【アメフト】“直”往邁進でもぎ取った先取点を死守、待望の今季初勝利達成!/TOP8 第4節

アメフト

大学アメリカンフットボールの1次リーグ第4戦、慶應義塾大学ユニコーンズは中央大学ラクーンズと対戦。先攻を選択した慶大はキックオフボールを掴んだ倉田直(理3・南山)がいきなりロングランで今季初先制となるタッチダウン。その後キックで4点差まで迫られたうえに何度も逆転されそうになるも、鉄壁ディフェンスの執念でこれを阻止し、両者無得点のまま試合終了。期せずして昨年と同じく4戦目にして待望の初勝利を手にした。

10/14 関東大学アメリカンフットボール大会 1次リーグ第4節 vs中大

@アミノバイタルフィールド  14:00キックオフ

 

♢結果♢

 

中央大学ラクーンズ

慶應義塾大学ユニコーンズ

第1Q

3

7

第2Q

0

0

第3Q

0

0

第4Q

0

0

3

7

 

前戦は明治大学の前に完封負けを喫した慶應義塾大学ユニコーンズは、秋リーグ戦で2018年以来の対戦となる中央大学ラクーンズに挑む。今季ここまでまだ勝利のない慶大は、過去3戦の反省を活かして一戦必勝に挑む形となった。

第1クォーター(以下第1Q、他Qも同様)は慶大の先攻で試合開始。中央大のキックオフで高く放たれたボールは倉田直のもとへ飛んだ。倉田は味方のブロックする中央大選手の隙間をくぐり抜けながら、あれよあれよとフィールド上を爆走。84ヤードを駆け抜けた倉田はそのままタッチダウンを決め、これが慶大の今季初先制となった。フィールドゴールは佐々木雄大(経3・慶應)が冷静に決め7-0とする。その後、一旦は一進一退の攻防を続けた両者だが、4分から中央大は連続攻撃を仕掛ける。ここは28ヤードで敵の侵攻を食い止めたものの、フィールドゴールを決められて3点を返され、7-3とされる。この後のキックオフを慶大が捕球した直後にファンブルリカバー(註:自軍の攻撃中にボールを保持している選手がボールを地面に落としてしまい、捕球された相手ボールとなること)を許し、攻撃権を明け渡してしまう。このまま中央大が攻撃を継続し、第1Qの12分が終了した。

波に乗る中央大を、鉄壁ディフェンス陣が確実に封じる

第2Q、引き続き中央大の攻撃。ここを難なく押さえて逆転の芽を潰すと、今度は慶大が北田祥(政2・慶應)と石塚大揮(経3・慶應)による2度のファンブルリカバーで相手にペースを握らせない。しかし攻撃権こそ得たものの、両シリーズともほとんど前進することができず、なかなか得点を奪えないまま前半が終了。ここまで7-3というロースコアゲームとなりながらも、慶大にとっては優位性を持ったゲーム展開を進めてきた。ハーフタイムには中央大チアリーディングによるパフォーマンスが実施され、いよいよ運命の後半戦を迎える。

一進一退の攻防、短いパスやランを多用し流れをつかむ慶大

第3Q、反撃に出た中央大はキックオフリターンを慶大40ヤード地点まで持ち込むと、このシリーズで22ヤード地点まで押し切る。第1Qでは28ヤードのフィールドゴールを決めていた中央大はここもフィールドゴールを選択。入れば1点差となるピンチの場面だったが、運が慶大に味方したかこのキックはゴールを掠め、点差は4点のまま。ここをまず凌いだ慶大は反攻を開始。点数は奪えなかったものの、中央陣1ヤードまで押し込める猛プッシュを見せた。しかし中央大も一筋縄ではいかず、自陣40ヤードまで押し返されたところでこのクォーターが終了した。

