11月20日(日)、駒沢オリンピック公園第一球技場にて第96回早慶ホッケー定期戦が開催される。慶應男子ホッケー部は前年度、8年ぶりに優勝を果たし今年は連覇がかかる。慶應スポーツでは早慶戦にあたり、主将としてチームをまとめる大島樹(経4・慶應)、副将としてチームを支える藤代茜利(経4・慶應)、同じく副将の池田拓未(経4・慶應)の3名にお話を伺った。
――まず、2022年シーズンを振り返っていかがですか?
大島:当初に立てた目標、リーグ戦やインカレがあったんですけど、現在思うように結果を残すことが出来ていなくて、でもそこで最後に早慶戦が大きな舞台として残っているので、早慶戦に向けては大きな思いがあります。
藤代:僕も同じように目標を達成するというよりは、「勝つ」という経験があまりにも今年は少なくて少し悔いが残っているので、残り早慶戦含めて3試合くらいあるんですけど、そこはしっかり勝ち切って終わりたいですし、楽しかったなと思えればいいかなと思います。
池田:僕も同様に春は5位ということで、秋もあまり勝てていなくて最後楽しむということでも早慶戦がすごい大事な試合になってくると思います。
――その中で印象に残る試合は?
大島:少し前の話になるんですけど、春のリーグ最終戦の早稲田戦ですかね。
池田:一緒だなぁ。
大島:5位決定戦だったんですけど、引き分けからのSO(シュートアウト)戦に持ち込んで勝てたところ、そこはチームとしてもすごいうれしかったですし、思い出に残っています。
藤代:同じようにその早稲田戦はかなり印象に残っていて、たぶん良い印象の残り方をしているのかなと思いますね。でもやっぱり直近だと秋リーグの駿河台大戦が逆の意味で印象に残っています。その試合を勝ちきれなかったというのが上位進出を逃した要因にもなっているので・・・。
池田:二人と違う試合を挙げるとすると、春リーグ開幕戦の駿河台大との試合ですね。去年僕たちが3年生の時も春リーグの開幕戦が駿河台大で、今年も去年と同じような緊張感で望めていたなと、今思い返すとすごく印象に残っています。
――お三方はいつ知り合ったのでしょうか?
大島:中学は全く別で高校からですね。
――高校時代からの7年間を共に過ごしてきて、お二人(藤代、池田)から見た大島選手の尊敬するところ、頼りになるなと感じる部分はどこですか?
藤代:真面目ですね。良いところも悪いところも真面目。やっぱりその真面目さで人望が厚いというのはあるかなと思うので、そういうところで主将に選ばれたんだなと感じますね。
――お二人(大島、池田)から見た藤代選手はどうですか?
大島:すごい負けず嫌いで、あとはやっぱり圧倒的にストイックで努力家なところがありますね。その分結果も出ていて個人としても素晴らしい選手だなと思うので、その点ですごく尊敬しています。
池田:一番ホッケーに熱を持ってやっているのが藤代くんだと思うので、その分熱くなっちゃうところもあるけど、そういうところも含めて茜利かなと思っています。僕はそこらへんが好きですね。
藤代:(照れ笑い)
――お二人(大島、藤代)から見た池田選手は?
藤代:けっこう論理的な人かなと思っていて、僕は熱くなって感情的になることが多いので、逆に副将として違うタイプのキャラがいるというのは、大島にとっても良いバランサーになってるんじゃないかなと思います。
大島:同じく冷静なところがあっていいなと思いつつ、時にはすごく熱くなってくれるところもチームにとっても良い影響を与えているのかなと思いますね。普段見せないギャップであったり、一面が見れた時にはびっくりしますけど、そういう部分も良いなと思います。
――ギャップがある一面とは?
大島:(池田選手が)あんまり前から大きな声で引っ張ったりするタイプではないんですけど、それでも時々チームのためを思って体を張ってくれたり、努力してくれたりする時があります。
藤代:鼓舞してくれるよね。
――自分の強み、アピールポイントは?
