【バレーボール】フルセットで敗戦も「すごく意義のある試合」 経験を糧に春で1部復帰へ/2025春季プレシーズンマッチ vs大東文化大

バレー戦評

春季リーグ開幕を目前に控えた、4月6日。全日本インカレの舞台でもある大田区総合体育館で、大東文化大とのプレシーズンマッチに臨んだ。慶大は、相手の高さのあるブロックと強烈なジャンプサーブに苦戦。攻撃の軸が定まらないまま、21ー25で第1セットを落とす。その後は、副将/OP・入来晃徳(環4・佐世保南)の5連続ブレイクで流れを掴むと、第2、第3セットを連取。しかし終盤は、疲労と相手のジャンプサーブで崩れ、慶大バレーを展開することができず。そのまま第4、第5セットを落とし、セットカウント2ー3で大東文化大に敗れた。勝って開幕を迎えることはできなかったが、実戦形式で5セットを戦い抜く経験ができたという意味で収穫のある試合となった。

2025年4月6日(日)

2025春季プレシーズンマッチ @大田区総合体育館

慶大×大東文化大

得点

 

 

慶大

セット

大東文化大

21   

25

25

19

25

20

11

25

10

15

 

出場選手

 

 

ポジション

背番号

名前(学部学年・出身校)

S

27

松田悠冬(商1・慶應)

OH

清水悠斗(総2・習志野)

MB

松山鼓太郎(商3・慶應)

OP

11

入来晃徳(環4・佐世保南)

OH

山口快人(経3・慶應)

MB

22

稲井正太郎(法2・慶應)

L

今田匠海(政2・慶應)

途中出場

 

 

S

15

久保田健介(商4・慶應湘南藤沢)

L

緒方哲平(環2・日向学院)

OH 

10

野口真幸(商3・慶應)

S・松田悠冬(商1・慶應)のサービスエースで幕を開けた、第1セット。幸先の良い立ち上がりに思えた試合だが、大東文化大の高さのあるブロックを前に攻撃の軸が定まらず。サーブや粘り強いプレーで相手を追い込みながらも、点数を取り切ることができない。18ー22の4点ビハインドを迎えると、慶大はピンチサーバーにS・久保田健介(商4・慶應湘南藤沢)を起用。ここで点差を縮めておきたいところだったが、久保田のサーブを活かすことはできず。そのまま、21―25で第1セットを落とす。

1点目からサービスエースを奪ったS・松田悠冬

続く第2セットは、相手の強烈なジャンプサーブに崩されながらもOP・入来晃徳とMB・稲井正太郎(法2・慶應)が攻守でチームを牽引し、一進一退の攻防を繰り広げる。12ー12で入来にサーブが回ると、入来のサーブとライトスパイクが光り脅威の5連続ブレイク。17ー12と、大東文化大を一気に突き放す。その後は、相手のミスやS・松田悠冬のツーアタックなどで得点を重ね、最後は入来のスパイクで25ー19。ブレイクから勢いづいた慶大は、第2セットをものにする。

エースとしてチームを牽引するOP・入来晃徳

第3セットは、立ち上がりから大東文化大の攻撃に翻弄されるが、相手のミスに救われて3点差以内をキープ。10ー12の場面でMB・松山鼓太郎(商3・慶應)がサービスエースを奪うと、直後にはMB・稲井正太郎とOP・入来晃徳が2枚で大東文化大の攻撃を仕留め、12ー12の同点に追いつく。さらに、S・松田悠冬はトスを上げる直前に相手選手の動きを見定めると、稲井にトスを託す。2人の息の合ったコンビでクイックが決まり、13ー13。両者譲らず拮抗した展開となるが、山口快人(経3・慶應)のブロックやOH・清水悠斗(総2・習志野)のレフトスパイク、松田の連続サービスエースなどで得点を重ね、24ー20でセットポイントを迎える。最後は、MB・松山鼓太郎の見事な段トスを入来が相手コートに押し込み、25―20で第3セットも慶大が勝ち取る。

精度の高いトスアップも見せた松山鼓太郎

勢いに乗りたい第4セットだが、試合が終盤に突入するにつれて慶大選手に疲れが見え始める。スパイクで決め切ることができず、4ー5から一気に4ー10まで点差を広げられてしまう。それでも、L・今田匠海やOH・山口快人を中心にボールを繋いで粘りを見せ、まずは1点を返す。しかし、追い討ちをかけるように相手の強烈なサーブが走り、大きく突き放されてしまう。さらに攻撃でミスが目立ち始めると、慶大は思わずタイムアウト。立て直しを図るも相手ペースに呑まれ、11ー25で第4セットを大東文化大に献上する。

