前回の試合・団体で行われた四大学フィギュアスケート定期戦から2か月。関東の学生が集まり行われる関東学生有志大会に慶大フィギュア部門の選手たちが臨んだ。慶大からは16人もの選手が今大会に出場。それぞれが日本学生氷上競技選手権大会(インカレ)の選考会を兼ねた東日本学生フィギュアスケート選手権大会(東インカレ)へ向け、自身の課題を発見したり成長を実感したりした。
慶大選手は試験期間を挟み、またホームリンクが閉まってしまった部員もいて思うような準備が進められない中でも全力を出し切った。今大会は個人戦だが、団体戦と同じように全員で演技する部員を応援する姿も印象的だ。部員同士は仲間であり、切磋琢磨し合う存在でもある。他大学の選手にも刺激を受けながら、本格化するシーズンを前に果敢に挑戦した大会となった。
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第2回関東学生有志大会
2023年7月29日(土)・30日(日) @ダイドードリンコアイスアリーナ
※級に分かれて実施される。所持級は数字が大きい方が高いレベル。インカレに出場できるのは3級以上
♢結果♢
女子7級クラス
17位 久保田美佳(経3・クリスチャンアカデミーインジャパン)
24位 大谷理麗花(薬2・広島女学院)
女子6級クラス
1位 木下あかり(政4・頌栄女子)
12位 大黒美奈(商4・筑波女学園)
16位 橋本翼沙(文1・慶應女子)
32位 勝長ゆめみ(政2・仙台第二)
女子5級クラス
24位 古村和佳菜(文1・目黒日本大学)
女子4級クラス
5位 高橋澄礼(文3・神奈川総合)
女子3級クラス
5位 渡部美遥(理3・桜蔭)
7位 伊藤澄香(法3・都立富士)
女子2級クラス
1位 酒巻美海(文3・慶應女子)
男子2級クラス
3位 瀧沢匡平(商3・筑波大附属)
女子1級クラス
1位 中村杏(政3・慶應湘南藤沢)
10位 山永絵里香(文2・横浜双葉)
12位 武山結衣(商2・神戸女学院)
女子初級クラス
1位 三宅冴佳(理2・桜蔭)
♢選手コメント♢
大石理麗花選手(女子7級24位)
――試合を振り返って
試験と、ホームリンクが閉まっていて練習しにくい環境ではあったのですが、それなりに練習はして調子も上がりいい感じだと思っていました。メンタルでもフィジカルでもいい状態で迎えたのですが、緊張してしまって、足がすくんで普通の練習でもしないようなミスを連発してしまったので、情けない気持ちでいっぱいです。
――2か月ぶりの試合
私自身はメンタルが弱いタイプで、緊張しやすく頭が真っ白になってしまう傾向があるので、試合間隔ではなく自分のメンタル面が今回の原因だと思います。
――良かったポイントは
全部のスピンをレベル4でそろえて練習して、実施できたことが成長した点だと思います。また、フライングキャメルスピンが以前より回転速度が速くなったと思いますし、コーチからも良かったと言われたので、成長できたことだと思います。
※スピンはベースからレベル4まで。レベル4が最も高い点数に
――次の試合は
2週間後のサマーカップです。その間に1週間合宿もあるので、もう1回練習をし直して、この試合で悪かったところを一つずつ潰していけたらいいなと思っています。
――具体的にはどのような技術の練習を
ジャンプだったらダブルアクセルの確率の良さ、降りられるのですが、練習で100%を飛ばないと試合で飛べないと思っているので100%にしたいのと、トリプルジャンプを片足で降りられるようになりたいなと思います。そのためには氷の上での練習だけはなく、陸トレで腹筋や背筋など軸を意識した練習ができるように頑張りたいと思っています。
――皆さん「個人戦だけど応援してくれる」と話していますが、部の雰囲気は
時にはプレッシャーに感じることもありますが、それはいいプレッシャーで、活動源になっているところもありますし、応援してくれると私のバックには応援してくれる人がたくさんいるんだと思ってスタートできるので心の支えでもあります。また、部活内で切磋琢磨できます。他の大学だと部練がないですが、私たちは週に2回部練があって「この部員は頑張っているな」「一緒に頑張ろう」というのが目に見えて自分もすごく刺激を受けています。そういう関係性がいいなと思います。