長谷亮佑(法3・慶應) パス・ラン双方でフィールドを駆け巡る

第4Qは中央大の攻撃から再開。主将・鎌田泰成(政4・慶應)の味方を鼓舞するプレーなどで前進を拒むも、攻撃権を得た位置は自陣1ヤード地点。慶大選手がわずかにでも押し込まれてゴールゾーンで倒れ込んでしまえばセーフティーとなり2点を奪われてしまう、まさにこの試合最大のピンチを迎える。長谷亮佑(法3・慶應)などによる冷静なランで地道に陣地を稼いで一旦は切り抜けるが、ファーストダウンは獲得できず、タッチダウンまで16ヤードの地点で敵の攻撃を守らなければならないという厳しい状況は続く。この時点で残り時間は6分程度、タッチダウンをされると再逆転は一気に遠のくこの場面だが、ここでスタミナと集中力を切らさないのが今日の慶大。ファーストダウンを取られて自陣4ヤード地点まで進まれながらも、最後はパスを弾いて防衛に成功。絶体絶命のレッドゾーンでのディフェンスは慶大の勝利を大きく手繰り寄せる、まさに大ファインプレーであった。最後は水嶋魁(商3・海陽学園)の強みでもあるランプレーを中心に時間を使って中央大の反撃の芽を摘み、ゲームセット。慶大の嬉しい初勝利が叶った瞬間だった。

今日も一人で投げ切った水嶋。機動力も活かす慶大の誇る移動砲台だ

昨年から常に苦境を一つずつ乗り越えてきたユニコーンズ。TOP8昇格を果たした昨季は法政・立教・明治と格上相手に奮闘するも敗れ、4戦目で日大を相手に初勝利を得た。なんとかTOP8残留を果たした今年はメンバーも少ない中で早稲田・法政・明治との3連戦となり、さらに茨の道だったと言えるだろう。各試合反省点が多かった中で選手たちは練習と話し合いを経て1つずつ改善を施し、期せずして昨季と同じ4戦目にして初勝利をつかむことができた。7-3という結果こそ、確かにアメフトにはあまり似つかわしくないロースコアゲームだ。ただ、この7点は試合開始直後に獲得したものであり、スタミナ・集中力切れという初戦から上がっていた課題点を一つ乗り越えたという点で、リードを最後まで守り切ったことには大きな価値がある。この後も立教と東大という強豪と激突することになっている慶大は、今日の勢いを決して忘れることなく、貪欲に勝ち点を狙いにいくことだろう。目指せ、3連勝。

試合後のミーティング、喜びを爆発させる主将の鎌田とチームメイト

 

(取材:東九龍)

 

♢選手インタビュー♢

 

#7 倉田直(理2・南山)

ーー初勝利、個人の感想

個人としては、初めてあんな長いヤード走ったのでめっちゃ緊張しましたね。あと、試合前に「僕足遅いからみんなブロック頼んだよ」というのを言うか迷って、ダサくてやめたんですけど、結局それが現実になったので。言っておけば面白かったですね。守備では、4thダウンでサックできたのが一番良かったプレーがそこです。ただサックミスもあったので、調子に乗らずに徹底したプレーをしていこうという課題もあります。

 

ーー決勝点は倉田選手のリターンタッチダウン

途中から、距離も長いので無心で走り続けていて。タッチダウンが決まっても、喜ぶのを忘れたくらいでした。まさかでしたけど、昨日イメトレしていたのがまさにそのまま、夢が現実になった感じで、嬉しかったです。

 

ーー課題に挙げていたサックに関して

先述のサック成功は攻守交代させるビッグプレーだったので嬉しいですが、まだミスもあったのでそこは悔しいところでもあります。

 

ーーディフェンス陣の奮闘もありました

最後タッチダウン取られないことを粘り続けられたのは、チームの気持ちで止めたという感じだったので、そこは鎌田さん(主将)もいっぱい声かけてくれましたし、みんなで止めたなと。

 

ーーあと2戦あります

自分の売りが正確性だと思っているんですけれど、そこを今日少し欠いちゃったので、そこは大きいミスを起こさないというところで改善したいのと、あとはビッグプレーを1個起こす、というところは今日に引き続き頑張りたいと思います!

