本日4月6日から開幕する関東大学バレーボール春季リーグ戦。昨年の秋季リーグ戦では入替戦を迎えるも残留を決め、今春も1部リーグで熱戦を繰り広げる慶大男子バレーボール部。卒業した4年生も含めて全員で勝ち取ったこの舞台に懸ける思いや新チームについて伺いました!
――自己紹介をお願いします
渡邊:商学部4年の渡邊大昭と申します。主将を務めさせていただいております。ポジションはアウトサイドヒッターとオポジットを兼任しております。よろしくお願いします。
芳賀:環境情報学部4年の芳賀祐介と申します。副将を務めさせていただいており、ポジションはミドルブロッカーをしております。よろしくお願いします。
田鹿:法学部法律学科4年の田鹿陽大です。現在は副将とアナリストを兼任しています。よろしくお願いします。
――主将・副将に就任されましたが
渡邊:気持ちとしては、自分自身まだ日本一というのを達成したことがなくて、成績的にもベスト16とかが最高で。本気になってバレーボールに打ち込むというのは学生で多分最後だと思うので、そういった中で自分が一生懸命、主将としてチームを牽引して日本一になれたらいいなというふうに思っていて。誰よりもバレーボールに対して真面目だったり愚直に取り組んでいるので、そういった姿勢を見てもらえたらと、頑張っていこうかなと思いました。
芳賀:僕は本当に1年生の頃から彼が主将になるんだろうなと思ってやってきたので、その通りになって。同期も頼れる人ばかりなので、自分はチーム運営とかはもちろんそうですけど、コート内とか練習中に引っ張っていけるような副将になれたらなと思っています。
田鹿:組織面とか戦術面からチームを変えていきたいなと思って副将に立候補という形で就任させていただきました。この二人(渡邊主将・芳賀副主将)が選手で分かりやすくプレーで引っ張っていける分、光が当たらないようなところでチームをまとめていければという思いで副将をやっています。
――主将・副将の学年・人数構成は年度によって異なりますが…
芳賀:前例を踏襲したいんだろうけど…いろんな経緯があって。
渡邊:それぞれ色というか、形があってね。
田鹿:主将・渡邊は相違なかったよね。異論なかったよね誰も。それに関しては。
渡邊:ありがたいことに。
芳賀:もう一瞬で。
――渡邊主将に対して期待したいこと
芳賀:さっきも申し上げた通り、彼がチームの中心になるんだろうなと思いながら1年生からずっとやってきて。本当にいろんなところで書かせてもらったり言ってはいるんですけど、バレーボールも本当に強いし、でも人に対する当たりも優しい。しっかりバレーボールがうまいのに人望があって、しかもチーム運営もうまいというキャプテンはなかなかいないと思うし、それこそ本当に僕が1年生の頃の小出捺暉(令4環卒・駿台学園)さんとか、そういう人に匹敵するくらいの人材だと思うので。これまでもそうでしたし、これからもついていきますじゃないですけど、頼るときは頼ろうかなと思います。
田鹿:今言ってくれたことがほとんどだと思うんですけど、みんな、俺とか祐介とか含めてみんな思ってることに「主人公」というワードがあって。圧倒的なリーダーシップとか、自分の強さとかで引っ張っていくんだけれども、いわゆるバレーがあまりできない子とか下にいる子に対しても手を差し伸べられるみたいなところがあるので、その「主人公」というワードが彼を表しているのかなというふうに思います。けどちょっと感情的になっちゃう部分が、クッと視野が狭くなる瞬間があるから。それだけちょっとサポートするし、直してねっていうところは思います(笑)。
芳賀:まあ、それも主人公っぽいって感じで。
田鹿:欠点があるよねっていう。ちゃんと。
渡邊:(笑)
芳賀:親しみやすい。孤高のリーダーじゃない。
田鹿:間違いない。
――芳賀副将に対しては
渡邊:自分は入学する前から接点というか、ドリームマッチという高校生の時に一緒のチームになって戦ったというエピソードがあって。そこで、もともと慶應を受ける子がいるっていうので、いろいろ話していて。そこからの出会いもご縁だなというふうに感じているんですけれども、大学1年生から4年生まで見てきて、バレーのスキルもすごい伸びてて。世界を相手に戦ってきた日本代表っていうこともありながら、周りをプレーで引っ張っていくだけじゃなくて言動とかでもちゃんとチームを鼓舞しているところはすごく魅力的だなというふうに感じています。彼も彼なりにすごく熱くなるところもあるんですけど、しっかり考えてバレーボールをしているので、そういったところはすごいなというふうに感じております。チームでもやっぱり1年生の時からずっと試合に出ているので、そういった部分でも頼もしいなと感じております。
