昨年度4勝1敗の好成績で優勝を飾った関東大学春季交流大会。今年は立正大学を下田グラウンドに迎え、開幕した。前半開始直後から相手選手にディフェンスラインを抜かれ、先制を許す。しかし、慶大は直後から連続トライで巻き返しを見せ、逆転に成功。風に煽られキックで苦しむ部分がありつつも、フォワード陣・バックス陣の多様な攻撃で終始トライを量産した。最終的には相手を3トライに抑え、攻守共に奮闘。連覇への期待を背に、見事好スタートをきり開幕戦勝利を収めた。
2025年4月20日(日)関東大学春季交流大会 対立正大学 @下田グラウンド
○慶大 48{24―12、24―5}17 立正大●
関東大学春季交流大会 第1節 | ||||
慶應義塾大学 | 2025/4/20(日)12:00 K.O.@下田 | 立正大学 | ||
前半 | 後半 | 前半 | 後半 | |
4 | 4 | トライ(T) | 2 | 1 |
2 | 2 | コンバージョン(G) | 1 | 0 |
0 | 0 | ペナルティゴール(PG) | 0 | 0 |
0 | 0 | ドロップゴール(DG) | 0 | 0 |
24 | 24 | 計 | 12 | 5 |
48 | 合計 | 17 | ||
前半6分 渥美(T) 前半7分 橋本(G) 前半12分 石垣(T) 前半24分 中谷(T) 前半31分 山本(T) 前半32分 橋本(G) 後半12分 伊吹(T 後半13分 橋本(G) 後半20分 石垣(T) 後半28分 田村(T) 後半29分 小舘(G) 後半39分 笠原悠(T) | 得点者 | 前半2分 高橋(T) 前半3分 吉田(G) 前半18分 浅場(T) 後半9分 高橋(T) |
慶應義塾大学 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学部学年 | 出身校 |
1 | 井吹 勇吾 | 175/100 | 環2 | 桐蔭学園 |
2 | 渥美 和政 | 173/100 | 経4 | 慶應 |
3 | 中谷 太星 | 180/115 | 環2 | 東福岡 |
4 | 笠原 大介 | 180/96 | 商4 | 慶應 |
5 | 加藤 光 | 182/100 | 法2 | 慶應志木 |
6 | 岩垂 樹希 | 177/93 | 政4 | 慶應 |
7 | 柏木 秀太 | 166/84 | 経3 | 慶應志木 |
8 | 米津 幸治 | 175/91 | 商4 | 慶應 |
9 | 橋本 弾介 | 169/76 | 法4 | 慶應 |
10 | 大川 竜輝 | 172/85 | 理4 | 慶應 |
11 | 石垣 慎之介 | 176/80 | 政4 | 慶應志木 |
12 | 今野 椋平 | 183/90 | 環4 | 桐蔭学園 |
13 | 小舘 太進 | 173/84 | 商4 | 茗溪学園 |
14 | 山本 大悟 | 174/85 | 環4 | 常翔学園 |
15 | 伊吹 央 | 176/81 | 経4 | 慶應 |
立正大学 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学部学年 | 出身校 |
1 | 井川 桃大朗 | 170/110 | データ4 | 東福岡 |
2 | 毛内 孝樹 | 173/97 | データ3 | 青森山田 |
3 | 國松 明拓 | 177/100 | データ4 | 御所実業 |
4 | ヴィリケサ・リモリモ | 190/98 | データ3 | Queen Victoria |
5 | オリバー・クルツ | 200/139 | データ2 | Outeniqua |
6 | 飯塚 寛太 | 173/87 | データ3 | 佐野日大 |
7 | 平尾 晃太 | 176/80 | データ3 | 大商大 |
8 | 内倉 武人 | 175/85 | データ2 | 東海大大阪仰星 |
9 | 宮川 晴登 | 164/73 | データ3 | 大分東明 |
