勝つと1部5位が決まるだけでなく、全日本への切符を手にできるこの一戦。慶大は防衛大との春季リーグ最終戦に臨んだ。試合は終始両者一歩も譲らず、スコアレスドローに。勝負はSO戦へと託された。防衛大1番手にゴールを決められるも、GK斉木はるな(経4・慶應女子)が後続4選手のシュートを全て防いだ。慶大は4番手・金子桃子(法4・田園調布雙葉)が決め、同点に持ち込むと、5番手・村岡咲音(商4・慶應女子)もネットを揺らし、2ー1。春季リーグ最終戦を勝利で飾った。
令和6年関東学生ホッケー春季リーグ
6/9(日) 15:00試合開始 @早稲田大学東伏見グラウンド
| 第1Q | 第2Q | 第3Q | 第4Q | 合計 |
慶大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
防大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
SO戦 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 合計 |
慶大 | × | × | × | ◯ | ◯ | 2 |
防大 | ◯ | × | × | × | × | 1 |
スタメン
GK 斉木はるな(経4・慶應女子)
DF 山岡怜奈(法4・Dwight School London)、西潟遥(経3・International School of Düsseldorf)、笹山美由希(法4・桐光学園)、金子桃子(法4・田園調布雙葉)
MF 岩越美佳(法3・慶應女子)、村岡咲音(商4・慶應女子)、久井玲香(商4・Dwight School London)
FW 尾関恵真(経3・慶應湘南藤沢)、新井里英(法3・成城学園)、曽我部千紗(法4・Fleetwood Park Secondary school)
前節では立大相手に今季初勝利をあげ、1部残留を決めた慶大。春季リーグ最終戦の相手は第3戦で惜敗した防衛大となった。また北海道代表の辞退により今試合に勝利したチームが関東第5代表として、2024年全日本大学ホッケー王座決定戦・東西交流戦への出場権を獲得することとなった。
日差しは無いものの、ムシムシとした気候の中始まった春リーグ最終戦第1Q。開始直後、スムーズにパスを繋げてすぐに相手陣地まで攻め込むと、3分、サークル内で相手の反則を誘いPCを獲得する。連続して獲得したPCは残念ながらパスが繋がらず得点にはならない。11分、今度は相手にPCを許すが、相手のシュートはゴールネット左にずれ、両者サークル内まで入りながらも得点には繋がらず、ディフェンスが光るクォーターとなった。
第2Qが開始してもコートの中央付近での競り合いが目立つような展開は変わらず、膠着した状況に。そんな中でも3分、積極的な仕掛けを見せた慶大は尾関恵真(経3・慶應湘南藤沢)と長瀬莉奈(法2・共立)が左サイドからチャンスを作る。しかし防大ディフェンス陣の好守備もあってシュートまでは至らない。防大も負けじとチャンスをつくると、4分右サイドからサークルに侵入、シュートを放つもののここはGK斉木のナイスクリアによって防いだ。それ以降はさらに膠着した展開が続いたが、その中で輝きを見せていたのがMF岩越美佳(法3・慶應)。守備では相手の嫌がるところに的確に顔を出し、攻撃では中央でボールをキープしながら柔軟な動きでサイドにボールを散らしていた。第2Qはこのまま終了し、先制点をめぐる争いは3Q以降も継続となった。
第3Qは両者譲らずの攻防戦が続いた。開始5分、慶大は曽我部千紗(法4・Fleetwood Park Secondary school)・村岡・久井玲香(商4・Dwight School London)の華麗な連携プレーで左サイドからサークル内に侵入するも、シュートでプレーを終えることができず、惜しくも得点機会を逃した。その後も、笹山美由希(法4・桐光学園)、岩越の活躍で攻めの展開が続くも得点には至らず、徐々に試合のペースが防衛大に奪われる。12分には慶大のファウルにより防衛大にPCを許すも、慶大の粘り強い守備が防衛大に得点を決めさせない。再び試合のペースを握った慶大は防衛大のファウルを受けPCの機会を得る。村岡からのボールは尾関、岩越へとパスが繋がるもクロスシュートが決まらず得点の機会を逃し、無念のホイッスル。第3Qも両者無得点で勝負の行方は最終第4Qに委ねられた。