田鹿:僕はプレーヤーじゃないんで、自分のプレーで引っ張るということが同じ副将でもできないので。そういうところで僕とは違うリーダーシップを彼は持っていると思うのですごくいいなと思うし、生まれ変わったらこうなってみたいなというふうに思うところではあります。2mあるんで、めちゃくちゃリーグ内でもすごい選手なんですよ。実は。バレてないだけでね。まだ。
渡邊:実はね。
芳賀:なんでバレてないんだ(笑)。
田鹿:リーグが始まるということで、その爆発力とかポテンシャルっていうところに注目してほしいなと思います。
――田鹿副将に対しては
渡邊:本当にこんな副将いるのかって。アナリストで副将っていうのは多分おそらく前例がないというか。そういったところでやっぱり立候補して副将になりたいというのは、体育会バレーボール部を強くしていきたいという思いが伝わってきて、やっぱり熱い思いを秘めている田鹿陽大だなというふうに感じています。アナリストとして誰よりも信頼があるのでどんな指示でもみんな聞くし、人望はすごく熱いです。戦術に対していろいろ考えながらも、練習に今はちょっと忙しくて参加できてないと思うんですけど、リーグ期間外にしっかり選手と一緒になってバレーボールしていて。そういった中で信頼関係を築いているっていうところは、田鹿じゃないとできないのかなと感じております。
芳賀:僕も彼と同じ意見で、やっぱりプレーヤーとアナリストというプレーしない立場で、多分いろいろモチベーションだったり、チームとの関わり方で難しい部分もあったとは思うんですけど。やっぱりプレーで引っ張れない分、リーグ戦とかもこれからもそうなんでしょうけれども、本当に夜遅くまで作業してくれたりとか、参加できる時は練習に参加して選手と積極的にコミュニケーションをとったりとか。そういう行動とか熱意で人を引っ張っていけるというか。なかなかそういうアナリストって、適した人材はいないと思うので、そういうところは信頼しているというか本当に助けられています。
――田鹿副将は、就任時に“情熱さと冷静さ”とおっしゃっていましたが
田鹿:簡単にいうと、データだけじゃ人は動かないなっていうところ。理屈じゃなくて情熱なところが、多少なりスポーツの世界ではあると思うので。そういったところで、アナリストにとってデータ、冷静さっていうのはもちろん大切なんだけれども、やっぱりあくまで人を動かしているのは情熱の部分だよねっていう。その熱意とか心の部分だよねっていうところで、日頃から情熱の部分っていうところ、バレーに対する向き合い方、人に対する向き合い方というのを意識すれば、自ずと戦術を実行するときに人の心が乗ってくるというか。そういうことがあるんじゃないかと思って、“情熱さと冷静さ”を使い分けるっていうのを言葉として使いました。
――3人で何かお話はされましたか
田鹿:3人はない。
渡邊:ないですね。
芳賀:同期で…
――同期でどのようなことをお話されましたか
田鹿:チームのプレースタイルとか。こういうバレーしたいねとか。
渡邊:自分たちが思い描いている完成形というか。多分、自分たちが1年生の時に4年生の方、それこそ小出さんたちの代がすごく良い代だなと感じていて、そんな代になれたらいいなみたいな話はちょっとしたかもしれない。
芳賀:やっぱり憧れというか。1−4(1年生が4年生に対して)のあの代良かったみたいな、目指そうみたいなのはあるので。雰囲気でもそうだし、プレースタイルは違うか。でも、そういう雰囲気でやれたら、それで僕たちも成長させてもらえましたし、のびのびさせてもらったので。1年生なり下級生の子たちには、そういう環境でやってもらいたいなというのがあります。
――新チームが始まって数か月経ちましたがチーム渡邊の特徴は
田鹿:後輩がすごい盛り上がってくれる。松山とかすごい盛り上げってくれる。逆に俺らの代結構真面目だからね。
渡邊:そうだね。
田鹿:俺らだけで爆発して引っ張ていくというよりも下から着火されて上の代がそれをなだめつつみたいな感じじゃないかな。
渡邊:元気な下級生が多いので。個性的というか、良くも悪くも影響を与える選手が多いのでそこをちゃんとまとめながら自分たちの求める形にしていこうというのは心がけていて。最終的にはやるときはやる、楽しくやるときは楽しくやるという意味ですごくいいチームになっていくのかなと感じています。
芳賀:各代1人はキャラが強い子がいて1年生だったら清水(=総1・清水悠斗)・今田(=政1・今田匠海)、2年生だったら松山(=商2・松山鼓太郎)、3年生は久保田(=商3・久保田健介)・平山(=商3・平山一之心)とかが我々の代にはいないキャラです。
渡邊:間違いない(笑)。
芳賀:下級生からの力を借りながら盛り上げていければいいなと思います。
――目指すチーム像は(踏襲したい点・新たに始めたい点)
芳賀:大昭が目指しているところがあるよね。