10 | 吉田 碧那 | 175/73 | データ2 | 湘南工科大付属 |
11 | 浅場 悠斗 | 170/78 | データ3 | 朝明 |
12 | 井村 柊太 | 174/80 | データ4 | 東福岡 |
13 | ハインリッヒ・フルックス | 188/100 | データ4 | Jeugland |
14 | 西濱 綾生 | 180/86 | データ2 | 倉敷 |
15 | 高橋 遼成 | 168/73 | データ3 | 日大 |
慶應義塾大学 |
| 立正大学 |
97.3kg | FW平均体重 | 99.5kg |
779kg | FW合計体重 | 796kg |
176cm | FW平均身長 | 179.25cm |
慶大のキックからスタートした春季交流大会初戦。開始直後の1分30秒で早速、慶大にピンチが訪れる。相手陣の22mライン際で立正大にアタックの隙を突かれ、ボールを奪われそのままトライ。慶大は先制点を許した。ここで終われない慶大は前半5分に、相手陣のトライラインから5mのあたりで慶大ボールのラインアウトを獲得する。ラインアウトからモールを形成し、そのまま力で押し込み渥美が見事にトライを奪い返す。その後、橋本もコンバージョンキックを成功させ、わずか4分後に同点に追いつく。
前半11分には、今野から外側への長いパスが石垣へ繋がり、そのまま石垣が相手のディフェンスを切り抜けて走り抜け、トライを決める。
その後、自陣でのミスで相手にボールが渡り、そこをキックでカバーするなど懸命なディフェンスを見せていたがその間を突かれてトライを奪われ、再び同点へと引き戻されてしまう。しかしここで負けられない慶大は22分、相手陣のトライラインの5m手前あたりで、慶大ボールのラインアウトを獲得する。モールから攻撃を展開し、トライラインギリギリのところで粘り強いアタックを見せ、最後は中谷がトライを決め切った。
シーソーゲームになるかと思われたが、このトライを機に流れに乗った慶大の勢いは止まらない。ハーフライン際での慶大ボールのスクラムから右側に展開し、今野が大川へボールを運び、大川が相手をひきつけたところで再び今野へとパスが繋がり、外側から走りこんでいた山本がトライを決めた。その後のコンバージョンキックを橋本が成功させ、慶大は24-12とダブルスコアまで点差を広げて前半を終える。
さらなる点差を付けたい慶大は後半開始から相手に流れを渡そうとしない。後半から中谷に変わって入った廣瀬宇一郎(環2・桐蔭学園)が相手のペナルティを誘い、慶大ボールに。
その後は敵陣22mラインからのラインアウトでチャンスを作るも、オフサイドを取られそのまま好機を逃してしまう。両者一進一退の展開が続く中、試合が動いたのは後半9分。ラインアウトから立正にフェーズを重ねられ、トライライン付近までテビタ・バティウェティ(データ2・Lelean Memorial)にボールを進められる。テビタからパスを受けた高橋にトライを許し、慶大は点差を7とされる。
後半11分、ラインアウト後に橋本、今野、大川と経験豊富な4年バックス陣の絶妙なパス回しでトライライン近くまで攻め込みラックを作る。
そこからSH橋本のロングパスを15mライン付近で受けた伊吹が、ディフェンスの隙をすり抜けトライを決める。橋本のコンバージョンキックも決まり31-17に。
西澤賢佑(文4・膳所)、藤森貴大(経3・慶應)、田村優太郎(総2・茗溪学園)を投入し、このまま流れに乗りたい慶大は後半17分、立正にトライラインわずか数mの辺りまで攻撃を迫られるも冷静なディフェンスで相手のノットリリースザボールを誘発する。ここから流れを確実に掴んだ慶大。粘り強く相手陣地を支配し石垣がこの試合2トライ目を決める。
後半28分、ラインアウトから途中出場の森航希(環3・桐蔭学園)、濱本泰祐(法3・慶應)、そして田村へとパスが渡り、田村が持ち前の瞬足で何人ものディフェンス相手に競り勝ちトライを決める。交代してベンチに下がった橋本に代わり、小舘がコンバージョンキックをしっかりと決め、さらに立正との差を離すことに成功。