第4Qは序盤から防衛大の攻めが多く見られ、苦しい展開が続いた。開始1分と3分にはサークル内ゴール間際までの攻めを許し、相手にシュートチャンスを与える展開が続くも、GK斉木の活躍により無得点で抑えた。6分には相手にPCを与えるも、GK斉木と村岡の活躍により再び危機を免れる。その後も岩越の個人技で攻めの展開が予想されるもパスが通らず厳しい状況が続いた。そんな中、村岡のナイスカットをきっかけに試合の流れが徐々に慶大に傾くもシュートを打つことはできないまま、第4Qも両者無得点で勝負はSO(シュートアウト)に持ち込まれる展開となった。
春季リーグ最終試合にして慶大初となるSOは先攻で幕を開け、防衛大1番手が先制するも、その後は防衛大4番手まで両校無得点が続いた。外せば引き分け以下が確定してしまう慶大は4番手・金子の見事な左からのシュートで同点に追いつき、勝負は5番手に委ねられた。防衛大5番手のシュートをGK斉木が体を張りシュートブロック。そして慶大5番手・村岡の右からのシュートが決まると、慶大は春季リーグ最終試合を勝利で納め、加えて全国大会への切符をつかんだ。
前回の防大戦では同点から第4Qで勝ち越しを許す悔しい結果となったが、今試合では熾烈なSOの末についに勝利を掴んだ慶大。FW、DF共に光を見せた今試合に思われたが、主将・笹山によれば、キーワードは「修正力」だったという。一度敗戦した相手に再度立ち向かうことは容易ではない。二度同じ負けを味わうことのないように、ここまで修正してきたその粘り強さこそが慶大の強さとも言えるだろう。今回の勝利は勝ち以上に大きな意味を持つものとなった。次戦は全国の強豪が集まる王座決定戦、さらなる活躍を期待したい。
次戦 :2024全日本大学ホッケー王座決定戦・東西交流戦
6/27(木) 11:20~ vs駿河台大 @川崎重工ホッケースタジアム Aコート
▽以下、選手コメント
FW 主将・笹山美由希(法4・桐光学園)選手
——今日の試合を振り返って
今日の試合は絶対に勝たなきゃいけない試合だと思って臨みました。でも前回は負けている相手だったので、絶対に全員が強い気持ちを持って、1秒も気を抜かないようにと常にチームには言ってきて。そのような気持ちで試合中も実際望めていたのはよかったなと思いました。SOという形にはなりましたが、勝てたこと自体は本当に良かったですが、内容としては課題が残ったかなと思うので、結果は素直に喜びつつも、秋リーグや6月末の王座に出れることになったので、それに向けて1回見つめ直して、チームとしても個人としても足りないことと向き合っていけたらいいかなと思います。
——前回防衛大相手に敗戦してから今日に向けて取り組んだこと
前回は試合の中での修正力が全然ダメだなと感じました。実際それ以降の試合では、いかに2分間の短い時間やハーフタイムで自分たちが修正していけるかというのを試合でも意識したし、試合形式で練習した時に、次どうしようというのを考えてしっかり攻め切ろうと反省の時間をとったりするなどそういう部分を意識していました。また、失点のパターンが前回は一緒だったので、そういうところに向けて、当たり前のことが結構前回の試合、防衛大に負けた時は出来てなかったっていうのがあったので、こっちもすぐ戻ってすぐ構えて全員で守るというのをすごい意識したかなと思います。
——秋リーグに向けて意気込みをお願いします
1部の上位になるのと最後の早慶戦勝利を目標にこのチームはやっているので。夏の練習、結構大変にはなると思うんですけど、そこで結構みんなで本気で勝ちたいと思っているし、それも多分全員思ってくれてると思うので。今年こそって思っているので、そういう気持ちで練習頑張っていきたいなって思います。
GK 斉木はるな(経4・慶應女子)選手
——今日の試合、見事無失点に抑えました。守備時にはチーム後方からよく指示されていましたが、特に何を意識して守備をしていましたか?