池田:自分の強みは足の速さかなと思います。チームの中でも一番速いんじゃないかなと自分では思っていて、足の速さというところではすごい自信があるので、早慶戦ではそこを生かしてどんどん仕掛けていきたいなと思います。
藤代:僕はやっぱりボールキープと突破力かなと。そういう部分を強みにしていて、自分は高校一年生からずっとドリブルを練習してきているので、そこには非常に自信を持っています。早慶戦では何人かドリブルで抜いて攻撃の形を作るとか、そういった観客がわくようなプレーをできたらいいなと思いますね。
大島:ほかの選手より少し身長も高く、体も大きい方なので、体を張ったプレーで相手のゴール前にボールを収められるところです。あと茜利と被るんですけど、ドリブルテクニックというところで相手のファールを誘うようなプレーでチームにとってのチャンスを演出してきたことがいくつかあるので、早慶戦でも勝利に貢献できるようにその部分を生かしていきたいなと思います。
――チームとしてのストロングポイントは?
大島:やっぱり仲がいいなとは思っていて、団結力という部分でチームが勢いに乗った際には本当に止まらないと思います。学年関係なく声が出ていて、みんなで押し上げるという部分がチームとしていいなと思っています。
藤代:仲の良さはやっぱり強みだとは思いますね。ホッケーでいうとやっぱり同期に福田洸輔(政4・慶應)という選手がいるんですけど、福田のフリックも強みではありますし、4年生は個人技の技術力が高いかなと考えているのでそこは他のチームに引けを取らないと思います。そこに引っ張られて技術力が向上している後輩たちも多いので、そういったところで1対1は自信を持っていいんじゃないかなと思っています。
池田:僕も似たようなところで、今割と4年生がチームの中心を担っていてその中でも茜利と福田の二人がチームの中心。そこの二人に合わせながらプレーするというのも強みになるんじゃないかなと思います。そこの絶対的なエースがいるというところは強みですね。
大島:あと一つ、他のチームと比べて大学から知り合ってプレーするのではなく、高校一年生からともに時間を過ごしている選手がたくさんいるので、プライベートでも仲がいいです。その部分がピッチ上でも表れているかなと。学年間、さらに学年を越えていいつながりを持てているのかなと思います。
――4年生は普段どんなプライベートを過ごしているのか?
大島:4年生の同期でオフは旅行に行ったりとか、ランチをともにしたりとかほぼ毎日一緒かな?
藤代:練習後、学年で固まって一緒に帰るというのは特色あるのかなと思います。
――大島選手は主将として苦労することも多かった1年だと思います。1年間主将という役割を全うして大変だった部分は?
大島:大変だった点はやはり結果が伴わなかったところですかね。秋でいうとリーグ戦での山梨学院大戦、駿河台大戦、早稲田戦、あとは明治戦と負けが続いてしまったところで、チームとしても雰囲気をよく保てなかったところであったり、先のビジョンを示すことができなかったりというところで多くの困難はありました。
――意識していた部分は?
大島:すごくいい意味で多くの選手がたくさん意見を発信してくれるんですけど、そこを上手くまとめるところであったり、チームとしての一体感であったりというところを重視して一年間やってきました。
――副将のお二人(藤代、池田)から見て大島選手はどんなキャプテンでしたか?
藤代:去年、一昨年はキャプテンがリーダーというか、自分が引っ張っていくスタイルの人だった。今年は全体から意見を吸収してまとめるという試みがあったので、それは非常に難しかったと思うんですけど、年間を通してそれをやろうとしていたというのは一貫性があったかなと思います。
池田:今年はコーチの方が多くて、コーチと選手の意見が食い違った時に板挟みになって大変そうだなと感じていました。
大島:技術的にも自分が一番ではなくて、昨年や一昨年の選手を見ていると主将の選手が技術的にもトップだった。でも今のチームは福田と藤代が技術的にはホッケーのノウハウも持っていて、彼ら二人からもそうですし、いろいろな選手から助けをもらってやってきたのですごいありがたかったなと思います。
――慶應男子ホッケー部で過ごした4年間はどんな4年間でしたか?
