかく来てくれているので、現役の高校生にアドバイスしてくれたり一緒に練習混じってくれたり、朝田は一緒にスクラム組んでくれたりなど、プレー面での高校生へのアドバイスをやってくれています。

現役高校生たちにとっても、大学ラグビーでの先輩の活躍は刺激になるようだ

ー現役生には刺激になっているのでは

自分たちのやっていることが必ずしも合っているのかはわからないところもあるかもですし、慶應の形が全て正しくて受け入れられるか、というのは別としてですが、色んな情報や色んな刺激を受けたり。マスコミに出てくる選手ですから憧れもありますし、勉強も含めて色々アドバイスを受けています。その中で慶應を受けたいとかそういう子が出てくれれば嬉しいですね。

ー4年生はラストシーズンになります

チームで求められる役割は各々違うと思いますが、長くプレーをしてほしいということ、その中でチームの役割を。中楠に関してはゲームコントロールであり、キックであり、というところで。得点に関わるところですので、存在感は必要だと思います。狙われてくるとは思いますしね。どういうコントロールをするか見るのが楽しみです。

ー大学の試合はご覧になりますか

見ますね。今はネットの映像がありますから、オンデマンドはしょっちゅう見てますのでね。早慶戦も100周年ということで、楽しみにしています。

ー選手へのメッセージを

久我山の代表というわけではないですが、慶應という歴史あるチームの中でジャージを着て臨むというのは名誉なことだと思いますので、責任も含めて堂々とプレーしてほしいと思います。

ーありがとうございました!

時折生徒と冗談を交えながら、優しくも厳しく指導する土屋監督

國學院久我山高校で指導する土屋監督は、実は早稲田大学ラグビー蹴球部のOB。「去年も明スポ(=明治スポーツ新聞会)の方が取材にいらして早明戦の記事にしてもらったけど、やっぱり(早大OBの)自分の立場としては複雑ではある」と笑いをこぼす。早慶戦・早明戦をはじめとする大学ラグビーは今でもよく観戦する監督は、「慶應も早稲田も、選手個人は違っても、昔からずっと受け継がれているその大学流、大学ならではのプレースタイルを見るのは楽しいです」と語ってくれた。100周年を迎える早慶戦は大学ラグビー最注目試合の一つ。早大OBとしても、また早慶両方で活躍する教え子たちの成長を見られるのも、どちらも楽しみにしている土屋監督の姿は、とても印象的だった。

(記事:東 九龍)

タイトルとURLをコピーしました