前回の試合でカウンターからの失点という課題があったので、その反省を活かし、カウンターが起きないようにカウンターケアの声を中心に出していました。
——SOでは、4連続ストップでチームの勝利に大きく貢献しました。SOに臨む時の心境と意識していたことを教えてください
普段、主務としてプレー面以外でも仕事のサポートなどをしていて、一緒に頑張ってきている同期たちを見てきました。そのチームメイトと一緒にどうしても王座決定戦に駒を進めたかったので、ここで絶対に勝利する、という強い気持ちでSOに臨みました。
——春リーグ最終戦を勝利で飾りました。次戦の王座決定戦に向けてチームとしてどんな準備をして臨みたいですか?
格上相手との試合が続くと思うので、そういった相手にも良い試合ができるように皆で相手チームの分析や練習を重ねていけたらな、と思います。
MF 岩越美佳(法3・慶應女子)選手
——自分のプレーを振り返ってどうですか?
私は今まで守備は頑張れていたけど、攻めではもう少しどうにかしなきゃいけないなという部分がありました。攻めで慶應に流れを持ってくるのも自分の役割なんじゃないかなという思いがあったので試合の中でしっかり自分から攻めに繋げていけるようにというのは意識してできたかなと思います。
——最後勝った時の気持ちを教えてください
自分はsoを外してしまったり、試合中自分から得点に繋げることもできていなかったので(それでも勝てたことに)ホッとしました。
——今日の勝利により王座決定戦につながりました。そこに対する意気込みをお願いします
私は入部してから一度も王座の舞台を見たことがなく、せっかくいただいたチャンスなので自分らしいプレイができるようにこれからも頑張っていきたいです。
DF 金子桃子(法4・田園調布雙葉)選手
——今日の試合を振り返って
なんか前回負けてしまった反省を踏まえて、色々作戦を練ってきたところはあったし、もう少し3-0みたいなスコアで勝ちたいと思っていたんですけどそこが達成できなかったのが、悔しかったです。
——SOで相手に先に点数を取られてプレッシャーもすごかったと思いますが、どのような心境でのぞみましたか?
練習通りに行けば絶対行けるって落ち着いてプレーすることができました。
——春リーグ最終戦でしたが、秋に向けての意気込みとかありますか?
今回は1部5位と言う結果を結果を残せたものの全部がギリギリの戦いになってしまったので次はできれば関東リーグ戦上位を目指して夏の間にたくさんレベルアップしたいです。
MF 村岡咲音(商4・慶應女子)選手
——-今日の試合を振り返っていかがでしたか?
3点差以上の圧勝を目標にしていたのですが、なかなか上手く思ったように攻めることができず、最初は手こずってしまった印象です。試合の中で改善していける点があったと感じるのですが、あまり上手く修正していくことができなかった点が課題だったと感じます。
——-SOでの最終5番手としての直前の心境はいかがでしたか?
4番手の金子さんが決め、5番手の防衛大の攻撃をGK斉木さんが止めてくれたので、あとは自分が決めるだけだと、思ったより気負わずにできたと思います。
——-その結果村岡さんのシュートで勝利が決まった瞬間の心境はいかがでしたか?
この試合に勝ったことで全国大会にいけることが決まったので、チームとしてもまだまだだと思った一方で、とても嬉しかったです。
——-最後に春リーグ全体を振り返っての感想と、全国大会への意気込みを教えてください。
春を振り返ってまだまだ一人一人の技術が足りないと思ったので、そこはこれからも伸ばしつつ、次の全国大会は自分たちよりも格上の相手と戦える機会なので、ちゃんと戦略を練って戦いたいと思います。
(取材:久保田敦也、鈴木啓護、堀江祢音、耳野帆香、宇田川志乃、岡里佳)