早大との招待試合後、Aチームとしては2週間ぶりの実践となる同志社定期戦。前年度秋に大敗した借りを返すべく慶大選手たちは静岡県エコパスタジアムに集った。
前半は同志社大に先制を許すものの、すぐにトライを奪い返し、シーソーゲームにもつれる。前半終了時点で両校5つずつトライを決める。
4点ビハインドの後半、先制したのは慶大だった。ここで逆転に成功する。その後は同志社大に連続トライを許したのち、慶大も2トライを取り返し意地を見せる。しかし、慶大はコンバージョンキックに苦戦。トライ数では相手を上回ったものの、44-47と敗戦を喫した。
来週の関東大学春季大会最終節に向け、実りのある一戦となったに違いない。
2025年6月8日(日)第106回定期戦 対同志社大学 @小笠山総合運動公園エコパスタジアム
●慶大 44{29―33、15―14}47 同志社大○
第106回 定期戦 | ||||
慶應義塾大学 | 2025/6/8(日) | 同志社大学 | ||
前半 | 後半 | 前半 | 後半 | |
5 | 3 | トライ(T) | 5 | 2 |
2 | 0 | コンバージョン(G) | 4 | 2 |
0 | 0 | ペナルティゴール(PG) | 0 | 0 |
0 | 0 | ドロップゴール(DG) | 0 | 0 |
29 | 15 | 計 | 33 | 14 |
44 | 合計 | 47 | ||
前半6分 笠原(T) 前半16分 申(T) 前半22分 石垣(T) 前半24分 申(T) 前半25分 和田(G) 前半41分 伊吹(T) 前半42分 和田(G) 後半8分 藤森(T) 後半24分 橋本(T) 後半37分 廣瀬(T) | 得点者 | 前半3分 ファイアラガ(T) 前半4分 大島(G) 前半10分 上嶋(T) 前半11分 大島(G) 前半12分 上嶋(T) 前半13分 大島(G) 前半33分 末次(T) 前半34分 大島(G) 前半37分 林(T) 後半12分 上嶋(T) 後半13分 大島(G) 後半18分 ファイアラガ(T) 後半19分 大島(G) |
慶應義塾大学 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学部学年 | 出身校 |
1 | 井吹 勇吾 | 175/100 | 環2 | 桐蔭学園 |
2 | 藤森 貴大 | 173/99 | 経3 | 慶應 |
3 | 中谷 太星 | 180/115 | 環2 | 東福岡 |
4 | 佐々木 一帆 | 180/97 | 経3 | 慶應志木 |
5 | 山﨑 太雅 | 189/103 | 商1 | 県立浦和 |
6 | 岩垂 樹希 | 177/93 | 政4 | 慶應 |
7 | 西野 誠一朗 | 184/92 | 法1 | 桐蔭学園 |
8 | 申 驥世 | 175/93 | 文1 | 桐蔭学園 |
9 | 森 航希 | 170/75 | 環3 | 桐蔭学園 |
10 | 和田 健太郎 | 168/73 | 理2 | 清真学園 |
11 | 石垣 慎之介 | 176/80 | 政4 | 慶應志木 |
12 | 田村 優太郎 | 174/80 | 経4 | 茗溪学園 |
13 | 小舘 太進 | 173/84 | 商4 | 茗溪学園 |
14 | 山本 大悟 | 174/85 | 環4 | 常翔学園 |
15 | 笠原 悠真 | 178/82 | 政3 | 慶應 |
同志社大学 | ||||
# | 氏名 | 身長(cm)/体重(kg) | 学部学年 | 出身校 |
1 | 李 星河 | 178/105 | 法2 | 大阪朝鮮 |
2 | 末次 晴登 | 172/89 | 法3 | 長崎北陽台 |
3 | 谷井 完太郎 | 176/106 | 教育文化2 | 天理 |