身体を張ってボールを繋いだL・今田匠海

最終第5セットは、前のセットで勢いに乗った大東文化大の攻撃を断ち切ることができず。慶大の得点は、OP・入来晃徳のスパイク1本、相手のサーブミス2本のみで、気づけば3ー7と4点を追う展開に。さらに、長いラリーの末に全員で繋いだチャンスを活かしきれず3ー9とされると、慶大は再びタイムアウトをとる。その後は、苦しい状況の中でも「全員が繋いだボールを、エースの入来が決め切る」バレーも見られたが、前半に開いた点差は大きく。10ー15でゲームセット。慶大は、セットカウント2ー3で大東文化大に敗れた。 

(取材・記事:長掛真依、梅木陽咲)

▼以下、コメント:星谷監督、入来選手、稲井選手、今田選手

星谷健太朗監督

ーー試合を振り返って

試合の中で相手のメンバーが変わって、より高いレベルのメンバーの時には一方的にやられてしまったのかなという印象があります。プレーは、随所で練習の成果が発揮できたなとは思うんですけど、それ以上に普段なかなか練習できないようなブロックの高さだとか、速いサーブ、回転していないサーブに対して、うまく準備ができていなかったし、対応ができなかったなという印象があります。

ーー入来選手が第1セットを取りきれなかったことについて言及されていましたが

結果的にセットを取れなかったことで相手の気持ちを楽にしてしまったという側面もあったと思いますけれど、なぜ取られてしまったかというと、相手がギリギリな中で繋ぐだけだったボールをこっちが失点してしまったり、良い展開まで持ち込んだボールでミスをしてしまったりという詰めの甘さだと思うので、そこは鍛錬が足りなかったということだと思います。

ーー終盤は疲れも出てきていたように感じましたが、攻守を振り返っていかがですか

ブロックは可もなく、不可もなくという感じで、どちらかというと点数を取らなければいけない部分で決めきれなかった部分があったかなと思います。最後は体力的に厳しくてアタックが機能しなかったと思います。いつも以上に力を発揮しようという気持ちで取り組んだからこそ、いつも以上に身体への負担が大きくて、結果的に5セット持たなかったということだと思います。なので、普段のトレーニングは引き続き一生懸命やっていくべきですし、ギリギリの体力、精神状態の中でも最後まで戦い抜けるような精神力というのは足りていないので。ただ、これは練習ではどうしようもなくて、ギリギリの修羅場を戦い抜くという経験が必要だと思うので、その修羅場をリーグ戦ではない場面で経験させてもらえたということは我々にとってはものすごく意義のあることだと思います。

ーー慶應バレーを発揮するための鍵は

それはたくさんあって、鼓太郎(=MB・松山鼓太郎)のサーブ、入来のスパイク、松田のトス、清水のサーブレシーブとスパイク、山口もサーブレシーブとスパイク、ブロック、今田もサーブレシーブとディグがもっと良くなると、流れがぐっと来るタイミングが増えるんじゃないかと思います。それが噛み合わなかったとしても、誰かしらが、セットごとに1人か2人で良いと思うんですけど、爆発する人が出てくると戦いやすいなと思います。

ーー春季リーグ開幕へ、意気込みをお願いします!

1部復帰という目標に対してしっかりと練習を積み上げて来られたと思っているので、あとは相手に対して準備をしてぶつかって、しっかり出し切って、その延長線上に1部復帰という結果がついてくれば良いなと思っています!頑張ります。

 

#11 OP・入来晃徳選手(環4・佐世保南)

ーー今日の試合を振り返っていかがですか

相手のブロックがめちゃくちゃ高かったので、今までブロックの高い相手に対しての練習がほとんどできていなかったこともあり、そこでチームのリズムが崩れてうまくできなかった瞬間に苦しくなったかなと思います。逆に自分たちからサーブで攻めて、相手の段トスから(打ったスパイクを)ブロックで止めたり、自分たちのいつもやっていることをできた時にはなかなか良かったかなと思いました。どこを軸にするのか、迷うような試合だったのかなと思います。

ーー“自分たちプレー”を発揮するための鍵は

まず自分たちの軸はクイックでテンポ良く攻めるという部分にあるので、まずはパスを返せないといけない。ジャンプサーブに対してどれだけBパス(セッターの定位置から少しズレる程度の位置に上げるパス)で抑えられるかというところと、MBとSが意思疎通をしてコンビのテンポを合わせられるのかが大事かなと思います。

ーー終盤はブロックが反応しきれない場面もありましたが

相手スパイカーに1対1でブロックがつくというシフトを引いているので、結構やられることも多かったと思います。ブロックにつく人が責任を持ってちゃんと跳べるようにしたいというのが理想なんですけど、1部とかは結構3枚ずつでブロックを動かしているので、それを作っても良いのかなとも思った試合でした。

