秋季関東1部リーグがいよいよ開幕。昨秋リーグ戦全敗の雪辱を期すべく臨む慶大は、春からのレギュラー陣のうち、故障の山本(環3)と調整が遅れている柳田(環1)の二人を欠くという緊急事態に面するなか、1年生2人をスタメンに起用し、激戦の末に明大を撃破。慶大旋風到来を予感させる、最高のスタートとなった。
9月10日(土) 秋季関東大学1部リーグ 慶大―明大 @早稲田大学記念会堂
得点 | ||||
慶大 | セット | 明大 | ||
3 | 21 | 1 | 25 | 2 |
25 | 2 | 17 | ||
25 | 3 | 19 | ||
18 | 4 | 25 | ||
16 | 5 | 14 |
慶大の初戦の相手は昨秋3位の明大。今年5月の全早慶明定期戦では先にマッチポイントに手をかけながらの大逆転負けを喫した因縁の相手である。チームを勢いづかせるため、そして、1部で結果を残していくためには『絶対に負けられない』試合であった。第1セット序盤、慶大はいきなり3点を取られるなど、2-6とリードされる苦しい展開。タイムアウトを挟んだ後に間宮(政3)、初スタメンに抜擢された丸谷(環1)の強烈なスパイクが決まり始めるも、明大の粘りもあってなかなか連続得点を奪うことが出来ない。中盤・終盤は得点を取り合い、結局、序盤のビハインドが響いた形となって21-25で第1セットを落としてしまう。
続く第2セット、このままずるずると引きずってしまいそうな空気を岡田(商2)が振り払う。このセットの先制点を強烈なスパイクで挙げると、ここから岡田はエースとして大車輪の働きを見せる。ブロックの上から打ち込むライトアタックや、豪快なバックアタックで明大レシーブ陣を圧倒。このセットだけで、9本のスパイクを決めた岡田の活躍で、第2セットを25-17で慶大が取りセットカウントをタイに持ち込む。続く第3セット。ローテーションを1つづらしこの試合サーブが好調な野口(環1)をファーストサーバーとする布陣に変更。すると、この采配が見事に的中する。野口のサーブがことごとく相手サーブカットを崩すことによって、明大のセンター線を封じ込め、いきなりの4連続得点。この勢いをそのままに、このセットでは明大に付け入る隙を与えない。間宮・前田優(環3)の安定したレセプションから、初スタメンの稲田(環1)の速攻も決まるなど、良い雰囲気でこのセットを25-19で奪う。
続く第4セットもこのままの勢いで慶大が取るかのように思われた。ところが、明大も簡単には引き下がらない。レセプション陣が安定感を取り戻し、明大センター線が機能し始める。慶大守備陣も星谷(理2)のブロックなどでなんとか食らいついていくものの、終盤にはサーブミスが目立ち、18-25で明大に振り切られてしまう。そして迎えた運命の第5セット。序盤は一進一退の息詰まる攻防。しかし、中盤になると慶大にミスが見え始める。レシーブミスで相手に点を与え、5-8でコートチェンジを迎えるという嫌な展開。しかし、ここから慶大は息を吹き返す。間宮のサーブで相手を揺さぶり、岡田のスパイクで決めるという形で8-8の同点に追いつく。ここからは両チームとも速攻が機能し、またしても一進一退の緊迫した攻防が繰り広げられる。そして、初めにマッチポイントに手をかけたのは明大。この場面で、またしても岡田がチームを救った。勇気をもってスパイクを打ちきり、14-14のデュースに持ち込む。これにより、精神的に追い詰められた明大は、その後2本連続でスパイクミス。オール早慶明定期戦の悔しさを晴らすような試合展開で、16-14で第5セットを取り、大激戦の末に慶大が勝利を収めた。
この日は本来のスターティングメンバー2人を欠くという厳しい状況であったが、その分出場しているメンバー全員が互いに助け合って最高の勝利をつかんだ。どんな逆境をも自らの力にしてしまう今の慶大には、昨秋の面影は全くない。この勢いのままに今秋季リーグを突き進んでいってもらいたい。
By Takuma Furuoya
コメント
宗雲監督
(今日の試合を振り返って)勝ててほっとしています。いつものメンバー2人がいないという緊急事態の中で、新しく入った1年生が活躍してくれたし、岡田もすごく頑張ってくれたので、とても良かったです。本当に、選手様様ですね。(今日は苦しい展開も多かったですが)あまり詳しいことは言えないんですが、1セット目取られた後に2セット目工夫をして、それで相手の攻撃パターンが機能しなくなったので、第2・第3セットを取れました。しかし、第4セット目は向こうも攻撃のパターンを変えてきて、それへの対応が遅れたことで落としてしまいました。第5セット目は相手のサイド攻撃が中に入ってきていたので、最後は中に来るぞとアドバイスをしたら、ブロックが上手くワンタッチでひっかけてくれたり、プレッシャーをかけたりしてくれていたので、選手たちは良く対応してくれていたと思います。(レシーブ陣がとても安定していましたね)そうですね。本当に間宮・前田優には感謝しています。あの2人が今の慶応の守備を支えてくれているので。周りも段々と上手くなってきたので、相乗効果もあったのだと思います。間宮の集中力も最後まで切れずに良く持ってくれました。(野口選手のサーブが効果的でしたね)野口のサーブはうちの得点源の1つでもあるので、それが今日は上手く機能してくれたので良かったです。(新しく入った1年生は)韓国遠征に行ったときに、稲田も丸谷も起用していて、その時と同じような良い働きを今日もしてくれていたので、2人にはとても感謝しています。丸谷は柳田が持っていないスタイルをもっていて、それを野口が上手に引き出しているな、と感じました。(次戦に向けて)国武大は守備がしっかりしていて、ミスが少なく、すごい強いチームなので、チャレンジャー精神をもって選手たちはやってもらいたいです。間宮