4 | 林 慶音 | 180/102 | スポ4 | 大阪桐蔭 |
5 | 柏村 一喜 | 183/94 | 教育文化3 | 報徳学園 |
6 | 土肥 祥太朗 | 168/87 | 法4 | 同志社 |
7 | 船井 結人 | 186/95 | 教育文化2 | 常翔学園 |
8 | 山﨑 周平 | 184/95 | 教育文化2 | 國學院久我山 |
9 | 田中 心温 | 180/76 | 法3 | 東福岡 |
10 | 大島 泰真 | 170/77 | スポ4 | 京都成章 |
11 | 上嶋 友也 | 180/90 | スポ3 | 東福岡 |
12 | 立川 和樹 | 170/84 | 教育文化4 | 天理 |
13 | ファイアラガ 義信 ダビデ | 172/88 | 教育文化3 | 常翔学園 |
14 | 桃田 涼平 | 171/77 | 商4 | 報徳学園 |
15 | 中村 大洋 | 174/85 | 経4 | 國學院久我山 |
慶應義塾大学 |
| 流通経済大学 |
99kg | FW平均体重 | 96.6kg |
792kg | FW合計体重 | 773kg |
179.1cm | FW平均身長 | 178.3cm |
前年度秋にアウェイグラウンドで26-63というスコアで大敗したものの、2022年度は同志社大相手に勝利を収めている慶大。山本・伊吹央(経4・慶應)は勝利した当時に続いてメンバー入り。2年前と同じ静岡県エコパスタジアムで、良いイメージを持って挑めるか。雨上がりの曇天の中、慶大ボールのキックで試合が開始した。
前半3分、同志社大(以下、同大)に自陣5mライン付近で与えたラインアウトからモールで攻め込まれる中、FW陣・BK陣ともに耐え、押し戻す。しかし次にできたラックから冷静に3フェーズ重ねられ、慶大4人がかりで止めに入るも、インゴールを守りきれず。同大に先制トライを許した。
慶大に訪れた最初のチャンスは6分。慶大ボールのラックから少し離れたところにいた小舘にパスが回ると、自陣から敵陣へ一気に独走。後ろからフリーで走ってきた石垣がボールを受け、相手ディフェンスを何枚も押し倒してチャンスメイク。一旦フェーズが途絶えたのち、森、和田、田村、笠原とパスが渡り、そのまま笠原がインゴールに走り込んだ。BK陣の慎重な連携が功を奏し、スコアを5-7とする。
前半10分、12分には同大・上嶋にタッチライン際のスペースを明け渡してしまい、連続で同じようなトライを許してしまう。ライン際からの難しい角度のコンバージョンキックも2本確実に決められ、開始12分で5-21と点差を広げられる。
リズムを取り戻したい慶大は、圧をかけるディフェンスで前半14分に同大のノックフォワードを誘発する。その後慶大ボールのスクラムで押し勝ち、巧妙なパス回しとキックプレーで相手を翻弄。続く敵陣5mライン付近でのスクラムからそのまま押し込み、申がタッチダウン。FW陣の力が相手を勝り、彼らの活躍が随所に光る得点となった。
21分には、相手のロングキックを笠原がキャッチしたのち、BK陣が慎重に攻撃を展開する。一時粘り強い同大ディフェンスに押し戻されるが、慶大も集中力を切らすことはない。石垣が風のように敵陣を切り裂く。相手ディフェンスの低いタックルをものともせず、そのままインゴールに飛び込む。ディフェンスを寄せ付けない圧巻のランは会場の歓声を湧き起こした。
23分、山本が屈強なタックルで相手の攻撃展開を阻み、同大にペナルティを取らせるファインプレー。その後ボールが田村の手に収まると、敵陣10mラインからトライライン付近まで一気に駆け上がる。その後形成されたラックから、申がパスを出すと見せかけ、中谷と共に相手ディフェンスの壁を破る。ボールを離さなかった申が自らこの日2本目のトライを決めた。ここまでノーゴールの小舘に代わり、和田がしっかりコンバージョンキックを決め、22-21と逆転に成功する。