渡邊:うん、やらされるよりも1人1人が意識を高く持って考えながら自分の役割を果たせるチームになってほしいというのがある。誰かに言われないと動かないとかはしてほしくないというのがあって、練習の意図をくみ取ったり試合の中でどういう動きをしたらいいかどういう声掛けをしたらいいかを自分たちで考えながらプレーすることが全員できたらいいな。どんな場面で出てきてもどんな場面でボールが上がってきても考えてプレーをできる、そうすればおのずと結果もついてくるしいいチームになれるのかなと。それが完成型かなと感じます。結果は一生懸命やっていればついてくると思うので、社会に出てもどんな困難にも立ち向かっていけるよう人間になってほしいなと思います。すみません、ダイナミックで(笑)。
――スローガン「当たり前を超えろ」に決めた背景
田鹿:発案は僕で、僕自身のそれまでのスローガンだった。アナリストでデータを使って2部だった慶應を1部に上げてそこで勝ちたい、弱い慶應が1部で勝って弱い当たり前を超えるというのを2022年から2023年の自分のスローガンとしてやってきた。これをチームのスローガンにできたらこの上ない喜びだなと思って発案しました。2つの意味がかかっているとのことで、(部の)インスタに書いてあることが全てです。
――それに皆さんが共感したということですね。
田鹿:そうですね。
芳賀:そう・・ですね・・・。
田鹿:大丈夫?共感してる?(笑)
芳賀:小出さんの代のスローガンが「昨日の自分を超えていけ」というもので、だから僕たちは超えろ系がいいよねという話をしていました。それをリスペクトして、当たり前を超える・常識や偏見を覆していこうというスローガンでやりたいなと思っていたので(陽大の案には)心の底から共感しました。
渡邊:その通り(笑)。
田鹿:超えるか挑むかでもめた時あったよね。
渡邊:スローガンは考えて煮詰まったら終わりというか。捺暉さんたちの代も半分勢いで決めたみたいですが、本当にいいスローガンです。あとはフィーリングの面もありますね。
渡邊:キャッチ―かつ口ずさめるかというのもあったよね。
芳賀:そう!毎日言えるか。
渡邊:超えられてる?昨日やる系みたいな(笑)。口ずさんで言えるスローガンがいいなとは思いましたね。
――最高学年かつ主将・副将として春季リーグを向かえます。今年1年をどういう1年にしたいか
田鹿:耐える年。最後突き抜けられれば俺はバンザイかなと思っています。3年間在籍してかつてない逆風のなかで、しっかり押さえるところを押さえて最後だけ日本一という目標に向かって突き抜けられればと思います。1部死守で耐えの年です。
芳賀:ニュアンス的には陽大と同じで、やっぱり春季リーグでの優勝ももちろん目指しますけど厳しいものがあります。大エースとかが集まるチームではないからこそ春に1部に残ることに意味があると思うし、春・秋季リーグを通してずっと1部というレベルの高いところで戦うことで全日本インカレなりリーグの終盤で実力を発揮して突き抜けられると思います。だから1部死守という目標もそうですし、今日・明日・明後日も毎日質の高い練習をして成長しないといけない。それで1部を死守してずっと継続して戦えると思うので、耐えというか積み重ねというか。
田鹿:積み重ねの年ね(笑)。
渡邊:一戦一戦楽しんでいきたいなと考えています。このメンバーでやれるのも最後ですし。1部という舞台を残してくれた先輩のためにも一戦一戦楽しくやって、それで結果がついてきたらいいと思っています。応援してくれる方がいるからみんなバレーができてますし、そういった感謝の思いも含めて全力で一戦一戦楽しんでやれたらと思います。僕自身も多分バレーを学生で辞めると思うので、最後笑って終わって有終の美を飾れたらと思います。そうですね、、耐えですね。耐えの年で(笑)。
田鹿:春は特にね。
――新チームの強みは
田鹿:まず期待してほしいのは例年の慶應の強みである爆発力。雰囲気でパワーを圧倒していく力は見てほしいポイントだと思います。さっきの話にも上がったんですけど楽しんでバレーをやる選手が多いので、一戦一戦楽しむ姿やそれが大きくなってチームとしては爆発力になるのが強みだと思います。プレーとして強みにしていこうというところは3つあります。1つ目がサーブ。例年通りサーブで攻撃していくというのを強みにしたい。それに付随して相手の攻撃に対してどうブロックをついていくかという点もです。全部言うと、2つ目はつなぎの部分で去年より強みにしたいです。どうしても高さは去年よりなくなってますし、松本先輩(=令6環卒・松本喜輝)がいなくなって攻撃力とかも課題です。他とどう競り合っていくかという点で守備力が必要だと思っているので、特にこの1月から3カ月間守備に例年よりも重きを置いてやってきました。新チームの強みはサーブ、ブロック、フロアディフェンス(守備)の3つです。