藤代:僕は高校時代主将を務めていたんですけど、高校と大学の大きな違いで「人数が少ない分、大学4年間しっかりホッケーをする」っていう人たちが集まっているのでホッケーに対する熱量は高校よりも高くて、方向性が同じベクトルを向いていて、ホッケーが好きな集団なのですごく居心地が良かったです。
大島:高校と比べて練習が厳しい。でもそれを積み重ねてきたからこそ、勝てたときの喜びをチーム全体で分かち合えるところがあった。高校と比較して喜び、悲しみなど様々な感情を感じられる4年間でした。
池田:もともとはサークルに入ろうとしていた時期があって、そのサークルがどうしても合わないとなった時、最終的な居場所になってくれたのがこのホッケー部だった。そういう私生活での安心感、大学全体の充実感を出してくれたのはこのホッケー部だったなと思います。
――早稲田とはリーグ戦で春2回、秋1回戦い、2勝1敗。どんな印象を持ちますか?
藤代:この間コーチに「SO勝ちは引き分けだ」と言われたので、この早慶戦で3点以上取って勝ち切るということが「早稲田に勝った」という印象をもたらすと思う。現状はイーブンだと思っています。
大島:成績を見ても分かる通り、決して簡単な試合にはならないというのは他の部員も分かっていると思うんですけど、4年生からしたら早稲田とは高校からも戦っていて思い入れのある試合であることは間違いないので必ず勝って終えたいなという気持ちは強くあります。
池田:うちと違ってスポーツ推薦があるので、上手い選手がいる。そこを自分がつぶしていければ勝てるんじゃないかなと思います。
――早慶戦でキーマンに挙げる慶應の選手は?
大島:中盤の藤代選手とDF兼フリッカーの福田選手ですかね。
池田:やっぱりそこの二人かな。
藤代:後輩から名前を挙げるとすると、2年生FWの前田海(経2・慶應)くんとDF小川隼弥(経3・慶應)です。小川は去年の早慶戦でも点を取っていて早慶戦で力を発揮する選手なのかなと期待を寄せています。前田選手は体を張ったプレーとかがむしゃらにやるプレーが得意なので早慶戦の独特な雰囲気で光るんじゃないかなと思います。
――早稲田で警戒する選手はいますか?
大島:中島丞一郎(スポ科3・石動)くんですね。過去にアンダーに選ばれた経験もあってテクニック、パスセンスが飛びぬけていて過去の試合でも彼に苦しめられてきたので、ゲームメイクをさせないようにしたいと思います。
藤代:平岩佑利(スポ科4・天理)くんです。それに加えて主将の双子の兄・大島新(商4・早大学院)は非常に似ているので、敵と味方間違えないように警戒したいと思います。
池田:まぁ、二人と同じですかね。
――4年間で最後の早慶戦となります。さらに連覇もかかりますが、早慶戦にかける思いを教えてください。
池田:去年は4年生を勝たせてあげたい、貢献したいという思いがあったんですけど、今年は自分たちが一番上の代ということで絶対に勝ちたいなというところ。あと、後輩に早慶戦で勝った時の景色を見せてあげたいです。
藤代:今年、結果がなかなか出せていない状況で早慶戦というのはある一種の締めくくりなのかなという思いがあるので「終わり良ければ・・・」じゃないですけど、勝ち切って楽しかったなと満足して終えられるようにこの代を終わらせたいです。
大島:高校からの7年間で仲間とともに励んできたところがあるので最後は必ず勝ちを収めて終えたいなと思っています。あと個人的には双子の兄と今までライバルとしてやってきたので、因縁の相手。必ず勝ちたいという思いは人一倍強くあります。
――応援してくださる方へメッセージをお願いします。
藤代:早慶戦は独特な雰囲気があって、僕たちも非常に気持ちが昂った状態で試合をすることになるんですけど、絶対に活躍して勝ち切りたいと思います。現地に足を運んでくれる方は慶應のいいプレーを見て湧き上がってほしいですし、現地に来れない人にはライブ配信で楽しんでいただければなと思います!
大島:日々応援してくださっている方に感謝の気持ちを込めて全力で戦います。結果も出して必ず勝ちも収めるので応援よろしくお願いします!
池田:野次を飛ばすくらいでもいいので、とにかく自分たちの試合を盛り上げてくださったらこちらもやりやすいのでそこをお願いしたいです!
★早慶戦への思いを一言で表すなら・・・
大島:「必勝」
藤代:「勝利」
池田:「圧倒」
――お忙しい中大変ありがとうございました。
(取材:金子拓登)