11月5日に行われる第74回全早慶明バレーボール定期戦。各校のOBも出場し、伝統校3校が毎年熱いバレーボールを繰り広げる。今回はこの大会に合わせた特別企画として現役選手2人とOBお2人による対談をお届けします!名付けて「新旧Vリーガー対談」です!
★はじめに
――まずはじめに皆さんの自己紹介をお願いします
尾木:2018年に卒業しました尾木将です。昨シーズンまで富士通カワサキレッドスピリットでバレーボールをしてました。現役時代はセッターをしていて4年生の時は副将をしていました。
黒田:黒田彪斗と申します。去年まで東京グレートベアーズでプレーをしておりまして、今は東京ガスエコモという会社で働いております。
松本:慶應義塾体育会バレーボール部4年の松本喜輝です。ポジションはオポジットです。
島田:慶應義塾体育会バレーボール部4年で主将を務めてる島田航希です。ポジションはウイングスパイカーです。お願いします。
――みなさんのバレーボール歴は
黒田:いつからだ、中1・2・3、高1・2・3、大1・2・3・4、1・2・3・4・5、、え何年やってんだ。
一同:(笑)
黒田:15年だ。
尾木:小学校2年生から始めたので20年ぐらいやってました。
松本:自分も小2からなので15年とかですね。
島田:小3からなので14年ぐらいです。
――バレーをここまで続けてこられた理由はどんなところにありますか
尾木:自分の場合は小学校から中高で続けて、良い指導者に巡り合えたからかなと思います。
黒田:単純にバレーが楽しいからです。
松本:楽しいからです!
島田:楽しいのもあるんですけど、やっぱり一番は小学校とか中学校で将さんと同じように良い指導者に恵まれたので、そういった人たちに自分が活躍している姿を見せたいとか、後輩たちに自分が活躍してる姿を見てもらって、憧れるような存在になりたいというのが あります。
黒田:かっこいいな。俺も真面目なこと言おうかな(笑)
――尾木選手と黒田選手は結構会われるのですか
黒田:結構会うね。家族同士がすごい仲良くて、2人とも子供がいて。年も近い。
尾木:そうだね。
黒田:お互いの嫁が慶應の女子バレー部だからその関連もあって今は家族ぐるみで交流があります。
――ありがとうございます。OBお2人と現役お2人の交流はどうですか
黒田:ないです。ないない。前回練習行った時に初めて喋りました。
――なるほど。直接の交流がない中で、後輩にはどんな印象を抱いていましたか
黒田:松本君はすごくパワフルなスパイクが強い選手だなというのと、えーっと山田君だっけ。
島田・松本:(笑)
黒田:違うっけ(笑)。島田君はレシーブとかがすごく器用で、全体的に器用なプレイヤーだなと思ってました。あと2人ともいい子そうだなって。ごめん名前覚えてたよ(笑)
島田:大丈夫です(笑)
――現役のお2人はOBに対して何か印象は
島田:彪斗さんが出てる試合は高校の時に1、2回ぐらい見たことがあるので、、
黒田:印象だよ。見たことは印象じゃないよ(笑)
島田:(苦笑)彪斗さんはその時エースだったので、身長はそこまで高くないと思うんですけどすごい強いスパイク打ってたので、関東1部リーグでそれを決めてて憧れてました。
尾木:嘘つけ(笑)
島田:本当に(笑)
黒田:へぇ~
松本:僕も同じです。
★慶應バレー部について
――黒田選手と尾木選手から見て今の慶應バレー部全体に対する印象は
黒田:ポテンシャルがすごく高いチームだなと思います。まず高さもすごいあるし、パワーもすごくあるなと感じました。でも反面、大胆すぎてミスが出るところがあって、それがまだ勝ちきれてないところなのかなというのが印象ですね。
尾木:僕は富士通で練習試合とかも何回かしていて、自分が大学の時はどうだったかというのはあまり覚えてないのですが、チームの一体感みたいな、すごく良い雰囲気でやってるなというのは感じました。大学生のその感じ、みんなで頑張ってやるという感じが、ちょっとすごい懐かしいなというのはありました。