渡邊:守備のところでいうと、新入生の今田・緒方(=環1・緒方哲平)・清水がいいアクセントをだしてると思います。それこそつなぎの部分だったりとかを見てほしいと思います。あとは山元(=法3・山元康生)、平山(=商3・平山一之心)もそれに感化されるようにいいプレーがでてるので、そうやって競争していいチームへの成長につながっていると思います。
芳賀:全部言われちゃった・・・。
一同:(笑)
芳賀:慶應の強みは爆発力もそうですけど、1部リーグの平均があるとして慶應は(試合ごとの)振れ幅がすごい大きいと思います。だからこそ自分たちのベストが出せたときは全カレの早稲田に初セット取った時だったりとか早慶戦だったりとか、本当に1部リーグ上位トップレベルとも渡り合えるチームです。だからこそ4年生はスタメンだったりチームの全力をどうださせてあげるかというのに尽力しているので、いかに高いレベルを出し続けるかという点を去年に引き続き今年も見てほしいなと思います。
――練習試合などを通して、今の時点での新チームの感触や手応えは
渡邊:のびしろしかないと思います。人数が限られている中で総合練習もあまりできていなかったので、練習試合ができたことはすごくよかったです。そこで自分たちの課題や強みが明確になってそれを解決するために練習に励んでいるのでのびしろしかないと思う。チームは色々なことに挑戦しているのでそれが形になったらすごいいいチームになると思います。
――去年の対談でも当時の大槻副将と松本選手が「のびしろしかない」と・・・
一同:そうなんだ(笑)
芳賀:荒いからこそやっぱり爆発できるし。
――注目選手を1人ずつ教えてください!
田鹿:僕は11番の入来晃徳(環3・佐世保南)に注目してほしいです。リーグトップクラスの高さがある選手だと思うので、その高さが生きるアタックやブロックに注目してほしいと思います。多分今季が初めてスターティングメンバ―で出るような選手だと思うので、世間に向けて慶應にはこんな選手がいるのだと知ってほしい。そういうところにも注目してほしいと思います。
芳賀:僕は6番の山口快人(経2・慶應)。去年からも春季リーグから大抜擢されてずっと1年間試合に出場していて、高さであったりパワーもついてきて本当に大学でも屈指のプレーヤーになっていると思います。プレーももちろんそうですが、練習中ももう少し頑張れる部分があるのかなと思うので、新2年生で後輩もできてのびのびやるのももちろん大事ですけど・・・
渡邊:もっとね(笑)。
芳賀:そう、もしこの記事を読んでくれたら・・・
田鹿:本人に届けポイントね(笑)。
芳賀:本当に今も素晴らしいのですが、どうやったら練習の質を高められて皆で上手くなれるのだろうという視点でやってくれれば本人も成長するしチームももっとよくなると思う。もちろん彼のプレーには助けられているのでプレーにも注目してほしいけど人間的成長もみんなで注目していきたいと思っています。
渡邊:今あげてくれた2人ももちろん注目選手ですが、自分は9番の松山鼓太郎(商2・慶應)に注目してほしいと思っています。彼の一番の武器はブロックだと思うのでその力を発揮してほしいですし、プレー外のところですごく声を掛けてくれたりとかチームを鼓舞する姿勢というのは彼の魅力でもありますしチームにとって絶対に必要な力だと思うので、そういったプレー外のところでも2年生ながら活躍しているのでそういったところに注目してほしいです。みんなすごいです。
――最後に目標と意気込みをお願いします
田鹿:目標は1部残留、これは間違いなしです。意気込みに関しては、春は(1部リーグ)死守といいつつ、長いスパンでみたらまだまだ前半なのでいろいろ試せるところは試したい。新しい発見をどんどんしていきたいです。挑戦の春季リーグです。
芳賀:目標は春季リーグで2部に落ちたら僕らの代は1部で戦えない。1部リーグで戦いという思いは強くなっています。まだまだ未完成な形だからこそ挑戦できることはして、1部リーグで感謝しつつその雰囲気も楽しんで、それでいい結果も残せたらすごいベストだと思います。まずは一生懸命やれたら。
渡邊:目標はチームとしては楽しんでやってほしいなと。1部リーグというこんなレベルの高いところでバレーをできることはなかなかないと思います。自分が先輩方にそういった経験をさせてもらったので、それを後輩たちにさせたいなと。楽しむためには強さが必要だと思うので、練習は楽しく厳しくやっていきたいと思います。意気込みは個人としては一番一番トスが集まってくるポジションだと思うので、みんながつないでくれたボールに気持ちをのせられたらと思います。
――ありがとうございました!
(取材:長掛真依、五関優太)