【ラグビー】風も味方に、攻めの慶應を見せて初戦突破!/大学選手権 3回戦 対 東洋大学

ラグビー

肌を刺すような冷たく強い風が吹いた今日の秩父宮ラグビー場、慶大にとっては初戦となる大学選手権3回戦が行われた。今回の相手は、春季大会で大差で勝利した東洋大学。外国籍選手も多く、強いフィジカルで凄まじいアタックを武器とするチームを相手に、前半風上に陣をとった慶大はまさに「攻める慶應」を体現するかのごとく積極的に攻撃をしかける。石垣慎之介(政3・慶應志木)のランや今野椋平(環3・桐蔭学園)の巧みなステップを生かして終始強気に試合を展開し、4トライ差をつけて見事勝利。次の対帝京大戦に向けて自信をつけた一戦となった。

 

 

2024年12月14日(土)ラグビー大学選手権 3回戦 対 東洋大学

 

@秩父宮ラグビー場

ラグビー大学選手権 3回戦

慶應義塾大学

2024/12/14(土)11:30 K.O.

@秩父宮ラグビー場

東洋大学

前半

後半

 

前半

後半

トライ(T)

コンバージョン(G)

ペナルティゴール(PG)

ドロップゴール(DG)

35

15

19

50

合計

26

前半5分 中山 大暉(T)

前半6分 和田 健太郎(G)

前半22分 今野 椋平(T)

前半23分 和田 健太郎(G)

前半32分 中矢 健太(T)

前半33分 和田 健太郎(G)

前半36分 中野 誠章(T)

前半37分 和田 健太郎(G)

後半7分 石垣 慎之介(T)

後半9分 和田 健太郎(G)

後半21分 小城 大和(T)

後半22分 和田 健太郎(G)

後半26分 浅井 勇暉(T)

後半27分 今野 椋平(G)

得点者

前半39分 モリ―ス・マークス(T)

前半41分 天羽 進亮(G)

後半16分 モリ―ス・マークス(T)

後半17分 天羽 進亮(G)

後半30分 小泉 柊人(T)

後半31分 天羽 進亮(G)

後半40分 モリ―ス・マークス(T)

後半41分 土田 修也(G)

 

慶應義塾大学

#

氏名

身長(cm)/体重(kg)

学年学部

出身校

1

井吹 勇吾

175/98

環1

桐蔭学園

2

中山 大暉

176/103

環4

桐蔭学園

3

吉村 隆志

177/108

環4

本郷

4

中矢 健太

183/105

総4

大阪桐蔭

5

浅井 勇暉

188/107

総4

仙台

6

中野 誠章

178/101

文1

桐蔭学園

7

田沼 英哲

176/95

総4

國學院久我山

8

冨永 万作

188/105

商4

仙台第三

9

小城 大和

168/72

商4

北嶺

10

和田 健太郎

168/70

理1

清真学園

11

石垣 慎之介

175/80

政3

慶應志木

12

今野 椋平

183/88

環3

桐蔭学園

13

村田 絋輔

174/85

経4

慶應

14

廣瀬 暸

178/79

環4

慶應

15

伊吹 央

176/81

経3

慶應

16

渥美 和政

172/100

経3

慶應

17

成田 薫

181/104

経4

慶應

18

中谷 太星

180/114

環1

東福岡

19

矢﨑 隼太

184/94

政3

県立千葉

20

藤井 大地

181/100

経4

慶應

21

橋本 弾介

169/77

法3

慶應

22

田村 優太郎

175/77

総1

茗溪学園

23

山本 大悟

174/84

環3

常翔学園

 

 

東洋大学

#

氏名

身長(cm)/体重(kg)