――目指す選手像は
初めて私の演技を見た人にも、「この人の演技もう1回見たいな」と思ってもらえるような演技、ジャンプにとらわれすぎずに一つのプログラムとしてもう一回見たいと思ってもらえるようなスケートをしたいという気持ちでいっぱいです。
――今年の目標
東インカレと東京ブロック大会があるので、東京ブロック大会ではショートを通過できるようにするのと、東インカレではインカレに通過できるようにしたいです。そのためには、何が必要かちゃんと点数をいろいろな人と照らし合わせて、どこを伸ばしていったら通過できる点数に達するのか考えて、練習に移していきたいです。
橋本翼沙選手(女子6級16位)
――試合を振り返って
冒頭のダブルアクセルが入ったのは初めてのことで、その点は良かったなと感じていますが、他のジャンプのダブルフリップやダブルループが入らなかったりと気になるミスがありました。もっとスピンやスケーティングなど改善できる点があった試合だなと思っています。
――試合には頻繁に出ているのですか
四大戦に出て、もう一つ出て、今日の試合です。1か月に1回くらいは出ています。
――試合に出ることでしか得られないこともありますか
あると思います。私は大学に入ってスケートに復帰したのですが、最初の試合は浮足立ってしまって演技どころではない状態でしたが、今日に試合はすごく落ちついて臨むことができて、試合の経験も大事だなと思いました。
――大学に入ってから成長したところは
ダブルアクセルが人生で初めてきれいに入ったというのは、中学の時にやっていた時よりも成長した面だと思います。
――今日の演技で納得できていないところは
最後のコンビネーションスピンで、レベル3を取りたかったのですが、今日はベースでゼロになってしまったのが悔しいです、
――中学から始めて大学で復帰されたのですね
高校は慶應女子でスケート部には入っていたのですが、試合に出るのは中学まででやめてしまって、大学で復帰しました。
――大学で体育会に入った理由は
高校生活でスケートからちょっと距離を取っていた中で、大学に入って何かをやろうとは思っていました。そこで自分にはスケートが向いていると感じ、人生で積み重ねてきたスケートの頑張りをまた伸ばしていけたらと思い、スケートをやることにしました。
――将来目指すのはどのような選手か
今日も一緒に戦った主将の木下先輩(あかり=政4・頌栄女子)です。私はスケーティングが下手で改善点でもあるので、あかりさんみたいなスケーティング(技術)に伸びた選手になりたいです。
――今年の目標
所持級の6級に恥じないようなスケートができるようになることと、秋の東京都ブロック大会に出場するためにこの夏も頑張っていきたいです。
高橋澄礼選手(女子4級5位)
――試合を振り返って
これまでは本番ですごく緊張してしまって思うように力が出せなかったことに対して悔しさを感じることが多かったのですが、今回は本当に練習が全然できていない中で、これまでとは違った意味の悔しさを感じた大会でした。
――練習できない中で取り組んでいたこと
曲に合わせた動きなど氷上に乗らなくてもできること、映像を見返して1回1回の練習を大切にしたり、運動量が減ってしまったので自分でできる運動や食事には気をつけていました。
――以前の試合から成長できた点は
今回の演技は前回の演技より良かったところが見つけられないほど良くない演技をしてしまいましたが、練習時間が限られた中で逆に1時間をどう使うかを真剣に考えるようになりました。部練の1時間の使い方も、初めにどう使うかを考えてから氷上に乗るようになったので、練習の仕方は良くなったと思います。
――フィギュアスケートを始めたのは
初めて教室に参加したのは5歳の時で、それからお教室でやっていてクラブには入っていなかったので本格的ではありませんでしたが、そのくらい小さい時からスケート自体はやっていました。
――体育会への入部のきっかけは