ーー第2セットでは5連続ブレイクもありましたが、ご自身のプレーを振り返って

最初の方はトスがあまり上がってこなくて他の人が決めてくれたりしていたんですけど、途中からは俺がしっかり決めていかなければいけないなという試合展開になってきたので、しっかりギアを上げて2セット目は良い方向に持っていけたという感じです。ただ、上げるところで上げて、落ちるところで落ちたのかなというふうには思います。やっぱり体力がなくて終盤に落ちてしまったので、そこを改善したいなと思います。

ーーコート上で選手たちに声をかける姿が印象的でしたが

4年生が自分しか入っていないので、その分声かけも意識しています。エースとして点数としての軸もある中で、その両方でしっかりチームの軸となれるように頑張っていきたいなとは思っています。

ーー開幕前に得られた収穫は

決まらない状況の中で「なんとか粘る精神」というのは全体としてすごく良かったのかなと思っています。全然点数が決まらないという場面があった中で、少なくはありますけれどなんとか粘ってポイントを勝ち取れたというシーンを見られたので、それは収穫だったのかなと思います。あとはフルセットやったので、開幕前に課題をたくさん見つけることができたことが収穫かなと思います。

ーー手応えとしては、どれくらい戦っていけそうですか

相手の調子も結構あると思っていて、今日の大東は後半にすごい調子が良くて。その状態の大東に勝ち切ることができれば、2部で優勝できるくらいなのかなと思いますけれど、序盤の大東に対して1セット目を取られたりもしているので、そこでちゃんと取り切る力をつけたいなとは思います。相手が勢いに乗る前に、しっかり取り切るということが大事なのかなと思いました。

ーー春季リーグ開幕へ、意気込みをお願いします!

2部にも、日大とか、梨学とか、大東とか強敵はたくさんいるので、ブロックでも、サーブでも、一つひとつの要素でしっかり勝てるようなチームを目指してやっていこうと思います!

 

#22 MB・稲井正太郎選手(法2・慶應)

ーー今日の試合を振り返って

まず、今回の会場が全日本インカレで使われるようなすごい会場ということで、そんなところでプレーできたことがありがたかったです。最初は会場に圧倒されてしまって、自分の思うようなプレーができなかったのですが、中盤からは緊張が和らいで、2、3セット目は割と良いプレーができました。ただ、最後は自分のスタミナ切れで攻め切ることができなかったので、そこは悔しいです。

ーーこれから春季リーグで戦う2部のチームと対戦でしたが、手応えは

今日は自分を含めて、みんなが本調子ではなかったと思うのですが、その上で2セット取れているので、手応えはあります。1週間後から始まるリーグ戦では勝てるのではないかなと思います。

ーー今日の試合で意識していたことは

今日はネット際というよりセッターに癖がありました。例えばライト側に上がるなら顎が上がるだとか、クイックをやるときにはその前に一回見るということをしていたので、セッターの特徴を掴むというところを意識していました。

ーー第3セットでは、サーブを打つ前に星谷監督とお話しされていましたが

自分はサーブが苦手なので、たしか「ここは攻めるしかないから、打てるベストなサーブを打ってこい」と言われました。

ーー春季リーグ開幕へ、意気込みをお願いします!

終盤でも頼られるように、終始安定したプレーで頑張ります!

 

#4 L・今田匠海選手(政2・慶應)

ーー今日の試合を振り返って

個人としては、序盤から良いプレー、自分のいつものプレーが全然できなかったなと思います。自分の軸としてはサーブカットをしっかり返さないといけない立場なのに、最初からミスをしてしまって、そこから他のプレーも総崩れになってしまいました。

ーー戦いにくかった部分は

相手のサーブがとても強くて、Aパス(セッターが動かずにトスを上げられる位置に上げるパス)を返してコンビを組みたい時に強いジャンプサーブを打ってきて、Aパスで返せないという場面も多かったかなと思います。あとは相手のレシーブもすごく良くて、慶大のレフト陣のスパイクが全然決まらなかったので、そこも戦いにくかったです。

ーー苦戦した中で意識していたことは

弱気にならないことですね。精神的に弱気になったとしても、声を出す。声を出したら自分を鼓舞できるので、そこは意識してやっていました。

ーー慶大ブロッカー陣の動きはどう見えていたか

いつもの練習だったら抜けてきているようなボールが、しっかり左手とかで止められていて、わりと良かったなと思います。

ーー春季リーグ開幕へ、意気込みをお願いします!

僕たちは1部昇格を目指しているので、まずは昇格戦に行くために、1戦も、1セットも落とさない気持ちで頑張ります!

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