 

 

#52 鎌田泰成(政4・慶應)【主将】

ーー4戦目、初勝利です

めちゃくちゃ嬉しいです。はい(笑)。正直4戦目とかはそこまで考えてなかったですけど、主将としてチームを引っ張る中でどうしても結果があまり残せなかったので、中央さんも強いチームだったので、そこに勝てたというのはとても嬉しくて。少し泣いちゃいました。

 

ーーディフェンスの目標

ずっとディフェンスが粘って頑張ってきたここまでの4試合で、極論ディフェンスが点を取られなければ負けることはないので、完封しようとは言っていました。結果3点取られてしまったので、そこは修正点とは思いますが、3点で抑えられたのは良かったと思います。

 

ーーオフェンスも今日は攻め込めていた

合格点かと聞かれるとまだかなとは思いますが、ドライブしてくれたのは成長かなとは思うので、次の試合ではタッチダウンを期待したいです。

 

ーーあと2試合

これまで負けていた3試合は前半いい勝負ができていたのが、後半で気持ちが切れてしまって突き放されるという形でしたが、今回はリードした状態でそれを後半まで継続できたというのが大きかったです。残りの2試合も前半から自分たちのペースを作って最後まで繋げるところを意識したいと思います。

 

ーー今日のMVP

正直いうと僕かなと(笑)。

 

 

#75 石塚大揮(経3・慶應)

ーー今季初勝利です

個人的にはめちゃくちゃ嬉しいんですけど、自分・チームともに課題がかなり見つかった試合だったので、この後の2試合に生かしていければいいと思います。

 

ーー攻撃は押せていた

オフェンスとしては、自分のポジションが負担の大きくかかるところに変わって、チームに貢献するところが増えました。チームとしては、前に進むというような練習で意識するポイントを絞って試合で繋げるというところができたと思います。

 

ーー守備に関してはどうか

主将の鎌田さんが全て止め切ったというところが全てです。みんな良かったんですけど、やっぱり鎌田さんがとんでもなく大きかったです。

 

ーーあと2戦あります

チームとしては課題のオフェンスで点を取ろうというところを頑張りたいです。個人としては、結果として記録に残るプレーを。来年に向けてというのもありますが、記録にも記憶にも残るプレーをしたいと思います。

 

ーー今日のMVP

鎌田さんですね。鎌田さんが文句なしに全部止め切ったので。

 

 

#0 水嶋 魁(商3・海陽学園)

ーー今季初勝利です

嬉しさ2、悔しさ8です。最初は嬉しかったですし涙しちゃったんですけど、色んな人とグータッチとかしていると、オフェンスで点が取れなかった悔しさはこみあげてきました。みんなは「お前のできることは全部やっている」と言ってくれたんですけど、その結果が0点なわけがないので、そこが悔しくて。「よくやった」と言われるほど、どんどん悔しくなる感じでした。

 

ーーオフェンスは今日かなり押せていました

変えたことは、まずタッチダウン取る前に自分たちの好きなようにやってリズムを作ろうというのを最優先にやっていて、逆に狙える時に絞ってドカンといこうと、そのような感じに仕上げてきました。通せるパスを通す、あとはランでもゲインが短いというところもあって、そこがこの戦術の難点ではあるんですが。自分たちのリズムでできたのは良かったんですけど、一長一短のメリット・デメリットをしっかり把握して、次戦までに磨きをかけて、最後でかいのを1個通せるように。リズムを作ろうというのは今回できたので、次はタッチダウンを取って勝つオフェンスになりたいと思います。

 

ーー去年と今年の違い

今回は前々から僕が1試合投げ切るように言われていて。個人的には怪我ができないので、攻めたプレーはしつつ、僕が投げ切らないと絶対に負けてしまうと思っていたので、いい塩梅でオフェンスを進めることを念頭に置いていました。去年はあんまり1試合投げ切ることがなくて。フル出場で、というのは去年と違ったので、変なことは考えずに勝つことだけ考えてやっていました。

 

ーー今日のMVP

ディフェンス…やっぱり鎌田さんかなあ。主将という面が大きいですけど、ディフェンスしっかり3点で抑えられていますし、ハーフタイムで檄を飛ばしていたり、士気を上げることが出来ていたりしたので、やっぱり鎌田さんですね。

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