もともと大学に入る前から慶應フィギュアのOG・OBの方と話してすごく良くしていただいて憧れを持っていたというのと、長く続けてきたスケートの最後の4年間だと分かっていたので、部活に入って頑張ろうと思いました。
――入ってみて実際に感じる雰囲気
これまでは一人でスケートをしているという感覚だったのですが、今はレベルが様々な団体の中でみんながそれぞれいいところをシェアして教え合って頑張っていこうという雰囲気があるので、それはすごく新しく良い部分かなと思っています。
――今年の目標は
まずは東インカレを突破してインカレに出場することです。昨年の東インカレで2位だったのですが、インカレではミスが続いてしまっていい演技ができなかったので、今回はインカレでいい演技をして表彰台に乗ることが目標です。
渡部美遥選手(女子3級5位)
――今日の試合を振り返って
新しくダブルトーループというジャンプを最近できるようになり、アンダーローテーションは少しついたのですが転倒することなく、組み込めました。今回の大会は挑戦をテーマにしていたので、その意義は達成できたのだと思います。
※アンダーローテーション:ジャンプにおいて、1/2以上回転しているが、3/4回転に達していない時の減点
――良かった点は
ダブルトーループを組み込めたところと、アクセルやサルコウも良かったと思います。
――改善点は
いつも後半が乱れがちで課題で今回も焦ってしまったので、今後は後半もジャンプに乱れが出なかったり、スケーティングに意識ができるようにしたりしたいと思います。
――2か月間での取り組みや成長は
2か月間学科が忙しく練習時間があまり確保できていなかったのですが、その中でもダブルトーループというジャンプを増やせたのは自信につながりました。
――次の試合は
東インカレの枠に入れたら東インカレです。10月の半ばです。部員発表会はあるのですが、試合はないです。
――それまでに取り組みたいこと
もう一つダブルループまでジャンプを増やしたいのと、スピンのレベル上げです。高校から始めたためスケーティングが課題なので、この夏休みはスケーティングを重点的に練習したいと思います。
――慶大の雰囲気
すごく暖かくて、みんなが頑張っているから自分も頑張りたいなと思えるいい環境だと思います。今回も試合前の「がんば!」という声掛けや手拍子などしてくださり、滑りやすいですし、みんなも頑張っているので自分も頑張らないといけないと思えます。
――最終的になりたい選手像は
具体的な級の目標は4級を取ってインカレに出たいです。また、見た人を感動させるようなスケーターになりたいです。
――今季の意気込み
3級のインカレで表彰台に乗るのが目標です!
中村杏選手(女子1級1位)
――試合を振り返って
今回の試合が1級で出る最後の試合で、次の試合から2級で出場します。最後だったのでできることを最大限、エレメンツも演技構成も全部詰め込んで(1級の)有終の美を飾れるようにしたいなと思っていました。また、テスト期間やホームリンクが閉まっていて練習ができずにいました。いつもは試合前1週間毎日滑って練習するのですが、1週間半滑らずに前日の練習しかできなかったので、不安もありましたが、何とか最後までやり切れて良かったです。
――練習ができていない中でも実力を発揮
これまで2級を取るまでの期間集中的に練習をしていて、調子が良かったので、そこに感覚に自信を持ったままできたことと、いつも一緒に練習している部員が応援してくれる安心感があって楽しく滑れました。
――前回の試合からの成長は
四大戦の時は2級を取るところが見えていなくて、2級を受けられる構成ではなかったのですが、2か月の間で2級を受けられる構成で試合に出られたことが大きかったと思います。あと、四大戦の時も自信を持って滑れた部分もありましたが、それ以上に1級の中で今回は2級を取っている身なので、絶対に優勝しないとおかしいという強い気持ちを持って臨めるようになったところです。
――プレッシャーは感じなかったですか
普段からあまり緊張とかはしなくて、そこはいところだと思っているので、ポジティブに捉えてできたと思います。
――新たに身に付けたい技術などは