学年学部

出身校

1

笠巻 晴太

177/111

済4

北越

2

小泉 柊人

171/100

済3

目黒学院

3

石川 槙人

184/115

総4

日本航空石川

4

栗原 大地

192/102

総3

伊勢崎興陽 

5

ジュアン・ウーストハイゼン

211/132

総3

Helpmekaar College

6

前川 嵩登

174/101

済4

日体大荏原

7

森山 海宇 オスティン

183/102

総3

目黒学院

8

植田 宗優

186/100

済3

筑紫

9

生田 旭

165/72

総1

國學院栃木

10

天羽 進亮

174/83

済3

城東

11

モリース・マークス

180/90

総4

Hoërskool Noordheuwel

12

佐藤 航大

174/72

済4

北越

13

アダム・タマティ

188/110

総3

Sacred Heart College

14

ボンド 洋平

182/86

済4

東海大相模

15

坂本 琥珀

168/72

総2

仙台育英

16

後藤 大樹

179/101

総4

関商工

17

小川 雄大

180/109

済4

脇町

18

岡田 恭和

183/115

スポ1

脇町

19

ステファン・ヴァハフォラウ

188/101

総3

札幌山の手

20

金井 悠隼

172/91

スポ2

東海大相模

21

佐々木 健人

160/69

総3

札幌山の手

22

土田 修也

172/81

総4

岐阜聖徳学園

23

中山 二千翔

180/82

総1

日本航空石川

 




時折ゴールポストも揺れるような突風が吹く中、風上をとった慶大は序盤から積極的な攻撃を見せる。4分、今野のショートキックが身長211cmの東洋大LOジュアン・ウーストハイゼン(総3・Helpmekaar College)に当たると、ペナルティーキックで早速敵陣22mライン内へ入っていく。慶大ボールのラインアウトで再開すると、コンパクトなモールで一気に前進し、主将・中山大暉(環4・桐蔭学園)がトライ。先制点は慶大の手に渡る。今日のコンバージョンキックを担うのは、早慶戦でも大きな活躍を見せた1年生の和田健太郎(理1・清真学園)。左サイドから風に乗って大きく伸びた和田のキックは1度右ポストに直撃するが、これがイン側に跳ね返りゴール成功。運も風も味方にした慶大はここからさらに勢いづいていく。

コンパクトなモールの後ろにつき前進する主将・中山(中央)

今試合のコンバージョンキックを任された和田

18分、敵陣ゴールラインまで残り約10mのところでマイボールのラインアウトで再開すると、慶大は得意のモールトライの形を作りたいところだが、東洋大の堅いディフェンスがそれを許さない。そしてゴールポスト目の前で6フェーズを重ねると、SH小城大和(商4・北嶺)が冷静に大きく左サイドに展開し、ボールを受けた和田はわざとスピードを落としたランで敵を引き寄せ時間を作ると、最後は今野椋平(環3・桐蔭学園)へボールが渡り、倒されることなく中央まで走って余裕のトライ。慶大の技が光る流れを見せた。

今試合2トライを決めた今野

2個目のトライを獲得したわずか3分後の21分、敵陣22mライン上でマイボールのラインアウトからモールを形成すると、小城はすぐにボールを持ち出し仕掛ける。慶大はすぐに右サイドに展開すると、モールから戻りが遅れた東洋大をしっかりと縦に抜いていき、今野が再びトライ。速さを生かした2連続のトライで会場を沸かせた。

31分、小城がブレイクダウンから展開して後ろの和田にパスを送ると、和田は前が空いていた中矢健太(総4・大阪桐蔭)へと2人飛ばして鋭いパス。中矢はディフェンスの穴を縫うように縦に走り、最後はタックルを受けながらも力強いグラウンディングでトライ。片足を捕えられ一度倒されながらも再び起き上がり、まさに慶應の”雑草魂”を体現するかのような見事なトライだった。

パスを受け走る中矢(中央)

再開直後、慶大は中野誠章(文1・桐蔭学園)のタックルからブレイクダウンで中山を中心にターンオーバーすると、村田絋輔(経4・慶應)が裏へグラバーキック。そこへ東洋大13番アダム・タマティ(総3・Sacred Heart Collge)と慶大が誇る俊足ウィング・廣瀬瞭(環4・慶應)が飛び込みスピード対決。結果、東洋大のタッチでマイボールになると、ラインアウトから得意のモールでトライを狙いにいく。そこで上手く相手の反則を誘発すると、冨永万作(商4・仙台第三)がクイックスタートで仕掛け、最後は中野がトライを取った。5回目の挑戦となる和田のキックは、モーションに入る直前にボールが倒れたものの冷静さを維持して見事トライ。危なげない試合展開を見せてくれた。

華麗なステップで相手ディフェンスを翻弄する廣瀬(中央)

