24年度に引退を迎えた4年生を特集する「Last message~4年間の軌跡~」。第24回となる今回は、ラクロス部女子の副将・中村綾花(法4・慶應女子)。高校時代から7年間ラクロスに打ち込み、大学では副将としてチームを支えた。熾烈な競争の中で再認識した強さ、そしてなにより大切な仲間の存在。ラクロス部での4年間を走り抜けた今、彼女は何を思うのか。
中村がラクロスと出会ったのは高校時代。クロスを持ってプレーする先輩の姿に憧れ、慶應義塾女子高校でラクロス部に所属した。中村にとって慶大ラクロス部での日々は、必死にもがいた4年間だった。高校とは環境が変わり、大学のラクロス部は競争の世界。チーム内での選抜が二週間に一度行われた。強いライバルが周りにいる中で、中村は“自分だけの強みとは何か”を自問自答していた。
それでも彼女は、自分を見つめ直す勇気をもった。「別に自分の強みが誰にも負けない強みでなくても良いじゃん。好きなことを強みにして伸ばせば良いんだ。」自分の強みに自信を持つことで、それまで抱いていた迷いは次第に消えていった。自分ではなく誰かのために戦いたい、誰かのために勝利に貢献したい、そう思えるようになった。

チャンスの機会を狙う中村
最終学年となった2024年、中村は副将を務めることになった。「自分のグループだけではなく、他のグループの状態にも目を配りました。一人一人練習内容も悩みも違う。悩んでいる人の話を聞いて、少しでも目標に近づけるようサポートしようと思っていました。」全カテゴリーでの優勝を目指す慶大女子ラクロス部には、1年生を含めた全ての層が力をつけることが必要だった。人の強みを見つけることに自身の経験を活かせないかと考え、育成担当も務めた。中村は後輩たちにも目を向け、チーム全体を引き上げようと努めた。
そんな中村たちの競技人生の幕切れはあっけないものだった。最終節の日体大戦で5対8の敗北。慶大は2年連続で関東ファイナル4進出を逃した。「厳しい試合になることはわかっていましたが、終始どこかふわふわした空気がチーム内にあって、相手の緊張感や勢いに飲まれていました。この時期は、リーグ戦を重ねる度にどんどんチームの結束が強まっていたんです。だからこそ、最終戦前は『このまま行けるんじゃないか』という油断があったのかもしれません。」

攻撃に参加する中村
大学生活において、ラクロス部は中村にとって「自分の居場所」だった。「もしラクロス部に入っていなかったら、今よりも全然頑張れない人間だったと思います。精神的に強くしてくれたし、嬉しいことも辛いことも、すべてラクロス部で経験しました。これからも、ラクロス部での経験が私の原動力になると思います。」
彼女のそばには常に喜怒哀楽をさらけ出せる同期がいた。「家族よりも長い時間を過ごしていたので、一緒にいるのが当たり前の存在でした。自分の良いときも悪いときも見られているし、私も見ている。本当に何でも知っている関係でしたね。友達であり、同期であり、ライバルでもある。どんなときでも私を支えてくれて、本当に感謝しています。」
彼女は最後に、後輩たちへメッセージを送った。「ラクロスをやることを楽しむ気持ちを忘れずに、日本一を目指し続けてほしい。私自身も、4年間を通してラクロスを楽しむことが大切だと実感しました。伝統を守りながら、強い慶應を築いていってほしいです」
ラクロスに出会い、自身の弱さと向き合うことで競争を乗り越え、心身ともに大きく成長した4年間。彼女の思いは後輩たちへと受け継がれていく。
(取材:和田里咲、記事:竹腰環)