関東アメフトTOP第4戦、慶大UNICORNSは法政大学オレンジと対戦。法大キックオフで試合が開始されたものの、いきなりボールを奪われてしまうと、わずか30秒で法大に先制を許す。慶大もWR・久保宙(経3・慶應)や水野覚太(政4・慶應藤沢)のスーパープレーなどで一時は逆転。得意のパスのみならずランやキックも積極的に使って食らいつくが、後半に入ると徐々に引き離され、24-10で敗戦。今秋2敗目を喫した慶大が全国の切符を掴むには、残り3戦の勝利が絶対条件となった。
10月6日(日)11:00 @アミノバイタルフィールド TOP8第4戦
慶應義塾大学 UNICORNS | 法政大学ORNAGE | |
第1Q | 0 | 3 |
第2Q | 7 | 7 |
第3Q | 3 | 7 |
第4Q | 0 | 7 |
計 | 10 | 24 |
ここまでの慶大は初戦の早慶戦こそ落としたものの、その後は格上と目された明大・立大を次々と撃破。今期における台風の目とも称され、躍動を続けている。一方の法大もここまで負けなしの快進撃。前年関東王者の強さは健在で、今年も関東優勝候補の一角を担っている。
今年から大学アメフトは大会のシステムが変更となり、関東3位までが甲子園ボウルをかけた全国大会に出場可能となる。2敗までが当落線上と目されている中で、まずは出場に向けて両校とも黒星は避けたい状況で迎えた一戦となった。
法大キックオフで開始された第1クォーター(以下第1Q、他Qも同様)、通常なら高く蹴り上げられたボールを慶大がキャッチして攻撃開始となるはずである。しかし法大キッカーはボールを地面に蹴り付け、ボールは大きくバウンド。慶大はボールの行方に大きく戸惑うことになる。この僅かな隙を逃さなかった法大に運が味方したか、ボールは法大選手の手中に収まった。この結果、法大キックオフながら法大が攻撃権を得る形となり、慶大は出鼻を大きく挫かれてしまった。いきなり自陣内での防衛を余儀なくされた慶大は流れを渡すまいとディフェンス陣が奮闘。なんとか法大にタッチダウンされることは許さなかったものの、39ヤードのキックを決められ、試合開始わずか30秒で3点を先制されてしまう。とはいえタッチダウンによる7点の失点を防いだのはディフェンスのファインプレーであった。反撃のチャンスを伺う慶大は、この日もQB・水嶋魁(商4・海陽学園)と松本和樹(経4・慶應)の二枚看板で攻撃を組み立てる。法大ディフェンスによるタックルでなかなか陣地を進ませてもらえない展開もあったが、松本はなんとかロングパスを通せる機会を窺い続けた。そしてその我慢は実を結ぶ。松本から水野へのホットラインを繋いで大きく陣地の回復に成功したところで試合は第2Qへ。
攻撃シリーズの続きから始まる第2Q、松本が放ったパスは40ヤード先に構える久保の元へ一直線。久保は法大ディフェンス3人に囲まれながらエンドゾーンに転がり込み、逆転のタッチダウン。フィールドのど真ん中を切り裂くあまりに華麗なロングパスに、慶大応援席は割れんばかりの拍手に包まれた。トライフォーポイントはK・佐々木雄大(経4・慶應)が確実に決めてスコアを7-3とする。
しかしこのプレーが引き金となったか、関東王者がついに目覚める。法大は続くキックオフリターンで陣地を一気にフィールド中央まで戻すと、クイックプレーから一気に慶大陣地を侵略。タッチダウンまでわずか1ヤード、91cmほどに迫られ、慶大は早くも絶体絶命のピンチを背負う。しかし、誰もがこのまま押し切られると感じていたであろう次の1プレーでも、慶大ディフェンスは諦めなかった。1ヤードを飛び越えんとしてきた法大選手のわずかに空いた手元からボールをこぼれさせると、これをDB・玉川雄基(環4・都駒場)がキャッチ。エンドゾーン内でのボール確保となりタッチバックが適用される(注:レシーブ側のチームは自陣の20ヤードの地点からオフェンスを開始する)。まさに窮鼠猫を噛むがごとく、ピンチを無失点で乗り切った。第1Qに続きファインプレーを連発する慶大ディフェンス。この波にしっかり乗っかりたかったオフェンス陣だったが、法大もディフェンスは一級品。なかなか陣地を回復させてもらえず、再び守勢に回ることになる。法大の特徴的なランを何度も止め、追加点を防ごうとする慶大。しかしそれを逆手に取ったか、法大はここぞという場面でのロングパスを次々と決めていき、最後もフィールド右手へのロングパスでタッチダウン。10-7と逆転され、前半が終了した。
第3Qでも法大の攻勢は止まらない。ロングパスで大きく陣地を稼がれ、最後は中央突破でタッチダウンを許す苦しい展開に。しかしこれに慶大オフェンスも黙っていない。後半からはQB・山岡葵竜(政3・佼成学園)が出場。山岡が放ったパスを、水野が2回弾きながらもなんとか捕球。