――日吉記念館は近年綺麗になりましたが、練習環境についてはどうですか
黒田:単純に羨ましいと思いました。僕らは年季が入った記念館でやっていたので。それもそれでね、いい思い出はいい思い出なんですけど、トレーニングルームとか設備がすごく整っていて、個人個人のスキルアップにはすごいいなと思いました。
尾木:そうですね、すごい綺麗になって。横がさ、カーテンがなかったよね。
黒田:あーなかったね。僕らの時、 窓ガラスが横一面に広がっていて直射日光が入ってくるような感じになっていたんですよ。それがすごい眩しかったというね。今それがないので羨ましいです。
――バレー部での一番の思い出は
黒田:俺は自分が4年生の時に2部から1部に上がった時が一番の思い出かなと思います。僕が2年生の時に1部から2部に落ちてしまったんですね。でそこから頑張って2年なんとか試行錯誤して練習して、1部昇格というのを目標に練習したのが実った瞬間でもあったので、結構みんな泣いてたし感動的だったことを覚えてます。
尾木:自分も割と同じかなと思っていて、1部に上がった時と2年生の落ちた時も割と印象に残ってるなと。その2つです。
黒田:試合出てたもんね。
尾木:そうですね、その2つが割と印象深いなと思います。
島田:一番の思い出はやっぱり昨日・・・。あ昨日じゃない。
一同:(笑)
黒田:そんな近々の思い出なの(笑)
島田:去年の早慶戦です。
黒田:去年確かに強かったよね。
島田:1年の時とかコロナで観客もいなかったですし、体育館も小さくて、2年生の時も一応無観客開催だったので。それで去年が初めて自分が経験した早慶戦で、コロナとか関係なく開催されて早慶戦だったので「これが早慶戦の雰囲気なのか」という驚きと、あの中でプレーをすることにすごい幸せを感じました。
松本:去年、春に入替戦で負けて2部に落ちて秋で勝ってもう1回1部に上がったというので、去年一年通して、悔しいのも嬉しいのも色々あって結構思い出かなと思ってます。
――今だからこそ言える大学時代のエピソードはありますか
黒田:僕と尾木は結構低学年の時から2人とも試合に出てて、尾木がセッターで自分がスパイカーでトスが合わないって・・・。
尾木:ガチのやつだね。
松本:(笑)
黒田:現役の時はあんま仲良くなかったです。今はめっちゃ遊ぶしすごい仲いいですけど(笑)。現役の時はプレーの面で仲悪かった。こ、これじゃない方がいい?トス悪いて言って申し訳なかったって、今は思ってます。
――尾木選手はいかがですか
尾木:うーん、、
黒田:あれじゃない?ベンチに戻った時に怒ってた話は?3年ぐらいまで出てたのに4年になって出られなくなって負け続けた時に、めっちゃイライラしたこと。
尾木:あー、ありがとうそれにする(笑)。自分は3年生まで試合に出てたんですけど4年生になってベンチになって試合に出られなくて、それでリーグ戦も負け続けて(自分は)すごい怒ってました。
黒田:やるせない気持ちになってたんだ。自分が出た方がいいんじゃないかという気持ちなのに・・・
尾木:葛藤してた。
★Vリーグについて
――大学バレーとVリーグの違いは?
尾木:自分はV2リーグで試合をしていたのですが、大学と一番違うのはお金を払ってもらって試合を見に来てもらうという点だと思います。それだけの価値を見出さないといけないと思います。もちろん、試合に勝ちにいくというのは変わらないですが、その他に考えることがあるというのは大学の時とは違う点だと思います。
黒田:単純にレベルが高いと思います。慶應に入ったときは大学のレベルが高いと感じましたし、V1リーグに入った時も日本のトップリーグのレベルの高さを、サーブの速さ、ブロックの高さ、スパイクの引き出しの多さなど、もう1段階上の壁として感じました。
――黒田選手、尾木選手がVリーガとして活躍する姿を見て、現役のお2人はどう感じましたか?