しばらく均衡状態が続く中、戦況が動いたのは前半33分。同大に与えたラインアウトからモールでそのまま押し込まれ、トライラインを明け渡す。続く37分、ここまで調子の良かった慶大ボールのラインアウトだったが、ここでミスが生じ、相手ボールに。そこから固いディフェンスで自陣を守るが、最後はライン際を守りきれず、隙を突かれて失点。22-33と悔しくも再び点差が開く。
39分、今度は慶大が同大ボールのラインアウトで相手のミスを誘発。藤森がこぼれ球をうまくキャッチし、慶大優位の流れを作る。前半残り時間がわずかな中で獲得した慶大ボールのラインアウトは成功し、モールを形成。FW陣が力で押し、そこから森、田村、伊吹と素早いパスが回る。小舘に代わって途中出場の伊吹が相手ディフェンスを自力で5人抜き去り、トライを決めた。ここでも和田がコンバージョンキックを成功させ、29-33と追い上げを見せたところで前半が終了する。トライ数が拮抗した前半。両校共に総合点の高いチーム力を感じさせる熱い戦いぶりを魅せた。
前半ラストプレーに挙げたトライで4点差に迫った慶大は、後半の頭からSHの森に代えて橋本弾介(法4・慶應)、WTBの石垣に代えて安西良太郎(商1・慶應)を投入。経験豊富な司令塔と高校日本代表にも選出された若きトライゲッターに逆転への希望を託す。
すると後半6分、投入直後の2人が起点となり慶大が後半最初のチャンスを迎える。同大のキックを拾った安西が自慢のスピードを発揮し、タックラーを弾き飛ばす豪快なゲインでチームの体勢を立て直すと、橋本が相手の意表を突いて自らボールを運び、さらにサポートに入りパスを受けた佐々木がディフェンスラインを突破し大幅にゲイン。ここでジャッカルを狙った同大PR林道成(商2・京都成章)が危険なプレーでシンビンを受け10分間の退場処分となる。このペナルティで獲得したマイボールラインアウトをしっかり確保した慶大は、そのままモールで押し切り、藤森のトライで後半8分に逆転に成功する。
さらに畳みかけたい慶大はPR中谷に代え廣瀬宇一郎(環2・桐蔭学園)、FL岩垂に代え本田李成(政1・慶應)を投入し、相手のシンビンで数的有利の中、フレッシュなFWで圧力をかけることを狙う。
しかしここから約10分間、試合の主導権は同大が握る。再開直後の11分、そしてシンビンが明け数的同数となった18分、立て続けにトライを許し、13点ビハインドとなったところで、慶大はFB笠原に代え小舘、PR井吹に代えて西澤賢佑(文4・膳所)、HO藤森に代えて渥美和政(経4・慶應)という三枚替えを敢行し、巻き返しを図る。
24分、敵陣でのマイボールスクラムからテンポ良くパスを回し、田村の突破を起点にゴール前に迫ると、最後は橋本がディフェンスラインが整う前に自らボールを持ち出してトライを挙げ、点差を縮める。
波に乗りたい慶大は26分にSO和田に代え百田航(政4・慶應)、LO山﨑に代え加藤光(法2・慶應志木)、そして33分にWTB山本に代え加藤旭陽(政2・慶應志木)を投入するが、一進一退の攻防が続き次のトライが奪えないまま時間が経過する。
それでも37分、同大のキックミスからチャンスを作り、粘り強く丁寧に陣地を進めると、廣瀬が意地のトライを挙げ3点差に迫る。
是が非でも逆転したい慶大は、残り時間わずかとなっても果敢に前へ進み続け同大陣地に迫るが、最後は同大にボールを奪われ、両者のプライドがぶつかり合った106回目の定期戦は、44-47で惜しくも敗れるという結果に終わった。
コンバージョンキックの精度という課題が見つかった一方、1年生5人の出場や、合計8トライの獲得など、春季交流大会最終節、そして秋の対抗戦に向けて確かな収穫も得られた。両校がそれぞれ所属するリーグを勝ち抜け、冬の大学選手権でリベンジの舞台が整うことに期待したい。
(取材・記事:島森沙奈美、髙木謙)