【連載】突撃!慶應体育会 vol.8 バドミントン部~昨年は32年ぶり早慶戦勝利、主体性を出して連覇&昇格へ~

連載

慶應義塾体育会には現在、43の部活がある。そんな体育会各部は普段どのような雰囲気で、どのような練習を行っているのか。試合などでは見られない、体育会の知られざる日常に迫る。第8回となる今回取り上げるのはバドミントン部。昨年は32年ぶりに早慶戦で勝利し、勢いに乗るバドミントン部員は目標に向かって主体的に練習に励んでおり、主将の松元遼(法3・慶應)もさらなる飛躍を誓った。

「つながりの強さ」、そして「主体性」

日吉記念館に響き渡る、シャトルを打つ乾いた音。練習しているのはバドミントン部だ。記念館の1/3のスペースを使い、週6日練習していて、オフは月曜か火曜。平日はトレーニングやノックなどの練習を行い、土日は試合形式の練習をしている。人数が多いため、午前と午後で分けるなどの工夫もしている。コートには高校生やOBの姿も見られ、現役生と対戦したり、ダブルスのペアを組んだりしていた。主将の松元も慶應高時代に大学の練習に参加した経験があり、「つながりの強さ」も慶大の良さである。コロナ禍で練習ができなくなった時でも、ズームでミーティングを行っていたといい、強くなるために仲間の存在は大切だ。

土日は試合形式での練習に取り組む

現在は大きな大会がないオフ期間に当たる。松元は「上位との差はきつい時にミスしてしまったり、粘れなかったことだと思う」と分析し、この時期はフィジカルやランニングを重点的に取り組んでいるという。また、練習では「実践をどれだけ想定できるか」と松元。「人数も多いので、コートに入れるという感謝の気持ちをもたないといけない」とバドミントンができることへの感謝も忘れない。

このような外部の選手との試合といった刺激や、練習時間・場所に限りがあることが、部員の主体性を育んでいるのだろう。

 

昨年は「収穫のある1年」、今季は早慶戦連覇&2部昇格へ

松元は昨年からエースとして活躍しており、主将にも選ばれた。「自分は言葉とかで引っ張るタイプではないので、主将になった時はすごい戸惑いもあったのですが、プレーで引っ張る覚悟をもってやっています」。背中で引っ張ると当時に「主将になって周りを見る目がついて、日ごろから部員とのコミュニケーションを積極的に取るようにして、部員が普段考えていることをなるべき聞くようにしています」とも語った。全国大会経験者から大学からバドミントンを始めた部員まで実力は様々であるが、それぞれが目標に向かって練習に取り組める環境づくりにも注力している。

目標に向かって熱心に練習に励んでいる

関東学生リーグ戦で4部(男子)と低迷していたが、昨年春に悲願の3部昇格果たし、10月には32年ぶりに早慶戦勝利を果たした。松元は飛躍の昨年を「成長できたシーズン」で「収穫のある1年だった」と振り返った。早慶戦は早大の方が上という下馬評で、慶大OBもどこかで今年も勝てないのではないかと思っていた。しかし、「そんな時こそ、部員の中では下馬評を覆してやるという強い思いを持って練習に取り組んでいた」といい、普段以上の実力を出すことができたのだ。当時1部に所属していた早大を破ったことは、選手たちにとっても大きな自信になったはずだ。その時の経験は、さらなる飛躍のために必要不可欠なピースである。

昨年は早慶戦勝利(男子)をつかみ取った

バドミントン部の今年の目標は早慶戦2連覇と、2部昇格だ。昨春に3部に昇格し、秋のリーグ戦を3部で戦い抜いた。格上の早大にも勝利し、慶大バドミントン部は勢いに乗っている。目標達成は決して低いハードルではないが夢物語でもない。そして松元は最後に力強くこう述べた。「周囲の期待も大きくなっているので、そういった期待に応えられるように、主体性を出して、必ず関東2部昇格と早慶戦連覇を成し遂げたいと思います」。

目標設定も「関東3部昇格、早慶戦勝利」から「2部昇格、早慶戦連覇」へ。慶大バドミントン部は着実にステップアップしている。

 

(記事:長沢美伸)

タイトルとURLをコピーしました