決死のトライを決めた中野

流れを作った冨永からは笑顔が見られた(中央)

しかし前半も終わりに差し掛かった39分、左サイド寄りで上手くスペースを作りその間を慶大FBの伊吹央(経3・慶應)が抜けるとゴールラインまで残り1mまで迫るが、慶大のミスからボールが奪われると、東洋大はキックで大きくサイドを変えてくる。長めのキックを受けたのは南アフリカ出身の東洋大ウィング・モリース・マークス(総4・Hoërskool Noordheuwel。50m5秒台の快足を飛ばし、100mの距離を驀進するモリースに誰も追いつくことはできず、ハーフタイム目前にしてついに慶大は東洋大にトライを許した。

 

ハーフタイムを挟み、今度は不利な風下に立った慶大だったが、開始早々キャプテン中山が魅せてくれる。後半2分、自陣ゴールラインまで残り5mのところに迫られたところを中山がジャッカル成功で相手のペナルティーを誘発。ピンチを助けるのはやはり頼れるキャプテンだった。さらに、5分にはフェーズを重ねてじわじわと相手に前進される中ここでも中山がジャッカル。立て続けのジャッカルで強さを見せつけ、相手に流れは渡さない。

キャプテンのプレーでさらに勢いづいた慶大は6分、ラインアウトのミスで一度東洋大の手にボールは渡るが、東洋大のSH天羽進亮(済3・城東)から隣へ出したパスを一瞬の隙にインターセプトしたのが慶大のWTB、石垣慎之介(政3・慶應志木)。敵陣22mラインから大激走を見せる石垣を追ってきたのはこれも前半で100mを馳せたモリースだったが、この俊足レースの軍配は石垣に上がり、最後まで捕まることなくトライ。観客の多いメインスタンド側端で繰り広げられたこのシーンには大きな歓声が上がった。

俊足レースに打ち勝った石垣(右)と追いかけてきたモリース(左)

トライを決め吠える石垣

その後1回のトライを許すものの、後半20分、敵陣マイボールラインアウトで中矢が取りモールの形成に入るも、小城が自らすぐに走り出し、相手の意表を突く形でトライ成功。中山も駆け寄り、ゴール裏席で試合を見ていたノンメンバーや部員たちに向かって2人で大きくガッツポーズをして見せた。

相手の低いタックルを跳んでかわす小城

部員を指差す小城(左)とガッツポーズをする中山(右)

そして25分、ここでついに慶大がスクラムで勝ち、勢いも気持ちも最高潮まで達すると、途中交代で入ってきた山本大悟(環3・常翔学園)のオフロードパスから田沼英哲(総4・國學院久我山)がゴールライン直前まで走り出し、最後は浅井勇暉(総4・仙台)がトライ。その後最後に東洋大にトライを奪われてしまったが、慶大は終始笑顔が絶えないままノーサイド。東洋大4トライ、慶大8トライ、26ー50で慶大は大学選手権初戦を勝利で締め括った。

トライへ繋がるオフロードパスをする山本(中央)

ディフェンスだけでなくランでも活躍した田沼

 

前半は強い風が吹き、風上に立つ慶大にはかなり有利な環境だったが、後半にかけて少しずつ風も収まり、ハーフタイムを挟んで風下になってもそこまでプレーに影響が出なくなった。慶大はピッチに立っている間はずっと自分たちのやりたいプレーを展開できたこの試合。特に和田は、小柄な体格ながらフィジカルの強い東洋大学相手に上手くスペースを作ってアシストし、勝利に大きく貢献した。そんなプレーをする選手がまだ1年生。これからの慶大蹴球部にも大きく期待できる。次に当たるのは、公式戦では2020年の対抗戦以来勝てていない帝京大学。今年のチームの目標である「大学選手権ベスト4以上」まで残り1試合。絶対に勝ちたい1戦である。

 

「第 61 回全国大学ラグビーフットボール選手権大会」の文字が入ったボール

次の試合も泥臭く愚直な”慶應魂”を見せてほしい

 

次戦:

令和6年12月21日(土)@秩父宮ラグビー場 12:05 キックオフ

(写真:塩田隆貴、島森沙奈美  文:宇田川志乃)

 

 

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