島田:慶應義塾大学は、卒業後にバレーを続ける人は少数だと思うので、その中でバレーをする道に進まれたというのは、素直に心に響きましたし、そのような道もあるのだなと勇気をもらいました。また、大学よりも高いレベルの中で投げ出したりせずに、毎日目標を立てて練習に取り組むことを続ける継続力が凄いなと感じています。
松本:大学生から見るとVリーグは、高さや速さ、上手さが伴っていたり、外国人選手がいたりするレベルの高いバレーですが、その中で自分の技術を最大限に活かして、プレーしている姿を見て凄いなと思うと共に、自分も見習わないといけないと感じました。
――慶應からVリーガーになられる方があまり多くない中で、Vリーガーになることに葛藤はありましたか?
尾木:自分の場合、葛藤はあまりなくてバレーをまだ高いレベルでできる場所があるならそこで頑張りたいという気持ちがありました。また、4年生の時に試合に出られなくなった経験があり、自分の中で燃え尽きた感がなくて、このままバレーをやめたら中途半端な感じで終わってしまうかなと思っていてVリーグでバレーをしたいと思っていた中で、ご縁があってお話をいただきました。
黒田:葛藤はちょっとありました。9対1でVリーグに行きたい気持ちでした。バレーボールをやる以上、V1リーグでプレーすることはほとんどのバレーボール選手の夢だと思うので、そういう立場に行けると分かってからは、行くという選択肢しかなかったです。
――これからVリーガーになられるお2人はどういう部分で活躍したいですか?
島田:松本くんと念願の舞台で活躍したいと思います。
松本:お互いのチームをV1に上げて慶應対決ができるように頑張ります。
――Vリーグの魅力はどのような点にあると思いますか?
黒田:1点目は、最高峰のバレーボール技術が見られることだと思います。V1リーグだと今全日本で活躍している西田くんや関田さんのプレーを間近で見ることができて、今バレーボールをやっている選手からしたら勉強になるだろうし、いちエンターテインメントとして楽しむことができると思います。2点目は、少し被ってしまうのですがエンターテインメント性だと思います。選手入場も凄くかっこいいですし、僕が咋シーズンまでいた東京グレートベアーズは、プロジェクトマッピングも使ってバレー以外の部分でも楽しむことができる工夫がなされていて、会場に行くだけでもバレー全体を楽しむことができると思います。
尾木:ほぼ一緒なのですが、レベルの高い試合が見られるということと、見にきてくれた人を楽しませる演出をどのチームもこだわって作っていると思うので、そこが魅力だと思います。
――現役大学生のお2人はVリーグに対してどのような気持ちを抱いていますか?
松本:一番は不安です。大学と違ってレベルの高いところで自分の力がどれだけ通用するのかが現段階ではまだ不安かなという気持ちです。
島田:自分がバレーを始めた時からずっとVリーグでプレイしたいと思っていて、憧れで夢の舞台なので自分がそこに行けるということに対して楽しみな気持ちです。
――慶應バレー部としてもVリーガーとしても先輩であるお2人に何か質問はありますか?
松本:Vリーグに行って後悔したことはありますか?
黒田:ないと言いたいところだけれども・・・慶應を卒業された方は大企業に行って沢山稼いでいらっしゃる方がいっぱいいるのですが、Vリーグは現段階ではそこまで稼げるスポーツではないので、金銭面に関しては後悔をした時もありました。ですが、バレーボール業界はこれからプロ化が進んで、どんどん稼げるスポーツになろうという意志が見られるスポーツだと思うので、将来性はあると思います。
尾木:自分はV2リーグでV1とは違ってフルタイムで仕事をしながら、仕事の後に練習して、土日潰して練習してという状況でオフは一年中ないようなものだったので、体力面では物理的にしんどかったです。自分のチームは皆そうだったと思うのですが、なかなか苦しかったと思います。
島田:・・・結婚した方がいいですか?
尾木:土日とか試合があって、遠征に行って家にいないことが多いので、子供がいると1人で面倒を見ないといけないのでパートナーに負担がかかってしまって、迷惑をかけてしまっている分頑張らないとと、頑張れるモチベーションになっていました。
黒田:人間は弱いから誰しも苦しい時にそばで話を聞いてくれる人が必要だと思うので、信頼できる人が近くにいることで、1人じゃないと思えるような結婚生活だったら良いと思います。あと、単純に幸せです。
――松本選手は尾木さんから背番号を引き継ぐ形となりましたが、それに対する思いはありましたか?