次の2級の試合ではスピンが1つ増えて演技時間も1分から2分に伸びるので、そのスピンの習得をしないと点数につながらないのと、1分間滑る時間が増えることもありスケーティングの面も伸ばしていかないと演技構成点の部分が低いので、2級でも戦えるように伸ばしていきたいです。
――1分と2分の違い
だいぶ違うと思います。まだ演技をつくっていないので滑ったことがありませんが、今は1でも体力的に終わった後はハアハアしてしまうので、2分になっても体力を切らさずに最後まで集中して滑れるようにすることは、夏休みの課題だと思います。
――なぜ大学でスケートを始めようと思ったのですか
もともと見るのがすごく好きで、全日本とかを見に行っていました。たまたま大学に部活があるのを知って、大学生が新しいことを始められる最後の機会だと思い、体験に行き入部を決めました。
――部の雰囲気は
初心者で入った人は今は(同期で)1人だけですが、その中でもすごくみんな優しく教えてくれたり、みんな自分の持っているものを惜しみなく私に提供してくれるありがたい環境だと思います。
――目標とする選手像は
試合の目標としては東インカレに出られるので3級からなので、3級を取得したいのと、技術面ももちろんですが、演技を見て楽しそうに滑っているなとか、見ている人が明るい気持ちになれたり楽しんでもらったりできる演技ができる人になりたいです。初心者で始めたからこそ演技面で魅せていけるようにしたいです。
――今年の意気込みは
ここから本格的に2級で迎えるシーズンが始まるので、まずは2級でも上位を目指せるようなところまでもっていきたいと思っています。
山永絵里香選手(女子1級クラス10位)
――今日の試合を振り返って
前回の試合から出場カテゴリーも上がって、自分のホームリンクが閉まっていたり試験期間があったりする中で調整するのが大変だったのですが、結果としても練習不足や準備不足の内容が出てしまったと感じています。次の試合までの現状維持ではなくてもっと新しいエレメンツや加点要素を得られるような演技をつくらないといけないと感じました。
――前回の試合から成長した点は
フリップジャンプが前回は着氷後につまってしまって減点をもらってしまっていたので、(今回は)流れに乗って着氷したいなと考えていました。そこは流れに乗れてマイナスを取られることもなく、2本フリップを決めることができたので、良かったと思います。
――今試合は個人戦
いつも慶應はいっぱい応援してくださるし、全員で応援するという形なので会場の雰囲気に違いはなかったですが、前回は部に貢献するという思いが強く、今回もその思いは変わらずありました。いつも応援してくださるので、そんなには変わらなかったです。
――練習で意識していたこと
エレメンツはそれ(フリップ)なのですが、エレメンツの点だけでなくスケーティングや表現もちゃんと得られるようにしたいと思っていたので、スピードに乗ったスケートをすることを意識していました。
――スケートを始めたのは
大学です。ずっと小さいころからやりたかったスポーツで、中高の時は練習環境も部活もなく始める方法が思いつかなかったです。スケート部があるから慶應に決めた大きな理由でした。
――実際に入ってみて環境は
体育会なので厳しいところもあります。個人競技ですが私は怠けてしまう性格なので、一人だと突き詰められないところまで突き詰められることができると思っています。
――どのような選手になりたいか
具体的な目標はインカレに出ることですが、一番は大学から始めているので、いけるところまで上手くなりたいと思っています。大学から始めたからこのくらいしかできないというのではなく、やろうと思えばここまでやれるんだというところを見せたいです。
――今年の意気込み
私は留学に行ってしまうのですごく試合に出られるわけではないですが、今年中の目標はエレメンツとしてシングルアクセルを飛ぶことです。またシットスピンとキャメルスピンを安定させて、1年後留学から帰ってきた時に2級やインカレ出場資格の3級を取れるようにしたいです。
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(取材:長沢美伸)