いよいよ本日13時より開催のアメフト全国選手権大会準々決勝。相手は6連覇中の最強王者・関西学院大学。今年は春のオープン戦で対戦があり、30-7で苦杯を嘗めた。関東で明治・立教相手に2度のアップセットを起こしてきた慶大は、王者相手に正真正銘の大金星を掴めるか。
本日の試合会場
神戸市 ユニバー記念競技場
13時〜試合開始
ライブ配信⬇️(本日は無料です!)
https://live.amefootlive.jp/lives/ee901c86-7b0b-429d-8ef8-bf211c1c3d8c
中央戦の勝利、そして他大学の結果を踏まえて全国への最後の切符を手にしてからまだ10日ほどしか経っていない。あまりにも早く決戦の時は訪れた。相手の関西学院大学は関西2位枠での出場ながら、今年の関西は関西学院大学と立命館大学の同率優勝。実質的には関西王者との対戦に等しい。
慶大の勝ち筋について、前田監督は弊紙インタビューで「僅差で競り合う状況になれれば勝機はある」と語る。得点力がある慶大といえども、関西とのレベルの差は少なからず存在する。関学をロースコアに抑えることは困難を極めるだろう。その点では、今日は僅差でのゲーム展開が必須となる。
その上で、監督は各ポジションに対する課題を提起している。
まずはオフェンス。オフェンスの課題はなんと言ってもパスをいかに通せるか、という点になると前田監督。慶大の誇るパスユニットは関東でもトップレベルだ。まず投げる方、QBは水嶋、松本、山岡を臨機応変に起用。タイプの異なるQBを効果的に使い分け、相手を撹乱することが求められる。一方の捕る方、WRもスター揃いだ。久保、水野、黒澤、藤崎。この4人は全員が高いレベルのパスキャッチを見せてきた。初戦の早稲田戦でキックオフリターンタッチダウンを決めスターに名乗りを上げた久保。法政戦で2度ボールを弾きながらも抑え輝きを放った水野。明治戦で3タッチダウンパス、慶大旋風のど真ん中に鎮座した黒澤。そして東大戦で絶体絶命の状況からTFPの同点タッチダウンを決めた藤崎。誰一人欠けていても今の全国大会への切符はなかっただろう。彼らがいかに暴れられるか、相手の裏をかくパスルートを走って行けるかは、慶大の得点力に直結していく。QBとWRの奮闘は勝利への絶対条件だ。
さらにランプレーも、慶大は日を経る事に進化を続けた。QB水嶋・山岡のスクランブルが目立っていた前半戦から、後半戦はラグビー上がりのスーパールーキー・田中玄樹の台頭があった。ディフェンス陣からすればパスに警戒を割かなければならない中で、ランユニットが稼働すれば大いにチャンスメイクできることだろう。
ディフェンスは「エースRBを止めること」「タッチダウンをさせず、3点で抑えること」の2つを掲げる。エースRBは関学大・伊丹や澤井など、警戒せねばならないランナーが多い。さらに、タッチダウンをさせないとなるとこちらはさらに難しい。田中凜奔がインタビューに語ってくれたQB・星野(弟)は1年生にして関学大のエースを張るスーパールーキー。兄が怪我により出場が難しいと見込まれる中にあって、弟はパス・ラン・スクランブルと、全ての面で関西の各大学を蹂躙してきた。立命大戦で負傷交代があったとはいえ、この日に間に合わせてくる確率は低いとは言えない。彼が完治してきたとしたら、彼のプレーをいかに見破り、何とか点数を抑えるか、工夫が必要だ。QBが他の選手なら、実戦経験で勝る慶大ディフェンス陣は、関西という名に臆することなく積極的にボールを奪いに行きたい。インターセプトやファンブルリターンを何度も決めて流れを慶大に持ってきた丹羽と玉川はここが本領の発揮しどころとなる。鋭いタックルを決めてきたラストイヤーの林をはじめ、先輩を何としても甲子園に連れていきたい田中凜奔や倉田、赤木などの奮闘も期待される。
キッキングチームは、慶大が最も自信を持っているチーム。監督も、キッキングチームの佐々木・木村も、そう信じている。佐々木は「どれだけオフェンス・ディフェンスの流れが悪くても、キッキングでいい流れに持ってきてリセットする」と意気込む。桜美林戦まで、慶大のキッキングチームは素晴らしい成果を見せてきた。明治戦では相手を突き放す45ヤード越えのフィールドゴールを2連続で成功するなど、要所を締めるプレーが出来ていた。歯車が狂ったとすれば、間違いなく東大戦だったであろう。先制チャンス、さらにその後の同点チャンスで、普段ならありえないキック失敗。さらに、ここを決めれば勝ちが決まるという場所で、キックではなくギャンブルプレーを選択することを強いられた。この悔しさは、特に佐々木にとっては尋常ではなかったと推察される。続く中央戦でも先制直後のプレーでキックを外してしまった。まだ本調子とはいかないかと思わせたものの、試合中盤には48ヤードのフィールドゴールを見事成功。復権を予感させる1プレーとなった。例えタッチダウンを関学大に防がれたとしても、絶対にキックの3点は取りきらなければ、慶大に勝ちは無い。言い換えれば、慶大が一番自信を持つキックで関学を圧倒することが、チームを勢いづかせる上では最も簡潔な方法と言えるだろう。キッカー佐々木はもちろん、ボールセッターの藤崎、リーダーの木村が、三位一体で闘えるかに注目だ。
ここから先は負けたら終わりの一発勝負である。相手が相手だけに下馬評では関学有利の声が大きいのは言うまでもない。しかし、今の慶大にとって逆境はもはや慣れた道だ。活動休止が明けてからわずか1年の今シーズン、慶大のここまでの躍進を予期することが出来た者は決して多くはないだろう。前年度6位からの躍進を支えたのは、紛れもなく選手たちの努力と、成功を信じたメンタリティだ。
「諦めずにいれば、必ずチャンスをものに出来る」。
この1年間でUNICORNSが培った可能性、その全てを絶対王者にぶつけてほしい。
(記事:東 九龍)