松本:背番号を選ぶ時に、監督さんや富士通の先輩と話している中で、OPの4番の先輩が引退されて4番が良いのではないか?と言われたのですが、OPより慶應かなと思って慶應の番号を引き継ぎました。
――進まれるVリーグのチームと慶應のチームの雰囲気に違いはありますか?
松本:根底は変わらないかなと思います。今の慶應のチームも富士通さんも楽しむことを忘れないと言う点は根底で変わらないかなと思います。
島田:1回しか参加したことがないのですが、バレーボーラーとしてバレーボールを愛して、楽しむという点は変わらないかなと思います。
★早慶明定期戦について
――OBの方々も出場する定期戦でバレーの祭典のような雰囲気もあると思いますが、皆さんが抱く印象は
松本:OBの方と一緒にプレーするということで、あと1年に1回しかない貴重な機会だと思うので、そういったところで新しい雰囲気だったり全員で楽しむところだったり、そういった面では貴重な機会なのでそんな1日を楽しみたいと思います。すみませんちょっと先走って意気込みも(笑)
黒田:意気込んでたよね勝手に(笑)
島田:OBの方と一緒にバレーボールというスポーツを通して交流できるというのは全国を見ても早慶明3校しかないと思うので、そうした学校にいるということに誇りを持って・・・いや違う「印象」だから・・・
松本:(笑)
黒田:今の印象だよ大丈夫(笑)
島田:伝統校ということで・・・
黒田:意気込んじゃうよねどうしてもね、意気込まないで(笑)
島田:(印象は)ザ・伝統校の大会という感じです。
尾木:早慶戦もそうなんですけど、定期戦というのは結構OBの方とかも熱が入っているなというのは現役時代からも思っていて、伝統ある大会で特別な歴史が今まである、OBの方からずっと繋がってきてる大会というので、重みのある大会なのかなという印象があります。
黒田:しっかり印象じゃん。僕も似たような意見になってしまうのですが、現役とOBの縦の関係性が一番熱い大学がこの3校かなと思ってるので、そういった面ではすごい良い機会になるんじゃないかなと思うし、個人的にも・・・あ印象か。
一同:(笑)
黒田:意気込んじゃうところだった(笑)
松本:一緒に意気込んでおきます?
黒田:頑張ります!(笑)
――最後に、いよいよ意気込みをお願いします!
松本:(笑)
黒田:じゃあ私から。とにかくお祭りみたいな雰囲気になると思うので楽しみたいなと思いますし、最近バレーボールもあまりやってないので、現役の足を引っ張らないように頑張ろうかなと思います。あとまた久々に慶應のユニフォームを着てプレーをさせていただくということなので、現役の思い出に浸りながら、また現役の若い力をもらいながら頑張っていきたいなと思います。
尾木:オール早慶明に出させていただくということで、自分と黒田は、今まで出た選手の中では、割と直近までバレーボールをしてたというところもあると思うので、どういう形で出場するかは分からないですけど、出場したら会場を盛り上げられるようにプレーでもしっかり頑張りたいなと思います。あとは、そういう試合に対する姿勢だったりとか、そういうところで現役の選手たちに何か還元できることとかが少しでもあればいいのかなと思ってますので、しっかり一生懸命頑張りたいと思います。
黒田:背中で語るみたいなね、そういう感じね。
――現役のお2人もお願いします
黒田:さっきと一緒でいいよ(笑)
松本:2回目だと何か別のこと言いたいなと思って(笑)。今年、早稲田大学とは4回くらい試合をやって全部負けてしまってるので、やっぱり楽しみながらも勝ちに行く姿勢を持ってやっていきたいなと思います。
黒田:勝ちにこだわる?
松本:もちろんですよ。
島田:将さんが出場した時には完璧なAパスを供給して、なおかつ将さんのトスを絶対に決め切るというのと・・・
黒田:今日尾木のトスひどかったよね(笑)
島田:大丈夫です!
黒田:うん大丈夫、今の冗談(笑)
島田:彪斗さんは完璧な2段トスを供給して決め切ってもらいたいと思います。OBと一緒に対決して勝利を掴みたいと思います。
(取材:田中瑠莉佳、重吉咲弥、五関優太)