(今日の試合を振り返って)第1戦ということで序盤固くて、メンバーもいない中で苦戦するだろうと思っていました。試合でもミスが出てしまって苦戦してしまいました。(その中でも試合中に立て直していたように見えたが)序盤に相手に行かれたゲームは落として、序盤に自分達がちゃんと出来たところは取っている。そういった意味では1本目から(点を取りにいかなければならない)。そこが課題ですね。(第4セットもそのような展開だった)そうですね。序盤競っていたのですけど、途中に抜け出されたらそこから追い越せなかった。逆にこっちが出れば、守り切る力は持っていると思うので。(夏合宿で取り組んでいた点は)繋ぎの部分ですね。1本目は夏場からレシーブの練習をしてきて上がるようにはなってきた。また、そこから2本目をしっかり攻撃に繋げるところが出来ていなかったのでそこを練習していたので、今日はよく出来ていたと思います。(個人の出来は)自分は固かったので、あまり出来は良くなかった。その中でも最低限自分のやることは出来たと思います。(この勝利でチームに弾みがつきますね)そうですね。初戦を勝たないと、という話はしていたのでチームとしても若いので自信になると思います。より上に行くためにはこの試合が大事だったので勝てて良かったと思います。(明日の試合に向けて)明日は明治よりも拾ってくると思うので、そこで自分達も拾い負けしないように頑張っていきたいと思います。
岡田
(今日の試合を振り返って)春リーグが、震災の影響で中止になってしまったので秋期リーグが実質新チームになって初めてのリーグ戦だったんですが、早慶明で明治に負けていたので、初戦が明治ということで運命的なものを感じました。ここで負けてしまったら先行きも厳しくなってしまうので絶対に勝とうと思って臨みました。(いつもと調整は違ったか)今年は韓国遠征など様々な経験をすることができ、また試合数もこなすことができて順調でした。直前で怪我人が出てしまったのは残念ですが、必然のハプニングだと思うのでいかにカバーするかが大事だと思っていました。(自身の調子は)主力二人が抜けてしまったので必然的に僕に回ってくることになるので自分の調子で試合を壊してはいけないとおもってました。結果的に今日はなかなか良かったと思います。ただ最後少し精神的な部分で崩れてしまったのでそこは今後の課題かなと思います。(フルセットの末勝利したが)途中2セット取って安心してしまって相手のミスを期待するようなことをしてしまった結果フルセットまでもつれ込んでしまった点は今後の課題だと思います。(国武大戦に向けて)まず初戦をとったのでこれが弾みとなると思うので慶應が飛躍するリーグになるように頑張ります。
丸谷
(今日の試合を振り返って)前半最初はバラバラだったところがあったのですが、後半まとまってきて良かったと思います。(今日がリーグ戦初出場だったと思いますが)最初のセットは緊張したんですけど、後から皆声を掛けてくれたので緊張することなく出来ました。柳田が出られないということが決まっていたので頑張ってやるしかないかなと思いました。(夏合宿で取り組んでいた点は)柳田のボジションなのでサーブを狙われるだろうと。サーブをきっちりと返そうと、攻撃より守備を一生懸命やりました。(練習を今日の試合に活かせたか)活かせた部分もありますけど、途中から崩れたところがあったので修正したいと思います。(明大に対策していた点は)あまり無かったですけど、最後の方にクイックが多くなったのでクイックに対してセンターを張らせてサイドは自分達で勝負しようと。ブロックを意識していました。(第1セットについて)まだ初めてのチームでの試合だったのできっちり行けなかったですね。(第2・3セットで立て直したが)ローテーションを1つ回したり、監督がうまく組み替えてくれたのでうまくいったと思います。(勝負を決めた要因は)岡田さんが最後に自分に持って来いと指示してくれて、全部決めてくれた。それが大きかったかなと思います。(個人としての出来は)前半はスパイクが通っていたんですが、後半は相手に対応されてしまった。そこを自分で切り抜けられるようにしたいです。前半は1部のチームに通用したので良かったと思います。(明日の試合に向けて)明日も柳田が出られるか出られないかわからないですが、自分が出るという気持ちで頑張ってやりたいと思います。
出場選手
レフト | 丸谷将大(環1) |
セッター | 野口剛志郎(環1) |
センター | 星谷健太朗(理2) |
レフト | 岡田拓巳(商2) |
ライト | 間宮秀太(政3) |
センター | 稲田聡典(環1) |
リベロ | 前田優介(環3) |
途中出場 | 渋谷隆太(環4) |
中出祥平(環3) | |
前田滉介(環2) | |
益田万太郎(政2) |
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