キックによる陣地の取り合い、スクラム、ラインアウトなど、総力戦で両校が得点の機会を伺う。試合終了間際の後半39分、この均衡を破ったのはやはり慶大。10mライン付近で小舘が蹴ったパントキックを笠原悠真(政4・慶應)が上手く拾い、相手の隙を突いてそのままトライ。
スコアを48-17とし、ロスタイムも立正に隙を与えることなく、試合終了のホイッスルを迎えた。
試合開始から全体として、昨年培った個々がアグレッシブに前へ出る姿勢に加え、アップデートされたチームワークを発揮した。磐石のラグビーで立正大に追い上げを許さず、新チームの公式戦初戦を快勝で飾った。
以下、主将・今野選手、2トライの活躍の石垣選手のインタビュー↓
今野
ーー2025年度初陣となる今試合を振り返って
チームとして始まってから3ヶ月経つのですが、やってきたことが(プレー、の)要所要所に出て、それが結果として勝利につながったことは良かったと思います。ただ、個人的には自分のプレーに納得していないので、悔いが残る試合になりました。
ーー来週(4月27日)は筑波大戦です。昨シーズンは2度も敗れた相手(*)にどう戦いますか?
筑波は大学選手権出場に向けて、対抗戦の4位5位をいつも争っているライバルです。ワセダにももちろん早慶戦があるのでライバル意識はありますが、筑波にも部として「絶対勝ちたい」と熱く思っているので、今試合の反省を活かして1週間、練習に励んで頑張りたいと思います。
(*)一度目は、2024年6月16日関東大学春季大会にて43-45。二度目は、2024年9月15日関東大学対抗戦にて12-34。
ーー最後に今シーズンの目標、それからファンへの一言お願いします!
今シーズンの目標は、大学選手権優勝とスローガンの「日本一」です。高い目標を掲げたので、その目標に自分たちが置いていかれないようにすることです。「日本一」の目標に向けては現状、遠いと思っているのですが、一試合一試合積み重ねて、最後自分たちの目標に届けばいいと思っているので、それまでファンの皆さん、お待ちください!みんなで頑張っていきます!
石垣
――今日の試合を振り返って
公式戦初戦ということで、そこを勝利という形で終われたのは大きいと思います。ただ、チームとして日本一を目指している中で言うと、まだまだ課題が残る試合だったと思います。チーム全体でも個人的にも細かい「繋ぎ」の部分でのミスは、一つのミスで大きく流れが変わってしまうので、そういうところはチームでもっと気を引き締めていこうと思います。
ーー2トライの活躍を振り返って
ポジション的にも自分がトライを取って流れを持っていかなければいけない立場だと思っていますし、ボールを貰った時はトライのことしか考えていないのでその結果が2トライに繋がったと思います。まだまだもっとトライを取っていかないといけないとは思いますが、最低限の出来だったかなと思います。
ーー今年のチームの中の自分の役割をどうお考えですか
去年からレギュラーで出させてもらっているのと、最上級生という立場でもあるので、自分がいかにボールを持ってチームを前に押しあげるか、トライを取れるかということが自分の役割だと思います。
ーー4年生として常に試合に出ている中での今年の原動力は何ですか
小さいころからやってきたラグビーも学生としてやるのも最後ですし、個人としても去年非常に悔しい思いで終わっていることもあって、そういった慶大の停滞した空気を突破したいという気持ちが原動力の一つになっていると思います。
ーー次戦に向けて意気込みをお願いします!
筑波には去年の春はサヨナラ負けをして、秋も完敗してしまったのですが、個人としては今までに筑波との試合に怪我で1試合も出たことがないということもあり、チームとしても絶対に倒さなくてはいけないライバル的存在だと思っています。残りの一週間、日本一という目標に向けても絶対に勝たなくてはいけない試合としてしっかり頑張っていきたいです。
(取材:宇田川志乃、梅木陽咲、島森沙奈美、月井遥香、吹山航生、新入生2名
記事:島森沙奈美、月井遥香)