一気にエンドゾーン目前まで陣地を進めると、変わって入った水嶋がフェイクランでエンドゾーンに駆け込み、再び点差を縮めた、かに思われた。しかしこのプレーで慶大がホールディングの反則を取られ、水嶋のタッチダウンは幻となってしまった。この後もなんとかタッチダウンを狙うがこれは実らず、佐々木のフィールドゴールでなんとか3点を返してこの攻撃シリーズを終える。
第4Q、未だ7点差にして諦めるにはまだ早い状況で、慶大が意地を見せる。法大のQBが放ったパスを赤木龍士朗(政3・鎌倉学園)がインターセプト。明治戦でもインターセプトを決めた男がまたファインプレーを決める。このいい流れに乗りたい慶大だったが、ここからが誤算だった。松本が法大ディフェンスのQBサックに捕まってしまい陣地を失ってしまう。ここから法大DLはさらに牙を剥き、慶大に大きなプレッシャーをかけてきた。結局このQを通して3度のQBサックを被弾してしまった慶大は攻撃を効果的に行うことができなかった。ディフェンスはLB・倉田直(理4・南山)がナイスタックルを見せるなど一定の成果こそ発揮したものの、波に乗った法大を止めるには至らず。天野甲明(政2・鎌倉学園)が必死に法大QBに突撃するものの再びロングパスを通され、最後はランによるタッチダウンで24-10。QBサックでロングパス攻勢を決めきれなかった慶大と、QBを守り切ってロングパスにつなげた法大との大きな差が浮き彫りになった。このまま試合は終了し24-10でゲームセット。慶大は2敗目を喫した。
甲子園ボウルをかけた全国大会への出場は関東上位3チームが条件。現在早大と法大が全勝、立大が1敗で慶大は明大と並んで4位に位置する。なお、明大には直接対決で勝利しているため優位性は確保している。とはいえ、現在は2敗が全国への当落線上であるため、これ以上の敗戦は許されない。次戦以降の全勝を絶対目標として、UNICORNSは再び戦っていくこととなる。
(記事:東 九龍)
試合後インタビュー <後日追加される可能性があります>
倉田 直(理4・南山)
ーー試合の振り返り
前半は、キックオフで流れを持っていかれそうでしたが、なんとか粘りほぼ互角の試合をすることが出来たと思います。しかし試合を通じて、慶應の誇るキッキングにおいて、ビッグプレーを起こすことができず、波に乗れなかった印象です。
ーーディフェンスで試合前に話し合った点と、それが反映できたかどうか
話し合っていた、ランプレーに関しては、止められたかなという感覚があります。しかし、パスラッシュはかけることが出来ず、DBに負担を与えてしまいました。
ーーディフェンスの反省点
QBへのプレッシャーが少なかったように感じます。法政のかなりレベルの高いパスチームに対して、プレッシャーを与え続けることができませんでした。法政DLとの差を大きく感じました。
ーー最初のキックオフを法政ボールにされてしまったことは試合展開に影響したか?
普段であれば、かなりの影響を受けてしまうが、今回は3点で終われたこともあり、そこまで大きな影響を感じなかったです。
ーー次戦以降に向け、この試合において収穫と言える要素があれば
法政の特徴あるランをうまく止められたことは次に繋がると思います。
ーー次戦への意気込み
1週間しか準備期間がないからこそ、チーム力が鍵になってくると考えます。授業も始まり、全員で集まることが難しくなりましたが、それを感じさせない完成度で桜美林オフェンスをシャットアウトします!
山田 向洋 (経2・慶應)
ーー試合の振り返り
昨年度の関東王者に対してチャレンジャーとして挑みましたが、オフェンスディフェンスキッキング全てで相手に負けてしまいました。戦術とかではなく一人一人のファンダメンタルのレベルの低さが勝敗を分けたと思います。勝負どころで1対1に負けてQB sackをされたり、1対1でタックルしきれずに走られたりなど個人個人の能力の差が出たと思います。
ーーディフェンスで試合前に話し合った点と、それが反映できたかどうか
法政オフェンスのPass unitがとても強力であるため、一人一人が役割を徹底してQBにプレッシャーをかけ短いパスは我慢して1発TDを防ごうとしていましたが、結果として1対1で勝ちきれず、QBに対してのプレッシャーも少なく、ロングパスを何度も決められ24点取られてしまいました。
ーー反則をかなり取られたように見受けられるが、なにか要因がある?
日頃の練習での詰めの甘さ、Finishの甘さだと思います。練習で細かいところまでこだわりきれてなかったことが反則に表れていると感じます。
ーー次戦への意気込み
昨年度の関東王者に対して戦えた部分も沢山あります。関東王者に勝てた部分は自信に繋げ、負けている部分から目を背けず、反省して次戦以降に繋げていきたいです。
3位までに入れば甲子園トーナメントに繋がるので、残り3戦死に物狂いで闘い抜きます。